ＦＥ聖戦の系譜　長編小説コミュの第16章　開拓村の希望の光

開拓村は５〜６の集落より成り立っており、広大な森の各地にそれら集落が点在している。

シグルドが村を救出するために北方へ向かっている頃、アンフォニー城の近くの村はすでに兵士や山賊達によって侵略をされ始めていたが
幸運なことに森の奥地に位置する村へはまだ彼ら侵略者の手は伸びていなかった。

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開拓村の集落の一つに大きな酒場がある。
ここには今、かわいい踊り子が滞在しており、村の雰囲気を和ませている。

「ね〜ぇレヴィン。もう一曲♪」
踊り子風の女性が緑色の髪を揺らして言う。
彼女の名はシルヴィアと言う。
現在、この付近の開拓村に旅芸人の一座が訪れており、踊り子や芸達者な物達が各集落に散ってその芸を集落の民達に披露していた。
シルヴィアはその一座のメンバーの一人であった。

「俺はお前の一座の者でもなんでもないんだが・・・・・
それにしても、おまえ本当に踊るのが好きなんだな。」
と言うのは、シルヴィアと同じ緑の髪をもつ男性。
頭にはバンダナを巻き、その手には横笛が携えられている。
彼の名はレヴィンと言った。
一見、シルヴィアと同じような旅芸人に見えそうではあるが、彼はシルヴィア達一座の者ではない。

「いいじゃぁ〜ん。レヴィンの笛って今まで聴いたことがないくらい素敵なんだもん。
こんな音色を聞いたら、踊らずになんていられないでしょ。
そうだ！レヴィンもうちらの仲間になっちゃいなよ！」
シルヴィアが声を弾ませる。

「じょ・・・・・冗談じゃないよ！俺は詩人なの！無理無理！」
レヴィンが苦笑いをする。

そんな漫才のようなやり取りをし、シルヴィアの頼みに根負けしたレヴィンがもう一度笛を手に取り、シルヴィアが踊り始めたその時に事件は起こった。

「た・・・・・大変だ！！」
酒場の入り口から突然男が駆け込んできた。
それに驚かされたレヴィンとシルヴィアも笛と踊りの手を休める。

「なんだよ。そんなに慌てて。」
酒場にいた別の男性が駆け込んできた男に声をかける。

「山賊が出たんだよ。山賊！おまけにマッキリーのマクベス関係の兵もいやがった。
城の近くにある北方の集落はすでにやられちまった。どうやらやつらの狙いは村にある開拓資金らしい。
時期にここにも来る！早く逃げないと！」
男の声に店の中がにわかにざわつき始める。


「アグスティの連中に助けを求めればいいじゃないか。
この国には・・・・なんだっけ。クロス・・・ナイツとかなんとか言う強い騎士がいるって有名じゃないか。」
レヴィンが口を開く。


「とんでもない！アグスティのシャガール王は民のことなんかこれっぽっちも考えちゃくれない！
やつが考えているのは自分のことだけさ！
マクベスもほかの連中もみんな同じさ。
・・・・確かに、そんな中、エルトシャン様だけは俺達に優しかった。
エルトシャン様お抱えのクロスナイツも正と義に準じた騎士達だが・・・・その頼みのエルトシャン様はシャガールに幽閉されているし・・・」
酒場の男が悔しそうな顔をする。


「・・・・・・なるほど。どこの国でも偉いやつって言うのは自己中心的だな。反吐が出る。」
レヴィンが笛を机の上において立ち上がる。
そのまま酒場の出口付近にいる男に話しかける。

「・・・・で、その山賊っていうのは、どの辺にいるんだい？」

「兄さん、あんたまさか・・・・」

「この国の王様達はあてにならないんだろ？
このままここにいてもどうしようもないだろうし。
だから、俺がちょ〜っと何とかしてやるよ。」
レヴィンが”にっ”と笑いながら言う。

「はいはいは〜い。私も行く〜♪」
シルヴィアがレヴィンの後を追いかける。

「おいおい。遊びじゃないんだぞ。女の子はおとなしくここでまってたほうがいいぜ。」
レヴィンがシルヴィアに言う。

「いいじゃん。付いて行っても。
私のこと連れて行くと、何かと便利だよ？
それに他の集落にいる仲間にも知らせないといけないし。」

「まぁ・・・・それはそうだな・・・」
レヴィンがうなずく。

「ところで、お前がいると、何が便利なんだ？」

レヴィンの言葉にシルヴィアはにっこり笑って
「後ろから応援してあ・げ・る♪」
と言った。

その言葉を聞いて、レヴィンがあきれた顔をしたのは、言うまでもない。


こうして、この開拓村を救うため、もうひとつの希望の光が今輝き始めた。