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藤富保男コミュの藤富保男さん『詩の窓』第1回――言語をこわすのは言語の機能を多次元的にするためであるーー殿岡秀秋筆

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藤富保男さん『詩の窓』第1回――

藤富保男『詩の窓』(思潮社2011年12月25日発行)より
引用は特にことわりのないかぎり本書からです。


藤富保男さん『詩の窓』第1回――1−1「魔ダダ模様」より


★言語をこわすのは言語の機能を多次元的にするためである

☆はじめに
藤富保男さんの『詩の窓』は「魔ダダ模様」から始まります。ダダイズムについて書いた文章です。
 藤富保男さんとぼくの詩風はまるで違います。ぼくが求める「思考する詩」の対極にあるのが藤富保男さんの詩です。しかし、今回出版されたばかりの『詩の窓』で、まとまっているエッセーから、藤富保男さんの位置どりが見えるかもしれません。それはぼくの詩を対極から照射してくれることになるかもしれません。そういう思いからぼくのメルマガやブログにしばらくの間、連載してみることにいたしました。


◎「ルーマニアはもともと東欧諸国のなかでは唯一のラテン系の言語を使う国である。しかし、たとえばYesのことはsiではない。ハンス・リヒターによると1916年8月半ばに、ふたりのルーマニア人、トリスタン・ツァラとマルセル・ヤンコ(ルーマニア語では、マルチェル・ジャンコが正しい)が、たがいに「ダ・ダ・」を連発していたという記事がある。これだ、とぼくは思った。ルーマニア語はYesのことを「ダ」と言う。――中略――とにかく二人は何の話をして、Yesとうなずいたかは知るよしもない。けれども快諾したことには間違いはない。このYesのサインが、後に破壊と拒否のサインを示すダダに変化したことは、このダダイズムの最大の諧謔と言ってもよい。これはぼくの勝手な想像であるが、本当はこれだと思っている。」(14頁)

☆事典より
 ここでダダイズムを事典で確認しておきましょう。
 ダダイスム(Dada?sme)とは、1910年代半ばに起こった芸術思想・芸術運動のことである。単にダダとも。第一次世界大戦に対する抵抗やそれによってもたらされた虚無を根底に持っており、既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想を大きな特徴とする。ダダイスムに属する芸術家たちをダダイストとよぶ。

◎「庭の鳥を見ている虚脱感、あるいは自己苦悩、あるいはセーヌ河で息子と並んで立小便をした辻潤的ダダイズムにぼくは説明のつかない憧れをもったのも事実である。
 ぼくがのちに、言語をこわすようになったのは、実は言語をこわすためにこわしたのではないし、無意味にこわしたのでもない。言語の機能を多角的に、あるいは次元を多くできないかと思ってしたことである。
 しかし、文学とか芸術とか(ずい分キザッポイ言葉であるが)いう世界では、底辺にはドロリズムのような苦痛と懊悩、ダダイズムのような拒否と破壊の心がダークグリーンの縞のようにあるものだと確信している。またこういう感情の動きを知らないと情感が欠如していると言ってもよい。」(23頁)

☆事典から
辻潤=辻 潤(つじ じゅん、1884年10月4日 - 1944年11月24日?)は、日本の翻訳家、思想家である。日本におけるダダイズムの中心的人物の一人とされる。画家、詩人の辻まことは長男である

☆comment
 藤富保男さんの「魔ダダ模様」については、2008年の5月12日のブログで、ぼくは解説しています。それからもう4年が過ぎました。
 ぼくの視点がそのころと変わったところは、藤富保男さんが言語を軸に詩を考えていることに注目していることです。
「ぼくがのちに、言語をこわすようになったのは、実は言語をこわすためにこわしたのではないし、無意味にこわしたのでもない。言語の機能を多角的に、あるいは次元を多くできないかと思ってしたことである。」
 というところに、藤富保男さんが詩に臨む姿勢の核を見出したのです。その精神の奥底にあるのは虚脱感、あるいは自己苦悩、拒否と破壊の心がダークグリーンの縞のようにあることは間違いないようです。
 しかし、藤富保男さんはその姿を言語の表面の意味に見せないようにして」います。言語を多角的、多次元的に使う奥に、それらは潜ませているのです。その複雑な陰影を、これからこの連載で読み解くことができるでしょうか。


(この項つづく)


(http://blogs.dion.ne.jp/poem_and_fantasy/=詩とファンタジーのレシピ)

(http://plaza.rakuten.co.jp/poetry2005/=詩を作る楽しみ)

(メールマガジン「詩を作る楽しみ」2012年2月4日号よりhttp://www.mag2.com/m/0000163957.html)

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