西山千といえば、アポロ11号の同時通訳者。これが1969年でもう40年近くも前のことである。月に着陸したとき、アームストロング船長は、次のように言ったといわれている。 That’s one small step for man, one giant leap for mankind. このとき、38万キロ彼方から聞こえてくる英語に、西山千でさえ戸惑った。Manの前に冠詞のa があるのかないのか。 私はこの場合、aがないと絶対におかしいと思うのだが、十数年前にワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館に行ったときに、この部分を確かめた。やはり、冠詞のaがついていない。そして次のような日本語訳がつけられていた。 「人間には小さな一歩だが、人類には大きな飛躍」 これで、意味が通じるだろうか。 これでいいとしたら、「人間」と「人類」はどう違うのか。 ここは「私という1人の人間には小さな一歩だけれど、人類には大きな飛躍」 でなくてはおかしいと思う。アームストロング船長が言い間違えた、という説もあるらしいが。