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THE・創作活動コミュのドイツ、無賃滞在 第1章 3

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 翌日、結局私はケイトさんに便乗し、イザベラとゆいこさんの強いススメもあり、ジャックの車で語学学校に連れてってもらった。
 それはVolkshochschule。多分国か地方自治体が運営してる、安い学校。
 ここではまずはテストを受ける。結果、私はレベル3。
「ああ。うん、それはよくできてる。」
ジャックは納得いかない様子で言った。
「で、申し込みはもうしたのか?」
私は、すでに引っ越そうかなぁと考えていたので、この日は申し込まなかった。それを、ジャックはやる気がないと考えたようで、更に関係が悪化した。ジャックは勉強熱心なヤツなので(それで6年も日本語やってるけど、会話はガタガタ。教科書に書かれてるような文体しか理解しないと言うか。)

 そのまま毎朝私が朝シフトで入り続けた。週が変わったのに。サチコさんと一週間交代で朝シフトに入るって話だったのに。
 とにかくジャックと私の間は緊張状態。ただ、二人とも微妙に気が弱いので、相手が気に入らないと、ブツブツ聞こえるか聞こえないか程度の声で悪口を言い合う、という、陰湿極まりないというか、無意味というか、な状態だった。
 もう私はさっさと仕事を見つけて、こんなとこ出てってやろう、と考えていた。就活だ、今日からは。それで、チャリを買うことにした。Sバーンばっか使ってたら、金がもたないだろーし、チャリは仕事見つかってからも必要だろうし。

 ところが、これが新たな悲劇を生んだ。
駅前で、チャリが65ユーロで売っていた。子供用で車輪が小さいけど、サドルとハンドルを上げれば、普通に乗れそう。そこでケータイも安く売ってたから、買うことにした。
「合わせて95ユーロにしてよ。」
店主はあっさりOKした。このときにこの不自然さに気付くべきだった。
 なぜなら。チャリが店を出て5分でパンクした。まじありえない。
 そのまま店に引き返し、
「ちょっとあんた、このチャリまじ不良品だから金返してよ。」
ところが。
「嫌だね。まだまだうちにそのチャリあるもん。もう欲しくないよ。買ったんだから自分でなんとかしろ。」
クーリングオフだなんだと色々主張し続けたが、ヤツは金返したくないと言い張り続けた。
 このまま引き下がってたまるか。私は店で大声を出した。
「この店はまじでscheisseだ!ぼったくりの泥棒め!」
「おい、ケーサツを呼ぶぞ!」
「よし、呼ぼうぜ!この事態をきっちり説明してやる!!」
「いや、ケーサツ呼びたいのお前だろ。俺はケーサツには用はない。」
超ふざけてる。ケーサツ、って単語でびびらせたかったらしいが、本当にケーサツ来たら困るの、お前じゃん。
 だから騒ぎ続けた。すると。オーストラリアから来た、という旅行者が止めに入って、
「クーリングオフをやってる組織があるんだよ。そこに電話した方がいいよ。こいつには言ってもムダだよ。」
聞くと、彼も他で似たような目にあったとか。
 その人が案内所で番号聞いてきてくれて、ビールまでおごってくれて。

 しかし。ドイツまじ最悪。そのクーリングオフの会社が電話しても出ない。平日の日中なのに。何を考えてやがる。
 それで、イザベラに、
「ここに電話したいんだけど。何かかけ方か番号が間違ってる?」
と聞き、
「どうしたの?」
と言われたので、事情を説明すると、
「今すぐその店に行くわよ!」
ということになってしまった。ええ??あんま解決にならない気がするけどなぁ。
 キオスク横に駐輪しといたチャリを拾い、二人でその店へ。
「これこれこういうわけなんだけど、金返って来ない?」
しかし対応はやっぱり同じだった。それどころか。
「この女が昨日さんざん騒いだおかげで、こっちは商売ができなかったんだぞ。どーしてくれるんだ。」
と言い出したので、また口論になった。ぶっちゃけ半つかみ合いのケンカになった。で、大声で
「この店で買うとガラクタつかまされるから、絶対ここで買うな!」
と騒ぎまくり。だから来たくなかったのに。
 結局大暴れして帰ってきたよ。ほんと、ドイツに何しに来たんだか。
 でもその成果というか何というか。そこの店は相当私を警戒したのか、夜中通りの反対側に見張りをつけていた。後日、キオスク勤務の4時代に、駅までひとっ走りしたことがあったけど、そんなのを見かけた。
 あ、ちなみにそこで買ったケータイは今でも愛用してます。最初はそこのオヤジを思い出して嫌だったけど、これを書くまでフツーに忘れてた。

 その自転車騒ぎの日。家に帰り、メールをチェックすると、ジャックからなぜかメールが来ていた。
「朝ちゃんと起きないし、ドイツ語もやる気のないヒトは、うちに滞在して欲しくない。」
・・・は???
 悪いことは重なるものである。
 てゆーかさ、これからアパートも探し始めようって時に。ここ出てってどうするっていうのさ??だいたい、何が朝ちゃんと起きない、だよ?ちゃんと仕事はやってんじゃん!無給でさ!4時からスタートで、あんたは3時に起きるかしんないけど、私は3時半で十分なんだよ、準備するのに!
 本当にどうしたらいいか途方に暮れて、サチコさんに泣きついた。なんで私ばっかこんな目に遭うわけ?一体何しにドイツ来たのか分かんないよ。不良品自転車にムダ金使わされて。あんま金持って来てないのに。知り合いがちゃんといるわけじゃないのに。まぁアンディっていう元カレはいるけど、ミュンヘンの更に南だし、そっからじゃ助け求められないし。ドイツ語あんまできないし。和食レストランでは、「冬にならないと募集が特にない」とか言われるし。冬まで無職じゃ生きてけないよ。
「最初はみんな色々あって、大泣きしたりするよ。私も色々あったし。ホステルで会ったワーホリのヒトも泣いたって言ってたし。」
 なんとなく泣きながら考えてたら、とりあえず楽しんで帰ろうかなぁという自己結論に行き着いた。ネルトリンゲン、って町が、前回来た時に一番気に入ったから、そこで1、2ヶ月過ごして、ちょっと旅して、それで帰ってやる。この時は日本に置いてきたオトコも恋しかったし、前の職場の友達とも会いたくて仕方なかった。
「ま、考え直してさ、ゆいこさんに相談しなよ。」
サチコさんはそう締めくくった。
 同じ日の夕方、私はサチコさんのアドバイス通り、ゆいこさんに相談してみた。でも、ゆいこさんも就職してる身で、しかも、全然成功してない身で。相談しても同じじゃないかなぁ?
「ええ!!??帰る!!??いや、それは絶っ対もったいない!!ちょっと来て!!」
ゆいこさんは私をジャックのパソコンの前に連れて行った。
「ジャックのヤツ、いないよね。」
ゆいこさんとジャックの仲は不穏ではないが、彼女もあまり会いたくないらしい。
「コレ!コレ見て!!」
そこにあったのは、求人広告。日本語で。ドイツ国内で。
「は?こんなのあるの!!??」
こんな便利なものがあるなら、日本にいる時に知ってたかった!
 そのサイトの名はニュースダイジェスト。ドイツ以外にも、フランスやイギリス版もある。
「ここにさ、寮も用意してくれる職場があるんだ。私はビザないし、前履歴書送った時だめだったけど。てゆーか連絡来なかったけど。」
そこにあったのは、ニコラス・ロイヤル、という、主にワインを売っている土産店。
「私結構ワイン好きだからさー。応募したんだけども。ま、400ユーロベースだけど、ここよりはマシじゃん?」
そして、彼女は私に履歴書までくれた。
「一回書くの失敗しちゃって、一枚しか残ってないけど。」
「ありがとう!!!」
さっそく私は部屋にこもり、履歴書を書いた。下書きをしっかりして、絶対間違えないように。

コメント(2)

誰かまじでコメント書いてくれ。さびしいじゃん(笑)
ドイツいろいろ苦労したんだなー。
キミは常に普通に楽しくやってるのかと思ってたよ。
続き楽しみにしてるよ〜。

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