熱帯果物は香と味のタペストリーコミュのポポーはいかが？

　10月の半ば、小田原市の熱帯植物館を観察に行ったときに、付近の農家の庭先でポポーが売られているのを車窓から発見し、珍しい思い６個購入しました。すでにバンレイシ科果物特有の芳香が出て、ズシリとした重みと弾力性を掌に感じ食べ頃に熟していたので、帰宅後するとすぐに食べてみました。

　食べ方は、冷やしたポポーを包丁で長径方向に二分しますが、包丁の刃で探りながら硬い種子を除けて真二つに切断するのはやや難しいです。2分したらスプーンで大きめの種子を掘り除いてから、マンゴーのように果肉を掬って食べるのがよいと思います。果肉の色は白橙黄色で、味はとても甘く、質はややサクサクトロッとした水分の多いシャーベット状です。果肉の匂いはバンレイシ科果物特有の熱帯的な芳香があり、好みはあると思いますが、私には熱帯雨林のなかの小径を歩いているときような、とても好ましい匂いだと思いました。

　長径10～15cm、短径5～5.5cmの円筒形果実の中に、褐色の長径2cm、短径1.2cmほどのやや扁平で硬い種子が8～10個入っていて、種子が多くて可食部分はやや少ない印象です。

　ポポーは熱帯果樹のバンレイシ、トゲバンレイシ、チェリモヤなどと同じバンレイシ科の果物ですが、バンレイシ科としては唯一北米中央部原産の温帯性の樹木で、樹高が3～10mほどになります。私自身も自宅で種子から育てていますが、40cmになるのに4年もかかったほど成長の遅い植物です。日本名が「アケビの木」と言われているように果実の形も大きさもアケビそっくりです。ただ、果皮は薄い鞣革質ですが熟すと脆いです。果皮の色は未熟時は緑色で成熟してもアケビと違い青紫色にはならず緑黄色～黄色になり表面がやや褐色になります。また、熟してもワケビのように果皮が縦に割れることはありません。

　熟し始めると短時間で黒く過熟になって脆く崩れやすくなるので市場流通性が悪く、青果店で売られることは少ないですが、もし、見つけたら熱帯果物好きな方々なら、躊躇わずに買って食べてみてください。温帯植物なのに熱帯の風味が感じられて、きっと満足される味だと確信しています。オイシイ～ですよ～！

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ピン　Nov./19/2010