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科学は愛ですコミュのナノテクで『スパイダーマン』スーツを

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('Spider-man' suit secret revealed:8月30日英語版配信分)

イタリアの科学者チームが、壁をよじ登る『スパイダーマン』スーツ実現の鍵になる新たなナノテク技術を発見したと主張している。

イタリアのトリノ工科大学教授で、エンジニア兼物理学者のNicola Pugno氏は、強力な吸着力を持つ、細かく枝分かれした素材を造り出した。この吸着物質は、壁や天井からぶら下がった人間の体重を支えられるくらい強力で、はがそうと思えば簡単にはがすこともできるという。

この技術はカーボン・ナノチューブをベースにしたもので、ナノ分子でできた輪と、鉤状突起の組み合わせが形成される。これがマジックテープ『Velcro』のミクロ版のように機能する仕組みだ。

科学者たちは長年にわたり、この「スパイダーマン」あるいは「ヤモリ」に備わった能力を再現する方法を研究してきた(日本語版Hotwired過去記事)。

Pugno氏が『Journal of Physics: Condensed Matter』誌の2007年8月29日号に掲載した論文をレビューした専門家の中には、スパイダーマンにはほど遠いという意見もあったが、論文は、ここまでの進展を遂げた研究は今までなかったはずだと主張している。

Pugno教授は図解の中で、スパイダーマン・スーツの実現を目指す既存の研究を1つにまとめて説明している。


スパイダーマンは、大きなクモの巣と、極めて強力な粘着力と自己清浄機能を持つ、着脱可能な手袋とブーツを装着しなくてはならない。

透明な大型のケーブル(『Pugno 2006b』)は、ナノチューブの束(『Zhang etal 2005』参照)で実現できる。一方、手袋とブーツは、われわれの分析によれば、クモ(『Desel et al2004』参照)やヤモリ(『Gao et al』参照)を模倣することで実現可能だ。また、ナノチューブの束は超疎水性(超撥水性)であり、したがって自己洗浄型である(『Lau et al 2003』参照)[訳注:『』内は論文名]


Pugno氏の論文は、断面積わずか2平方センチメートルの透明ケーブル1本で人間の体を支えることができるし、特殊な手袋とブーツを身に付ければ天井に張り付いたままでいられるようになる、と主張している。同研究チームからのコメントは今のところ得られていない。

論文によると、クモやヤモリの足のように、ナノ分子でできた鉤状突起や繊毛は、自己清浄機能を持ち水を嫌う性質があるので、摩耗することがなく、悪天候時や表面が汚れた場所でも使え、深海のような過酷な環境でも持ちこたえるそうだ。

しかし、カリフォルニア大学バークレー校教授のRonald S. Fearing氏(電気工学)はこの論文について、基礎となる物理的根拠だけを見れば期待できそうな内容だが、実現に向けては解決すべき問題点がいくつかあると指摘する。

Fearing教授は、ヤモリからヒントを得た人工粘着性物質の研究の専門家でもある。

「ヤモリの能力を人間のサイズにスケールアップすれば、それで必要条件は整うことはすでにわかっている。しかし、ヤモリの粘着力の仕組みについて、詳しいことがすべて判明しているわけではない」

Pugno氏も論文の中で、粘着力の強弱に面積が及ぼす効果は完全に理解されてないことを認めている。また、人間の筋肉はヤモリとは違う――長時間壁にしがみついていれば、筋肉の疲労は相当なものになるだろう。

ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)物理学・天文学部教授のAndrew Fisher氏(物理学)は、2つの表面の間の粘着力を試算することは極めて難しい問題だと指摘する。表面についた様々な種類の汚れや傷などの影響を数値化する作業は困難を極めるというのだ。

「21世紀に入った今、量子の活動のメカニズムや創生期の宇宙といった、日常とかけ離れた世界については多くのことがわかってきている。しかし、情けない話だが、ごくありふれた2つの物質が互いにくっつき合う仕組みについては、現代の科学を持ってしてもわからないことがまだたくさんある」とFisher氏は語る。

それでも、粘着現象に関するすでに確立された物理法則をまとめ、実現の可能性があるコンセプトを作成したのはPugno氏が初めてだと、Fisher氏は評価している。

さらにFisher氏は、スパイダーマン・スーツの原型が今後3年の間にできるのではないか、とも語った。

ヤモリの足の粘着力についてのこれまでの研究は、必ずしも期待通りの成果をもたらしていないし、スパイダーマン・スーツは突拍子もない夢物語のように聞こえるかもしれない。

しかしPugno氏は、ナノテクに関する騒ぎの嘘くささを暴露したことで知られる人物でもある。

Pugno氏は2006年、カーボン・ナノチューブ製のケーブルには宇宙エレベーターに使えるほどの強度はないとする論文を発表し、大きな議論を巻き起こした。


[WIRED VISION]
http://wiredvision.jp/news/200708/2007083123.html

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