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持続可能な社会と金融コミュの豊かなアイルランドがバンカーたちの手で「こじき」に−救済必至か

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11月11日(ブルームバーグ):アイルランドの住宅金融会社、アイリッシュ・ネーションワイド・ビルディング・ソサエティー(INBS)の最高経営責任者(CEO)だったマイケル・フィングルトン氏は若いときに会計士として働き、ナイジェリアのラゴスに出向いてカトリック教会の財務を整理した経験がある。1年半滞在して帳簿を調え、教会が自分で面倒を見られるシステムを作って帰ったという。

やればできるという同氏の哲学はその後、1971年に従業員6人だったINBSを2007年のピーク時には資産161億ユーロ(約1兆8200億円)を持つ会社に育て上げた。同時に、INBSがただ一人の権力者の下、十分なリスク管理なしに暴走する基にもなったと、アイルランド中央銀行の報告書は分析している。

フィングルトン氏とINBSの浮沈は、アイルランド金融危機の縮図だ。この危機の結果、政府は国内の大手銀行のうち5行を救済する羽目になった。信用組合だったINBSは破たんを回避するため、54億ユーロの公的資金注入を受けなければならなかった。政府は今年、同社を管理下に置き、売却または他行との合併を模索している。

結局、不動産開発業者や住宅購入者への無鉄砲な融資にあおられ10年続いた不動産ブームは、アイルランドを少なくとも1947年以来で最悪のリセッション(景気後退)に突き落として終わった。

国債は売られ、アイルランド債のドイツ債に対する利回り上乗せ幅は過去3カ月で倍以上になり、ブルームバーグのデータによれば6.20ポイントに達している。アイルランド政府は先週、60億ユーロ規模の歳出削減・増税を盛り込んだ2011年の予算案を示した。

「愚かな融資」

米オハイオ・ウェスリアン大学の政治学教授で著作のために今年ダブリンに3カ月滞在したショーン・ケイ氏は「愚かな融資をした銀行、見境なく借り入れた借り手、職務を果たさなかった政府と規制当局」の組み合わせだったと話す。

フィングルトン氏は09年4月、前年報酬240万ユーロに含まれる100万ユーロの引き留めボーナスへの議会とマスコミからの批判の嵐の中で引退した。政府が今年9月21日に設立したINBSやアングロ・アイリッシュ銀行(AIB)について調査する委員会から糾弾されてもいない。

84歳のジェームズ・ウィッカムさんはダブリンのINBSの店舗前を歩きながら「数十億ユーロを失って、自分は数百万ユーロをもらえるなんて信じられない」と話した。フィングルトン氏や同類のバンカーたちは、「豊かな国だったアイルランドをこじきに変えてしまった」と嘆いた。

巨額の銀行救済コストを見て、英イグニス・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、スチュアート・トムソン氏ら投資家は、アイルランドが欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に救済を求めることによって経済の主権を失うのではないかと推測している。「向こう2年の間のある時点で、アイルランドは欧州金融安定ファシリティー(EFSF)から借り入れをせざるを得なくなるだろう」と同氏は述べた。

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