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黒澤明・スピルバーグ他研究会コミュの「激突」(スピルバーグ)を四回見ました。

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また月末ギリギリになっちゃいましたね。
コミュ名を「三人の巨匠」から、このコミュ名に変更しました。

さて、このスピルバーグの映画監督デビューの作品も素晴らしいですね。
見る度に発見がありました。皆さんも是非見て下さい。
できれば複数回見て欲しいです。
一回で良いや、と言わずに作品全体を見渡せるようになると、この脚本のすごさがつかめてきて、味が出ます。

(概要)
営業で、遠方まで車で契約を取りに行かないといけない主人公・デイビッド・マン(何と平凡な名前だ、山田太郎くらいの平凡さです、そこに狙いがあるんでしょうけど)は、ハイウェイを走っていると、前方のトロトロ運転のトラックに追いつきます。
そのトロトロのスピードなら当然のごとく、デイビッドは追い越します。
するとトラックは猛然と追いついてきて、無理に追い抜きます。
そして追い抜くと、又、前方でトロトロ運転です。
完全な嫌がらせですね。で又、デイビッドは、また追い抜き、ガソリンスタンドに入ります。するとそのトラックもガソリンスタンドで給油をします。
非常識な奴だと、運転手を見てやろうとしますが、家に電話をかけたりしていたので、運転手の足のブーツと手しか確認できませんでした。
ガソリンスタンドを出て、しばらくすると、またトラックが追いついてきて、デイビッドは、車から手を出して先にトラックを行かせます。
そうすると、又前方でトロトロ運転です。仕方が無いので、デイビッドは、追い越そうとしますが、トラックがことごとく車線変更して、前に行かせません。
デイビッドは脇道を使って、何とかトラックを追い抜きます。
そうするとトラックは猛然と追いついて、あおってきます。
デイビッドは、150キロ前後のスピードで逃げますが、トラックは平然と追いついてきて、更に、あおってきます。
デイビッドはたまらず、側道の駐車場のフェンスに激突しながらも、何とかトラツクをやり過ごし停まります。丁度レストランがあったので、そこで昼食をとります。ここでのナレーションでのデイビッドの葛藤がすごく面白いです。
全て終わったとデイビッドが思っていると、何と、あのトラックがレストランの駐車場に止まっているのです。
トラックは戻ってきたのです。レストランには、例のトラックの運転手のとよく似たブーツを履いた、むくつけき運ちゃん達が、並んで食事しています。誰が、あのトラックの運転手なのか、分かりません。
デイビッドは、話し合いで解決しようと、ある運ちゃんに近づきます。デイビッドが「やめてくれないか」と言っても、運ちゃんがとぼけるので、デイビッドは怒り、喧嘩になります。デイビッドはボコボコにされてしまいます。そうすると、それを、あざ笑うかのように、駐車場の例のトラックは発進します。結局トラックの運転手は、そのレストランを利用しなかったんですね。
デイビッドが、ハイウェイに戻ると、故障したスクールバスに出くわし、後ろから押してくれと、そのバスの運転手に頼まれます。
デイビッドは協力しますが、結局バスは動きそうにありません。そこに例のトラックが戻ってきます。デイビッドは、トラックを見て必死にその場を立ち去ります。
デイビッドがミラーで確認すると、トラックは何故か、そのバスを押しています。この場面が、この作品で一番優れた部分でした。詳細は後で述べます。
少し走り、デイビッドが電車の踏み切りで、貨物列車の通過を待っていると、トラックが後ろからグイグイ押してきます。何とかギリギリで、命からがら列車が通過すると、デイビッドは側道に軽く体当たりをしてトラックから逃げます。
しばらく走っていると、例のトラックが待ち伏せしています。
もう警察に連絡するしかない、と判断したデイビッドは、近くのガソリンスタンドに入り、電話を借ります。例のトラックは、ガソリンスタンドのすぐ先に停車していて、こちらの様子をうかがっています。
デイビッドが警察に電話しようとすると、トラックが猛然とやってきて、電話ボックスをなぎ倒し、電話をかけていたデイビッドは何とか逃げ、生き残ります。
デイビッドは、直接、トラックの運転手と話をつけよう走ると、トラックは逃げます。そして又、しばらく先で待ち伏せです。
他の車は通して、デイビッドの車だけ通せんぼするのです。
デイビッドは、後ろからきた老夫婦の車を停めて、警察に連絡するように懇願します。するとトラックは、老夫婦の車めがけて、バックで戻ってきます。
老夫婦は、あわてて逃げてしまいます。
そして車に戻ったデイビッドに対して、先に行くように、トラックの運転手は手で合図して、いよいよそこから決戦という訳です。必死で逃げるデイビッド、あおるトラックの構図です。ラストの方は詳しく語りません。見て欲しいからです。

(感想)

1.「激突」という題から、カーチェイスは容易に想像できますね。だからアクションの部分は、あえて語りません。僕は、「ダイハード」とか「ダーティハリー」シリーズとかでも、あまりカーチェイスそのものには、興味が無いので。
迫力はありました。カーチェイスが好きな方も堪能できると思います。けど、やっぱり黒澤さんの作品にしても、それよりも人間を見たいんですよね。それがこの映画でも充分にあって、1シーンですけど、デイビッドが、家に電話して妻と話をするシーンがとても良いです。デイビッドが運転する赤いボロ車に対して、暖炉のある大きな家、豊富なオモチャで遊ぶ子供達、その生活を支えるために遠方まで顧客と契約をしに、働きまわらないといけない デイビッドの家庭持ちの男の悲哀が如実に表現されてます。
これは何かで読んだのですが、その電話のシーンの際に、デイビッドが電話をかけている姿が、黒人のおばちゃんが開けたコイン乾燥機のガラス扉越しに映されていて、デイビッドの日常の貧しさと、家の中の裕福さが見事に対比されていると書かれていました。それを知った上で見てみると、なるほど鋭いな、と納得できます。スピルバーグ、若干25歳にして、この演出、見事です。
また、妻が、前日のパーティでセクハラめいた事をされたらしくて、それをデイビッドが責められる所も同時に良いですね。気の弱い、どこにでもいる普通な主人公を、その頃、テレビの方でブレイクしてたらしい、デニス・ウィーバーが非凡にこなしていますよ。うまいです。

2.1の続きになりますが、デニス・ウィーバーの演技がとても良いです。
最初の方で、脇道を使ってトラックの前に出たデイビッドの子供のような嬉しそうな表情、もうこりごりだと、車を脇道に停め、昼寝していた時に不意に後ろの線路に電車が通り、トラックが来たと思い、思わずハンドルに突っ伏したデイビッドが、電車だ、勘違いだと気づいた時の安堵の表情もうまいです。
トラックが老夫婦の車でバックで迫ってきたついでに、デイビッドにも迫ってきた時の走りながら振り返る焦った必死の形相もうまいです。それを引き出したスピルバーグ監督もすごいんでしょうけど。
ちょっと内緒にしときますが、ある理由でラストの方、デイビッドの車がスピードを失います。そのとき、ハンドルを揺すぶって「カモン、カモン」と必死になってる表情も、先ほどの必死の表情と微妙に違うんですよね。
シーン、シーンで、全く違う表情を見せるデニス・ウィーバーの演技の上手さは、この作品を多いに盛り上げています。

3.僕も小説とシナリオを趣味で書いているのですが、まぁ、踏み切りで後ろからトラックが押してきたりするのは、何とか僕でも思いつける範囲かなぁ、と身の程知らずに思うのですが、このシーンだけは、絶対無理、思いつかない、流石プロは違うと思うシーンが、(概要)で、後で詳述すると書いた、スクールバスのシーンです。
スクールバスが道端でエンストしています。そこに通りかかったデイビッドが、バスの運転手の勢いに負けて、半分嫌々協力し、バスを後ろから押します。そこに先行していた例のトラックが戻ってきます。そしてデイビッドは現場から逃げるように走り去りますが、ここからです、この脚本のすごい所は。
何とトラックは、エンストしているバスを押しているではありませんか、この不気味さ、何とも言えずゾクッとします。殺人トラックが、子供の乗っているスクールバスを押しているのです。デイビッド、お前しか狙っていないぞ、と暗にほのめかしているのです。
これも何かで読んだのですが、力の無い者には容赦なく、力の強い者には弱い、官僚主義を表現していると書いてありました。まぁスクールバスが、力の強い者かどうかの議論もありますが、学校関係ということで公僕ですからね、そんな見方もありかなと思います。
とにかく100点満点で計算するとしても、このシーンがあるのと無いのとでは、20点くらいの差が、僕としては出てくる、本当に天才のシーンですね。

4.このDVDの付録メイキングを見て知ったことですが、スピルバーグは、13日間で、撮りきったらしいです。今の僕にはできない、と語っていました。逆に、当時25歳だった自分には、「シンドラーのリスト」や「プライベート・ライアン」は撮れなかったから差し引きゼロだね、とも語っていました。何か、撮影中のホテルの自室の壁が予定表で埋まったらしいです。逆に予定が全部俯瞰できて、便利だったとも語っていました。
とにかく、この作品もテレビ番組から劇場公開にまで発展した映画ですが、これまでに5.6作テレビの番組を監督したらしいですが、全てやらないと金が無いと言う飢えと貧しさから、引き受けたそうです。
スピルバーグほどの人でもそんな貧乏の苦労をしていたのですね、その点、PCLに助監督として入社した黒澤さんは、裕福では無いにしろ、飢えることは無かったと思うので、その上、山本監督という師に支えられ、映画のことだけ考えていれば良いという状況だったので、スピルバーグと時代が違うし、アメリカと日本では違うだろうし、一概には言えないですけど、黒澤さんはラッキーだったかもしれません。

コメント(8)

伸さん、初めまして、コメントありがとうございます。
嬉しいです。
「激突」良いですよ。
見ておられないなら、是非見てください。
カズさん 昔テレビで観ましたが、今度また観る時はよく注意して観ます スカパーで観ましょう
スカパーか、良いですね。
僕もバイクレースとか見たいんですけど、CSは入ってないんですよ。(残念)
「激突」は、デニス・ウィーバーの恐怖と安堵の表情の繰り返しが、それぞれで微妙に使い分けられているところが良いです。
それを引き出しているスピルバーグの演出が素晴らしいですよ。是非ご注目を。
それと、殺人トラックがエンストしているスクールバスを押しているシーンは秀逸ですね。あの脚本のあの部分はすごいです。
あと主人公のボロの赤い車と、家庭の裕福さとの比較が良いです。あの部分もすごいですよ。家庭の裕福さを支えるために、必死になって遠方まで営業して仕事をしないといけないという哀しさが、この主人公の背景にあって、さすがの脚本ですよ。
あと、一回見られているなら、ラストの虚しいというか、寂寞感をたまらなく良いんですよね。一体、俺は何と戦って、何に勝利したのか、俺は何をやっているんだ、という感じがすごく良いです。冒頭から、ラストまで緊張感を失わずに丁寧に計算されてます。
ラストの寂寞感という点では、「続・激突」も良いですよ。作品は、「激突」とは違う全く違う切り口なんですけど、こっちのラストの虚しい感じもすごく良いですよ。
お時間があれば、両作品とも、ご覧になってください。
カズさん 深い観察ですね。スピルバーグ作品や黒澤作品は、観れば観るほどいろんな発見があって面白いですね
伸さん、その通りです。何回観ても発見があります。
特に「七人の侍」は、密度が濃くて、概要を把握するだけで、七回も観てしまいました。
詳しくは、「七人の侍」のトピをご覧になってください。
あの作品は、脚本の黒澤さん、橋本さん、小国さんという三人の天才が、核融合を起こして、天才の上に120%の力を出し切れたみたいな奇跡のような作品ですよ。すごいです。
またラストのカタルシス(快感)という点では、「ジョーズ」「激突」「続・激突」もなかなかですよ。
特に「続・激突」は、エンドロールのバックに流れている曲が良くて、サントラを中古のレコード屋で見つけたのですが、プレミヤがついていて高かったので買えませんでした。それくらいラストシーンが良いです。
是非、どの作品もご覧になってください。
カズさん 是非そうします。ありがとう!
伸さん、こちらこそ、ありがとうございました。m(_ _)m

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