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シェルル同好会コミュの【SS】ひたすらシェルル妄想

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とりあえずSSでもUPしていこうぜ!

恥ずかしくても、気にすんな! ミクシィだから大丈夫!(どういう理論だ)

コメント(4)

[♪BGM/波濤 http://www.kagidai.com/music/hatoh.html]




 私は、今日も思う。
 あの男は、まったくいつでも強引で、そしてどうしようもなく勝手なのだ。
 行動を共にするようになってから、何度あの男のせいで迷惑を被ったか知れない。それこそ、幾たび殺してやろうかと思ったか、覚えていないほどに。

 私は、あの男が心底嫌いである。
 肝を潰されるような大迷惑を何度もかけられたから、というそれだけではない。
 出会ったときから嫌いだった。第一印象で、これ以上ないくらいに嫌悪感を抱いた。その気持ちは今も変わらず、そしてこれからも、変わることは決してないだろう。

 なぜ、自分が彼を嫌いなのか、そんなことは考えたことはない。
 あいつのすべてが気に入らない。
 気に入らない。
 大嫌いだ。
 そう、難しく考えることではない。それだけのこと。

 だいたい、住む世界も違う。
 彼は闇の魔導師。本来であれば、私と関わるはずもない存在だ。なにせ、私には魔導力がないし、それ以前に彼は本当なら陽の当たる世界とは無縁の存在だからだ。

 闇の魔導師、シェゾ・ウィグィィ。
 口にするのはおぞましいので、その名を脳裏に浮かべてみる。
 さらさらとなびく銀の髪、澄んだ空のような蒼い瞳。まるで作り物のような整った造作。
 しかし、その眼に慈愛の灯がともることはなく、その唇に優しい微笑みなど浮かばない。
 魂はとうに底の見えない闇の深遠に堕ちている。彼と過ごしていて垣間見れたその闇は、まるで計り知れなくて、なぜか――焦る。
 だが、闇に身を堕としたくせにどこか純粋で、そしてその力には一片の曇りもなく、強い。

 その眼には、何も映してはいなかった。
 その魂は、誰も必要としてはいなかった。
 少なくとも、きっと、あの娘と出会うまでは。

 私は、昔の彼を知っていた。
 そして、今の彼も知っている。
 だから……狂わされる。
 どうしようもなく、焦らされる。
 まったくもってこんな屈辱、とても許せるものではない。

 そう、こんな、屈辱。
 これは、屈辱で。
 私の中には、私には理解できない波濤が、望まないのに、打ち寄せる。




  波   濤   (Rulue ver.)




 蝉が鳴いている。
 その声が、サイレンのように、頭に響く。うるさい。
 さっきまで、なんだか陽炎のような銀色の、音のないゆらゆらした世界に居たような気がする。――夢を見ていたのかもしれない。
 海が近いのだろうか。
 蝉の声に混じって、波の音が、聞こえる。
 ざざ、ざざ、と、同じリズムで寄せては返す波の音。波の音は、聞きたくない。誰かの心の音のようで、だから、聞きたくない。
 ふ、と額に温かく柔らかいものが落ちてきた。
 目を閉じていても、それが何であるかは判った。
 覚醒している、という意思表示のために、薄く目を開くと、目映いばかりの太陽の光が、私の瞳に射し込んでくる。
「目が覚めたか」
 澄んだ水晶のように硬い声がして、その声の主は私の額から手を離した。
 私は、どうやら大きな木の陰に横たえられているようだ。顔のそばから、青臭い草と土の匂いが間断なくしている。
「熱射病だな。ここでしばらく安静にしていろ」
 首を声の方向に動かすと、黒地に銀糸で縫い取りがされた貫頭衣の膝頭が見えた。
 こんな暑苦しいものを真夏でも着ているような奴といったら、私が知っている中ではあいつしかいない。
 まあ、声や衣類で確認するまでもなく、そこにいるのが誰かはわかっていた。
 私はそこに横になったまま、声の主を見上げた。逆光で、風にさらさらと流れる銀の髪が、輪郭だけ光って見える。表情は暗くて見えないが、よく光るくせに何の表情も浮かべていない、ガラスの碧眼だけはよく見えて、嫌でも目が吸い寄せられる。
「命令口調をやめてって言ってるでしょ」
 その、色のない碧い瞳を見ていると、無性に腹が立った。
 この男を見ていると、なぜだかいつでも腹が立つ。いらいらして、むかむかして、どうしようもなくなる。そして言いたくもない皮肉や罵声が、この喉をついて出る。いつだって、それを後悔しているのに、謝ることなど出来ない。逆に余計、相手が傷付くような言葉を選んでもっと言い募ってしまう。それなのに、その私の言葉を受けた彼に氷のように冷たい眼で見返されることが、とてつもなく嫌なのだ。何が嫌なのかもわからない。
 だから、考えないようにするのだ。嫌なのは、こいつのことが嫌いだから。
 考えないようにするのだ。考え続けると、結論がどこに落ちるのか、わからなくて、怖い。
 とにかくこの男のそばにいると、自分のペースが乱される。
 だから私はなるべくなら一緒にいたくはないのだが――。今、ちょっとした厄介ごとに巻き込まれてしまっているため、彼のそばを離れられないのだ。
 最悪、である。
 そもそも相性が良くない私たちが、四六時中一緒にいるのだ。お互いにストレスがたまって当たり前だ。
 私たちの間に、次第に会話はなくなっていき、今日も次の街に向かって歩いている途中で、どうやら私は体の不調を彼に訴えることが出来ず、我慢して歩き続けたため、倒れてしまったらしい。
「つらいならつらいと言え。でないと俺にはわからん」
 盛大に、聞こえよがしにため息をついて、彼は私から目を逸らした。「呆れた奴だ」とでも言わんばかりだ。私はそのため息に、とてつもなくカチンときた。
「そうね、シェゾにはわからないでしょうね。こんな真夏日に、そんな葬式みたいな黒ずくめでも平気なような闇の魔導師さんには」
 言った後、シェゾの顔を見ることができなくて、私は横を向いた。
「…………」
 冷え切った静寂が流れて、私は居た堪れなくなる。波が、大きく打ち寄せる音が、する。

 こんなことは、今までなかった。
 私は、いつでも自分の思うように行動してきた。
 言いたいことを言い、言わなくていいことは言わない。
 やりたいことをし、やりたくないことはやらない。
 わからないことを、わからないままにしておくのは嫌で。
 それは、私が私である掟のようなもので。
 だから、今のこの状況が、とても、つらいのだ。
 何がなんだかわからなくて、どうしようもなく、焦るのだ。

「…………ルルー」
「何よッ」
「お前が、いつも何を怒っているのかはわからない。が、それが俺のせいなのはわかる。俺は、どうすればいい」
 私は、思わず彼の顔を見た。
 彼の口から出た言葉が、信じられなかったからだ。
 この、自分勝手できままな男が、「どうすればいい」だなんて、そんなことを口にするなんて、信じられなかった。
 シェゾとの付き合いは、シェゾがアルルと出会うより前に遡る。不本意ながら、かなり、長いといえる。
 だから私は、昔のシェゾを知っている。その頃の彼ならば、自分を曲げて相手に合わせようとするような、そんな発言すらしなかったろう。私が熱射病で倒れてしまったことにしても、昔の彼ならヒーリングをかけて冷たい水を顔に浴びせて起こし、「ちんたらするな、行くぞ」で終わりだったと容易に想像できる。
 それに、普段なら、私のどんな言葉に対しても、冷たい眼で一瞥してそれで終わりのくせに、今日は。なんだって、そんな――。
 私はまじまじと彼の顔を見た。その目線を受けて、彼は戸惑ったような表情を浮かべた。
「なんだ」
 私は、内心の動揺を押し隠して、なんでもないように装って逆に訊いた。
「いーえ。シェゾがそんなこと言ってくるなんて、どういう風の吹き回しよ。天変地異でも起こるんじゃない?」
 シェゾは思ったとおり気分を害したようで、片眉を高く吊り上げ、腕を組んで私を軽く睨んだ。
「お前は相変わらず失敬だな」
「フン、お互い様よね」
 私は横になりながら、器用に胸をそらす。
「……前に、アルルにな。言われたんだよ。『自分が変わらなくちゃ、相手も変わらないよ』てな。あんな小娘にそんな説教じみたことを言われて、俺は無茶苦茶腹が立ったんだが、なんとなく、あいつを見ていると、それも――わかる気がしたんだ」
「…………」
 波音が、聞こえる。
 耳鳴りのように、大きな波の音が、私の中で聞こえる。
 今までうるさいくらいに響いていた、名も知らぬ蝉の声が、今は聞こえない。
 きっと、シェゾは自分では気づいていないだろう、かすかなかすかな微笑みが、唇の端に少し浮かんで消えたことに。
 シェゾがアルルを見るときの目は、不思議なくらい感情に満ちていた。怒り、驚き、憎しみ、歓喜、驚くほどに感情豊かに、海の波のようにその瞳が色を変えるのを、私は超常現象でも見るかのような驚愕の思いで見ていた。
 私の知っているシェゾは、生き物に手を下すときも、食べ物を口に運ぶときも、いつも同じ顔。表情というものがなかった。時折、張り付いたような笑みを口元に浮かべていることはあったが、それは感情の表れではなかった。
 アルルのおかげで、私も変わった。だから、シェゾの言っていることは、わかる。
 だけど、私は、なぜか。シェゾだけは、変わらないと思っていた。アルルの、あの掛け値なしの明るい、誰に対しても人懐こくそして優しい性格に触れても。アルルに出会う前のシェゾの、底知れぬ精神の闇を見ていたから。
――私の、この焦りは、何だろう。
「だからな。たまにはお前ごときの意見でも聞いてやろうかと思ってな」
 いつもの偉そうな口ぶりに、ニヤリという擬音がぴったりな、張り付いた笑顔。
 いつもと、何も変わらないのに、
 この、激しく打ち寄せる波濤のような気持ちは何だろう。
 わからない。わからない。だから考えない。

 私は、静かに目を閉じた。
 波の音が聞こえる。
「おい、ルルー?」
 普段なら、シェゾの言葉に丁々発止と挑む私が、何も言わずに目を閉じたことに面食らったらしい。
 少し慌てたようなシェゾの声がして、彼の指が私の目元を軽く拭った。
 すっ、と、水分が蒸発する涼しさを感じて、私はその手を振り払った。
「濡れた手で人の顔に触らないで」
「濡れた手ってお前……」
 言いかけた言葉を、なぜか飲み込んで、シェゾは少し息を継いだ。
 何か続けようとしたのだろうけど、それからシェゾが言葉を発することはなく。
 また観念したような大きなため息が私の耳元で聞こえたと思ったら、ハサ、という衣擦れの音と共に私の体に何かがふわりと掛かった。
 太陽の向きが変わって、私に直接光が当たっていたから、彼なりの気遣いなのだろうか。
 闇の魔導師のくせに、似合わないことして――。
 気づかれないように薄く目を開けてシェゾを見ると、眩しくて目が開けていられないほどの逆光の中、彼は私を目を細めて見ていた。
 私は、唐突に気づいてしまって、色々なことに気づいてしまって、そしてそれが悔しくて悔しくてならなくて、体に掛けられた黒いマントの端を強く握り締めて、それを顔の上にまで引き上げた。

 波の音が聞こえる。
 私の中に、打ち寄せる。
はわわゎ─((;;´Д`*))──…ッ★

なんて素敵なお話なんでしょう…。
すごいです!!!
読んでてかなり、ときめいてしまいました…(笑)またいつか書いて頂きたいです(⊃-`◎)
初めまして…っ参加してから大分たってようやくこちらに顔を出させて頂きます…。

本来なら記事内でSSを投下すべきところなのでしょうが色々ありまして、HPのURLだけ落としていきます…。

「格闘女王は闇の魔導師の夢を見るか?」
ttp://sinyamutuki.fc2web.com/ss/yumemiru.html

 では…っ(ささささ)
お、思わず私も叫んでしまいました、、!!!乙女な夢を見るルルー様かわいい、、かわいい、、!!(もだもだ)
たいへん胸きゅんでもだもだしてしまいました、、、
需要はここに、ここにございます!*゚∀゚)o彡゚ 続くのかもしれない、、続いてほしいな、、、!!
たいへん美味しいシェルルSSをありがとうございます、、!!!シェルルわっしょいわっしょい!!

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