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PWL音楽論コミュのTHE HI-ENERGY STORY 8

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いよいよ最終章となりました「THE HI-ENERGY STORY」。
さて、最後を飾るアーティストとは何と言っても「PET SHOP BOYS」。

何故「PET SHOP BOYS」なのか?
それは彼らが「DISCO-MUSIC」をポップ・シーンに繰り広げたきっかけとなり、また最もリスペクトしていた人物こそが「BOBBY ORLANDO」でありました。

彼らのデビューシングル「WEST END GIRLS」は、84年4月に「BOBBY ORLANDO」プロデュースによってリリースされた。
しかしヒットせず、翌年10月に再リリースした「セカンドバージョン」がUK、USともにナンバーワンという大ヒットを記録。
この結果については誰もが認めるところではあるが、ここに注目すべき点がある。
それは、初期バージョン(BOBBY ORLANDO)とセカンドバージョン
(STEPHEN HAGUE)を聴き比べてみてほしい。

確かに「STEPHEN HAGUE」によって素晴らしい「サウンド・リメイク」に仕上げられたが、基本となるアレンジは「BOBBY ORLANDO」路線から全く外れていない。
これは「BOBBY ORLANDO」サウンドをしっかりと継承しながら、上手くメイクアップされたことが判る。
カウベル音、シンセ・ストリングス、ベースラインといった特徴的とも言えるサウンドに違いはない。

メイクアップされたのは、まずボーカルが再録音されており、分かり易いところでは「サビ部分」。
「BOBBY ORLANDO」バージョンでは語尾がかすれるような歌いまわしに対し、
「STEPHEN HAGUE」バージョンではハッキリと声を張ったイメージ。
更にサウンド全体的にもよりクリアな音作りに仕上げられ、「HELENA SPRINGS」なる女性ボーカリストによって上手いワンポイントを担っており、またトランペットが新たに加えられているのですが、
これが妙に「哀愁感」が際立っているのがいい。

そんな「BOBBY ORLANDO」サウンドを継承したシーンが他にもみられる。
それは思わず「BOBBY ORLANDO」プロデュースかと勘違いしてしまう程のサウンド・フィーチャー作品が存在していた。
これは以前にも紹介したシングル「OPPORTUNITIES」(初回バージョン)のカップリング曲として収録された幻の楽曲「IN THE NIGHT」。
正に「ORLANDO’S HI-ENERGY」の典型とも言えるサウンドがここにある。

ベース・パターンをはじめ、シンセ・フレーズ、原曲イメージに至るまで、実に忠実にサウンド・フィーチャーされたという形跡がある。
なんと、偶然にもプロデュースは「PSB」とコンビを組んだのは「PHIL HARIDNG」であった。
(完全なるPWLプロダクション・ワーク)

他では、「LOVE COMES QUICKLY」カップリング曲となった
「THAT’S MY IMPRESSION」(DISCO-MIX)。

原曲イメージは「PSB-SONG」典型ではあるが、注目すべきは中間ブレイク部分。
特徴的とも言えるベースライン、更にクラップによる打ち込みは正に、「SHE HAS A WAY」そのもの。

これ以外にも「BOBBY ORLANDO」オリジナル作品の世界にも似たものがある。
専属の「GIRLS-GROUP」ワークと言えば「THE FLIRTS」。
中でも88年にリメイクされた「DANGER」(REMIX)。
リミキサーは「FRANCOIS L ’HERBIER」なる人物によるものだが、オリジナルバージョン(83年)に比べ、全体的にスピーディなアレンジ効果が加えられたが、基本となる「ORLANDO’S-SOUND」はしっかりと残しながら素晴らしい進化を遂げた。
細かい部分では中間から後半ブレイクにかけてのクラップによる打ち込み。
これは1小節後半に1回のみ裏打ちされるのですが、裏打ちでも1小節毎に微妙にタイミングが異なっており、非常に細かいノリを演出した技術を魅せた。

同様に「YOU & ME」、「NEW TOY」でお馴染みとなった名リミキサーと言えば
「SHEP PETTIBONE」。
彼もまたオリジナルサウンドを忠実にキープしながら、音色に磨きをかける技術に拘りを持つ凄腕リミキサー。
サウンドメイクアップも勿論ですが、「BOBBY ORLANDO」の素晴らしいグルーブセンスを発揮したシーンが「YOU & ME」(INSTRUMENTAL-VERSION)にみられる。

ミックスタイトルからすると、オリジナル・インストと思われがちですが、内容はどちらかというと、
素晴らしい「DUB-INST」となっている。
(注:DUB-MIXの方ではありません)
特に中盤以降の長い「ピアノ・ソロ」は最高のグルーブ・ポイントとなっており、最後まで心地よく、
思わず聴き惚れてしまう。
これが「BOBBY ORLANDO」の素晴らしい世界。
時には「INSTRUMENTAL-VERSION」オープニング部分をオリジナルの頭に使ってみるのも面白い。

話は「IN THE NIGHT」に戻りますが、この曲に対する彼らの思い入れが後にリリースされた
リミックス・アルバム「DISCO」に表れている。
こちらは「HOUSE-MUSIC」専属リミキサー「ARTHUR BAKER」による「12インチリミックス」で、
「HOUSE」テイストも加えられ、更にボーカルをも再録音された内容だが、こちらも基本アレンジ路線は全く変えられていない。
最も驚かされたのは、元々「OPPORTUNITIES」のカップリング曲以外に収録されなかった
このマイナー作が、「12インチリミックス」として生まれ変わり、更にアルバムのオープニングを飾っていたのだ。

これは紛れも無く、大御所「BOBBY ORLANDO」氏に捧げたという表れ。
そしてアルバムタイトルとなった「DISCO」。
これは「PET SHOP BOYS」サウンドが発祥したキーワードであり、また彼らの描く理想空間は常にここにある。

そしてもうひとつ注目したいのは、アルバム「INTROSPECTIVE」。(88年リリース)
こちらも「12インチリミックス集」となっており、オリジナル、リミックスバージョン夫々に関わった全てのスタッフがクレジットされたのは
「ALWAYS ON MY MIND / IN MY HOUSE」。

非常に面白いのは、オリジナル担当の「JULIAN MENDELSOHN」の音源が基本ベースとしているのだが、アレンジでは「REMIX」バージョン(PHIL HARDING)のフレーズとなっている部分も存在する。
では、「PHIL HARDING」(PWL)サウンドは何処にみられるのかと確認してみると、これが切り貼りした状態で使用されていた。
ひとつはオープニングをはじめとする「クラップ音」の乱れ打ち部分、もうひとつが後半の盛上げから登場する「MIAMI」サンプルなパーカッションと破線に打ち込むシンセ・フレーズ、たったこれだけであった。
これはクイズ問題に近い。

このシーンに言えることは、「PET SHOP BOYS」自身が基本的なサウンドアレンジについて全て監修していることも示している。

以前にレコード屋店長との会話を思い出す。

「私」店長の好きなアーティストは誰なんですか?
「店長」そうですねえ、実は「PET SHOP BOYS」が大好きなんですよ。
Kさんは「PET SHOP BOYS」でどの曲が好きですか?
「私」僕はですねえ、「LOVE COMES QUICKLY」が大好きですねえ。
「店長」おおっ!いいですねえ、シブいとこいきますねえ。

ディスコ12インチの世界を極めた「筋金入り」のレコード屋店長に褒められたのには、
正直とても嬉しかった。
結構、自分の音楽センスは間違っていないのではないかと...。
そんな気持ちにさせてくれた。

好きな「PET SHOP BOYS」作品を挙げるなら、勿論メジャー系メロウタイプもいいが、
どちらかと言うと「マイナーメロウ系」の楽曲の方に私は魅力を感じる。
「LOVE COMES QUICKLY」、「DOMINO DANCING」、そしてアルバム
「INTROSPECTIVE」のみ収録となった
「I’M NO SCARED」。(EIGHTH WONDER提供曲)

これらの作品に共通するのは、マイナーメロウながらも激しいサウンドで押し続けるという、これ程にも心に浸透してくるものは他に無いのかも知れない。

「HI-ENERGY界」の大御所「BOBBY ORLANDO」が作り出した音楽は、様々なエンジニアスタッフや、アーティストによってサウンドメイクアップされ、多くの人達に大事にされた、数少ない名プロデューサーであったのだと思う。

そしてもうひとつ、彼のように「R&B-SOUL」グルーブセンスを持ちながら、ポップフィールドで活躍するプロデュース・スタイルに共通する人物がもう一人いました。
「PETE WATERMAN」です。
この二つのセンスを備え持った者に敵は存在しないのです。

「THE HI-ENERGY STORY」 −END−

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