ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

アジア系アメリカ人研究会コミュの西山千を悼む

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
西山千といえば、アポロ11号の同時通訳者。これが1969年でもう40年近くも前のことである。月に着陸したとき、アームストロング船長は、次のように言ったといわれている。
That’s one small step for man, one giant leap for mankind.
このとき、38万キロ彼方から聞こえてくる英語に、西山千でさえ戸惑った。Manの前に冠詞のa があるのかないのか。
私はこの場合、aがないと絶対におかしいと思うのだが、十数年前にワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館に行ったときに、この部分を確かめた。やはり、冠詞のaがついていない。そして次のような日本語訳がつけられていた。
「人間には小さな一歩だが、人類には大きな飛躍」
これで、意味が通じるだろうか。
これでいいとしたら、「人間」と「人類」はどう違うのか。
ここは「私という1人の人間には小さな一歩だけれど、人類には大きな飛躍」
でなくてはおかしいと思う。アームストロング船長が言い間違えた、という説もあるらしいが。

西山千は、1970年代の初めにサイマル出版会から『誤解と理解 日本人とアメリカ人』という本を著し、また『日本人の表現構造 公的自己と私的自己』という本を訳した。サイマル出版会が元気なころで、私も高校生の頃、西山さんのこの2冊を読んだ。『誤解と理解』は日米の誤解について具体的な例が豊富に挙げられていて、説得力がある。名著だと思う。

そんな西山さんが、1991年、80歳のときに、日系人のことを本にした。『真珠湾と日系人』。やはりサイマル出版である。西山が言っていることはただ一つ、今、日米が対等の関係であるとするならば、それは日本の経済成長がもたらしたものではない。アメリカに住む日系人が、日系人への差別と闘い、不平等な法律を改正してきたからなのだ、ということである。日系企業がアメリカで仕事ができるのも、日系人のそういった人権に対する闘いによるものなのだ。日本人はそういった歴史を知らなければならない、と。

もとより西山さんはJACL側の人だから、この十数年の日系人の歴史をみると、もの足りない面はある。でも、西山千の主張はもっと理解されていいものだろう。

通訳、という狭い中で有名になってしまったために、『真珠湾と日系人』で主張していることが、あまり今の私たちに伝わってきていない。西山さんはこの本を次のように締めくくっている。
「まだ人権問題の歴史は終わっていない。日系人だけでなく、全アジア系アメリカ人の努力が続いている。そしてそれらの改善が達成されるたびに、私たち日本人もその恩恵にあずかる結果になることを忘れてはならない」
ここではじめて西山さんは、アジア系アメリカ人、という言葉を使っている。彼のこの主張に今、耳を傾けたい。

西山千。享年95歳。合掌。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

アジア系アメリカ人研究会 更新情報

アジア系アメリカ人研究会のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング