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クトゥルー神話創作小説同盟コミュの闇島奇譚?怪異の潜む島(第十五回)

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 「三郎さん、待って!」走り出そうとした三郎を、小夜子が止める。「まだ危険です。ヴーゾムファ様が離れきっていなければ、降りて行った途端に戻って来て餌食にされてしまううかも知れません」と言う。昼子が「昏子(くらこ)、風太(ふうた)さんたちを連れて下へ行って」と言うと、「今は孝作じゃ。風太の姿をした者は昼島におる」と薫子が口にする。孝作の姿をしたショゴス三体を連れて、すぐに昏子は石段を上がり始めた。祠から降りる積りだ。「待ってくれ。もしヴーゾムファが戻って来たら、昏子さんはどうなるんだ」と慌てて三郎が言うと、昼子は少し顔を曇らせて答えた。「昏子は、ヴーゾムファ様にもう襲われる事はありません」もう?その言い方が引っかかったが、昼子はそれよりも「夜子が気になります」とだけ言った。
 暫くして、昏子だけが戻って来ると真っ直ぐに昼子の所へ行って何事か囁いた。すると、頷いて昼子は昏子と共に行こうとする。三郎はもう我慢出来無かった。「みんなはどうなったんです?」何故、誰も下の様子を気にしないのかと見回しながら叫ぶように疑問を発したのだが、誰も口を開こうとしなかった。薫子は勿論、小夜子も他の巫女たちも、村長を含めた村の人々も、眼を伏せて何も尋ねようとしなかった。三郎には、敢えてみながその事を避けているように想えた。答えたのは昼子だった。振り向かずに「わたくしは夜子の手当てに参ります。様子が気になるのなら、三郎さまもいらして下さい。でも、何もなさらないで下さい」と言う。判った、と三郎が言いかけた時、「わたしも降ります」と小夜子が口にし、三郎の横に並んだ。
 螺旋道では、巫女たちの速度に追い付けず、三郎だけが遅れてしまった。それにしても凄い、と三郎は想った。巫女たちの足取りがだ。三郎も、情報関係の役目にあるとは言っても軍の演習には参加している。夜間、足場の悪い所での演習や行軍も経験しているのだが、巫女たちに、どんどん引き離されて行ってしまったのだ。三郎が角灯(ランタン)を手にしている以外、誰も灯りを携えていないのに。昼子は灯りの有無には左右されないだろうが、小夜子と昏子も一向に気にしていない様子だった。慣れているのだろうが、それにしてもこの足場でこの速度は、三人共、超人的だった。これも巫女としての修行の成果なのだろうか、と三郎は想った。もしかすると、グレート・オールド・ワンたちが巫女たちに何らかの形で力を貸しているのではないだろうか、とも疑っていた。今となっては、ヴーゾムファもグレート・オールド・ワンの一員である事を三郎は疑っていなかった。
 三郎が洞穴を出た時には、孝作の姿をした三体のショゴスがこちらへやって来るところだった。三体共、肩に何か担いでいる。良く見ると、それは人だった。最初のショゴスが担いでいるのは松らしかった。全裸の女で顔は見えなかったものの、身体つきがふくよかな大人の女で、お松以外には考えられなかった。二番目のショゴスが担いでいるのは男だが水に濡れている様子は無かったので、勝四郎なのだな、と三郎は想った。そして三番目のショゴスも又、担いでいるのは男だった。但し、着ている物はびしょびしょで、海水が滴り落ちている。それを見て三郎は、ハッ、とした。「安達っ!安達少尉っ!」想わず三郎は叫んでいた。気が付くと、おのれが濡れるのをまるで意識していない様子で肩に男を担いで進むショゴスの前へ行き、「下ろせ!そこへ寝かせるんだ!」と命令していた。ショゴスが岩場の上に寝かた男の顔を覗き込んで矢張り安達少尉だと知った三郎は、すぐに彼の右胸に耳を当てた。心臓は完全に止まっていた。三郎はその場で蘇生を試みた。軍で叩き込まれた救命法を懸命に実践する。
 「何をなさっているのです?」不意に声をかけられて三郎が気が付くと、小夜子が立っていた。小夜子は左肩を、曙子(あきこ)か朝子か夜子か三人の内の一人に貸していた。意識はあるらしいのだが、全身からぐったりと力が抜け、知性の乏しそうな表情から曙子か朝子のどちらかだろうと三郎は判断した。そして言った。「頼む、何とかしてくれ!僕の友人なんだ、助けたいんだ!」だが、小夜子は哀しげに眼を伏せると首を左右に振った。「無理です。既に亡くなられておいでです」小夜子はきっぱりと宣告した。三郎はやりきれない想いでかつて友人だった男の顔を見ていたが、横に佇んでいたショゴスに向かって「彼を抱え上げろ。丁重にな」と命令した。そこで安達の遺体は恭しく運ばれて行った。安達を運ぶショゴスを見つめていた三郎は、物音に振り返った。祭壇の方から昏子が戻って来るところだった。昏子の右肩に寄り添うようにしてふらつく足取りで歩む同じ顔の娘が、三郎の方を見て「ああ、さぶろおさみゃあ・・・」と力無く、だが明るく呼びかけて来る。どうやら曙子らしいな、と三郎は想った。そして、昼子の姿が見えない事に気が付いた。何かあったのか?三郎は反射的に辺りを見廻していた。すると三郎の様子から訊きたい事が判ったのだろう。「昼子さんなら、夜子さんの手当てをしています」と小夜子が横から言う。「夜子さんはどうしたんだ」「殿方には見て頂きたくない状態だそうです。でも、暫くすれば回復するでしょう。ただ・・・」小夜子は意味ありげにおのれの左肩を眺め、それから昏子の右隣を見やって、「・・・この人たちみたいにならなければ良いのですが」と呟くように言った。「で、昼子さんと夜子さんは何処に?」「祭壇の向こうの陰に居ます」三郎の所からでは見えなかった。三郎は暗い海を見つめた。暗く不気味な海を。その海の何処かに、或いは遥か遠くに、或いはすぐ近くに、グレート・オールド・ワンのヴーゾムファは潜んでいるのだ。
 「三郎さん、行きましょう」と小夜子に声をかけられて、三郎は、ハッ、とした。気が付くと、小夜子の肩に、もう朝子は居なかった。螺旋道の洞穴に向かって、素っ裸の娘が酔ったような、しかし何処かしっかりした感じでひょこひょこ歩いて行くのが見えた。おそらく曙子だろう。その後ろを、昏子だろう、巫女姿の娘が矢張り素っ裸の娘の腕を掴んで引っ張って歩いて行くのが見える。引っ張られているのは朝子だろうが、本当に心許ない感じの足取りでふらふらしている。「昼子さんと夜子さんは・・・」「昼子さんが居れば大丈夫です。三郎さんが、ここで出来る事は何も出来ませんよ」そこ迄言われてしまっては、この場に愚図愚図している訳にも行かなかった。
 「三郎さん・・・」螺旋道を上っている途中、三郎は小夜子に袖を引かれて立ち止まった。振り向いて、何ですかと問おうとした口がいきなり熱く柔らかなものに塞がれてしまい、三郎は軽い眩暈のような、或いは心地良い酩酊のような感覚に襲われて呆然とした。今のは・・・小夜子は何事も無かったように先に立って歩き出し、どのような表情でいるのか三郎には判らなかった。だが、今のは小夜子の唇だった。小夜子の唇から熱い吐息が三郎の口中に注ぎ込まれ、小夜子が唇を離す時、確かに囁いたのだ。お慕い申しております・・・と。
 その夜、三郎はずっと呆けたままだった。もっとも館の住人たちも薫子をはじめ、みなその晩は押し黙ったままだった。口を開く事自体が罪悪のようなそんな雰囲気に支配され、逆に三郎にとっては都合が良かった。
 その夜、床の間を見ると、矢張り壺は置かれている。一度、誰かにこの壺の事をきちんと尋ねてみようと想いながら床に入った三郎は、しかし眠れなかった。悩んでいたのだ。三郎を悩ませていたのは罪悪感だった。螺旋道を出てから館に戻って来る迄の間、三郎の脳裏を占めていたのは、夜子の身を案じる事でも友人だった安達少尉の死を悼む事でも無く、小夜子の事だった。あれは、矢張り告白だったのだろう。あまりに頓狂な行為だったが、彼女なりに態度を示したかったのだろう。少なくとも、夜、忍んで来ないだけ増しだったと想うべきかも知れなかった。そんな事を考えながら悶々としていると、障子が開いて誰かが廊下から入って来た。身を起こし、昼子さん?と呼びかけると、はい、と返事があった。昼子は全裸だった。廊下で着物を脱ぎ捨てて来たらしい。「夜子さんは大丈夫なの?」もう回復しました、心配いりません、と言う返事と共に昼子は慣れた仕草で三郎に絡み付いて来た。「待ってくれ」三郎は慌てて昼子を押しとどめた。そして、どうしたのかと不審げに尋ねる昼子に、「君が真面目なのは判っているが、こんな大変な日くらい休んでくれても良いんだ」と言ったのだが、途端に昼子は不機嫌そうになった。「わたしの仰せ付かったお役目は最初の日だけですわ」
 え?と三郎は首を傾げ、では何故、毎日毎日訪ねて来てくれたのだと問うと、「三郎さまはどうして毎晩、わたくしを抱いて下さいましたの?」と昼子は逆に問う。仕方無しに三郎は、「男とはそういうものなんだ。女性を抱くと気持ち良く感じるのだよ」と答えた。すると昼子は笑って、「女だって同じですわ。わたくしは最初の日に三郎さまに抱かれて気持ち良かったのです。それで、この方に毎日、抱かれたいと想って通い続けていたのです」三郎は愕然とした。まさか女にも男みたいに欲望が備わっているなどとは想いもよらず、又、男同士ですら親しい者同士の間でなければ口にし辛いような品の無い事を、いきなりこんな少女の口から伝えられたのだ。三郎が乗り気になれないでいるのに気が付くと、昼子は漸く身を離して「三郎さま、ご心配には及びません。わたくしが、毎晩ここに来ている事はみなさんご存知ですから。それと、小夜子さまと張り合おうなどとも想っておりませんから」と言うので、「それはどういう・・・?」と、想わず三郎は尋ねていた。「だって、三郎さまはいずれ差横さまと結ばれるお方ですから」「待ってくれ!誰がそんな事を決めたんだ?」「小夜子さまが、三郎さまを気に入られたものですから」「では小夜子さんが、もし、僕と君の事を知ったら・・・」「いえ。既にご存知です。小夜子さまは、わたくしの三郎さまへの執着が、三郎さまに与えて頂ける肉の悦びにだけあると言う事をご存知ですから」そして、昼子は毒気を抜かれたような三郎を残して表へ去って行った。
 翌朝、三郎は寝坊し、お志世の声に起こされた。これが昼子だったら抱き付いて起こそうとするだろうな、とぼんやりした頭で想いながら三郎は身を起こした。そして、ふと、床の間を見やって、おや、と想った。昨晩あった筈の壺が無かったのだ。「お志世、お前、いや、知らないだろうな、あそこに壺があったのだが」「存じません。どんな壺ですか?」「先日もお前に尋ねたと想ったが」「はい。でも、見た事がありませんので」薫子に訊いてみようかと想って三郎は外に出た。昨晩の祭壇の所まで行ってみようかと想ったが、祠の前で灯りを用意していない事に気が付き、灯り無しで螺旋道を歩く気にはなれず、上から祭壇の辺りが見える所へ行こうと反対の石段を降りる事にした。降りてみると、既に柵の前には人影があった。村長だった。どちらからともなく挨拶をかわすと、村長は淡々と語り出した。「わしには兄が居た。十一も歳の離れた兄じゃった。頭の良い兄でなあ。後で人伝(ひとづて)に聞いた事では、子供のうちから何処で知ったのか、尊皇攘夷など駄目だ、これからは海外に出て行かなければ、などと言っておったそうじゃ。その兄は村長を継ぐのを嫌がってな、明日の日本の為におのれを役立てたいと言い、村長なんぞ弟のわしに任せろと言って、飛び出して行きおった。まだ物事の良く判らん子供じゃったわしは、兄のわしを見下したような物言いが気に障ったが、それだけじゃった。兄が居なくなり、次の村長になるべく、わしは育てられた。外から来なすったあんたにはどう映っているか判らんが、わしはこの島が好きじゃ。外を知らず外の事に興味の無いわしにとっては、ここは実に良い島なんじゃ。じゃが、ある時、兄の嫁だと言う女が一人の男の子を連れて来たんじゃ。勝雄と言うその子は兄の子供で、兄は戦で死んでおった。本土へ渡っても働き先を見つけられんかった兄は昼飯を食わして貰えるとかで、軍に入ったんじゃ。今では、みな昼飯を食う習慣の者が多くなっとるそうじゃが、あの頃は、昼にも飯を食うのかと驚いた者も多かったじゃろう。そして上官の信頼も厚く嫁を世話してもろうたんじゃ。ところが良い事は長続きせん。西郷と言う男が何が不満なのか叛乱を起こしおって、それを鎮めに行った戦で兄は西郷軍の銃弾に当たって死んでしもうておった。戦に赴く前に、兄は嫁に自分の留守中に生まれたら、男だったら勝雄、女だったら勝子と名を付けて欲しいと言っておったそうな。その後、頼る者も無く、嫁は夫の実家を頼って忘れ形見を連れて来たと言う訳じゃった。正直、わしらは困った。この島には余人には知られてならぬ事が有り過ぎる。じゃが、幸か不幸か、兄の嫁は着いた早々、ショゴスか姿を変えるのをたまたま見て気が狂ってしまい、崖から海に落ちて溺れ死んでしもうた。困ったのは残された子供の処置じゃつた。実はその女が来る直前、わしの嫁取りが決まっておって、結局、わし等夫婦が預かって育てる事になった。正直、最初は厄介じゃと想ったんじゃが、その内、情が移って来てな、本当に実の子のように感じ始めて行ったんじゃ。その後、わし等夫婦も子供に恵まれ三人も息子が出来た。じゃが、ある時、島に悪質な病が流行って何人も死んだ。あの子もその一人じゃった。ところが、あの子が死んだ直後に、わしの嫁が四人目の子を孕みおってな、これはあの子の生まれ代わりじゃと想うて勝の字を与え勝四郎としたのじゃが・・・」
 一息にそこ迄語り終えると、村長は遠い眼になった。「勝四郎と松には娘が一人おる。まだ物事の一切判らぬ子供じゃが、竹(たけ)は、わしが育てる事にしよう・・・」村長は、そこに三郎が居る事をまるで覚えていないかのように、石段を上って行った。三郎は少しの間、そこに佇んでいたが、置き去りにされたような何ともやりきれない気持ちをもやもやと抱えながら、やがて石段を上り始めた。
 三郎が部屋に戻り、床の間にある壺を眼にして、ああ、あるなと想った時だった。「大和!」と声がして奥の部屋の押入れの中から大木中尉と比企少尉が姿を現した。大木中尉は拳銃を手にしている。しかも今日は銃床を取り付けていた。ハッ、と三郎が後退しかけると表の廊下の所に見覚えのある男が姿を現した。確か大木の従者と言う男で、右手に仕込み杖を持っている。そう言えば、かつて大木が自分の従者は示現流の使い手だと自慢していた事があったなと、今になって三郎は想い出していた。「大和、あの化け物は何だ」と、大木は銃口を三郎に向けながら問う。三郎は勉めて冷静に答えた。「大木中尉、僕が報告する相手は君じゃない」だが、大木は「安達少尉まで殺されたんだ。真相を知らずに引き下がれるものか!」と言う。「だが、僕には答える事は出来ないんだ。それより、大体、君たちは何であんな所に居たんだ?」すると大木は「佐々木少尉に何があったのか調べていたのだ」と言う。「さあ話して貰うぞ。そうしなければ撃つ。僕は本気だ」血走った眼で大木は言う。彼は本気だ!三郎がそう想ったその時だった。「曲者です!みなさん来て下さいっ!」大きな声が辺り一面に響き渡った。お志世だ!だが、何処に?見ると床の間の近くにお志世は居た。いつ、この部屋に入って来たんだ?三郎がそう想った時、ふと、床の間に壺が見えない事に気が付いた。どういう事だ?お志世がいつの間にか現れた。壺がいつの間にか消え失せた。だが、三郎が考えていられる時間は、そうは無かった。「娘、黙れ!」大木が拳銃の先をお志世に向ける。「危ない、お志世!」咄嗟に三郎は射線に割り込むと背後にお志世を庇った。そしてお志世の身体を完全に自分の後ろに隠そうと彼女の腕に触れ、そこで、三郎はぎくりと身を震わせた。硬い?何だ、この硬さは?まるでショゴスが形を変えた風太に触れた時のような・・・三郎はおそるおそる振り向いた。おそらく、その時の三郎は恐怖の表情を浮かべていたのたろう。それだけで大木は全てを悟ったらしかった。「成る程、大和、お前も騙されていたのだな。その娘も化け物だったのだな」
 「大和さま?」お志世は三郎に無邪気な表情を向ける。三郎は想わずあとずさった。途端に銃声が轟く。大木が狙いを付けて撃ったのだ。だが、弾丸が腹部を貫いた筈なのに、お志世は平然と立っている。大木がもう一発撃ったが、この時になってお志世は動いた。凄い速さだった。大木が至近距離から放った必殺の銃弾は完全に外され、そればかりか大木が弾を外されたと気が付いた時には、お志世は大木の前に立ち、片手で銃床を握っていた。次の瞬間、銃床は細かな木片と化して畳の上に散乱した。大木が尻餅を付くようにして、それでも右手は拳銃を握ったまま、後方へ退いたのと、廊下から大木の従者が飛び込んで来るのと、ほぼ同時だった。従者は抜刀していた。「化け物っ!」仕込みの刀がお志世の頭めがけて真上から振り下ろされる。だが、倒れたのは従者の方だった。そのまま、どう、と仰向けに倒れ、腹部から盛大に血しぶきを上げていた。一眼で致命傷と判った。従者はお志世の頭を真っ二つにする前に倒されていた。その場に無表情に佇むお志世の腹部から槍のような角のような尖った物が突き出していた。従者の腹を抉った凶器がそれだった。大木が悲鳴を上げた。比企は既に廊下から表へ転がるように飛び出して、逃亡した後だった。だが、大木は悲鳴を上げながらも発砲した。途端にお志世の頭が吹き飛ぶ。すると、お志世の全身がぐずぐずと溶けながら虹色に輝き出した。虹色の粘液状の物体は畳の上に溜まったかと想うと、てっぺんの部分だけ膨らみ始めた。その膨らみは球形を取ると、眼、鼻、口などを表面に浮かび上がらせていく。そして、再びお志世の頭の形をしたものが虹色の輝きに包まれて出現していた。その口からは「テケリ・リ、テケリ・リ・・・」と言う啼き声のような音が漏れ出ていた。


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