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お下書房コミュの合戦12  夢の源 

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出て行った義仲を追いかけて、
源さんも本殿から立ち去った。

彼は退室の間際に
玉座に立ち上がった頼朝に振り返り、
「彼は何をするかわからない男です。
私がついていなければ」
と言って本殿を後にした。

俺はその光景を見ながら、
義仲と源さんとの関係に頭をめぐらせた。

義仲は確かに性格が荒々しく、
気に入らない奴にはどんどん喧嘩を売るタイプのようだ。
実際、この俺にも奴は突っかかってきた。

自分に相当な自信があるのだろう。
そうでなければ、
リーゼント頭に革ジャンという
明らかに怖そうな姿の俺に喧嘩を挑もうとはしない。

まあ、この俺が奴のような
モヒカンパンク野郎に負けることなど
まずありえないであろうが。

義仲の周囲に対する態度も尊大であった。
同じレベルの源氏武将である
義経やジャクソンに対しても、
彼は決して譲ろうとしない。

先ほどの戦闘でも、
義仲は向かい来る平家軍団をたった一人で迎え撃とうとした。


「義仲、オマエヒトリデハ奴ラニカナワナイ!」
ジャクソンが飛び出そうとした義仲をとめる。

「ここは皆で力を合わせないとだめだよ!」
ジャクソンの肩の上に乗った義経も、
彼を制しようと言葉をかける。

「うるせえ!義経も弁慶も黙っていやがれ!
おめーらの力なんかいらねえ!」
そう叫んで、
義仲は平家軍団に単身切り込んでいった。

いや、一人ではない。
源さんもビームサーベルを振りかぶって
平家の軍勢に駆けていった。

何も言わず、
ただ義仲に付き従うように。

「ドウシヨウモナイナアイツハ・・・」
ジャクソンがため息をついた。
「兼平もよくあんな奴に付き合ってるよ!」
義経も肩の上でかぶりを振った。

「まあ俺らも行くしかあるめえ」
俺も義仲のチームワークのなさにあきれたが、
今はそんなことを言っている場合ではない。
平家の軍勢は、もう目の前だ。

俺とジャクソンと義経は、
駆け出した義仲についていった。


傍若無尽な義仲。
そして影のように彼に付き従う兼平の源さん。

俺は二人の関係に興味を持った。
俺とヤンさんのように危うい関係なのだろうか。

ウホッ!


ここは先ほどまで戦闘状態にあった
カーマ=クーラの街。
裏方の人たちが必死に崩壊した街の
復旧に右往左往している。

倒れ伏す源氏と平家の兵たち。
彼らがのそのそと起き上がる。

「あー、平家の下っ端役も楽じゃねーよなー」
起き上がったうちの一人の兵士が、
背中を掻いて愚痴を言った。

倒れていたはずの彼らが次々と起き上がってくる。

「源氏のとこはいーよなーまだ味方側だから」
赤服の戦闘員が、
青服の源氏戦闘員に話しかけた。

「そんなことねーよ。下っ端役なんかどこも一緒だって」
源氏兵は手を振って言った。

「次の戦の現場に向かうか!」
平氏軍団も源氏軍団も、
仲良く笑いながら次の現場に向かう。
「今日これ終わったら飲み行こうぜ」
「いーね、クイッといくか!」


「為朝よ、そなたに話しておきたいことがある」
赤ら顔の頼朝は、
まさこママに作ってもらったウイスキーを手に持って
テーブルの向かいの席に座る俺に言った。

俺は緊張して、
「は、はぁ」
としか答えられなかった。

俺の隣に女の子がやってきた。
整った顔立ちの美しい女性だ。
少し気が強そうな雰囲気があった。

「こんばんわ、ともえでーす!あら、あなた見ない顔ね」
横に座った彼女は、
俺の目をまっすぐに見て言った。
俺は緊張してまともに彼女の顔が見られない。

「グレサンダ。オレタチノアタラシイ味方ダ」
ジャクソンはニカっと笑って、
ともえに言った。

彼女が俺を見て笑う。
俺は目も合わせられない。

ジャクソンの隣にも長い髪の美しい女性がついていた。
「あなたこういうところ初めて?私は夕張。よろしくね」
彼女はそう言って笑った。

俺は「はぁ」とうなづいて頭をさげた。

ヤンさんは席の両隣に女の子をはべらせ、
今まで俺と旅してきた夢の話をきかせていた。

「ヤンちゃんすごーい!
わたしも色んなところに行きたいなあー」
まだ若いが化粧が濃い目の女の子が、
目をぱちくりさせてヤンさんに言った。

ヤンさんは顔をでれでれにして言った。
「ええで!どこでも連れてったるわ!
がははははははははははははは!」

さすがヤンさん。
こういうところによく来ているだけあって、
さすが女の子の扱いがうまい。

周りの頼朝や義経たちも、
彼の話に興味津々のようである。
そしてヤンさんの言うジョークに、
一同どはははと笑い出す。

しかし俺は話に取り残されて、
席にうずくまっていた。

隣のともえちゃんも、
ヤンさんの話に笑いながらも
俺にウイスキーを作ってくれる。

「どう、楽しい?」
彼女が俺に笑顔で言う。
「は、はい・・・」
俺は赤くなって言った。

早く酔ってしまいたかった。

そして頼朝が俺に顔を向け、
話しだしたのである。

源氏の、宿命について。

そして、彼の途方もない
計画について。

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