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五つ星の本のみを紹介しあう会コミュのT.カポーティ『クリスマスの思い出』

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村上春樹訳

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両親と離れ親戚のもとで暮らす7歳の僕と、そのすごく遠縁のいとこである60歳の老女。彼女の心は小さな子供のままで二人は無二の親友だ。
そんな二人のクリスマスのお話。
これはカポーティー自身の子供時代の物語(のはず)。

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きらきら光る小さなガラスのかけらをつめた小さな宝物箱を開くような物語。
その中身は、再び取り戻すことができないもの、過ぎ去ってしまったものだからこそ、温かく美しく、そして哀しい。

クリスマスにはあまり思い入れはないのだけれど、正しくキリストを信じている人達のクリスマスの話はとても好きだ。全てのことにきちんと意味があって、何日も前から丁寧に準備をして迎えるクリスマス。
二人の共有するたくさんの大切な決まりごとは、大人達から見ると取るに足らないことばかりで、二人は周りからすっかりほうっておかれているのだけれど、二人は満ち足りている。
二人だけの中にある、特別で小さな美しいクリスマス。
そして、全てが過ぎ去っていったもの。

子供は自分のまわりに起ること全てに対して為す術を持たない。
そしてどんなに理不尽なことが起っても、それに対して憤るということを知らない。
カポーティーが子供のイノセンスをここまで完璧に表現していることに驚く。
春樹さんは次のように書いている。

***
(訳者あとがきより)
そのイノセンスは無垢な少年としてのバディー、世間からは外れてしまった童女のような六十歳のスック、そして犬のクイーニーという三者によって形成されたサークルの中にひっそりと維持されている。彼ら三人(二人と一匹)は誰もが弱者であり、貧しく、孤立している。しかし彼らには世界の美しさや、人の抱く自然な情愛や、生の本来の輝きを理解することができる。そしてそのような美しさや暖かさや輝きが頂点に達して、何の曇りもなく結晶するのが、このクリスマスの季節なのだ。
 そのような種類のイノセンスは、多かれ少なかれ誰の少年期、少女期にもあるものだろうと思う。彼らを取り囲む外的な世界は幼い子供たちが理解し、あるいは対抗するにはあまりにも強大だから、彼らは自分たちだけの小さな別のミクロコスモスを作り上げてそこで生きていこうとする。ある場合には動物や老人たちがその仲間になる。誰にだってそういった経験はあるだろう。 しかし多くの人々は、成長するにしたがって、大人としての能力を身につけるにしたがって、そのような記憶を少しずつなくしていく。
 しかしカポーティーは成長したあとでも決してその思いを忘れなかった。忘れ去るにはそれはあまりにも鮮烈な体験であったし、そういう意味ではカポーティーは成長をしなかったのだ。
***
 
カポーティー短編集(村上春樹訳)『誕生日の子どもたち』の中にも収められている一編なのだけれど、これは山本容子さんの美しい銅版画と一緒に一冊の本となったものです。




『クリスマスの思い出』
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『誕生日の子供たち』もとてもいいです。
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コメント(2)

カポーティーの作品の中で、一番好きなのは『ティファニーで朝食を』です。映画よりいいです。二番目は『クリスマスの思い出』です。深く感動させて、泣いてしまいました。
はじめまして。2日前にこのサイトに登録した初心者です。

どうぞ、よろしくお願いします。

カポーティでは「クリスマスの思い出」と「ダイヤのギター」が、大好きです!

叙情的で、透明な冬の空気の感じがして、ちょっぴり切なくなって・・

登場人物の心は、キラキラふるえる露のように繊細で・・

季節の空気感が好きです。

「クリスマスの思い出」」「ダイヤのギター」がお好きな方、是非、声をかけてください

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