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万葉集コミュの万葉集7 1135・1136・1137・1138・1139・1140・1141・1142・1143・1144・1145・1146・1147・1148・1149・1150

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1135;雑歌,京都,羈旅,叙景

[題詞]山背作

氏河齒  与杼湍無之  阿自呂人  舟召音  越乞所聞

宇治川は 淀瀬なからし 網代人 舟呼ばふ声 をちこち聞こゆ
 
うぢがはは よどせなからし あじろひと ふねよばふこゑ をちこちきこゆ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宇治川には徒歩で渡れる

緩やかな瀬がないらしい

網代をかけていさな(漁)する人達の

舟を呼ぶ声がほうぼうから聞こえる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
* 「よどせ」は水のよどんでいる浅瀬。


1136;雑歌,京都,羈旅

[題詞](山背作)

氏河尓  生菅藻乎  河早  不取来尓家里  ○為益緒

宇治川に 生ふる菅藻を 川早み 採らず来にけり つとにせましを
 
うぢがはに おふるすがもを かははやみ とらずきにけり つとにせましを
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宇治川は流れの速いので

生えている菅藻を採れずに来てしまったよ

土産にしたかったのに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1137;雑歌,京都,羈旅

[題詞](山背作)

氏人之  譬乃足白  吾在者  今齒<与>良増  木積不来友

宇治人の 譬への網代 我れならば 今は寄らまし 木屑来ずとも
 
うぢひとの たとへのあじろ われならば いまはよらまし こつみこずとも
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宇治人が気を引くたとえの網代か

流れの木屑で破れないとしても

わたしならば網代など頼りにしないだろう
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



1138;雑歌,京都,羈旅

[題詞](山背作)

氏河乎  船令渡呼跡  雖喚  不所聞有之  楫音毛不為

宇治川を 舟渡せをと 呼ばへども 聞こえざるらし 楫の音もせず
 
うぢがはを ふねわたせをと よばへども きこえざるらし かぢのともせず
・・・・・・・・・・・・・
宇治川を

船で渡せと呼ぶのだが

瀬音が高いためか聞こえていないらしい

楫の音もしない
・・・・・・・・・・・・・



1139;雑歌,京都,羈旅

[題詞](山背作)

千早人  氏川浪乎  清可毛  旅去人之  立難為

ちはや人 宇治川波を 清みかも 旅行く人の 立ちかてにする
 
ちはやひと うぢがはなみを きよみかも たびゆくひとの たちかてにする
・・・・・・・・・・・・
神のみこ(巫女)ちはやひとが

宇治の川波を浄めてくれたからか

流れの清さに旅人も立ち去りかねている
・・・・・・・・・・・・


サ7 1140;雑歌,兵庫,大阪,羈旅

[題詞]攝津作

志長鳥  居名野乎来者  有間山  夕霧立  宿者無<而> [一本云 猪名乃浦廻乎 榜来者]

しなが鳥 猪名野を来れば 有馬山 夕霧立ちぬ 宿りはなくて [一本云 猪名の浦みを漕ぎ来れば] 

[しながどり] ゐなのをくれば ありまやま ゆふぎりたちぬ やどりはなくて[ゐなのうらみを,こぎくれば]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
猪名野を歩いてくると有馬山に夕霧が立った

今夜泊まる所も決まってなくてさびしく不安なことよ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
* 「しなが鳥(息長鳥、志長鳥)」は、かいつぶりのこと。ヰナ(猪名)にかかる枕詞。カイツブリ科の鳥。全長26センチくらいで、体は丸く、硬い尾羽はない。夏羽は頭部・背面が黒褐色、ほおからくびが栗色で、くちばしの基部に黄色い部分がある。冬羽は灰褐色。湖や沼にすみ、潜水が得意で、小魚などを捕食。キリリリと大きな声で鳴く。4月から水草で巣を作り、「鳰(にお)の浮き巣」とよばれるが、下部は固定してある。ひなは瓜模様があり、親の背に乗って運ばれる。日本では留鳥。にお。におどり。かいつむり。


サ7 1141;雑歌,兵庫,大阪,羈旅

[題詞](攝津作)

武庫河  水尾急<>  赤駒  足何久激  沾祁流鴨

武庫川の 水脈を早みと 赤駒の 足掻くたぎちに 濡れにけるかも
 
むこがはの みををはやみと あかごまの あがくたぎちに ぬれにけるかも
・・・・・・・・・
武庫川の水の流れが早いから

乗っている赤駒の足掻きのしぶきに

濡れてしまったことだなあ
・・・・・・・・・
* 駒(こま)の足掻(あが)き

<時が過ぎていくことのたとえ。時の過ぎるのが速いことのたとえ。>にも。

* 「あがく」【足掻く】(動カ五[四])
(1)自由になろうとしてやたらに手足を動かす。もがく。
「どろ沼からはい上がろうとして—・く」
(2)悪い状態から抜け出そうとして、あれこれ努力する。あくせくする。
「どう—・いても無駄だ」
(3)馬などが前足で地面をかく。
「赤駒の—・く激(たぎち)に濡れにけるかも/万葉 1141」
(4)(子供などが)いたずらして騒ぎ回る。



7 1142;雑歌,大阪,羈旅

[題詞](攝津作)

]命  幸久吉  石流  垂水々乎  結飲都

命をし 幸くよけむと 石走る 垂水の水を むすびて飲みつ
 
いのちをし さきくよけむと いはばしる たるみのみづ むすびてのみつ
・・・・・・・・・・・
命の無事を祈って 

岩走る垂水の水をむすび手で飲んだ
・・・・・・・・・・・



サ7 1143;雑歌,大阪,羈旅,叙景

[題詞](攝津作)

作夜深而  穿江水手鳴  松浦船  梶音高之  水尾早見鴨

さ夜更けて 堀江漕ぐなる 松浦舟 楫の音高し 水脈早みかも
 
さよふけて ほりえこぐなる まつらぶね かぢのおとたかし みをはやみかも
・・・・・・・・・・・・
夜がふけて難波の堀江を漕いでいる松浦舟の

櫓のきしむ音が高く聞こえてくる

流れが速いからだろうか
・・・・・・・・・・・・
* 松浦舟
「松浦船」は「佐賀の松浦地方でつくられた船。水深の深くない堀江にも漕ぎ入ることができた」。肥前松浦地方では、魚をとって大宰府へ神を祀る贄(にえ)を貢進する宇野御厨(うののみくりや)の贄人(にえびと)がいたらしい。松浦地方の波荒い複雑な海岸線で使う軽快な舟を松浦舟と呼んだ。
* 「小夜」の「小」は接頭語で「夜」のこと。
* 「堀江」は「土を掘ってつくった水路」。
* 「漕ぐなる」;
 「漕ぐ」は、ガ行四段活用動詞の終止形。  
 「なる」は、耳で聞いた事実であることを表す助動詞「なり」の連体形。
   漕いでいるのが聞こえる。 
* 「水脈」は「川や海で、船が往来する路となる深い所」。
* 「み」は接尾語で形容詞語幹について原因・理由を表す。
* 「かも」は終助詞で詠嘆。



7 1144;雑歌,大阪,羈旅

[題詞](攝津作)

悔毛  満奴流塩鹿  墨江之  岸乃浦廻従  行益物乎

悔しくも 満ちぬる潮か 住吉の 岸の浦廻ゆ 行かましものを
 
くやしくも みちぬるしほか すみのえの きしのうらみゆ ゆかましものを
・・・・・・・・・・・
残念ながら潮が満ちてしまった

名高い住之江の岸にそって 

浦見しながら行きたかったのに

潮が満ちて遠浅に隔てられ

浦の景色をじっくりと観ることが 

できなくなってしまった
・・・・・・・・・・・



7 1145;雑歌,大阪,羈旅

[題詞](攝津作)

為妹  貝乎拾等  陳奴乃海尓  所沾之袖者  雖涼常不干

妹がため 貝を拾ふと 茅渟の海に 濡れにし袖は 干せど乾かず
 
いもがため かひをひりふと ちぬのうみに ぬれにしそでは ほせどかわかず
・・・・・・・・・・・
家に待つ妻のために貝を拾おうと

茅渟(ちぬ)の海岸で袖を濡らしてしまったよ

いくら干しても乾かない袖

妻を思う泪に濡れたのか
・・・・・・・・・・・
* 茅渟(ちぬ)の海は、現堺・岸和田市の海岸。



7 1146;雑歌,大阪,羈旅

[題詞](攝津作)

目頬敷  人乎吾家尓  住吉之  岸乃黄土  将見因毛欲得

めづらしき 人を我家に 住吉の 岸の埴生を 見むよしもがも
 
めづらしき ひとをわぎへに すみのえの きしのはにふを みむよしもがも
・・・・・・・・・
人がみな愛でるという娘

わが家へ住まわせたいが

住之江の岸の紅土を

見るてだてがないように

むりかなあ
・・・・・・・・・
* 埴(はに)は赤・黄色の染料になる土。



7 1147;雑歌,大阪,羈旅

[題詞](攝津作)

暇有者  拾尓将徃  住吉之  岸因云  戀忘貝

暇あらば 拾ひに行かむ 住吉の 岸に寄るといふ 恋忘れ貝
 
いとまあらば ひりひにゆかむ すみのえの きしによるといふ こひわすれがひ
・・・・・・・・・・・
暇があれば

拾いに行きたいもの

住之江の海岸に打ち上げられている

恋忘れ貝

この恋の苦しみから逃れたいものよ
・・・・・・・・・・・・
* 「ひりひ」は、「ひろひ」。
* 「あら」は、ラ行変格活用動詞「あり」の未然形。
* 「ば」は、仮定条件の接続助詞 
* 「行か」は、カ行四段活用動詞「行く」の未然形。
* 「む」は意志の助動詞。
* 「とふ」は連語で、「といふ」の転。
* 「恋忘れ貝」は「拾うと恋の苦しさを忘れさせるという貝。忘れ貝」。



7 1148;雑歌,大阪,羈旅,土地讃美

[題詞](攝津作)

馬雙而  今日吾見鶴  住吉之  岸之黄土  於万世見

馬並めて 今日吾が見つる 住吉の 岸の埴生を 万代に見む
 
うまなめて けふわがみつる すみのえの きしのはにふを よろづよにみむ
・・・・・・・・・
馬を連ねて今日わが目で見た

住之江の岸の紅土

いつまでも美しいままであれ
・・・・・・・・・



7 1149;雑歌,大阪,羈旅,望郷

[題詞](攝津作)

住吉尓  徃云道尓  昨日見之  戀忘貝  事二四有家里

住吉に 行くといふ道に 昨日見し 恋忘れ貝 言にしありけり
 
すみのえに ゆくといふみちに きのふみし こひわすれがひ ことにしありけり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
住吉に通じているという道で

昨日見た恋忘れ貝とは

名ばかりだった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・* 「恋忘れ貝」の効き目はなく、恋を忘れることができなy。



7 1150;雑歌,大阪,羈旅,望郷

[題詞](攝津作)

墨吉之  岸尓家欲得  奥尓邊尓  縁白浪  見乍将思

住吉の 岸に家もが 沖に辺に 寄する白波 見つつ偲はむ

すみのえの きしにいへもが おきにへに よするしらなみ みつつしのはむ
・・・・・・・・・
住むによしという住吉の岸に 

わが家があったらいい

沖に岸辺に寄せては砕ける白波を

いつも眺めて賞美できるもの
・・・・・・・・・
* 国ほめ歌は国神への祝詞(ことほぎ)。

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