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お下書房コミュの合戦9  夢の源

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炎に包まれたカーマ=クーラ。
階段の下の街では、
阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっているはずだった。

「くっそう、平氏の奴らめ!
戦局が不利だと見て、捨て身の攻勢に出おったな!」
頼朝が歯がみをしながら、
眼下の燃える街を見て言った。

「誰カ、誰カ戦ッテイル奴ハイナイノカ!?」
ジャクソンが立ちすくむ範頼に言った。

「さくぬーっ!下では義仲と今井兼平、
あと義経たちの軍勢が平氏の奴らを迎え撃ってるよう!
でも奴ら、多すぎてこっちはちんちぺいだよ!」
範頼はほとんど泣きそうになりながら言った。

「そうか!では弁慶!お前も行け!」
頼朝がジャクソンに向かって言った。

「ワカッタ!」
ジャクソンが階段を駆け降りていこうとした。

「待て!」
声がしてジャクソンが振り返った。
「こんな長い階段降りてたら時間の無駄だぜ。
俺の夢想転心で一気に戦場にひとっ飛びだ」
俺は前に進み出て、
ジャクソンに近づいた。

「戦ッテクレルノカ!?」
ジャクソンが驚いて俺を見た。
俺は不敵な笑みでうなずいた。

「そうか!これはありがたい!では頼むぞ」
頼朝が俺たちの背後で言った。

ジャクソンも心強くなったようだ。
「助カル!マズハ武器庫二イク!オマエニアウ武器ヲカス」
俺はうなずいてジャクソンの手を握った。

そして俺とジャクソンの体が消えた。

頼朝がいやらしい笑みを浮かべて本殿に帰っていった。

ヤンさんはさっきから鼻糞をほじってぼーっとしていた。
彼には状況が飲み込めていないようだった。

範頼は二人が一瞬にして消えた事実を信じられないようで、
「さくぬーっ、こりゃちんちぺいだよ・・・」
と言って立ち尽くしていた。


「コレヲツカエ。アノ与一ノ愛用ノ銃ダ。
オマエナラ使イコナセソウダ」
俺が武器庫で、
ジャクソンに手渡されたこのガン。

見かけはボウガンのようだが、
気合いを入れると銃先からエネルギー弾が飛び出すと
ジャクソンに聞いた。

使い手の精神力によって、
弾丸の威力も違ってくるという。

「与一か・・・」
俺はガンを手に持ち、
わくわくしながらつぶやいた。

茄子の与一。
俺もその名は聞いたことがある。
だてに人の夢を旅していない。

有名な伝説であり、
誰かがその光景を夢見ていたのをおぼえていたのだ。


かつての平氏との水上船で、
平氏が戦いの前に小さな船を源氏側に寄せた。
扇をかかげそれを打ち落とせるか源氏に挑発をする。
名乗り出たのは茄子の与一という男。

彼は寄せた小船に船を漕いで行き、
弓を身構えた。
源氏の軍勢も平氏の軍勢も、
息を飲んで見守る。
あたりは静寂に包まれた。

ひゅっ。
与一の放った弓は、
みごと扇を貫いた。
らせんを描き、
はらりはらりと落ちてゆく扇。

途端に互いの軍勢が大歓声をあげた。
静寂から喧騒へ。
そして戦いは源氏の勝利に終わった。


その伝説になぞらえたこの命中率最高の武器。
俺はこれを握り締めてわなわなと震えた。

ジャクソンは薙刀を手に取り、
「オレニハコイツガ一番ダ」
と言ってニカッと笑った。

「行くか」
俺はジャクソンの手を握り、
武器庫から姿を消した。

俺は手を握った瞬間に思っていた。
ジャクソンの手は冷たくて固い。
さすが歴戦の猛者だ。


移動先は既に戦場であった。
青服の源氏軍と、
赤服の平氏軍が入り乱れて戦っていた。

飛びかう銃声。
駆け回る男たちの叫び声。

平和だったカーマ=クーラの街が一瞬にして戦場と化す。

市民は既にどこかに避難しているようだ。
そのほうが暴れられる。

まず初めに飛び出したのはジャクソンだった。

目の前の赤服の集まるところへ
薙刀を振り回して突っ込んでいく。

赤服たちがジャクソンに向かって一斉に射撃する。
「イタクナーイ!」
彼は赤服の中に飛び込んで、
奴らを次々になぎ倒してゆく。

その強さは、さすがである。

俺も銃を構えた。
ジャクソンの援護射撃だ。
この銃は精神力を弾丸に変えて打つ。
「くらえこのやろー!!」
俺は引き金を引いた。

ぼわっ。

銃先から巨大なエネルギー弾が飛び出した。

巨大なエネルギー弾は赤服たちと
ジャクソンもろとも吹き飛ばしてしまった。

「え、うそ!?」

俺はスコープから顔を上げた。
やりすぎだ。
命中率もくそもあったもんじゃない!

弾丸の発射されたあたりは吹き飛び、
そこらに赤服たちが倒れていた。
ジャクソンはどうなった!?
俺は額から汗を流した。

立ちこめる煙の中から灰に塗れたジャクソンの姿が現れた。
「オマエ・・・スゴイナ!」

彼は笑顔で薙刀を携えて、
立ち上がったまま俺言った。

あんなでかいエネルギー弾でもビクともしない
あんたの方がすごいよジャクソン!
俺はそう思いつつも、
「ごめんジャクソン!まさかここまで強力な武器だとは!」
と言って謝って彼のもとに駆け寄った。

向こうで響く鬨の声。
「義経タチダ!」
ジャクソンがそう言って声のするほうに駆けてゆく。
俺も彼を追い掛ける。

喚声のあがる方に辿り着くと、
青服と赤服の奴らが入り交じって肉弾戦が始まっていた。

「弁慶、助けてよ!」
出ッ歯の小男が泣きそうな顔で、
飛び掛かる赤服たちを
ビームサーベルで何とかなぎ倒しながら、
駆け寄ってきたジャクソンに助けを求めた。

「義経、ダイジョウブカ!」
ジャクソンがすぐさま駆け寄り、
ちっこい義経を抱き上げて肩の上に乗せた。

ジャクソンの肩の上に乗った彼は急に強気になり、
「お前らなんか、弁慶が来たらザコ同然さ!」
と赤服たちにわめいた。

「行くぞ!牛若タイフーン!」
肩のうえの義経が笛を取り出して吹くと、
ジャクソンの胸が開いた。
そしてミサイルが飛び出して、
あたりの赤服達をすべて吹っ飛ばした。

肩のうえの義経は鼻をすすって、
「弁慶は僕の最高傑作さ!」
と言ってはしゃいだ。

俺は少し離れたところで驚いた。
ジャクソンが義経の生み出した
超合金のアンドロイドだったなんて!

あんな素敵な笑顔を見せるアンドロイド。
・・・ありか?

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