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コメント(12)

ルシアという町の外れに小さな白い教会があった。
そこには50過ぎの神父と5人の孤児が住んでいたが、ある冬の寒い日教会が燃え孤児と神父は逃げ遅れ命を落とした。

しかし、一人の少女だけは神父に頼まれた用事で出かけており助かっていた。

少女の名はアメリ。
隣町にあるアセリの教会へ神父が頼んでいた品を受けとに行っていき帰ると焼け跡の我家と対面した。

辺りはまだ暖かく黒い煙と焼けた匂いが立ち込めていた。

アメリはどうすることも出来ずにただその場で立ち尽くし泣くしか出来ないでいた。


気が付くと夜が明けて太陽が昇ろうとしていた。
ふと籠をみると昨日受け取った品がなくなり代わりに一枚のメモが残っていた。

「石板は頂いた…石板?」

アメリはメモをもってアセリの教会へと戻ることにした。
アメリが教会へ戻ると、流石にアセリの神父は目を丸くしたが、話を聞くと黙って中へ入れてくれた。

昼の太陽がいつになく眩しい。町は長閑な一日を紡いでいる。

教会に偶に顔を出すルチアと言う娘が、アメリの元へやってきた。

勿論、初対面では無い。何度か教会であったことがあり、アメリがいた教会にも食べ物を貰いに姿を現している娘だ。

アメリとそんなに年も変わらない。ただ、服装はだらしなく色も地味な色を好んで着ているためにどこか暗い印象を与える娘であった。

「お久しぶり。大変だったみたいだね」

おおざっぱな口調でアメリに言った。
「大変…だったのかな…わからない私が帰ったときは全てなくなっていたから…」

もう渇れたと思った涙が頬をつたう。


神父はハンカチを差し出しアメリは涙を拭き尋ねた。

「神父様…私の勝手な想像なのですが、昨日受け取った品が今回の火事を引き起こしたんじゃないんでしょうか…私の帰りが遅かったから…みんな…」

「ジェフは…ルシアの神父は君だけを助けるために君を寄越したんだよ」


何のために?そう聞きたかったが言うより先に涙が流れた。
アメリの変わりに口を開いたのはルチアだった。

「アメリだけを助ける為だって?」

ルシアの神父が誰にでも平等で優しいと言うことは知っている。

「それってよっぽどじゃないか」

泣いてるアメリとは逆に、怒りを露わにして神父に言い放つ。
深いため息をつくと優しい表情で敬うような声で神父は言った。

「この世界には不思議な力を持つ者が多いことを知っているでしょう。私たちはその者を選ばれた人間と呼んでいます。」

いつの間にかアメリに対する言葉が敬語になっている事に気付き聞いた。

「私がそうだと言うのですか?私は親に捨てられ神父様に育てていただいた普通の子どもです。今まで不思議な力なんて…」

言いかけた言葉を飲み込んで神父を見るとおわかりになりましたか?と言いた気な顔をしていた。

「治癒力…?」

「あなたの治癒力は選ばれた者の力。盗まれたタブレット(石板)はその力を完璧なものにするための物だったのです。」

アメリは半日も経たない間にいろんな事が起き、聞き混乱し始めていた。
混乱していたのは、アメリだけではない。ルチアも話はわかるが、途方も無い世界に投げ出された感覚であった。

「じゃあ、神父様は、タブレットを狙っていた人物なり組織なり検討ついてるっていうの」

混乱はしていた。此処でその組織なり人物を聞けたとしてもなんの力も貸せないことはルチアが良くわかっている。

それでも、聞かすにいれない訳は、やはり遣り口が気に入らなかったからだ。
「そうですね…」

神父は二人に席を進め向き合って話始めた。

「選ばれた者には2つのタイプに分けられます。陰と陽に…」

「光と陰と言うこですか?」

神父は頷き続けた

「アメリ様が陽とすればタブレットを盗んだ者は陰。しかし、陰の聖職者には陽のタブレットは使えません。ですが陽の力が不完全なままにしておくことで陰は完全な力を付け、今の平和な世の中を戦だらけの世の中へと変わっていくでしょう…」

理解する範囲を越えた話に疑う気持があるがどこか納得している自分に驚いていた。

「でも…教会に火をつけるよりも私を襲う方がタブレットを手っ取り早く奪えるんじゃ…」

「『石光し時聖女に光あり』時が来ればタブレットが光り持ち主は光のベールを纏います。それを確認できるのが陽の使い人である私とジェフだったのです。火を放ったのはタブレットをジェフが所持していなかったからでしょう。自分達の存在を知らせるのを遅らせるために…そして、光を纏っているあなたを陰のものは触れることが出来ません」

アメリは何かを言いたいのにうまく言葉に出来ずにいた。
知らないうちに傍らにいたルチアの手を固く握っていた。
手を握られた、ルチアはアメリを見た。

頭の中で話を整理しながら、次に何をするべきか考えていた。

聞いた話が余りに突飛な物で、情報がない。

いつもなら大丈夫と楽観的に言い放つルチアも、口を閉じて神父とアメリのやり取りを見守る。
何時間経っただろうか、アメリはルチアの手を握り締めたまま納得がいくまで神父と話をしていた。

「私はどうすればいいのですか?いくら考えてもわかりません…陰のものたちはもう4人の選ばれし者が揃っているかもしれないのに私一人では…」

「タブレットにを持ち去ったものは隠密行動を得意とするものでしょう。しかし、4人が揃ったと考えるにはまだなんの行動も起こっていません。」

同じ事の言い合いに疲れを見せ始めたアメリはふと考えた。

タブレットを取り返すのが先ではないのかそして仲間を集めればいい仲間は自然と集まるそう言っていた。
自然と集まるならここでじっとしていてもしょうがない…


「私旅に出ます。仲間を探してタブレットを取り返して戦なんてない世界を維持します」

神父は考えてなかったわけではないがアメリ自らが口にするとは思っておらず少々あっけにとられていた。
「ま、確かにそうだね」

神父とは逆に、ルチアはアメリの言葉に同意した。

何時間も話を聞いていたが、先に進まない状況に些か苛立ちを持ったのだろう。
とはいえ、ルチアにそんな能力はない。
「闘いの知識はないけどさ。旅の知識ならあるよ。アメリ。あたしにも何か手伝わせてもらえないかな」

ルチアは、アメリにそんな事を言った。
「勿論、邪魔なら、あたしは勝手にやるけれどね」

軽く言うルチアだが、アメリを心配しているようである。

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