2曲目はYou Don't Know What Love Is。これも中間部にラテン・リズムを取り入れて盛り上がる、おもしろい展開。このバンドは、リーダーの合図に応じて瞬時にどんな方向にも転換できる、息の合った柔軟性を備えていると思う。
3曲目でヴォーカリーズが登場。題材はマイルス・デイヴィス・クインテットの、アルバム'Round About Midnightに収録されているBye Bye Blackbirdである。マイルス・デイヴィスのミュート・トランペットによるソロにはジョン・ヘンドリックスが書いた歌詞をのせ、それに続くジョン・コルトレーンのソロはスキャットで、完璧に唄いきってしまったから驚いた。CDである程度聴いているとはいえ、コルトレーンのヴォーカリーズを目の前でやられるのは、やっぱり違うのである。しかも、家に帰ってCDを聴いてわかったのだが、エリングはコルトレーンのソロをただなぞっただけではなく、その後、さらに強烈なアドリブのスキャットに突入していたようだ^^;。
Stairway to the Starsでため息が出るほど美しいバラードを聴かせた後、ステージはコルトレーンのResolutionでクライマックスを迎えた。そう、アノ、名作Love Supreme(至上の愛)に収録されているResolution(決意)である! 火傷しそうに熱いコルトレーンのソロに、自ら歌詞をつけて唄ってしまうという離れ業。エリングの最新CD、Man in the Airにも収録されているから、信じられない方はそれを聴いてもらえばいいのだが、このステージでの演奏・歌唱はCDよりもずっとエキサイティングだったことをつけ加えておこう。