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つぼけんコミュの和泉多摩川うりずんのライブでのこと

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 和泉多摩川のうりずんと言う沖縄料理店で、TSUBOKENさんのライブ演奏があると知って、始めて聞きに行くことにした。お一人様の私にも居心地のよい、アットホームでいいお店だった。TSUBOKENさんの演奏ももちろん素晴らしかったのだが、私にとって印象深かったのは、こんなことだ。

 曲の合間に、TSUBOKENさんはこんな話をした: 寒い冬の時期は、ストリートで演奏していてもお客さんがとても少なくて、さすがにそんなときは、自分でもハッピーな音が出てるかな、出てないんじゃないかな、ということが心配になる; 先日もとても寒くて、そんな状況でストリートで演奏していて、しばらく目を閉じていてふっと開けたら、すぐ目の前にお客さんが立っていた; その瞬間、その人の気配というか、体温というか、本当に温い感じがした; これは、TSUBOKEN人の心の温かさを忘れてはいけないぞ、と言う神様からのメッセージのような気がした。

 だからかァ。。。

 その瞬間私は思った。TSUBOKENさんの吹くサックスの音は、上手なだけではない、いつもハッピーな色に染まっている。それが人を惹きつけるのだ。TSUBOKENさんは演奏している間一瞬一瞬、幸せ something happyを観客に向かってまた宇宙に向かって、発信してるのだ。他人を幸せにすることの大切さとその手段を確実なものとしてこの人は持っている。それと共に、他人に発信する幸せを自分の中に溢れるように持っているのだなあということも。敢えて言葉にしなくても、TSUBOKENさんのファンの人はみな、きっとこのことを感覚的に知っている。
 私にとって音楽は誕生日のケーキみたいなもので、日常的な環境としては遥かに静寂を愛している。風の音とか冷蔵庫のモーター音とか、そんな日常の音達もそれなりに楽しくて、それら全てを容れる器としてかつ生活の基盤として静寂は不可欠であり、私には心地よい。音楽は好きではあるが、なくても日常が成立する人間だ。だからむしろ誰かのストリート演奏に足を止めたことの方が珍しい。やはりTSUBOKENさんの演奏には、単なる旋律以上の、人を惹きつける何ものかがあったに違いない。

 個人的なことになるが、その頃私は幸福であることが人間の資質の一つであること、そして特に仕事を通じて他者の幸福に貢献することについて、しばらく考えていた。
 簡単に言うとこうだ。幸福と言うのは家族や友人の愛情に満たされていること、と考えがちだったが、これにはちょっとした落とし穴がある。それでは、極端な例として、両親のいない子供が学校でいじめられて仲間はずれにされてきてそのまま大人になったら、その人はその時点で幸福になることはできないのか?確かに他人を信頼することは難しくなるだろうが、そんなことはないである。人間には誰だって幸福になる権利ってもんがあるだろう。そして、幸福であるとは意外なところで他人を思いやることと不可分である。つまり、純粋な気持ちで誰かに親切にしてあげたり、誰か他の人のために考えたり、何か行動しているとき、自分が幸せであるとかないとかいう意識は頭に上らないだろう。これは、幸福という状態にとても近い。純粋に好きなことに没頭しているときもそうだ。
 私は、やはり他人と接触するといえば仕事を通じてのことが多い。仕事は医者や看護師のように直接的に人を助けるものではないので、他人に貢献するって言ってもな。自分の幸せの発露と言ってもな。とつらつら考えていた。

 そもそも、他人を思いやることの大切さとかいう当たり前の結論に到達するまで、私は本を読み、考察し、他人の人生を観察し、自己を吟味し、全てのプロセスを言語化して行かなければどうにも先に進まなかった。私はそういう性質なのだ。一方で、TSUBOKENさんは多分、私には必要だったそのプロセスを必要としない。既にTSUBOKENさんは、他人に幸福を分ける確実な手段を、表現方法とスキルを持っていて、それを実践している。しかもそれを職業にしてしまった。これはすごいことだ。

 この人は、人間として、私のずっと先を行っている。

 TSUBOKENさんは私のMentorだと思ったものだ。Mentorとはこの場合、人生のお手本とでも言えば適当だろうか。私がTSUBOKENさんのライブを聞きに行こうとするとき、それはもちろんTSUBOKENさんの音楽を楽しみに行くのであるのと同時に、TSUBOKENさんが観客を幸せにするその姿勢を倣いに行くのだ。何故なら、私も私なりのやり方で、そう在りたいと思うからだ。TSUBOKENさんと同じように、観客にハッピーな音を届けようと腐心している音楽仲間のアナタ。そして、スタッフのアナタ。あなた達もそうだ。あなた方の職業は、人をハッピーにしようと心を砕く限り、尊敬に値するものだ。

 一方私はと言えば。
 TSUBOKENさんの目の前に立ったお客さんとは、私であったかもしれなかった。私のように聞いていたお客さんは他にも沢山いたろうし、私はものの15分といなかったから、実際にはTSUBOKENさんが言及したのは他の人であった蓋然性が高い。しかし、誰であったかを特定することはこの際あまり重要ではない。誰かの前にじーっと立っていただけで、その誰かが幸せになるってこともあるのだ。

 何だそんなことでよかったのかァ。。。

 目から鱗が落ちた。きっとこれは神様が私の方にくれたメッセージだ。
 
 私は新百合でTSUBOKENさんに出会って本当によかったと思う。

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