米音楽業界で活躍し、現在はジェイ・Z(Jay-Z)らと共に広告会社などを経営するビジネスマン、スティーヴ・スタウト(Steve Stoute)が、世界でもっとも有名な音楽賞であるグラミー賞と、その運営母体であるNARAS(国立録音芸術科学アカデミー National Academy of Recording Arts & Science)を批判する公開状を新聞の広告1ページを使って大々的に掲載させ、波紋を呼んでいる。
スティーヴ・スタウトはナズ(Nas)のマネージメントなどで知られ、ブラック・ミュージックのみならず、ナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)やノー・ダウト(No Doubt)、エンリケ・イグレシアス(Enrique Iglesias)などをサポート、Sony MusicやInterscopeなどで重役を歴任してきた大物。2000年代に入ると広告会社を設立、商品をアーティストのビデオなどに登場させる「プロダクト・プレイスメント」と呼ばれる手法で大成功を収めている。
そのスタウトが、ここ10年の間にグラミー賞が現行のポップ・カルチャーとの接点を失ってしまっていると批判。年間最優秀アルバム部門において、2001年には世界で1900万枚を売り上げたエミネム(Eminem)の“the Marshall Mathers LP”がセールスではその10分の1にも及ばないスティーリー・ダン(Steely Dan)に敗れ、2008年にはカニエ・ウェスト(Kanye West)の記録破りの大ヒット作“Graduation”がポップ・ヒットはしなかったベテラン・ジャズ・ミュージシャンのハービー・ハンコック(Herbie Hanckock)の“River: the Joni Letters”に敗れたことを例として挙げ、実際に幅広く受容されているアーティスト/作品トと、グラミーの受賞結果が乖離しすぎていると主張している。