ここで手掛けた作品に注目してみたい。 まずは「Jack Mix V」。 収録曲はF.L.M、MY LOVE IS GUARANTEED、TOY BOY、 LOVE IN THE FIRST DEGREEというSAW(PWL)作品によるラインナップ。(全14曲)
続く「Mix '87」では、Showing Out・Respectable・Heartache・Nothing's Gonna Stop Me Now・ I Heard A Rumour・F.L.M.・Whenever You Need Somebody・Toy Boy・Love In The First Degreeの他、ナント驚くことに、全くヒットしなかった「Ain't Nothing But A House Party」や、「Mr Sleaze」 (BANANARAMA)までもが収録されていた。 87年と言えば、SAWサウンド全盛時期ではあったものの、PWLワーク作品を含めると、全88曲中、 19曲を占めており、同ジャンルで活躍するライバル的存在であるプロデューサー作品をこんなにも堂々と取り入れるシーンというのも珍しい。
注目したいのは、COLIN THURSTONとMICHAEL JAY。 COLIN THURSTONの手掛けた「Give Me A Little More Time」はスローバラードで、流石は得意分野ともあり、まるで「SPANDAU BALLET / TRUE」(83年大ヒット)のような透き通るサウンド作りは素晴らしい。 ヒットメーカーMICHAEL JAYによるソングライト&プロデュースによる1曲「One Touch Too Much」の曲作りはまた見事で、正に彼らしいサウンドに仕上がっているのですが、サンプル音色をよく聴いてみると、PWLサウンドらしき音色が含まれていた。
更にトップを飾る「Let's Go Round Again」はPWL-REMIX(12インチと同音源)によるショートバージョンが収録されていますが、以前にも紹介したプロモ12インチバージョン(JBボイスサンプル入りのファーストバージョン)の中に、ファーストと同一イメージなショートバージョン(LET’S GO!という掛け声でスタート)が収録されており、こちらの方がNIGEL WRIGHTテイストの強いバージョンに仕上げられている。 この時点ではPETE HAMMONDによるPWLサンプル比率は30%程度であり、セカンド(正規バージョン)で遂に完全なるPWLリミックスに切り替えられた流れもある。
更にリズムパターンが大きく異なっており、ファーストではブレイク部分がノーマルなハウスビートと なっているのに対し、セカンドでは例えるなら「KYLIE / Hand On Your Heart」のタイミングで打ち込むスネアにアクセントを付けたビートに切り替えられており、どちらかと言うと、こちらの方がサウンドに 上手くフィットしている。