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「週刊オクちゃん」完全版コミュの第35回 『この、ひと漕ぎに・到達篇 -2-』 2006.3.2

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出発の朝がきた。
祈るような気持ちでカーテンを開けると、夏の朝の日差しがキラキラしていた。
素晴らしい快晴である。
「よっしゃーっ!!」
一年前とは大違いだ。天気だけは自分の力でどうしようもない。出発にあたって最大の懸念材料はクリアされた。雄たけびの一つも上げとこう、ってな晴れやかさである。
朝ご飯をしっかり食べ、入念に荷物のチェックをした。
「絶対に松本へたどり着く」
心に期するのはただその一点である。
日差しが気持ちいい10時頃、僕は出発した。
今回の旅は、全工程で9日間。行きに4日、滞在1日、帰り4日の予定である。その気になれば4日で往復できるはずの距離に、その倍以上の時間を取った。
ゆっくりとゆとりを持って松本を目指せばいい。
初日の目的地は、瑞浪。
今回の旅の一日走行距離は50キロの予定である。瑞浪までは約60キロあるが、あえて瑞浪にしたのは、中津川までの最大の難所である恵那の、その手前までは行っておきたかったからだ。元気いっぱいエネルギー100%の状態で、恵那の坂にアタックしたかった。
瑞浪までのルートは、軽く確認する程度で、ほとんど地図を見ずに走った。
一年前は、雨の中、カッパを着て走った道。民家の軒下で雨を避けながら、何度も地図を見たっけ。
今回は、真夏の太陽がギラギラと照りつけている。焼け付くようなその暑さもまた、僕には心地よかった。
帽子をしっかりかぶり、ノースリーブで風を切りながら走った。これぞ自転車の旅!なんて気持ちいいんだろう。水分補給をマメにしながら、僕は軽快に自転車を走らせた。

ただ…。
瑞浪まで、アッという間に着いてしまったのだ。拍子抜けするほど早く、時計を見ると午後1時だった。
昼ご飯がまだだったので、街道沿いのラーメン屋に入った。
ラーメンを食べながら、自転車の旅の一日平均走行距離が100キロだということを、僕はしみじみ痛感した。
おかしな話だが、約半分の移動距離にしたが故にそれを痛感することになった。昼の1時で「本日の移動は終了!」なのである。
「こんなに早く着いちゃって、どーすんのよ俺っ」
いささか途方に暮れた。
100キロ近く走って、はじめて「フフフ、自転車の旅さ」という気持ちになれるのであって、この程度の距離を走っても「散歩した」くらいの感覚しかない。
“昼”ご飯を食べ終わっても、「本日の移動は終了!」しているのである。補充したこのエネルギーをどうするのであるか!
有り余っているこの元気をどこに向けるのであるか!
僕は、ラーメン屋を出てから少し迷った。

このまま中津川まで行ける気がする。
何せその1年前は、悪天候の中、自転車で旅に出るのも初めて、目的地も道中も見知らぬ初めての土地、何もかも初めてづくしの状態で中津川まで行っているのだ。事故にあったのはアクシデントで、僕の体力的な問題ではない。

だが、迷った結果、僕の出した結論は、「予定通り、瑞浪で一泊しよう」だった。
まだ午後2時。中津川を目指す充分な時間はある。
でも、無理はしない、と決めて旅に出たのだ。目的はあくまでも松本へたどり着くこと。その為のプランも組んだ。余裕があるのは結構なことじゃないか。

瑞浪で一泊する、と決めた僕には、ある目的のためにいかねばならない所があった。

『挫折篇』を読んだ方は、
「また警察か!?」
と思ったでしょう。
フフフ、それはまた次回。

つづく…。

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