舞台女優コミュの島田歌穂

今回のひめゆりの見所は何と言っても島田キミ。
レミズで初めて島田エポのライバルになり得た本田美奈子．。その本田が完璧に演じ、本田自身にとっても当たり役となったキミを島田歌穂がやる。ちょっと不安。島田に今更女学生が出来るのか？
しかし、エポを見る限りあの二人って演技の質は似ていないのに結局違うところから同じ高みに登ってしまうという珍しい例なのかも。二人とも努力家で技巧派だからでしょうか？
俺サイゴンの日本上演が決まった時島田がキムやるもんだとばっかり思っていたし、

以下観劇後

今回チケ争奪戦のスタートダッシュが良かったのですごくいい席。舞台に近い中央部。そんなところからの島田の演技鑑賞。

すごいです。

幕が上がると群衆の中央、奥の一軒家の縁側に女学生がいるのが見える。弟と仲良く遊んでいるお姉さん。彼女は弟を可愛がっていて、しっかり者で、優しい女の子である。弟との年齢差は３才か？４才か？
というのが一目で見て取れる瞬間。たとえて言えば一葉の写真。いい写真は一枚で多くのことを見る側に語りかけるがそんな「完璧な瞬間の連続」。

「弟と遊んでいるところに郵便配達人が現れ、彼女はちょっと緊張しながら彼を迎える。知らない大人に対面したら多少身を堅くしてしまう少女性半分と、持ってくる手紙の内容を恐れている不安半分。そして、配達人が鞄から召集令状を取り出して彼女に手渡す時彼女は目を見開いてビクっと身を震わせた。緊張がパニックに変わる瞬間。彼女は赤紙を手にうちの中へ駈け込んでいく。」

これを読んでもらうと判ると思うけど、彼女が一つ一つ体を使って表現しているものを只単に説明していくと、しっかり小説ふうな心理描写ができあがる。このシーンはホンの５秒ほどのものですが、導入部だけでも彼女の演技について言いたいこと、言えることが山ほどある。
演技というものはこういうものかと、このように体を使えばこういう表現ができるものかと、ただただ唖然。このまま録画して演技法教材ビデオになると、本気で思う。

「島田歌穂に今更女学生が出来るのか？」なんという失礼な愚問。深く反省

開いた口が塞がらない。っつうのは呆れる時に使う言葉ですが、しかし、ホントに口開けて見入ってしまう。

本田も作り込んで、その上で役に入っていく人だけど、島田は本当に細かく作り込んでそれがそのまま役になっていく。って感じかな？
わかりにくい表現だと思うけど、本田は作り込んだ上にもう一枚皮をかぶってから舞台に立つ。島田は作り込んだ細部のディテール剥き出しでそのまま舞台に立つ。

こんなすごいものを前から二列目ど真ん中でしかも二日連続見られたことは奇跡に近い幸運です。