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グッドラック感動のお奨め映画コミュの「容疑者Xの献身」

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 五木寛之氏がエッセイ(「風に吹かれて」)の中で、「人が集まれば集まるほど孤独になるのが現代だ」というような事を語っていましたが、この「容疑者Xの献身」の主題は、まさに「都会の片隅に生まれる孤独」だと思う。

 美しいオリジナルの答えを求めて数学の難問に挑戦していた学生も、いまや生きるために中年の高校数学教師となって無意味な授業を繰り返していた。必死に自分のアイデンティティーを守ろうとしてアパートの一室での探求を続けていたが、押し寄せてくる孤独感からは抜け出せなくなっていた。孤独と絶望から死を覚悟した男を救ったのは、隣の部屋にやってきた母とその娘の生活感という人の温もりだった。

 直木賞を獲得した原作だからきっと本はもっと登場人物の描き方が詳細で深いものがあるのだろう。しかし、その長編物語を2時間にまとめるにはかなりの難作業と思われる。テレビドラマの映画化の場合どうしても通常の出演者の描き方よりも、新たな物語の登場人物に焦点が当てられるのは当然だろう。そうすると、私のようにテレビドラマをまったく見ていないものにとっては、ガリレオこと湯川学(福山雅治)、内海薫(柴咲コウ)、草薙俊平(北村一輝)の描き方が物足りなく、映画そのものが薄っぺらく出来上がってしまう。この点についてはテレビドラマの映画化作品の課題だろう。

『容疑者Xの献身』という本の題からストーリーが読めてくる。本屋さんで本を手に取ったことがあるが、<献身>という言葉は、犯罪を犯した人へのものだと想像がつく。後はどんな献身なのかという内容の優劣(共感の大小)だ。本を購入しようと決断する決め手は、内容が私の推理?を超えるかどうか、その可能性が大のときは、迷わずレジカウンターに持って行く。『容疑者Xの献身』の原作をレジに持っては行かなかったが、映画を見終わって推理は当たってはいたが、物語の展開が非常に良くて来ていたので、あのとき買って読めばよかったと後悔したのは確かだ。

 隣の家の音や気配を感じて犯罪を確信した中年数学教師が、その事実を隠すため、警察の捜査の先を読んで様々なトリックを仕込む。しかし、数学教師は隣の家族への自分の愛を決して告白しようともせず、プラトニックの愛を心に秘めて警察と母と娘を導いていく。この展開が絶妙できっとこの辺りが直木賞たる所以なのだろう。

 ただストーリーの展開は申し分ないが、数学教師を演じる堤真一の孤独感(物語の主題にも関わらず)が伝わってこず共感できなかった。一番良かったのは思いもよらない殺人を犯した母親を演じる松雪泰子だと思う。役の為に痩せたのか、なんとか幸せ掴もうと必死に生きる薄幸の母を演じていた。隣の数学オタクを大切なお客様と見ているが、決して自分たちが幸せになるために必要な男性とは見ていない。この辺りもまずまず。ただお金を払って見る映画としては全ての演出がもの足りなく、存在感も伝わってこず、登場人物の悲しみや切なさを共有できなかった。近日中に原作を購入したとは思っている。  

グッドラック感動のお奨め映画度:82点

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