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万葉集コミュの万葉集巻6(907〜1067) 907・908・909・910・911・912

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6 907;雑歌,作者:笠金村、吉野,行幸,従駕,宮廷讃美,離宮,養老7年5月,枕詞

[題詞]養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌]
・・・・・・・・・・・
瀧上之ー瀧の上のー[たきのうへの]ー吉野川の激流のほとりの  
御舟乃山尓ー三船の山にーみふねのやまにー御船の山に 
水枝指ー瑞枝さしーみづえさしーみずみずしい枝をさし伸ばし  
四時尓<生>有ー繁に生ひたるーしじにおひたるーすき間なく生い茂る 
刀我乃樹能ー栂の木のー[とがのきの]ー栂(つが)の木の  
弥継嗣尓ーいや継ぎ継ぎにーいやつぎつぎにーそのように次々と  
萬代ー万代にーよろづよにー万代にまで 
如是二<二>知三ーかくし知らさむーかくししらさむーこのようにお治めになるであろう  
三芳野之ーみ吉野のーみよしののー吉野の  
蜻蛉乃宮者ー秋津の宮はーあきづのみやはー蜻蛉の離宮は  
神柄香ー神からかーかむからかー神のご威光によって  
貴将有ー貴くあるらむーたふとくあるらむーかくも貴いのか  
國柄鹿ー国からかーくにからかー国の品格ゆえに  
見欲将有ー見が欲しからむーみがほしあらむー見飽きないのであろうか  
山川乎ー山川をーやまかはをー山も川も
清々ー清みさやけみーきよみさやけみー清くすがすがしいので  
諾之神代従ーうべし神代ゆーうべしかむよゆーなるほど神代から  
定家良思母ー定めけらしも ーさだめけらしもー宮と定めたらしいなあ 
・・・・・・・・・・ 
* 「三船の山」ハ 吉野宮滝と吉野川をはさんで東南にある三船山。
山裾を激流が下るので「滝の上の」を枕詞のように冠した。
はやく弓削皇子の歌に詠まれている。

* 「秋津の宮」は 吉野離宮。離宮周辺を「秋津野」と言った。



6 908;雑歌,作者:笠金村、吉野,行幸,従駕,宮廷讃美,離宮,養老7年5月

[題詞](雑歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])反歌二首

毎年  如是裳見<壮>鹿  三吉野乃  清河内之  多藝津白浪

年のはに かくも見てしか み吉野の 清き河内の たぎつ白波 

としのはに かくもみてしか みよしのの きよきかふちの たぎつしらなみ
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年毎にこのように見たいものだ

吉野川の清らかな河内に

激しく流れる白波を
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* 「河内(かふち)」は 川を中心とした一定の区域。



6 909;雑歌,作者:笠金村、吉野,行幸,従駕,宮廷讃美,離宮,養老7年5月

[題詞]((雑歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])反歌二首)

山高三  白木綿花  落多藝追  瀧之河内者  雖見不飽香聞

山高み 白木綿花に おちたぎつ 瀧の河内は 見れど飽かぬかも
 
やまたかみ しらゆふばなに おちたぎつ たきのかふちは みれどあかぬかも
・・・・・・・・・・・・・・・・・
山が高いので白木綿の花のように

激しく流れ下る滝の河内は

いくら見ても見飽きないことよ
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* 「白木綿」は 楮(こうぞ)の樹皮をはぎ、その繊維を裂いて糸状にしたもの。榊などに垂らして用いた。それを白い花になぞらえて「白木綿花」と呼んでいる。



6 910;雑歌,作者:笠金村、吉野,行幸,従駕,宮廷讃美,離宮,養老7年5月,或本歌,異伝

[題詞](雑歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])或本反<歌>曰

神柄加  見欲賀藍  三吉野乃  瀧<乃>河内者  雖見不飽鴨

神からか 見が欲しからむ み吉野の 滝の河内は 見れど飽かぬかも
 
かむからか みがほしからむ みよしのの たきのかふちは みれどあかぬかも
・・・・・・・・・・・・・・
この地の尊い神のゆえか

吉野の滝の流れは

いくら見ても見飽きることがない
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6 911;雑歌,作者:笠金村、吉野,行幸,従駕,宮廷讃美,離宮,養老7年5月、或本歌,異伝

[題詞]((雑歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])或本反<歌>曰)

三芳野之  秋津乃川之  万世尓  断事無  又還将見

み吉野の 秋津の川の 万代に 絶ゆることなく またかへり見む 

みよしのの あきづのかはの よろづよに たゆることなく またかへりみむ
・・・・・・・・・・・・・
美しい吉野の秋津川を

これからも絶えることなく

またやって来て眺めたい
・・・・・・・・・・・・・


6 912;雑歌,作者:笠金村、吉野,行幸,従駕,宮廷讃美,離宮,養老7年5月,或本歌,異伝

[題詞]((雑歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])或本反<歌>曰)

泊瀬女  造木綿花  三吉野  瀧乃水沫  開来受屋

泊瀬女の 造る木綿花 み吉野の 滝の水沫に 咲きにけらずや
 
はつせめの つくるゆふばな みよしのの たきのみなわに さきにけらずや 
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泊瀬女(はつせめ)の造った木綿花が 

吉野の川面に咲いているよ
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笠金村 かさのかなむら 生没年未詳、 

元正朝末から聖武朝初期にかけて活躍した歌人。
官人としての経歴は不明。
養老七年(723)五月の元正天皇の吉野離宮行幸

翌年に控えた皇太子首(おびと)の即位を予祝するための行幸かとも言われ、掲出の長短歌は、皇統の祖天武天皇ゆかりの地である吉野の自然の豊饒を誉め讃えることで、天皇からやがて皇太子へと引き継がれる皇統の強固さを言祝(ことほ)いでいる。反歌二首は「河内」を主とし、吉野川の白波の美しさを爽快に描いて印象深い。聖武天皇代の讃美歌巻とも言うべき万葉集巻六の巻頭を飾る。

神亀元年(724)十月の聖武天皇の紀伊行幸、
同二年三月の三香原行幸、
同年五月の吉野行幸、
同年十月の難波宮行幸、
同三年九月の播磨国行幸に従駕して歌を詠む。
以上はほぼ長歌に反歌二首を添えた整然たる形をとる。
天平五年(733)閏三月、入唐使に長短歌を贈る。
また天平初め頃、伊香山(滋賀県伊香郡)での短歌二首、塩津山(伊香山の北西)を越える時の短歌二首、角鹿津(福井県敦賀市)で船に乗るときの長短歌があり、京から北陸へ下ったことが窺われる。
万葉集には計三十首が載る(うち長歌八首)。
ほかに「笠朝臣金村歌集」出典の歌も見られる。

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