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三浦綾子コミュの文学散歩2015 道南(大沼・函館)2泊3日の旅  2日目その5

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文学散歩2015 道南(大沼・函館)2泊3日の旅  2日目その5

チーフーキリスト教学園を後にして、私たちは大沼に向かいました。
そこでちょっと遅めのお昼を戴き、大沼国定公園を散策します。

大沼国定公園は、百ほどの島を擁する「大沼」、そして大沼に連なっている「小沼」、「大沼」「小沼」からは独立した形で存在する「ジュンサイ沼」の三つの湖水などを中心に成り立っています。
wikiによると「大沼及び小沼は渡島駒ヶ岳噴火による土石流が山麓部の凹地を堰き止めて形成されたもの。大沼を代表に小沼、蓴菜(ジュンサイ)沼などが点在し、周囲のシラカバ、イタヤカエデ林と相俟った湖沼景観を呈する。新日本三景にも数えられる景勝地である。」とのことです。」

天気がイマイチでしたので残念でしたが、晴れていたら美しかったでしょうね。

綾子さんの作品では
1.残像
2.氷点
この2作品に「大沼」が登場します。

【残像】より
男はすぐに箱から一本とり出して火をつけ、深くすいこんで、駒ヶ岳のほうを眺めていたが、
「大沼は浮気をしにきたくなるところですなあ」
と、ニヤニヤした。女はちょっと顔を赤らめて、
「いやな方」
と、いまきた道に歩みを返した。

景勝地としての、舞台として使われている感じでしょうかね。

【氷点】より

(みんな生きていたかったのだ)
 啓造は、自分が死んだ人々の命を引きついで生きているように思えた。あるいは自分の頭を刺し通したはずの釘が、ほんのわずかのことで、誰かの頭をつき刺しなかったとはいえなかった。
 そう思うと、今生きて帰ることが、たんなる幸運とはいえないような気がした。

 もっと厳しい、もっと重たい命をそそぎ込まれた思いであった。
汽車の中まで照り映えるような、紅葉と美しい水の大沼もすぎた。新しい命を得てながめる風景は、くるしいほどに美しかった。

 (あの宣教師は助かったろうか?)
 あの胃けいれんの女に、自分自身の救命具をやった宣教師のことを、啓造はベッドの上でも幾度も思いだしたことだった。
 啓造には決してできないことをやったあの宣教師は生きていてほしかった。あの宣教師の生命を受けついで生きることは、啓造には不可能に思われた。

 あの宣教師がみつめて生きてきたものと、自分がみつめて生きてきたものとは、まったくちがっているにちがいなかった。

洞爺丸遭難事故で、辛うじて生き延びた啓造が、深く生と死について思い巡らす際の、背景として「汽車の中まで照り映えるような、紅葉と美しい水の大沼」が選ばれています。

美しい自然は、改めて着目すると、人間の理解を超えたものであり、人を荘厳な想いに導く、雄弁な舞台装置と言って良いのでしょうね。

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