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フラワーアレンジ&いけばな研究コミュの構造主義花造形論

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進化か、変化か

 今から30数年前、大学在学中のことですが、同じクラブの1つ先輩に阿部さんという方がいました。
 非常にまじめな努力家で、ビールの好きな人で、卒業後は飛行機のパイロットになるのが夢のようでした。
 はたして、その夢は実現したか否か、わかりませんが、いずれにせよ、きっとやりがいのある、立派な職業について頑張っていらしゃることとおもいます。

 さて、彼とよく話し合ったテーマのひとつに「進化か変化か・・・」というのがあります。
 つまり、生物や人類はほんとうに進化しているのか、環境に適応して変化しているだけじゃーないのか
 もしかしたら退化といったほうが良いんじゃーないかなどととりとめのない会話を楽しんだ記憶があります。

 いまから考えると、テーマが壮大すぎて、視点の置き方でどうにでも取れてしまいそうだなーと思いますが、もっと物事を絞り込んでいくと、面白い話になりそうです。

 そう、たとえば、花造形に関して考えてみましょう。

エジプト時代の花造形

 僕がいろんな所でお話をさせていてだく時、いつも最初に選ぶのが「古代エジプト時代の花の使われ方」です。

 今から、約3000〜3500年も前のことですから、ずいぶん幼稚な花の使い方をしていたのではないかと思われそうですが、どうして、どうして、かなり凝ったものを作っていたようです。

 例えば、身につける花ということで言いますと、花を着ると言ってもいいほどのアクセサリーを作っています。その花で作ったものが後世金銀宝石などのアクセサリーになっていったと思われます。

 つまりアクセサリーのもともとは植物の飾り物だったんですね。

 ガーランド、植物をつなげて綱状にするテクニック。現在の花屋さんがブーケを作るとき多用するんですが、それもこの時代に出来ています。

 このお話をフラワースクールの生徒さんたちにしますと、「こんなめんどうなテクニックを作ったのは古代エジプト人だったのか。憎ッくきエジプト人め。。。。」という声が上がります。棒飾りの花なんかも、現在見なおされて現代風にリニュアールされていますが、起源はここらですね。

 アレンジメントの話をしますと東西、つまりヨーロッパと日本のアレンジの原型が創作されています。

 ヨーロッパのフラワーアレンジメントの最初のイメージはコウン円錐形です。これは西欧に最も多い常緑樹、つまり、杉の形です。このコウンからいろいろな形が作られています。

 対して、日本の「いけばな」ですが、中国から仏教とともに、お供えの花として入ってきました。その時点では「いけばな」と呼べるようなものではなかったんですが、やがて、「たてばな」そして「立華」というデザインになっていきます。

 この「たてばな」、「立華」のイメージは日本に最も多い常緑樹、松の形をデザイン化したものと思います。

 さて、お話を古代エジプトに移しまして、それらの元になりました古代エジプトのアレンジメントとはいかなるものだったんでしょうか。

 それは、「節のデザイン」と呼んでいますが、花器から植物が立ち上がり、2つ3つの節から枝や茎が四方に伸びていく形です。言葉にすれば分かりにくいですが、それが、後世、ヨーロッパでは、コウンになり、日本では、立華になっていきます。

 パーティの形式でおもしろいのは、当時のパーティの入り口でハスの花を一本渡す習慣があったようです。
 そして、それを持ちながら、飲食したり歓談したりしたようです。それが萎れかけると、召使が新しいのと代えてくれたそうです。

 さて、それでは、何故、パーティ中にハスの花を持っていたのでしょうか。それは、花の香りによって、悪酔いせずにお酒をたくさん飲むことができるからでした。つまり、香りの学問、今流に言えばアロマコロジーがすでに普及していたんです。

 こんなふうに、古代エジプトの花を研究すればするほどすばらしい花文化が花開いていたと思わざるをえません。

 こう考えますとこの大昔の花文化と現代のそれを比べてみるとどちらが優れていると簡単に言えないんです。

 さて、2000年4月に完成したJFTD学園日本フラワーカレッジの2冊目のテキストに「フラワーデザインの世界史」という題で書かせていただきました。

 それは各時代、各地で、どんな花の飾り方をしたとか、花をどんなふうに使ったかを述べているんですが、その各々の花文化を見ていくと、前述した古代エジプト時代の花文化と同様のことが言えると思えてきたんです。

 つまり、各々の花文化はその時代を飾る最も合理的な、そして最高の知恵とテクニックに彩られていたのではないか、ということです。
「ヨーロピアンフラワーデザイン」と「構造主義」

 ここ数年、僕の頭の中では二つのテーマが進行していました。それは「ヨーロピアンフラワーデザイン」と「構造主義」です。

 「ヨーロピアンフラワーデザイン」は数年前から日本フラワーデザイナー協会が資格検定試験に取り上げようとしているデザインですが、当初僕はこれがさっぱり理解できず困っていました。

 その時、幸運にも久保数政先生と奥様のガブリエレ・ワグナー久保先生とお会いしました。そこで、早速弟子入りを申し込みましたが、最初の特訓は滝に打たれながら・・・否、それは冗談ですが、まずじっくりと、理論から説いていただきました。そうしましたら、やっと全貌が見えてきたのです。

 この「ヨーロピアンデザイン」難しいところは、用語がドイツ語であるということ。そして、その用語の使い方が、製作構成テーマ、配置法のどれにあたるのかをはっきりさせないためであることが第一でした。

 しかし、久保理論ではそれが、はっきりと明確にされておりました。

 もうひとつはこのデザインが「特殊構成理論」と「一般造形理論」の両方が合わさって完成するところでした。

 「特殊構成理論」の特殊というのは花、植物に限った理論、つまり花の分類、選び方の理論ということです。

 「一般造形理論」というのは花に限らず全ての物に通用する、つまり例えば、マッチ棒でも鉄骨でもいいんですが、それを平行に立てるとか一焦点で放射状に配置するということです。

 この「特殊構成理論」という考え方は、その後の僕の考えをかなり刺激してくれました。

 僕はしばらくの間、いけばなのというより日本人の花の見方には特殊なものがあり、花がそれだけにとどまらず枝や樹木や、石や滝やその他の自然物にまで拡大解釈されるのはなぜか、といった変な疑問を持っていました。それを、再考する手がかりをつかんだのです。

 結論を導き出すにはもうひとつ構造主義の鍵が必要でした。

 構造主義とは文化人類学の分野でクロード・レヴィ・ストロースと言う人が確立したんですが、その影響力は人類学の世界にとどまらず、1950年代以降の人文・社会科学や哲学思想の世界にもおおきな影響をあたえました。そして、ささやかながら、僕の脳みそにも影響を与えてくれたわけです。

 一言でいいますと人間はカオス、混沌の中にはいられず、秩序の中に安住するということです。

 その秩序を作るために世界の構造を構築します。その際の手段は分類することです。対立関係を知り、さまざまな要素どうしの差異を知ることからはじめます。そして、いずれはこころの中に一個の完結した体系をつくりあげるわけです。

 その際、未開人が用いるのが「野生の思考」であり「具体の論理」です。ここを説明すると長くなりますので、省略しまして次に進みます。そしてクロード・レヴィ・ストロースは各民族、各人の作り上げた完結した体系の優劣を説くわけですが、結論から言いますと、彼は優劣がない、同等であるとするのです。

 ここで僕の冒頭の疑問、人間は進化したか、変化したかという問いにレヴィ・ストロースさんも変化ということに賛成してくれたような気がします。

各文化圏では花をどのようにとらえるか。

 そこでまた話を進めましょう。

 僕のもう一つの興味、各文化圏では花をどのようにとらえるか。。。。いわゆる「特殊構成理論」の問題に入りますが、1997年に書きました「カトラリーのフラワーデザイン箸のいけばな」で論じたことがあります。

 今回はそれをもう少し、掘り下げてみたいと思います。まずは簡単にその内容をお話ししましょう。

 事の発端はオーストラリア人のサイモンくんと食事したときでした。彼は鳥の照り焼き定食を食べていましたが、最初にご飯をすべて食べ終わってから、お肉に手をかけ始めたんです。

 僕も同じメニューをいただきましたが、僕は、ナイフでお肉を全て食べ易い大きさに切って、それから、お肉、ご飯、味噌汁を順に、何回も繰り返し食べました。

 他の友人たちは刺身定食を・・・もちろん箸で食べておりました。

 ここで、思ったんですが、多分サイモン君は正式なフランス料理のマナーで食べたかったんだ・・・と思いました。しかし、この店では残念ながらナイフとフォークは各1個しかついてなかったんですね。

 もし正式なフランス料理専門店でしたら、そのカトラリーの数はもっとずっと多かったはずです。

 ここで僕が思いついたのは、このカトラリーの数が食べ物に対する分類の仕方ではないか・・・ということでした。

 そして、それがフラワーデザインや「いけばな」の花の見方、特殊構成理論にも通用するのではないか、という事だったのです。

 僕がこの時、最初に全てのお肉を一対のフォークとナイフで切り分け、その後フォークでお肉とご飯を食べたのは、ウエスタン式の食べ方です。

 特殊構成理論に置き換えると、「形による分類」です。

 ご承知のとおり、ウエスタンフラワーデザインでは、花を1.ラインフラワー、2.マッスフラワー、3.フォームフラワー、4.フィラフラワーの四つに分けますね。

 一対のフォークとナイフ、つまり四つの形に分類するという一つだけの分類法によるということです。

 それに対して多くのカトラリーで食事をするフランス料理の食べ方はたくさんの項目で花を分類するヨーロピアンデザインの特殊構成理論
に似ています。

 久保先生のヨーロピアンフラワーデザインテキストによると、1.現象形態、2.動きの形態、3.表面構造、4。象徴性、5.香り 6.色彩となっていますが、この分類項目は多ければ多いほど緻密なデザインへとつながります。

 さて、日本料理の食具は箸です。食具による花の分類を試みているわけですから、箸の特徴がそのまま特殊構成理論、つまり花の見方、とらえかた、分類の特徴になります。

 箸の特色とは、食べ物を分解しないということではないでしょうか。日本料理は全てそのまま食べられるように盛り付けられていますね。
 また、その調理方法も、なるべく素材の良さを引き出し、手をかけないことに主眼を置いています。
 料理をしない料理が理想ということでしょう。

 しかし、素材をそのまま置くだけでは、料理や「いけばな」になりません。やはり、最低限の素材の分類や構成は必要でしょう。
 「いけばな」の花選びは、一般的な盛り花で話をさせていただいていますが、枝物と花物という非常に漠然としたものです。

 さて、たいへんながく、多肢にわたるお話になりましたが、これで、本論の材料は全て出揃いました。
 これから、いよいよ、「構造的花造形論」を組み立ててまいります。
構造主義花造形論

 これは、特殊構成理論と一般造形理論の双方を秩序あるものとして全体的に把握するための概念的枠組を作る試みです。

 この分類体系は網のように覆って広がります。そして網で覆うことによって花造形の世界が構造を持つ総合体となります。

 網を紡ぐためには縦糸と横糸が必要ですね。
縦糸を特殊構成理論でとりましょう。縦糸の特徴は拡張性です。しかもこの拡張の方向は二つあります。下と上です。

 下の場合、分類の目を細かくすることができます。網の目を細かくすると分類はより具体的、特定的になっていきます。

 逆に、分類体系の網の目を拡大していくこともできます。この場合、分類は抽象性を増し、ついには統合的極限に達して、すべてが単純な論理的二項対立となります。

 有名な陰と陽のように、黒と白を対立させるのが、その例です。

 つまり、花の見方で言いますと、下方はヨーロピアンデザインにおける花の分類法、細かく細かくしていくことによって、緻密なデザインに仕上がる可能性があると言うことです。

 そして上方はもちろん「いけばな」の花の分類、さまざまな要素を陰陽二項の対立で総合的に表します。つまり、枝、花、葉、色、動き、堅さ柔らかさ、明るさ暗さ、など全てを陰陽に吸収してしまうということです。

 究極的には、長年の修練による直感によるところが大きいデザインといえます。

 さて、横糸ですが、一般造形理論ですから結局は形をつくることです。たとえば左端を装飾的としましょう。その対極右端を自然的としましょう。

 この線上にいろんなタイプのデザインを構成する造形法を配置します。例えば、さまざまな幾何学的な形とか、放射状、並行、交差、絡巻状とか焦点の数とかによって決まるデザインの数々のことです。

 左側はもちろん幾何学的なタイプで占められます。右にいくにしたがって放射状、並行、交差などの構成が多くなるでしょう。

 縦糸と横糸で織り上げられた造形表ですから面状態です。この面上のどの点にもそれなりの作品が存在するはずです。






 それでは、次に「いけばな」、ウエスタンデザイン、ヨーロピアンデザインの基点はどこに配置すればいいでしょうか。

 縦軸をAとし、横軸をBとしますと、「いけばな」の基点はA軸最上とB軸最右の所になります。最も自然的で、まあ、放射状、並行、交差状かそれは自由ですが、花の見方、特殊構成理論が、陰陽二項という漠然としたもの、と言う基点です。

 ここから、下に行きますと、だんだん特殊構成理論が細かくなっていき、中ほどになりますとウエスタンデザインのガーデンスタイル、もっと下に行くにしたがって、ヨーロピアンデザインの自然的形態、自然植生的形態となっていきます。






 それでは、ウエスタンデザインの基点はどこでしょうか。
A軸はほぼ中間のあたり、つまり、花の見方は1.ラインフラワー、2.マッスフラワー、3.フォームフラワー、4.フィラフラワーの四つに分類、非常に合理的な視点です。実際はそれに色彩学が加わりますが・・・

 この割り切り方はアメリカらしい商業ベースに乗せ易い、言いかえれば、大量生産に向く方法ですね。ほとんどの花屋さんで売られているアレンジメントはウエスタンスタイルと言っていいでしょう。

 B軸は最左端、幾何学的、ジオメトリックな形、つまり非常に装飾的ということです。

 ここからいろんなデザインに変化することが可能です。B軸を右側に進んでいくと自然性が増すと同時に線的要素が強調され、ラインデザインやガーデンスタイルになっていきます。

 A軸の移動は下方にいった場合、ヨーロピアンデザインの装飾的構成の幾何学的なものにになっていきます。
 上方に行った場合はいけばなのマッスデザインのようなものに近ずいていきます。

 もちろん、ななめ移動もしますよね。

 ヨーロピアンデザインの場合はA軸最下端にほとんどすべての造形法、構成法を配置したと考えていいでしょう。

 それから、上方に行くにしたがって、ウエスタン的、生け花的になっていきます。

 以上が現在、僕が考えている構造主義花造形論です。現在というのは、この構造は僕の経験と知識が増えれば、また違った組替えになるからです。

 しかし、実は本当に言いたいことは、僕の造形表のことではないんです。

 それは、構造主義は前述したとおり、全ての民族、未開人、近代人も含めて、それらの世界観に優劣がないことを大前提にしています。

 したがって、この構造主義花造形論も、そのデザインに優劣はありません。ウエスタンもヨーロピアンもいけばなも、その間にあるさまざまな国のさまざまな人たちの花の使い方、デザインは同等です。

 ただ、彼等の文化の立場が異なっているだけなのです。
つまり、縦軸はその文化圏で花をどうみるか、という文化軸とも言えるものです。横軸は造形法ですから科学的軸といえるでしょう。

 そこを理解して頂けますと、例えば、いけばな人はその特殊構成理論立場を変えることなく、、さまざまなデザインをいけることが出来ます。

 そして、文化の好みから、放棄するデザインというのもでてくるでしょう。

 たとえば、かっちりした幾何学デザインは製作可能でもあえてしないという主張をもちます。それをすると、「いけばな」の本来的良さが失われるからです。

 ウエスタンデザイナーは4つの花の分類法でもって、横軸を行き来しすることによって、装飾的から自然的作品をつくりあげます。

 ヨーロピアンデザイナーは細かい花の見方によって緻密なデザインの完成をめざすでしょう。

 問題は、特殊構成理論立場を変えずに。。。と、いうことは、自分が属するあるいは学ぼうとしている文化を尊重していこうと言うことなんです。

 僕の造形表のように、なんでもかんでもオールラウンドに網羅したものは実際の作業の中では混乱するかもしれませんね。

 デザインは時代によって流行がありますが、全てが画一的にならず、自分の基点をはっきりさせたうえで、そこから構造主義で花造形を考えてみてください。きっと、ひとりひとりが顔がちがうように、世界観、考え方が違うように、個性的な花造形論が出来あがると思います。

あー、図を入れようとしたら、「画像1はJPG形式にして下さい」とでてしまった。
やり方忘れたので、図は後ね。ごめんなさーい。










コメント(2)

お願いします。小見出しを付けて、ナンバーをつけると頂くと読みやすくなるのですが。

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