乳酸菌コミュの乳酸菌てどんなもの

乳酸菌とは
善玉菌と言われる腸内有用菌でいちばん有名な乳酸菌とはどんなものか。乳酸菌とはブドウ糖、乳糖、オリゴ糖などの糖質を自分の栄養にして発酵を起こし、増殖しながら乳酸を多量に体外へ分泌する細菌のことだ。乳酸菌というのはこれらの細菌の総称である。ヌカ漬けやキムチの酸っぱさは乳酸菌の作り出す乳酸の味だが、その他にも、味噌、醤油、酒、チーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料..などの身近な食品によく使われている。あるいはくっ付いている。乳酸菌には動物からのものや食品によく含まれるものなどいろいろとある。その他の用途として、肝臓機能低下時に医薬品の「乳酸菌製剤」としても使われている。


乳酸菌は大きく分けると２種類で、棒のような形をした乳酸桿(カン)菌と丸い形をした乳酸球菌がある。代表的な乳酸桿菌はラクトバチルスやビフィドバクテリウム（ビフィズス菌）で、乳酸球菌としてはエンテロコッカスなどが有名だ。乳酸だけを作るタイプと乳酸と酢酸を作るタイプがある。またそれぞれ働く場所も違う。腸内細菌は小腸の終わりから大腸へと急増してくるが、ビフィズス菌は特に大腸に多い。


ビフィズス菌は棒型の片方が枝分かれした「Ｙ」の字のような形をしたものが多い桿菌で、有用乳酸菌の中ではもっとも重要な存在として知られている。ビフィズス菌といっても種類はずいぶんとあり、人の腸に住むものは8種類くらいである。そして赤ちゃんと大人では住む菌が違うのがおもしろい。発酵型細菌でありタンパク質・アミノ酸を分解して腐敗物質をつくることはない。この他に良く知られた腸内乳酸菌として、ラクトバチルスの中のアシドフィルス菌などがある。


参考だが菌の分類はちょっとめんどくさい。それぞれは｢属｣のレベルで分類され、それがまた性質の違いから｢種｣に別れ、さらに｢株｣による区別がある。たとえばビフィズス菌といっても20種類以上もあり、これはビフィドバクテリウム属ということなのだ。そして種としてブレーベとかロンガムなどの菌種の名前が属に続く。ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ロンガム..などと呼ばれる。発見者の名前をつけた場合は、エンテロコッカス菌ならエンテロコッカス・フェカリス・カワイ株というような書き方をする。
期待できる腸内有用菌の仕事
ビフィズス菌を含む数多い腸内有用菌は、自らの豊富な酵素を利用してさまざまな仕事をこなしている。簡単に書いてみた..簡単すぎたか。



悪玉菌を抑え腸内腐敗を防止 - これがいちばんありがたいことで、これだけでもういいよと言えるくらである。善玉菌が炭水化物を材料に発酵をおこし乳酸や酢酸をつくる。そしてこれらの短鎖脂肪酸が腸の中を酸性にするために、悪玉菌は得意の腐敗させる仕事ができなくなってしまう。有害物質や発ガン促進物質も抑えられ、他の臓器も守ることになる。老化や生活習慣病の防止が期待できる。
病原菌の感染防止 - 体外からの病原菌も、やはり腸の酸性の環境では悪いことができない。
免疫細胞の活性化 - 腸管には独特の免疫機構がある。ある種の乳酸菌はこのシステムを活性化することが解っている。
便秘や下痢の解消 - ビフィズス菌や有用菌のつくる有機酸は、腸の蠕動運動を活発にする。便には多量の乳酸菌の菌体が含まれる。乳酸菌は便のもとにもなっている。便秘による腸内腐敗の防止も期待できる。悪性の細菌による下痢の防止は特に期待できそうだ。腸内の安定により下痢をしにくい状態が保てる。
コレステロールの軽減 - コレステロールを吸収しにくい形に変え、血中コレステロールを下げるといわれる。
ホルモンやビタミンの産生 - ステロイドホルモン、B2、B6、B12、葉酸、ビオチンなどの産生に関わっている。
その他 - この他にも、動物や人で行った多くの調査結果がある。生活習慣病の改善に関する報告なども多い。



定住菌と通過菌
どんな人でも、生まれてまもなくすると100種類100兆個といわれる腸内細菌が定住してしまうといわれる。そして人それぞれ独自の腸内フローラをつくることになる。善玉の定住の代表はビフィズス菌ということになるが、ビフィズス菌だってたくさんの種類があるわけだし子供と大人でもまた違う。その人にあった菌でなければ定住できない。


腸内には「定住菌」と「通過菌」がいる。通過菌とは何かのきっかけで生きて体内に入るが、数日、あるいは一週間もするといなくなってしまう。実はこれが普通であたりまえなのである。だからビフィズス菌入りヨーグルトを食べたからといって、それがズーッと増殖して定住するわけではない。部屋がもう空いてないのだ。しかしこれらの通過菌もその人との相性があえば、体内にいるときは悪玉菌を抑えて体調を良くしてくれる。だからヨーグルトは毎日食べたほうがいいよとなる。ひょっとしたら自分によく合うヨーグルトというのがあるのかも知れない。そういうことを言う人もときどきいるからだ。


とにかく新しい菌が入れる部屋はない。ヨーグルトやビフィズス菌粉末に限らず、それらから体内にうまく乳酸菌が生きて入っても、すべては通過菌になるのであり定住菌になることはない。だから毎日乳酸菌や有用菌を元気にするものを摂らないとだめなのである。
生菌と死菌
”生きた菌が腸まで届く”..よく聞くフレーズだが、これはほんとに大事なのだろうか。昔からビフィズス菌を含む乳酸菌類は酸にとても弱いといわれてきた。だから生きた菌を体に入れても、ふつうは胃液や胆汁でみんな死んでしまう。しかし近頃は、酸に強い乳酸菌をお金をかけて育てたとか、どこどこのグループが胃酸に負けない新しい乳酸菌を発見したなどと報じられ、「プロバイオティクス」という言葉もよく使われている。そして腸だけでなく体のいろいろなところでうまく使えないかと考えられているようである。口の中にも善玉菌と悪玉菌..などといわれている。


とにかくまずは大事な腸についてだ。しかし、たとえ乳酸菌が死んで腸まで届くことになっても別に心配はない。その死骸である菌体成分が腸内の生きた菌のエサになるからだ。研究者のなかには、生きた菌をたとえ腸まで届けても、それはその人のものではないから役にたたない..と言い切る人もいる。それより加熱処理した死菌粉末を栄養素のように体内に入れ、自分専用の定住有用菌を元気にして増やしたほうがいいというわけだ。まあこれは乾燥酵母を飲むような感触だ。


エンテロコッカス菌の中に人の腸内細菌から取れた注目される乳酸菌がある。エンテロコッカス菌は、フェカリス菌、フェシウム菌、エピウム菌などに分類され、これらには免疫力を高める強い効果のあることがわかっている。そしてフェカリス菌の中には、生菌よりも死菌のほうがはるかに効果が高いという研究報告がある。だからフェカリス菌の加熱処理菌体を使った製品も多く売られている。


生菌や死菌にそんなにこだわる必要はなさそうだ。特に死菌がだめだということはぜんぜんないはずである。食物から入る菌は胃酸でほとんど死ぬ。しかし酵母もそうであるように、細菌の細胞壁の有用な多糖類は十分に利用できるのである。
有胞子乳酸菌
乳酸菌が熱や酸や乾燥に弱いのは胞子をつくらないからだ。しかし胞子をつくる乳酸菌はすでに存在し、それを使ったものも商品化されている。有胞子乳酸菌はカラに守られ胃酸や胆汁の酸にやられることもなく腸まで届き、そこで発芽して生菌になり活発に乳酸を作り出すという。一週間くらいは元気に増え続けるといわれるが、やはり定住菌にはなれない。