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伝承文化研究所コミュの百人一首作者のエピソード其の4

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九 小野小町 

 花の色はうつりにけりないたづらにわがみ世にふるながめせしまに

(Hana no iro wa utsurini kerina itazurani wagami yonifuru nagame seshimani)

読み方 
上の句  はなの いろは うつりに けりな いたづらに
下の句  わがみ よにふる ながめ せしまに
取り札  わかみよにふるなかめせしまに


歌意 櫻の花も、もうすっかり色褪せてしまいました。空しく、長雨が降ったり、私が物思いにふけっているあいだに。自分のことを花になぞっている意味もあります。

解説

 この和歌は、古今集春歌下に載っています。
◇花の色 「花」は古今集の排列からすると桜。「色」は、感覚――特に視覚に訴える表象。自身の容色の意が掛かる。

◇うつりにけりな 以前とは変ってしまったなあ。容色が時が経つと共に失われた、の意が掛かる。

◇いたづらに なすことなく。むなしく。

◇世にふる 世にあって時を経る。「世」には男女関係の意もあり、「恋に人生を費やす」といった意が掛かる。「ふる」は「降る」と掛詞で、「ながめ(長雨)」と縁語。

◇ながめ じっと物思いに耽る。「長雨」と掛詞になる。

人物評伝

 才色兼備の女流歌人。六歌仙のひとり。

 この百人一首の女流歌人の中では一番古い時代に生きた。平安時代の初期(九世紀中期)京都市左京区上高野付近を本籍としていた古代の名族小野氏の娘といわれている。

 その小野氏で最も有名な人物は「小野妹子」である。更に書の名人「小野道風」もこの一族より輩出している。

 祖父が、参議篁(小野篁)といわれています。彼女は、十世紀の中頃には伝説の美人となっていました。

 小野小町は絶世の美人といわれたが、彼女の運命は、決して幸福なものではなかったといわれている。

 例えば、能楽の『卒都婆(そとば)小町』はこの小野小町がモデルとなっている。

 花の容(すがた)、美しい衣で美を誇った小町が、今は、白き髪、黒き膚、袋を下げ、破れ簑(みの)を着て、卒都婆に腰をかけ「のう、物(もの)賜(の)べのう」と物乞いをしている様を描いている。

 秋田美人といふ言葉が生まれたのは、この小野小町伝説が出羽の国(秋田県)に残っているためである。

 尚、平安時代に於ては小町の町は女の呼称であり、現代に於ての子にあたる。

小野小町の和歌の数々

恋ひわびぬしばしも寝ばや夢のうちに見ゆればあひぬ見ねば忘れぬ〔新千載1156〕

【歌意】恋しさの果てに疲れきってしまった。しばらくだけでも眠りたい。もし夢にあの人を見れば、逢えたということだ。夢に見なければ、せめて眠っている間は忘れてしまえるものを。


見る目なき我が身を浦と知らねばやかれなであまの足たゆくくる

【歌意】いくら言い寄られても、逢うつもりのない私だと知らないで、あの人は縁を切ろうともせず足がだるくなるまで通って来るのでしょうか。まるで、海松布(みるめ)の生えない浦だとも知らず、性懲りもなく通って来る海人のように。


いとせめて戀しき時はうば玉の夜の衣をかへしてぞぬる

【歌意】どうにもならぬほど恋しい時は、夜の衣を裏返して着るのです。


うたた寝に戀しき人を見てしより夢てふものをたのみそめてき

【歌意】不意に落ちたうたたねに、恋しい人を見た。その時から、夢という頼りないはずのものを、頼みに思うようになってしまった。


うつつにはさもこそあらめ夢にさへ人めをもると見るがわびしさ(古今656)

【歌意】現実にあっては、人目をうかがうということもあるだろう。でも夢の中でさえ、私は他人の目を気にしている。そんな夢を見ることの侘びしさよ。


かぎりなき思ひのままに夜もこむ夢ぢをさへに人はとがめじ(古今657)

【歌意】果てしないあなたへの思い――この「思ひ」の火のままに導かれて、暗い夜だって、あなたのもとへ行きましょう。夢路までも人は咎め立てしないでしょう。


夢ぢには足もやすめずかよへどもうつつにひとめ見しごとはあらず(古今658)

【歌意】夢の中の通り路では、足も休めずにあなたのもとへ通いますけれども、いくら夢でお逢いできても現実に一目お逢いした時にはかないません。


はかなくも枕さだめず明かすかな夢語りせし人を待つとて〔玉葉1593〕

【歌意】どこへ枕を定めればよいか、空しく迷ううち、夜を明かしてしまうとは。かつて夢で親しく語り合った、あの人を待つとて…。


色みえでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける

【歌意】花は色に見えて「うつろふ」ものだが、色には見えず「うつろふ」もの、それは人の心に咲く花だったのだ。


春雨のさはへふるごと音もなく人にしられでぬるる袖かな〔玉葉1268〕

【歌意】春雨が沢へと降るように音もなく、人に知られぬまま涙に濡れる我が袖よ。


露の命はかなきものを朝夕にいきたるかぎりあひみてしがな〔続後撰1281〕

【通釈】露のような命、はかないものではないか。生きている限り、朝も夕も、逢っていたい。


思ひつゝぬればや人の見えつらむ夢と知りせばさめざらましを(古今552)

【歌意】恋しく思いながら寝入ったので、その人が現れたのだろうか。夢だと知っていたら、目覚めたくはなかったのに。


海人(あま)のすむ浦こぐ舟のかぢをなみ世をうみわたる我ぞかなしき

【歌意】海人の住む浦を漕ぐ舟が、櫂がないので、あてもなく海を渡ってゆくように、この世をいやいやながら渡ってゆく我が身が切ないのだ。


今はとてわが身時雨にふりぬれば事のはさへにうつろひにけり(古今782)

【歌意】私は古びて(あなたに飽きられて)しまったので、あなたの気持は以前約束した言葉から変わってしまった。


みるめなきわが身をうらと知らねばやかれなで海士の足たゆく来る(古今623)

【歌意】いくら言い寄られても、逢うつもりのない私だと知らないで、あの人は縁を切ろうともせず足がだるくなるまで通って来るのでしょうか。まるで、海松布(みるめ)の生えない浦だとも知らず、性懲りもなく通って来る海人のように。


花さきて実(み)ならぬものはわたつ海(み)のかざしにさせる沖つ白浪(後撰1360)

【歌意】美しく花咲いて、実を結ばないものは、海の神が髪飾りに挿す沖の白波であるよ。


おろかなる涙ぞ袖に玉はなす我はせきあへずたぎつせなれば(古今557)

【通釈】いいかげんな涙だから袖に玉をなす程度なのです。私など、滝つ瀬のように涙が押し寄せるので、袖で堰き止めることなどできません。


  出家したばかりの遍照とのやりとり

岩の上に旅寝をすればいと寒し苔の衣を我れに貸さなむ (小町)

世を背く苔の衣はただ単衣貸さねばうとしいざ二人寝む  (遍照)

わびぬれば身を浮草の根を絶えて誘ふ水あらばいなむとぞ思ふ


 かるた一口メモ 
 この札は、「花」で始まる二枚の札の一枚です。もう一枚は「花さそふあらしの庭のゆきならでふりゆくものはわが身なりけり」。

 ですからどちらかが出たなら「花」で取ることができます。
 また、「は」で始まる札は全部で四枚で持統天皇の「春過ぎて」と周防内侍の「春の夜の」がその札になります。


(次回は鎌倉右大臣・源實朝を予定)

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