ドイツ便りコミュのドイツ代表ーけが人続出?ー

※　アードラーの代役は？
すべては順調だったはずだった。早い段階で正GKを任命し、召集メンバーもほぼ固まっていた。ところが肋骨の負傷から復帰したはずのレバークーゼンGKのレネ・アードラーが「医学的見地によればプレーすることは可能らしいが、あまりにも激しい痛みがある。この痛みを抱えたまま１ヶ月以上の激しいトレーニングと試合に臨むのは無責任だと判断した。」と出場を辞退。ブレーメンGKのティム・ビーゼ，シャルケのマヌエル・ノイヤーと一流GKが控えてはいるが、二人合わせて代表４試合という経験不足は否めない。

代役として前節ホッフェンハイム戦で最後のホームゲームを戦い、ファンと涙の別れを交わしたはずのイエンス・レーマンにも可能性はあるか？レーマンはテレビ解説者として南アフリカに飛ぶはずだったが、代表歴６１試合のベテランGKは急遽選手として大会に参加することになるのか？レーマンは「アードラーのことを思うと気の毒でならない。ワールドカップ直前に出場をあきらめなければならないのは苦しいだろう。でも彼はまだ若い。今後もまだ多くの大会が待っている。」とコメント。

フランツ・ベッケンバウアーは「もしレーマンを連れて行くのならば、正GKとしてしかありえない。」と語る。しかしこれまでGKの座を争っていたビーゼ、ノイヤーの心境は複雑以上なものであるだろうし、欧州選手権後にレーマンをチームからはずしたレーブが急遽戻すとなるとチーム内の秩序にも影響を与える。元ライバルのオリバー・カーンは「イエンスがワールドカップでチームを助けることができるのかと聞かれると非常に懐疑的だ。ビーゼ、のイヤーを支えるよりも彼の野心が前に出てきてしまうのではないか。」と話す。

ほかに考えられる代役は今季好調を維持していたドルトムントのロマン・バイデンフェラーとバイエルンのイェルグ・ブット。発表は明日１２時。レーブは誰をノミネートするのか。

※　ショック！バラック　ワールドカップ絶望
FAカップ決勝で右足首を負傷したミヒャエル・バラックは今日ミュンヘンのバイエルンチームドクター・ミュラー・ボルファールトの元で精密検査を受けた。結果は右足首内側靭帯断裂、靭帯結合部の部分断裂で全治8週間。事実上バラックの南アフリカワールドカップ参加は絶望となった。バラックは今後4週間ギブスで足首を固定、その後も特設の靴を履き安静にする。

バラック「自分のキャリアの中で最悪の診断結果となった。これがサッカー。それでも前を向いてやっていかないといけない。代表監督とは電話で話しをした。もちろん彼もがっかりしていた。まず全部を飲み込まなければならない。」

ヨアヒム・レーブ「みんなショックを受けている。すべての力を束ねて立ち向かわなければならない。それでもわれわれはワールドカップでいいプレーを披露できるはずだ。あきらめるということはわれわれにはありえない。」

ルディ・フェラー「残酷で悲しいことだ。ミヒャエル・バラックは今度のワールドカップに向けてすばらしくモチベーションを高めていた。チームには補うことの難しい選手がいるが、ミヒャエル・バラックはその最たる例。」

ベルティ・フォクツ「キャプテンが出れないというのは大きな損失だ。しかしこれをばねに力を発揮する選手もたくさんいるはず。たとえばバスティアン・シュバインシュタイガーは現在すばらしいコンディションで、チームを率いる役割もこなせるだろうし、こなすであろう大会になると思う。」

※　バラックにファールのボアティンに抗議殺到
悪質なタックルでミヒャエル・バラックのワールドカップへの夢を壊した形となったガーナ代表ケビン・プリンス・ボアティンがスポーツビルト紙の取材で謝罪。「ただ誤ることしかできない。僕はタックルにいくのが遅れて、その勢いをとめられずにそのままいってしまった。あまりにもおろかなファールに見える。ピッチ上で２度謝罪をした。ここで３度目の謝罪をする。申し訳ない。わざとではないんだ。」とコメント。

ボアティンの父プリンスさんはBZ紙の取材で「確かにあのシーンではケビンが送れてタックルに入っていたが、その前のシーンでバラックに顔を押されていることはどうなるのか。いつもケビンが悪者ではないか。息子だから言っているのではない。これではフェアーでないといっているんだ。私はもっとひどいファールを見てきたし、バラックとの因縁も知らなければならない。ケビンがまだベルリンにいたころのバイエルン戦だ。その試合の１週間前のフランクフルト戦でブンデスリーガ初ゴールを決めていたケビンに対し、バラックは試合中に激しくぶつかってきた。ケビンが”何のつもり？”と聞くと、バラックは”黙れ。いい気になるよ。たかだかフランクフルト相手にゴールを決めたからって自分が特別だなどとは思うな。”と言い返してきたんだ。」と反論。

これにはバラック代理人のミヒャエル・ベッカーが激怒。「あのファールは観客みんなが目にしていた。明らかに悪質だ。法的手段に訴えるつもりだ。ピッチ上は法が関知しない場所ではない。」とコメント。

インターネット上ではボアティンを批判するコメントが殺到。「俺たちのワールドカップを台無しにしやがって。」「恥を知れ。」「ワールドカップの出場停止を。」「レッドカードがふさわしい。永久にだ。」「ドイツ国民８２００万対ボアティン。」「ボアティンの父ちゃんは何を言っているんだ。あのファールを見ていなかったのか。では去年しでかせた長谷部へのカンフーキックは？」

※　バラックの代役は？
キャプテンでありチームのキーであるミヒャエル・バラックに欠場がチームに与える影響は大きい。こうした状況下で中心となるのは今期バイエルンでさらに成熟した代表７３試合のバスティアン・シュバインシュタイガー以外にいない。監督のヨアヒム・レーブは「中盤センターのポジションでバスティアン・シュバインシュタイガーはこれまで以上に責任を受け持つこととなる。彼に対しては完全なる信頼をしている。今シーズンバイエルンですばらしいプレーを披露してくれた。」と評価。さらに代表９４試合のミロスラフ・クローゼ、６４試合のフィリップ・ラーム、７０試合のアルネ・フリードリヒがチームを支える。シュバイニィと中盤でコンビを組むのは今のところシュツットガルトのサミ・ケディラが濃厚か。ベテランで国際舞台でも経験豊富のトルステン・フリンクスの復帰を願う声は多いが、レーブは追加召集はないと明言。フリンクスは「レーブは選手のクオリティで選んでいない。」と否定したりといい関係ではない。今回も「バッレ（バラック）のことを思うととても気の毒だ。でも代表監督が僕を召集することはないと思う。」と冷ややか。

優勝を目標にしていたドイツ代表だが、バラック欠場では難しいといわざるを得ない。確かにトニー・クロース、メスット・エジル、トーマス・ミュラー、ホルガー・バードシュトゥーバーと次代を担う才能豊かな若手がそろっているが、２００２年ワールドカップで準優勝、２００６年ワールドカップ３位に導くなど誰にも代えの利かない大黒柱の活躍を見せたバラックの欠場だ。ビルト紙も「このメンバーで優勝できたらセンセーションだ。」と結んでいた。

バラックは昨日検査報告を受けると家族とともに代表チームが休暇合宿を張っているシチリア島へ予定通りとんだ。

※　バラック「代役はシュバイニィ」
ワールドカップ出場が絶望になったミヒャエル・バラックは松葉杖で家族とともに代表の休暇合宿に合流。「南アフリカに向けて全力でやってきた。その目標がシーズン最後の試合であのような形で消えていくのは痛い。ボアティンを憎んだり訴えたりしても何ももたらさない。自分の運命として捕らえようとしている。でもボアティンの家族の理解できないコメントには頭を振ることしかできない。」とコメント。今後の見通しについては「今回のことで代表を引退するということはない。僕は一度もワールドカップが終わったら代表を引退するといってはいない。まだまだ最高レベルでプレーがしたい。チェルシーでプレーするのがファーストオプション。」とコメント。「シュバイニィはこれまで以上にピッチ上の責任を担わなければならない。自分のすべきことをわかっているし、高いレベルで戦うことができる。シュバイニィほど高いレベルでチームを引っ張れる選手をほかにはあまり知らない。誰がキャプテンの代役をするのか。それに自分が何か言うことはない。監督にとって難しい仕事だ。」とコメントしていた。