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犬森屋のわんこたちコミュのしおんです

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しおんです。
このところ「まるおにいさん」のことばかり。
それに「ひとまるお」まで飛び出してきちゃったから、ますますぼくの影がうすくなりました。

しおんです。
とうさんは今日もおヘソを出して寝ています。その横でにいさんもお腹をむけて寝ています。
つまらないから、おじさんに電話をし、この日記を書いてもらっています。
とうさんもにいさんも、おじさんのところへは三度も行っているのに、ぼくはまだ一度も行ったことがありません。
おじさんにそのことを話すと、
「だったら飛行機のキップを送ってあげるからおいで」
と、いってくれたけど、熱海に飛行場なんてあったっけ?

しおんです。
おじさんはいいました。
「このあいだ九七式艦攻が親水公園に飛来したのを見て、あわてて飛行場をつくったんだよ」と。
とうさんは「おじさんと九七式艦攻に乗って北の国へ行き、そこで五郎さんに会い、純と蛍と鬼ごっこをし、草太にいちゃんのくれた男山をのみながら、ゆきこおばさんの手料理をごちそうになったんだぞ」と、鼻高々で話していたけれど、親水公園に着陸したなんて、ぼくには話してくれませんでした。

しおんです。
とうさんとおじさんのことはもういいです。
あの二人は嘘つきですから、ぼくにはついていけません。
ぼくのことを話します。

しおんです。
自分のことを話すのは、とても勇気のいることです。
たとえば、ぼくがにいさんのガールフレンドを横取りしたこととか。
たとえば、ぼくがとうさんの大事にしているシルクの猿股にオシッコをかけてしまったこととか。

しおんです。
おじさんが電話のむこうであくびをしたので、今日はこれで終わります。
おじさんは明日は仕事なので、つづきは他のひとにたのむことにします。

つづく

コメント(29)

まるおです


あ〜びっくりした〜

なんで「しおん」がとつぜん出てきたんだ〜・・・

おまえ、こっちにもいろいろと事情というものが・・・

今、佐々木昭一郎の「夢の島少女」見てるから

またあしたね

あ〜、びっくりした〜・・・


でも、この画像、来年の年賀状にぴったりだね・・

戌年から猪年へ

「ひきつぎ」なんてね・・・
しおんです

えーと、えーと

うちのおとうさんは犬がだいすきです

それで犬の仕事をしています

おもてむきは犬のくんれんしということになっていますが
夜、となりの公園で「ひみつ」の訓練をしています

それわどんなくんれんかとゆうと
「捜索」の訓練です

ふつうの捜索訓練は犯人を捜すのですが、うちのとおさんのは少しかわっています

犬にお金を捜させるのです

公園の木の影なんかに穴を掘っておかねを埋めて
まるおにいさんに「探せ!」と言って
にいさんに地面を掘ってお金を持って来させるのです

ぼくも、まえ訓練させられたのですが、ぶるどっぐ系は鼻が短くてあんまりニオイがわからないのでまちがえてばかりいました

ある日などはお金と間違えて誰かが落としたぱんつを拾ってきたら怒られまひた・・・だって、そこにぱんつがあったんだもの・・・

それで、ぼくは捜索訓練には不向きだということで、もうやらなくていいから
まるおにいさんが夜遅くまでお金のそうさく訓練をしているあいだ
ぼくはおうちでてれびの「ちびまるこちゃん」を見ています・・・あーこっちのほうが楽でいーや


そして、ある日、まるおにいさんは今までの訓練の成果を発揮して

とうとうおかねを見つけました

さいかわ県のある街を流れる川で

きんこをみつけたのです

金庫のなかにはおかねがたくさんはいっていました

でも、このはなしは税務署にはないしょです
うちのとなりの駐在所のおまわりさんのなまもとさんにもひみつです


そしてうちのとおさんは大金持ちになりました

でも、ひみつなのでお金がたくさんあっても貧乏なふりをしてしょうちゅうを飲んで、もつ焼きを食べています

だってひみつなんだもの

そして去年、とおさんは隣の公園の一部を買収して土建屋さんにお金を払って池を掘ってもらいました

最初とうさんはその池で、とおさんが子供のころお祭りで買ってきて飼い続けてい体長30センチの「ミニイルカ」を養殖して
それをさらに小さく品種改良した

「犬森屋ミクロ・イルカ」を今年の春に作出しました

いちばん小さいのは、体長、な、なんと1センチです

このミクロ・イルカにいろいろと芸を教えて
とうさんが今計画していることは

「ミクロの決死圏イルカ計画」です

イルカを人体の中に送り込んで複雑な癌の摘出手術などをイルカにさせるのです

この計画は極秘ですから、みんな、誰にも話してはいけません


つづけ
しおんです。

とうさんが養殖している犬森屋ミクロ・イルカ。ぼくはまだ見ていないので、おじさんに電話をしてたずねました。

おじさんは知ってるどころか、今年の夏に10万円も出して一頭買ったそうです。
そしてさっさく自宅の宏大な池に放したのですが、その次の日にはプカプカ浮いていたそうです。

「犬森屋、おまえは少なくとも10年は生きるといったじゃないか!」と、おじさん。
「今日がちょうど10年目なんでしょう」と、とうさん。

おじさんはこんな話をしてくれました。
おじさんはぼくが子供だと思ってバカにしているんです。ぼくだってこのぐらい知ってます。
おじさんの話は、縁日のカメを犬森屋ミクロ・イルカにかえただけの笑い話じゃないか。

また、おじさんはこんなことも話してました。
「とうさんが極秘裏に計画しているミクロの決死圏イルカ計画は、実現までには相当の時間と費用がかかるから、とりあえずこの一大事業を映画の企画としてハリウッドに売り込み、資金調達をはかるのだ」と。

それでおじさんは、さっそくハリウッドとの交渉に入り、丁々発止とメールのやりとりをはじめたそうです。
ところが、返信メールの数百倍の数の迷惑メールが届くようになり、おじさんは今その対処に追われ、ハリウッドとの商談が進まないとぼやいています。

つづけ
しおんです

おじさんが
「ミクロの決死圏イルカ計画」のハリウッドへの売り込みへの交渉に手間取っている最中の今日

とうさんはまるおにいさんと、今、お泊り訓練中のお転婆チョコ・ラブ娘のすみれちゃんを連れて
いつもの荒川の河川敷へ出かけました

また、ぼくは置いてきぼりです

そしてまるおにいさんとすみれちゃんは「赤い糸でつながれ」てのお散歩・・・(またの名を『手錠のままの脱獄』ともいうけどね)

なんでかっていうと・・・すみれちゃんは林芙美子みたいに放浪癖があるからです

お預かり中に放浪の旅に出てしまっては、すみれちゃんのご両親に申し訳が立たないので
だから「赤い糸でつながれた運命」なのです

そしてとうさんとまるおにいさん、すみれちゃんが河原の土手をぽくぽくとお散歩していると



宇宙人がいました



ロケットに乗ってよその星からやってきたのです

宇宙人たちは特殊な液体燃料の補給をして、今、まさに自分たちの星に帰るところでした

宇宙人は赤いポリエチレンの灯油タンクから特殊な液体燃料を補給し終えると

すぐ横でデジカメ写真を撮っていたとうさんと

まるおにいさん、すみれちゃんのほうに来て

「д◎∵×жл・・・?Ю%$б≒~Э!・・・Э@&だっぺ?」
と言いました

とうさんは
「おれはしごとがあるからかんべんしてくれ」と言いました

すると宇宙人はまるおにいさんとすみれちゃんのふたりだけを連れて

ロケットに乗って

宇宙に飛んでいってしまいました


とおさんは
「いけねえ、すみれちゃんのとうさんとかあさんになんと申し訳をしたらよいのだろうか・・・」とうろたえ

おうちに帰ってきて今、お酒を熱燗にして飲んでいます


ああ、まるおにいさんとすみれちゃんはどこに連れて行かれてしまったのでしょうか?

北朝鮮の返信用ミサイルで共和国に拉致されてしまったのでしょうか?

それとも宇宙のどこかの星、もしかしたら「砂の惑星」に長い長い宇宙の旅に出てしまったのでしょうか?

ライカ犬じゃないのに宇宙に行っても大丈夫なのでしょうか?



さあ、つづけ
しおんです

上のおはなしの証拠写真の追加画像です
大気圏に突入する前、まるおくんとすみれちゃんは力を合わせて
ロケットの方向変換。不時着してみると、ものすごく暑い国。
日本は寒い冬なのに、ここはカンカンの日射し。ムッチリの
お姉さんが布きれをつけてブンブン歩いています。見惚れる
まるおくんを引っ張って、すみれちゃんは気になる匂いへと
向かいました。それはパン屋さん。店の前にある機械の中では
串刺しの丸鶏がグルグルと焼かれています。したたる肉汁と
香ばしい香り。じっと見ていたら傍を歩いていたおじさんが
「だからこれを“犬の映画館”って言うんだよ」と隣の子供に
話していました。素晴らしい映画。おとうさんにも見せたい。

それから暑かったので小さなショッペリアを覗きました。
そこにはおとうさんが気になっていた「タカカ」というスープ。
沢ガニを野菜とシャンツァイで炒めた「カランゲージョ」と、
それを蟹つめフライにしたものを肴に昼間っからビールを飲んで
いる日本人のおばさんがいました。こんなところで日本人がいる
とはと嬉しくなるまるおくん。おばさんは言いました「これは
タイのトムヤムクンみたいな酸っぱ辛いスープで、飲んでいると
舌がしびれるから、まるおくんとすみれちゃんは飲めないのよ」
黄色い実が入った器をクンクンしていたら「それは唐辛子を酢に
漬けたものだから駄目、ビールも駄目」と、駄目駄目おばさん。

しばらく食べて飲んで満足したおばさんはお会計を頼みました。
「58レアル」の声に激怒おばさん。突っ返したあとで、酔った
頭で一生懸命計算をしています。酔っぱらっているときの計算が
まったくあてにならないのはおとうさんも一緒と思いながら見て
いると、おばさんは得意気に「28レアルだ」と。もういちど会計が
来てみたら「21レアル」何故かおばさんは何も文句を言わずに
21レアルを払っていました。おとうさん。嘘は駄目なんだよね

もっともっとこの町を歩いていたかったのに、またあの集団に
つかまってしまいました。ロケットに乗るまえ、あのおばさんが
「またいつでもブラジルにおいでね」と手を振ってくれました。
手を振るのじゃなくて、助けて欲しいのに。酔っている人は
頼りになりません。ぼくたちがしっかりしないと。次はどこに?

>かなり脱線…。続きますでしょうか
第5話の写真は、謎の白装束集団・パナウェーブ研究所とは関係ありません。宇宙人ですのでお間違いなきよう願います。
う〜む・・・砂の惑星あたりに飛んで行ったかと思ったら・・・

ブラジルに行ってしまった・・・

それにしても

このブラジルの美味そうなめしはなんだ・・・

こんなうまそうなものを毎日くっているやつが世の中にはいるのか・・・

おれなんか毎日これだ・・・

いぬまるお
さて・・・

宇宙に飛んで行ったはずなのに情熱のリオデジャネイロにロケットが不時着してしまったまるおとすみれちゃんは
ブラジルの美味しいものをおなかいっぱい食べようと思って楽しみにしていたのもつかの間
まりもねえさんが
「はい、これは犬には辛過ぎるわ〜・・」
「あら、ネギ・ニラ系は犬は食べちゃ駄目よ〜残念ねえ
〜・・・」と言って
目の前のご馳走はまりもねえさんが次から次へと全部食べてしまいました

「ちぇっ、ぼくつまんない・・・せっかくぱくぱくしたかったに・・・」
いつも泣き顔をしているまるおの顔はもっと泣きべそになって不貞腐れてしまいました

するとそこに例の白装束の宇宙人たちがわらわらと寄って来て
コルコバードの丘のキリスト像に斜めに立て掛けてあったロケットに、また、まるおとすみれちゃんを押し込めて発射スイッチを入れてしまいました

ロケットはジョアン・ジルベルトの「イパネマの娘」の調べに乗って
どんどん空に上って行きました・・・

スタン・ゲッツのテナーサックスのソロが涼しげに響いています・・

気がつくとBGMはルイ・アームストロングの
「この素晴らしき世界」に変わり

ロケットの窓から地球を見ていたすみれちゃんがなぜかロシア語で話しました
「држёй・・ЭклЯе・・わたしはスミレ・・・Якйёжз炉д!・・ヤーチャイカ!」

すると次にまるおが、窓からブラジルのほうを見て

「地球はけちだった・・・」と言いました

・・・リオでブラジルめしを食べられなかったことをまだ根に持っているのです・・・なんと食い意地の張った犬でしょう

そうこうするうちに二人とも眠くなってきたので宇宙服を着たまま眠り込んでしまいました

・・・そしてずいぶんと長い時間が経ちました
・・・何億光年もの長い時間が・・・

ロケットに乗っていたラクウェル・ウェルチに似たフライト・アテンダントのお姉さんが

「みなさま、当機はまもなくモンチッチ国際空港に着陸いたします・・・どなたさまも税関の申告書にご記入の上・・・」とアナウンスをしました

まるおとすみれちゃんが宇宙服を着たままタラップを降りると
腰ミノ一丁のチャールトン・ヘストンが出迎えに来ていて
「全米ライフル協会へ募金をお願いします」と言いました

まるおはめんどくさかったので日本の五円玉を1個だけあげて
「おじちゃん、これはとっても珍しいお金なんだよ」と言うと
少々ぼけがきているアメリカの過去の大俳優は
「あ〜ほんと〜だ、あながあいてるぅ〜・・・」と言って五円玉の穴から空を見上げて
「見える、見える!!」と、喜んでぱちぱちと手を叩きました

まるおは
「なんだ、このぼけじじい、大正天皇じゃあるまいし・・・」と思いましたが横にいたノバおばさんが、歳をとってもお色気むんむんだったので嬉しくなっておとなしく出迎えのリムジンに乗りました

リムジンを引っ張っているのは30頭のゴリラでした

そう、ここは「猿の惑星」だったのです

昔から「犬猿の仲」と申しますので「猿力リムジン」を引かされているゴリラのクーリーたちは憎憎しげにまるおとすみれちゃんを
じろっと睨みました

10分ほどで猿力リムジンは王宮に到着しました

まだ喜んで五円玉の穴を覗いているチャールトン・へストンに案内されて、まるおとすみれちゃんは王宮の奥の間へと入って行きました

両脇にはゴリラの衛兵たちが土下座していますが、皆、まるおとすみれちゃんのことを血走った目で憎憎しげに横目で睨んでいました

皇帝はオランウータンの猿心掻無不義(えんしんかくなふぎ)でした
横には弟の不潔(ふけつ)がいました

皇帝不義は縮れた頭に、自分でデザインしたというベージュ色の作業服のようなおかしな服を着ていました

そしてその皇帝不義のすぐ横では

媚猿組(こびざるぐみ)と呼ばれるチンパンジーの若い娘たちが肌も露なセクシーな衣装で腰を震わせて

ぷるぷるぷるぷる、ぷるぷるぷるぷる

なんとも珍妙な舞を舞っているのでした

すみれちゃんは日本を出てくる前に犬森屋の「嫁入り前のマナー講座」で習ったとおりに
「偉大なる皇帝、不義さまにおかれましてはご機嫌麗しゅう・・・」と、社交辞令を言いました

すると皇帝不義はカミュのブランデーをラッパ飲みしながら
よたよたとすみれちゃんの耳元に口を寄せてきて

小声で耳打ちしました

「余は傀儡じゃ・・・あやつり人形じゃて・・この星から他の星に亡命したい・・麗しきすみれ姫よ、このわしを、どうか助けてもらいたい・・・」と小さな、しかしはっきりした声で呟いたのでした

監視役であるはずのチャールトン・へストンはまだ五円玉の穴を覗いてへらへらしていて気がつきません

「あとでこの奥を右に入って行った『ちょいの間』に来て欲しいのじゃ・・必ず・・」と悲劇の皇帝は呟きました


その夜はまるおが楽しみにしていた豪華な歓迎の晩餐会です

すっぽんもどきのスープ、嘘つきスズメの舌のマリネ、駱駝の足の煮込み、胡蝶蘭のおひたし、クロマグロの活け造り、サソリのサラダ、コブラの煮浸し、蟻の目の肉団子、ミクロイルカの踊り食い、段取りチキン・・・ありとあらゆる宇宙の珍味が延々と運ばれていました

満願全席というのだそうです

食いしん坊なまるおは食べすぎで目を白黒させ、すみれちゃんはこの先の長い宇宙の旅に備えて料理を手当たり次第にタッパーに詰めていました
すみれちゃんは案外しっかり者の女房になるのかもしれません

宴も半ば皇帝不義がまるおとすみれちゃんに亡命の手筈を耳打ちしました
「わしはそなたたちの見送りの・・・」

数日間に渡ってまるおとすみれちゃんは皇帝不義の至れり尽くせりの接待として
無料市内観光(みやげ物屋にやたらと連れて行かれる)、一部有料のナイトツアー(未成年者は参加不可)、老人ホーム訪問(千羽鶴をプレゼント)、猿の惑星で飼われている犬たちの生活の視察、日本大使館主催の晩餐会(日本料理)、ジャパンケンネルクラブ猿の惑星支部への表敬訪問・・といった日程を次々とこなし、無事、猿の惑星での滞在を終えて

再びロケットに乗って猿の惑星をあとにする日が訪れました

近衛部隊の隊長を勤めていたのは日本国での演歌歌手に見切りをつけて、お雇い外人として赴任していた北島三郎でした
近衛部隊長北島のサブちゃんはその星で人間の奴隷にされている猿たちから、なぜか受けが悪くは無いのでした

サブちゃん隊長に率いられたゴリラの近衛部隊が数百人並んだモンチッチ国際空港にはロケットに向かって赤い絨毯が敷かれ

タラップの両脇には数十箱の段ボール箱と大きな革張りの安楽椅子が置かれていました

ダンボールの中身はマツタケでした
この星の名産の「銀河松茸」なのでした
日本では1キロ数十万円の値がつく高級品です・・・その味と相まって、食べると味わえる止め処もない至福感が好事家にもてはやされていました

そしてもうひとつのお土産・・・ひと昔前の社長が座りたがるような大きな革張りの安楽椅子

高らかなファンファーレに見送られてみやげ物は次々とロケットの荷物室に収納され
まるおとすみれちゃんが見送りの猿の惑星の国民たちに手を振ってロケット内に乗り込んだその場に


皇帝不義の姿は何故か無かったのでした・・・


ロケットはまた、宇宙の闇に向かって

どこかの星に吸い寄せられるように飛んで行きました・・・




だれか続いて・・おねがい
しおんです。

まるおにいさんとすみれちゃんが、謎の白装束宇宙人に連れ去られてから5日がたちました。

とうさんはその日以来、食事ものどをとおりません。でも、お酒だけは毎晩飲んでいます。とうさんにとってお酒は、ポパイのほうれん草かもしれません。

とうさんはにいさんとすみれちゃんが連れ去られた次の日に、NASAに捜索願いを出しました。
はじめとうさんは「とりあってくれるだろうか……?」
 と、心配していたのですが、NASAの係官がいうには、
「宇宙人による拉致監禁事件は、全世界で年間50件ほど発生している」
 と、いうことでした。
また、にいさんとすみれちゃんを連れ去った宇宙人は、その特徴から「パナウェーブ星人」にほぼ間違いないとのことです。

今後の捜索はNASAの航空局から、NASA宇宙特別対策室、通称「マルチュウ」に移るそうです。
係官は、宇宙にも暴力団がはびこっていると話してくれました。

しおんです。

きのう、マルチュウからメールが届きました。
ブラジル・リオデジャネイロのコルコバードの丘で、パナウェーブ星のものと思われるロケットが発見され、現地の陸軍が救出へ向かったところ、茶と白の二匹の犬を積み込み、大あわてで飛び立ったとのことです。

間違いありません。
茶と白の二匹の犬は、まるおにいさんとすみれちゃんです。
連絡を受けたとうさんは、さっそくすみれちゃんのお父さんお母さんと協議をし、「拉致被害犬家族の会」を立ち上げることにしました。
会長には、北朝鮮による拉致事件で辣腕をふるった小泉純一郎前首相を希望しているのですが、どうもそれは無理なようで、ならば少々ガラは悪いがヤクザな「ハマコー(浜田幸一元衆議院議員)でどうだ」と、とうさんがいうと、すみれちゃんのお父さんお母さんは怒って席を立ってしまいました。

とうさんは今、その二人を追いかけている最中です。

ぼくはコルコバードの丘で、偶然撮影されたという、にいさんとすみれちゃんの写真が、マルチュウから送られてくるのを待っているところです。
しおんです。

たったいま写真が届きました。
最初にマルチュウのコメントを報告します。

 親愛なるとうさん

 心中察するに余り有りますが、当方も鋭意捜索中につき何卒吉報をお待ちください。

 添付しましたまるお君およびすみれ嬢の写真は、昨日(10日)日本時間の午前3時頃、ブラジルはリオデジャネイロに在りますコルコバードの丘を観光中の日本人によって撮影されたものです。
 撮影者はミニスカートに黒の網タイツ。ゲートルを巻き、二人の幼児を連れた三十代半ばの女性との報告が上がってきております。

 猶、まるお君およびすみれ嬢を拉致したパナウェーブ星籍のロケットは、その後の追跡調査で、一旦は猿心掻無不義(えんしんかくなふぎ)皇帝が統治する「おサルの惑星」に着陸したものの、この星の名産である「銀河松茸」と、ひと昔前の社長が座りたがるような大きな革張りの安楽椅子 のふたつを土産に持たされ、飛び立ったとの報告が、皇帝の弟君である不潔(ふけつ)氏からもたらされております。

 追記
 3枚目の写真は私の愛犬「ゲンゲン」です。
 とうさんが犬好きと聞き添付いたしました。可愛いでしょう、フッフッフッ。

NASA宇宙特別対策室長 ソルティー・S・ドッグス                


 しおんです。

ともかくも、一旦はにいさんとすみれちゃんの無事が確認されて良かったです。

ご報告が遅れましたが、ソルティー・S・ドッグス室長の説明によると、にいさんとすみれちゃんに装着された器具は、盲導犬用のハーネスではなく、パナウェーブ星では「U字襷帯」と呼ばれている拘束具だそうです。

こんな窮屈な器具をはめられて、にいさんもすみれちゃんもかわいそうです。
だからでしょう、二人ともまるで蝋人形のような硬い表情をしています。チョコエッグのオマケのような、と言い直したほうが良いかも知れません。

それにしても、こんな大事なときにソルティー・S・ドッグス室長は、いったいなにを考えているのでしょうか?
「愛犬『ゲンゲン』です。可愛いでしょう、フッフッフッ」だって。
まるでヒトの不幸をあざ笑っているようです。

 とうさんは、すみれちゃんのお父さんお母さんを追いかけて行ったきり、まだ戻ってきてません。

 ハマコーと、叫んで今日は どこへやら

つづけ
しおんです・・


「おれは淋しい・・・」


ハマコーは葉巻の煙をふーっと吐き出してぽつりと言った

痴罵県の「ハマコー事務所」でソファーに座るかつての暴れ国会議員は目の前に座ったまるおの父に

「わかった・・やりましょう・・私が会長をやります」と言った

拉致被害犬家族の会の会長をなんとか引き受けてくれないかと依頼に来ていたまるおの父のあまりのやつれぶり・・・頬はこけ、体重は30キロ落ち、毎日の食事は少々のシラスおろしとワカメの酢の物だけ
好きな酒は相変わらず鯨のように飲んでいたが、自分の息子のように可愛がっていた犬のまるおが拉致されてからと言うものの
その哀れな姿に道行く人々は父をこっそり指差しては
「ほら、あれがイタバシ名物、ゾンビじじいだよ・・」と噂した

父はゾンビのように干乾びた体をひこずっては各方面を回って家族の会の会長として奔走してくれるであろう人物に日参していたのである

元首相にも掛け合ってみたが
「人生いろいろ、犬生もいろいろ・・」と言って議員会館を足早に去った元内閣総理大臣小泉は
首相を辞めたあとは薄情な男に成り下がり、赤坂で芸者遊びにうつつを抜かす毎日であった


ハマコーはこう考えたのである

「自分は金と権力のために生きてきた・・・そのためには選挙違反、買収、贈賄、恫喝、脅迫、暴力団員との密な関係、ラスベガスでの博打、利権、あとは人に言えない犯罪多数・・そのためには国会でソファーも投げたし、莫大な税金を使って誰も通らないと判っていた橋を海の上に架けたりもした・・・

でも・・・今は・・俺さまのことをテレビで国会議員を前に勝手なことをわめく元代議士のキチガイじじいと人は言う・・・

死ぬまでに一度で良いから人に好かれてみたい・・・

あの人はエライ人だったと言われて死にたい・・・」

ハマコーの脳裏には日本赤軍による『よど号』ハイジャック事件で名を上げた運輸政務次官、山村新治郎のことがちらついていた

「『身代わりハマコー』・・・うむ、いいでわないか、いいでわないか・・・ふっふっふ」

どこから見ても腹黒いヒキガエルのような因業じじいとしか見えない銭ゲバ元国会議員は思った


話はとんとん拍子に進み

ケープケネディ宇宙センターのロケット発射台下では
宇宙服を着てヘルメットを脇に抱えた
白い達磨のようなハマコーが記者会見の最中だった

記者会見会場でNASAマルチュウ対策室長クローネンバーグは
「合衆国大統領を金で買収してロケットを打ち上げさせるとは・・・足の短いジャップの元代議士も金だけは持っているな・・」
そう思いながら見ていた

相変わらず声だけは大きな日本語で
「みなさん!!わたくしハマコーはこれから銀河系のいずこかの星にいると思われまする犬森屋まるおさん、および、すみれちゃんを救出に、今、まさに大宇宙へとハマコーは飛ぶのであります!
私ハマコーはこれまでに数々の国家的偉業をなし遂げてまいりましたが、ハマコーの今回のこれまた大偉業により世界平和の歴史にハマコー名を残した日本の偉大な政治家ハマコーとして全世界の人々の脳裏にわたくしハマコー、ハマコーの名が深く刻まれるのであります!

ひとびとは夜空を見上げて

あーハマコー、はまこーさん、なんてえらいひとだろう!

自分の事なんか顧みずに人のために尽くすことだけに人生を捧げてきた偉大な男、その人の名は、はまこー・・

なんという美談でありましょうか、おーびゅーてぃふるはまこー!
かくしてわたくしハマコーのノーベル平和賞受賞は確実となり・・・」

ハマコーの演説は延々と2時間続き、演説中に自分の名前を672回連呼した

いい加減に皆が嫌になってうたた寝を始めたころに打ち上げの時刻が来た・・・演説の時間はちゃんと前もって計算して2時間とっていたのである


BGMだけは美しく♪「アクエリアス・・輝く星座」の調べにのってハマコーの乗ったNASAのロケットは銀河系に向かって力強く上昇していった

・・・日本のロケットではないから多分失敗はしないであろう


さて、そのころ静岡県熱海市では近年稀に見る大工事が驚くべき短期で竣工して、既に開業後1ヶ月が経っていた

海岸に程近い敷地に建っていたホテル、旅館など数十軒を強制立ち退きさせて3ヶ月の突貫工事で完成した
その日本武道館にも匹敵するかという巨大な建物には

誇らしげに黄金色に輝く、25メートルプール一面ぶんの面積はあると思われる巨大な看板が掛かっていた


「国立カジノ ホットオーシャン」


東京都知事石原慎太郎が
「都営カジノで都の財政を建て直す」と息巻いていた割には遅々として進まない公営カジノ計画を素早くパクったのは安倍首相であった

この若き首相は、このところ大した動きも無い我が国の情勢から急激に支持率が下がり始めたことに焦り始め、なにか一大イベントを開始する事を考えていたのであったが

近年和田アキ子のコマーシャルソングのテレビCMがひんぱんに放映されているかつら会社
「発毛専門リーブ21」の岡村社長・・そう、あの鼻にかかった声で自らもCMに登場し自分の会社の社会貢献度について語るあのひと・・

これほどヅラ業界は儲かっているのか・・?
世間にはこれほど禿げが沢山いるのか・・?
岡村は突然日本政府に

ぽんと100億円の寄付をしたのである

・・・岡村社長は無類のバクチ好きで
彼の会社が過去に何度も見舞われた経営危機を乗り越え、まだ上場こそしていないものの目障りなくらいの頻度でテレビCMを放映できるようになったのは

実は岡村が世界各地のカジノで荒稼ぎしてきた資金によるものだったのである

岡村は生まれながらの博才に恵まれていた
4歳の時には町内じゅうの子供から全ての仮面ライダースナックのおまけのカードをちんちろりんで巻き上げ
会社の設立資金は高知競馬と川口オート、それに平和島ボートレースで儲けた金であった

日本に帰国するときには数十個のジュラルミン・ケースに詰めた札束をエアーカーゴ便で持ち帰るほどの巨額の金を毎回世界各地の各種の博打で当てた

したがって彼の人生の哲学は

人生は博打なり

であった

ほんとうはこの教義を掲げた宗教法人と学校法人である総合学園

博徒養成大学「PG学園=Perfecy Gambling学園」を創業の地である大阪府八尾市に設立したかったのだが
それではあまりに露骨で
「愛されるカツラ屋」
「世のため人のためのカツラ屋」という企業イメージに悪影響を及ぼすとの企業コンサルタントからのアドバイスを聞き入れて断念したのだった

そこで考えたのが国への政治献金によって国立カジノを造らせ、完成した暁にはバクチの天才である自分自身が乗り込んで行って荒稼ぎするという
CMでもなんでも社長自身がやってやるという、世の社長の鏡のような信念からであった

それほど岡村には博打で勝つ自信があった

それに熱海にそれだけの規模の大きな賭場が出来れば多忙な身でわざわざラスベガスやモンテカルロまで行かずとも良い

先を越された石原都知事は地団太を踏んで悔しがり
熱海の国立カジノ落成の一報を聞いた日に駿河湾上にいた自己の所有するヨットの甲板から
八つ当たりして天気予報屋の自分のせがれを海へ突き落とし、その場から立ち去ったという噂だが

あれよあれよという間に熱海の街のベストエリアに黄金色のパゴダ・・金色の日本武道館か霊友会かというような荘厳な建造物が屹立することとなったのである

受け入れ側の熱海市としても地元でのカジノ職員の採用など、市にとって悪い条件であるはずがないと大歓迎の意向
さっそく市役所に
「ホットオーシャン採用課」を設置して人材の確保に乗り出した

課には連日長蛇の列が、カジノのディーラー、バーテンダー、ショーダンサー、バンドマン、清掃職員・・・千人の求人に対して8千人の応募に対応するのにてんてこ舞いであった

その中でもひときわ人気の高いポジションはなんと言っても
「総支配人」であった

支持率アップを狙ったこともあったが安倍内閣はこのカジノの職員は全員、財務省の天下りなどは排除して地元の民間から採用することとした

年収一千万円を越す支総配人の求人には千人を超す応募があった

採用試験の1次選考の科目は「一般常識」作文「わたしはなぜカジノの支配人になりたいか」「競馬学」「世界地理」あたりまでは、その試験科目の存在の意味がわかるのだが

「映画学」「脚本概論」「開高健文学論」となると存在の意味が不明となってきて

「ヒンズー語基礎」「食品玩具の基礎知識」「ウルトラの星の歴史」「蒲田の地理」「30分以内に酒のつまみを5品調理する実技」などという試験科目があるというのはなんとも不思議なことであった

上記の1次選考に熱海市民の4名が残った

最終選考は「丁半博打」であった

「賭場の親分は賭博で決めろ」・・・この最終指示をしたのは

安倍内閣の闇の実力者
自由民主党群馬二区選出衆議院議員、自由民主党党紀委員長、前社団法人群馬モーターボート競争会会長、笹川良一の実の息子

地元では「胴元さま」と呼ばれる

笹川たかしであった


かくして国立カジノ「ホットオーシャン」の総支配人は


本職は文筆業の元映画助監督であり副業は熱海「万楽」の主人であるところのそのひとが
その総支配人室の巨大な革張りの椅子に座ることとなった


真新しい巨大な革張りの椅子に座って新任の総支配人はハバナ産の葉巻を燻らしながら

「うちのカジノ、いっちょドッグレースでもやるかな・・・」
などと構想を練るのであった



そのころ・・・まるおとすみれちゃんが乗ったロケットは大量の銀河松茸と

怪しい革張りの大きな椅子をも載せて

どの星へ飛んで行ったというのであろうか・・・


まるおが無重力状態の宇宙船内で宙に浮かびながら宇宙食のカップヌードルをすすると

背後でやはりふわふわ浮いていた、怪しい積荷の革張り椅子の中でかすかに腹の虫が泣くような


ぐ〜という音がしたのに、すみれちゃんは気がつかなかった



さあ、つづけ!!!
しおんです。

とうさんがすみれちゃんのお父さんお母さんを追いかけて家を飛び出した日。
その日、とうさんは夜も遅くに帰宅しました。
飛び出したときには青い顔をしていたのですが、帰りはずいぶんな赭顔で、お酒の臭いをプンプンさせ、たいそうご機嫌でした。

とうさんが人間の着ぐるみを脱ぎながら話すには、
紛糾しかけた「拉致被害犬家族の会」の会長を、ハマコー先生が二つ返事で引き受けてくれたそうです。
「それならば」というので、すみれちゃんのお父さんお母さんも承諾してくれ、さっそくハマコー先生の案内で、新宿のションベン横町へ繰り出しました。
そこでとうさんは、一杯420円の酎ハイを、なんと、24杯も飲んだんだぞと、それはそれは大威張りでした。

その後のことは皆さんもテレビや新聞が連日大きく報じたのでご存知でしょう。
ハマコー先生は単身NASAのロケットに乗り、まるおにいさんとすみれちゃんを乗せたパナウェーブ星のロケットの捜索に向かいました。
しかし、とうさんはこんなことを話していました。

「おれはハマコーにそこまでやってくれとはいわなかった。また誰もハマコーにまでロケットに乗れなどといわなかった。なのにあのお調子者が……。奴は政治的、さらには肉体的に体よく葬られたんだ。今頃は宇宙の塵芥になっちまっているさ」

とうさんは空白となった「拉致被害犬家族の会」の会長を、町内会のお年寄りにお願いし、これにはすみれちゃんのお父さんお母さんも、異存はなかったということです。


しおんです。

まるおにいさんとすみれちゃんのスクープ写真をものしたご婦人の詳細が、マルチュウからとどきましたのでお話します。

ご婦人は旧帝国海軍の親睦団体である「平成国防婦人会関西方面隊第一支部」に所属する熱烈なる予科練マニアで、二人のご子息もいずれは予科練に入隊させるのだと意気込んでいる、たいへんな時代錯誤者でもあるそうです。

ご婦人にはこのたびの多大なる協力により、ブラジル陸軍はもとよりNASAからも感謝状ならびにお礼の品が贈られました。

NASAからのそれはアポロ11号が月面着陸の際に持ち帰った石だったそうです。
当時、大阪で開催された万博では、その「月の石」を一目見たさにそれこそ長蛇の列ができたほどでした。
ところが、ご婦人はそんことなどつゆ知らず、てっきり「軽石」と思い込み、風呂場のちびれた花王石鹸の横にほっぽり出しておいたそうです。

これは後日、マルチュウから依頼を受けた日本のマルボウの調査によって判明した仰天事でした。

蛇足ながら、
ご婦人の今回のブラジル行は、行きつけの三条スタバ商店街の福引きで、一等の「ブラジル5泊6日の旅」を当てたからだということです。

チクルでないぞ皆の衆。
つづけ 宇宙の涯までも!
しおんです


まるおとすみれちゃんを拉致したパナウェーブ星人のロケットは、まだ銀河系のどこかを蚊トンボのようにさ迷っていた

おなかがすいたまるおが器用にプラスチック製のフォークを使ってカップヌードルをすすっていると
背後でまるお同様空中浮遊していた大きな革張り椅子の下部にある
表側からは全く知り得ないように細工されていたジッパーがそろそろと開いたと思うと

中からは悲劇の皇帝、猿の惑星の王、オランウータンの猿心掻無不義(さるしんかくなふぎ)がおどおどと出てきた

そして猿蟹合戦の柿のタネをおにぎりと交換しようと持ちかける猿のような姑息な笑みを浮かべてまるおのほうに歩み寄り

「朕は空腹じゃ」と言った

もともとは素直なよい子だったまるおも、拉致されたりおばかなでっち上げ噺のネタにされてばかりいるのに一銭もギャラを貰えないので
ひねくれっぽい意地悪な性格の犬に変貌していた

「だから・・・?なにさ・・?」
じろっとチキチキレースのケンケンのような感じわる〜い横目で一国の王に流し目をくれてまるおは言った

「そちの食しておる・・その・・なんといったかな・・かっぱのヌード・・かっぺムード?・・とかなんとか申す下賎なしもじもの食物・・それを朕は所望する・・」

「じいさん、これほしいの?」
「左様じゃ」
「これぼくのカップヌードルなんだけど」
「所望する・・・」

・・・・「三万円」とまるおが言った

「あいにくとな・・・今は細かい銭の持ち合わせがない」
「一万円札でもいいよ」

この広い大宇宙でも日本円が通用しているとはさすがに金権政治の国、日本国である

しかし悲劇の王が口をもごもごさせて言うには

「そのー・・・細かいのが無ければ・・大きいのがあるわけがない・・」
と落語で豆腐をタダ食いする老人のようなことを言った

結局数十分の交渉の末、あわれな王は抜け目の無い意地悪犬になってしまったまるおに
「どこかの星に着き次第、シティバンクのATMに異星間送金で送金させて三万円おろして、すぐにまるおさんにお支払いします。猿心掻無不義」という証文を書かされて

皇帝はシーフードカップヌードル(レギュラーの大きさ)にありついたのであった

3日ぶりに食事にありついた王がカップラーメンの美味さにむせていると
拉致ロケットのくせに
「当機はまもなく着陸体制に入ります、どなたさまもシートベルトを着用してください」というアナウンスが流れた


・・軟着陸した星はパナウェーブ星人の星ではなかった

彼らのロケットは「きむおじさんの国」製造の安物の中古を買い叩いて購入したので燃料タンクに穴が空いていた
だから異星間を各駅停車の旅しか出来ず、自分たちの星パナウェーブ星に辿り着く前に何度も燃料を補給しなければならないのだ・・・燃料はなんとB重油であった

そして、その星は「酩酊星」であった・・・冥王星ではない

その星の民は
老いも若きもすべてが酩酊していて上機嫌なのであった

外見は人類に酷似していたが地球人よりも心持ち顔に赤みを帯びていて目つきが緩やかであった

その星ではなにをするにも

「ちゃんぱ」と発音するケール青汁のような色の液体をお互いに飲むことから全ての行動が始まるのであった

その「ちゃんぱ」を飲むと全ての生命体は非常に朗らかになり至福感に包まれるのだが
酒のような習慣性は全く無く、いくら飲んでも中毒になることも肝臓や胃を壊すことも無かった
二日酔いというような症状は一切なかったが、飲みすぎると単純にもう飲みたくないという気持ちになるので生活費を全部飲んでしまって家計に負担をかけることもなかったし
どんなにチャンパが強い者が大量に飲んだとしても一度の飲み代はせいぜい300円程度であった

また飲む者によって、あるいはその精神状態によって好戦的、暴力的になるということも皆無だった

その星では職場、幼稚園、学校、役所、病院、劇場、裁判所、刑務所に至るまで
「ちゃんぱコーナー」と呼ばれる、地球のちょうど居酒屋にあたる施設があって、人々はまずそこでお互いの交友を深めてから全ての行動を始め
また、その行動をしているあいだもチャンパを酌み交わすのであった

チャンパは無料ではなかったが、どんな貧民にも充分に買える価格であり
その原料は酩酊星にだけ棲息する、分類学上は地球上の甲殻類に一番近い体長約30センチ、体重10キロの動物「ごまのはえ」が分泌する体液であった

この生物は人口養殖が可能で酩酊星の各地の、ごまのはえ牧場では飼料としてキノコに近い組織を持つ「ナカメグロ」という菌類を培養していた


実に平和な星であった・・・
喧嘩も戦争も自殺もなかった

拉致されて幽閉の身であるはずのまるお、すみれ、不義王の三匹はほかの星に逃げたくったってロケットの操縦が出来なきゃ逃げられるはずないよ・・ということで次のロケット発射準備が整のうまでは酩酊星ではフリータイム

小遣いまでもらって毎日三匹で楽しい星でのチャンパ三昧の日々送っていた

その日も三匹は「チャンパ居酒屋ばれたはうす」で
「雪国まいまい」(酩酊星の山岳地帯の雪が積もった中を泳ぐ哺乳性の甲殻類で地球上のアンモナイトに近い仲間)を肴に
チャンパ・オンザロックを飲んでいた

BGMはローリングスターズ、星ゆり子、宇宙戦艦ヤマトなど・・・

気のいい酩酊星人の飲み友達もすぐに出来、三匹が彼らとメルアドなど交換していると
三匹が座るカウンター席にすっと寄って来て皇帝不義に耳打ちしたものがいた

それは地球人の女で二人の幼児を連れていた

その女は皇帝不義の耳元で
「王様、今、地球からまるおとすみれを救出するロケットがこちらに向かっております
中にはとてもお力のある日本の元国会議員が乗っていてもうすぐこの星に到着します
そしてパナウェーブ星人と交渉してまるおとすみれちゃんの身代わりとして自分が人質となり、彼らを救出する手筈です
王様もそれに便乗して地球に行くチャンスです

・・・地球では王様の一族は動物園という会員制ホテルのような場所に住むことが出来ます・・・北海道という北部の島にある旭山動物園というところが王様の一族オランウータンにとっては住みやすい場所です・・・」
などと情報を提供した

女は実は・・・地球の仏蘭西は巴里の空の下、優雅なマダムの生活をしていたのだが事情があって帰国することになり
一週間ほど前に仏蘭西を出国しいた日本人のマダムなのであった

グレードアップでビジネスに乗れる筈だったのだが年末の空港のドサクサで
どこでどうまちがったか予約をした日本行きの航空機ではなく
シャルル・ドゴール空港から間違った案内によってオルリーに回され
廃止されたかと思ったが実は裏路線として存在していたコンコルドのニューヨーク路線に乗せられてしまったのだった

そして、そのコンコルドが大西洋上を飛行中に
どこでどう間違ったか

しぶとくもまだ崩壊していなかった、あの「きむおじさんの共和国」がロシアから拉致してきた宇宙工学の狂気の天才、マッド・サイエンティストのジャボチンスキー博士に作らせた極秘兵器
「タガメット2号」(大気圏、成層圏、宇宙空間のいずれにおいてでも飛行中の物体をタガメの腕のように前部に突出した2本の強力なアームによって捕獲せしめるロケット兵器)によって捕獲され
そのまま銀河系の酩酊星に拿捕されて来てしまったのだった

共和国は当初、パナウェーブ星人に拉致されている多数の日本人を再度拉致して自国に連れて行く計画であったので
その目的のためにパナウェーブ行きのロケットが燃料のB重油給油のために立ち寄るルート上にあった酩酊星にも寄航するようにしているのであった

日本を離れて巴里に9年住んだというこの逞しい日本人マダムは共和国の誘拐ロケット「タガメット」が酩酊星に着くとすぐに驚くべき素早さで行動して二人の幼子を両脇に抱え

貨物のコンテナに潜り込んで空港の外に脱出したところでタクシーを停めて乗り込むと

なんとそのタクシーは日本資本のハマコー興産のタクシーで
全宇宙に情報網を張り巡らして情報収集をしていたハマコー交通の
表向きはタクシー運転手、実はハマコーの特務機関員であるところのイタリア系アメリカ人、ロバート・デニーズにこれまでの顛末を聞かれ

「マダム、それならいっそのこと、日本の有力者の人探しのお手伝いをしていただければ破格の報酬をお支払いしますよ・・そして地球の日本にはタダでお送りします」と言われたのだった

そこでマダムはマタハリのごとく酩酊星のそういった可能性のある場所に張り込んで
パナウェーブ星人に拉致されて来た地球人を探していたというわけである

・・・噺はこのようにマイミクのメンバーを次々と登場させて佳境に入ってゆくのである・・・


そのころ地球の

オープンして間もない、熱海の「国立カジノ・ホットオーシャン」の総支配人室では
ひとりの女性客が総支配人の萬楽(よろず・たのし=本名)とただ事ならぬ雰囲気で対座していた

総支配人の萬は言った

「あんたねえ、バクチやるのに金持ってこないで来てはいかんよ・・・どこの世界にバクチで負けで、お金ありません、はいすみません、ですむ世界があるっちゅーの・・・」と
文句を言っていた

萬をきっと睨んで腕を組む
大日本帝国海軍航空隊の飛行帽に「報国」と墨で書いた白鉢巻をきりりと締め、ゴーグル、防寒飛行服に身を固めているのは・・・女だった

顔はピカチュ−似の丸顔、水泳と剣道で鍛えた体は健康的に均整が取れていた

女は言った
「ぼくは金が必要なんだ!」

「そりゃ誰だって金は必要でんがな」
なぜか突然大阪弁になった国営賭博場の総支配人が、ほかに金の使い道は無いのかと思うほど肉厚のべっこう縁のフレームの眼鏡を、ぐりっとずり上げて言った

「せやかて、あんさん、スロットマシーンにルーレット、大小と花札、バカラにポーカーとドッグレースに

(ここから先は全て総支配人の萬が考案したギャンブルである・・・)

ヒトの精子5メートルレース
ハムスター400メートル大障害
プラナリア100メートルハードル

幼稚園児陸上8000メートル走

女房転がし(急坂の上からむしろで簀巻きにした自分の女房を夫が蹴り転がして誰の女房が一番遠くまで転がるかを賭ける)

フグルーレット(誰が食べたフグに当たるか、賭ける本人が食べる)

それにうちで一番掛け率が高い「ザ・グラディエーター」(コロシアムでの戦士とライオンなどの猛獣の戦い・・どちらかが死ぬまでやる)

こんだけやって

3日に亘るクレジットカード決済のお楽しみの結果、お負けになった金額が2000万、にせんまんえんでっせ
あんたはん・・・それでおかねありまへんで済むわけないだっしゃろ!!」

萬は声を荒らげて言った

「ぼくは国のためにやらなきゃいけないことがあるんだ!」女ははっきりとした声で言った

「なにすんのん?」

女は自分のゼロ戦と帝国海軍に対する思い入れを30分話し続けて最後に行った

「だから今回の件はぼくの愛国心溢れる若気の至りということで・・・『ちゃら』にしたまえ!
もしきみがそうしてくれるのなら・・・きみはこんなものに興味があるかい?」

そう言って女が濃げ茶色の防寒飛行服のポケットから出した小さなガラスケース入りの小さな軽石のようなもの・・・

「なんだすかいな?それは・・?」

それは女が数ヶ月前に三条スタバ商店街の福引きで1等を当てて行ったブラジルで

やはりマイミクであるところの開口愛好者である日本人の婦人の協力を得て
あるひと?を発見したかどにより感謝の意を込めてNASAから贈られたものだった


「月の石だよ」


そのコトバを聞いて総支配人の萬の目玉は2センチ飛び出した

「ぎょえっ!つっ、つきのいし!!」

萬は数々の趣味・道楽を持っているのだが中でも宇宙関係の収集癖が現在の一番の道楽なのであった

国営カジノの総支配人という高収入の職に就く前は食品玩具、つまるところは駄菓子のオマケ集めという、身上つぶすというほど金のかかる道楽でもなかったのだが

後程述べる賄賂を除いたサラリーだけで年収一千万を越す今となっては奥方に虎、ライオン、豹の毛皮の三点セットと500万円のチワワを買い与え

若いインド人の女中を30人も家に置き

赤いフェラーリで熱海の町を夜通しぐるぐる回るのにも飽き

某新興宗教団体の本部のある山に豪邸を建てて庭でキリンを飼うのにも飽きてきて

最近は
ガガーリン少佐が宇宙船内で失禁したときの下着とか
中国の宇宙飛行士が宇宙船内で食べたカップ麺の鳴門巻き
といったものをヤオフクならぬヤフオクで落札するのがなによりも楽しみという今日この頃であった

「あんさん、そっ、それ、ほんまもんだっか!?」

ガラスケースの裏には
「くりわほんものの月の石どすえ」と少々怪しい日本語で書かれたNASA信用保証協会の認定証だという小さなラベルが貼られていた

「ああ、ほんまもんや書いたはるよってに・・」萬がその昔ベトナムで習得したという怪しい大阪弁で言った

総支配人はカジノの館内から、偽札など世界の全ての贋物を見破る鑑定士の職員を呼んで確認させたところ
それは紛れも無く1970年に大阪万博に展示された月の石を2分割した片割れであることが判明した

・・・大阪万博の月の石・・あの時おれは胸をどきどきさせて遠巻きに見たものだった
4時間行列した挙句、月の石を見ることが出来たのはたったの3秒・・・それでもあの時はあまりの興奮でおれは鼻血を出したのだ

その月の石と同体だった物が今、ここにある・・・

萬総支配人が胸のときめく少年時代の回想に耽っていると


「4千万でいいよ」飛行服の女は涼しげに言った

・・お釣りの2千万であの、やりたいことの足しに出来る・・・おんなは男の格好をしていても計算高いのであった

「・・・・かっ、買います!」宇宙オタクの総支配人はすぐさま答えて震える手でモンブランの万年筆を握り熱海信金の小切手を書いた
今の萬にとって4千万円など端金だったし
・・実はここだけの話、国営カジノは早くも総支配人ぐるみの八百長バクチを始めていて、総支配人は決められたサラリーと同額くらいの金を八百長の黙認代金として毎月、得ていたのであった

・・「幼稚園児8000メートル走」でまで、純粋無垢な子供の走者にチョコエッグなどを握らせて八百長をやらせていた

「それじゃ、これでしゃんしゃんということで・・・乾杯しましょや、なに飲まはりまっか?」
萬が聞くと、女は勇ましい態度と服装に似合わないかわいらしい声で

「はちみつレモン」と言った

すぐにカジノのウェイターがその健康的な飲み物を二つ持って
「はえ〜っ」と言って総支配人室に入って来た

そのBという名のウェイターはカジノ・ホットウェーターに新しく入ったばかりで、なんでも池袋のロックバーでとんちんかんなことばかりやっていてクビになって熱海に流れて来たという噂だった

二人ははちみつレモンのグラスを持って商談の成立を祝い乾杯をした・・・とたんに二人とも飲み込んだばかりの液体を

「ぶえ〜っ!!」と向かい合った互いの顔に吹きかけた

なんじゃこりゃ〜・・・

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=284822383&owner_id=6408472

・・・Bはまだこんなことをやっていたのであった



「謎の飛行服の女がやりたいこと」とは一体何なのか?


酩酊星でのまるおとすみれちゃん、悲運の王の運命はいかに・・?



はい、つづいてね
しおんです。

おじさんから手紙が届きました。
なぜかハリウッドの消印がおされていました。

 可愛いしおんへ

 おじさんは今、映画の都ハリウッドに来ています。
 とうさんが極秘裏に進めている「ミクロの決死圏イルカ計画」の映画化の話をハリウッドに持ち込んだところ、先方はたいそう興味をもたれ、こうしてはるばる当地へ来た次第です。

 ゆうべはリトル東京に店を構える「千楽」というたいへん評判の良い焼鳥屋のご主人の紹介で、ハリウッドの下の最高実力者であるホー・ティー・パールヴァティーさんと会食しました。
 パールヴァティーさんはベトナム人を母に持ち、インド人を父にもつ日本通で、千楽へは一週間に十日来るという大の焼鳥好きだそうです。
 
 千楽のご主人は伊豆は熱海の「やきとり万楽」に小僧として入り、10年前にやきとり万楽ハリウッド支店の責任者として渡米したそうです。
 店名の変更はつい2年前のことで、これはパールヴァティーさんの提案でウッタラカンドの奥地に暮らす自称800歳の行者に占ってもらったところ、
「万では欲張り過ぎ。千がほどほどで良いでしょう」とのことで「千楽」に変えたそうです。
 インドでは国家の独立でさえも占いに頼る土地柄ですから、千楽をおもうパールヴァティーさんの提案はむべなるかなです。
 さいわい変更後は商売繁盛で、毎晩売り上げを集計するのにUCLAの学生をアルバイトに使っているとのことでした。

 パールヴァティーさんは、映画が表の顔とするならば、そこで働く人たちの屎尿処理という下の世話を一手に引き受け、莫大な富を築きました。
 なんでも彼女の母上はインドではアウト・カーストと呼ばれる最下層の人で、屎尿処理を家業としていたそうです。
 貿易商であったベトナム人の夫とのなれそめは、彼がアメリカへ亡命する途次に立ち寄ったインドで、あやまって肥だめにパスポートを落としてしまい、それを黙って拾い上げてくれたのがパールヴァティーさんの母上だったとか。

 パールヴァティーさんはいいました。
「わたしは人様が忌み嫌うウンコちゃんやピッピッーの処理をして、なに不自由なく暮らしています。だからといって、亡命ベトナム人の父や、不可触民として虐げられた母の痛恨を思うと、今の暮らしに安穏とはしてられません。
 犬森屋博士(おい、いつのまにかおバカなとうさんがドクターになっちまったぞ!)が研究開発を進めてらっしゃる「ミクロの決死圏イルカ計画」を、映画なんぞのオチャラケにせず、ぜひ人類に役立つ事業として、わたしに協力させてください。
 母はカーストの軛から逃れるためキリスト教に改宗しました。生前その母がもっとも尊敬してましたのがカルカッタのマリアことマザー・テレサでした。
 微力ながら、わたしは彼女の意志を引き継ぎ、いささかななりとも人様のお役に立ちたいのです」

 しおんよ、
 おじさんはこの話を聞いていて涙が止まりませんでした。飲んだサツマイモのスープのせいか御鳴楽まで飛び出す始末でした。
 パールヴァティーさんは最後に、白紙の小切手をテーブルにのせ、必要な金額を書き込んでくれといいました。
 その小切手の発行が「南ベトナム政府銀行」と知ったのは、酔いのさめた翌朝のことでした。
 アメリカには時々こういう正気を踏まえたひょうきん者のいるということを、しおんよ、くれぐれも忘れてはいけません。

 ところで、とうさんの研究は進んでいますか?
 こちらからメールを送ると、なぜか送ったメールの数百倍の迷惑メールが送りつけられるので遠慮して、何度も電話をしたけどいつも話し中です。もしかしたらとうさんは、今でも「ダイアル・アップ方式」でインターネットをつないでいるのですか!?

 おじさんより

まだまだつづけ!
しおんです。

たった今、ハリウッドのおじさんからテレックスがとどきました。

 パールヴァティーさんの母上はインド人です。
 パールヴァティーさんの父上はベトナム人です。ただし、ベトコンとは無関係です。
 現在彼は、ロス郊外のベトナム傷痍病院の精神科に入院中で、自作の輪転機で終日精巧な小切手を印刷して過ごしているそうです。
 また、パールヴァティーさんも同病院で入退院を繰り返しているそうで、近く、千楽のご主人も収容されるとの噂を、チャイナタウンにある「逆鱗」という食堂で、モヤシソバをすすっている折に耳にしました。

 噂話をしていたのは日本人観光客のアベックです。男性のジャケットの胸には「三条スタバ商店街・誘惑のロス旅行当選者」のバッチが。また女性の羽織ったコートの金ボタンは、桜に錨でした。


つづけ
しおんです!!

あのね!kan3っていうひと!

「おじさん」は熱海の国営カジノの総支配人になったの!!

今さらハリウッド行かせちゃったらお話の辻褄が合わなくなっちゃうじゃないか!

もー・・ほんとにこまるなあ・・・

なんだかあたまこんがらがっちゃって
おはなしおわんなくなっちゃいそうじゃないか・・・


もー・・・

ぼくが書いてるんじゃないけど・・・

うちのとおさん、まるおにいさんがいなくなってから
最近変なんだから・・・

さっきもコートのボタンはずして向かいのファミマ行って
レジで肉まんのお金、ボタンで払おうとしたんだからね・・・

あんまりとうさんいじめるとほんとに狂っちゃうよ!

(さっきも『万楽のオヤジが最近過激なことばかり書くようになって・・・』とか、ナスに向かって独りごと言ってたよ)

もー・・・
しおんです。

おじさんは熱海にできた「国立カジノ・ホットオーシャン」の総支配人室の椅子にもたれています。
だいぶん疲れたようすです。

結局、「ミクロの決死圏イルカ計画」の映画化の話はまとまりませんでした。
「やはりもう少しカタチのあるものにならないと……」
 と、つぶやき、やがてまたうとうとしはじめました。

※コレデ宜シュウゴザイマスカ?
しおんです

kan3さん、ありがとう


まるおにいさんとすみれちゃんはまだ、救出されません

日増しにとうさんはやつれて仕事も手につかなくなりました

仕事をしないので収入も少なくなり、今住んでいるところの家賃が払えなくなってきました

そこで週間賃貸情報を読んで近所に安い賃貸マンションを見つけたので不動産屋に行ってみました

いろいろ話を聞くとその物件はマンションの4階で、かなり広めのベランダもあって、なにより家賃が破格に安いのです

不動産屋もその辺を見込んでいて
「なにせ安いから早く決めないとなくなっちゃうよ」と
不動産屋の決まり文句を言うのです

世間知らずのとうさんは
「それでは・・・」と手付金を入れさせられてしまいました

近くなので早速見に行ってみると外見はとても立派なマンションで1階は輸入ウィスキーやゴルフクラブなどを売る高級なお店でした

1階のビルの外壁には英国風の渋い赤レンガが張張ってあります

とうさんはエレベーターに乗って目的の部屋ある4階のボタンを押しました

そのエレベーターはやけに古めかしくて内装には一部竹のスノコが張ってあるのです

なんだか中国風だなあと、とうさんが思ってよく見てみると
「鹿島工機中国工場製造」と書いてあります

4階のボタンを押したのにドアが開いてみるとそこは1階にある高級なお店の事務所になっている2階で
受付では50歳くらいのイギリス人と思われる白髪の女の人が仕事をしていました

あれ、へんだな、なんで2階に着いちゃうんだろう・・・と思い、再度エレベーターに乗ったとうさんはもう一度4階のボタンを押しました

すると少しの間エレベーターは上昇してゆきましたが

急に

うぃーん・・・

という油圧装置の機械音を響かせて上昇を続けながら

室内の天井がどんどん下がってきました

とうさんはびっくりしました

うわっ!なんだ!このエレベーターは!
このまま天井が下がってきたらおれは押し潰されてしまう・・!

天井はどんどんとうさんの頭のほうに下がってくるのです

うぃーん・・・

天井がとうさんの頭の上に少し触れたとき、まるでセンサーで感知したかのように天井は降下してくるのをぴたっとやめました

あーよかった・・・

とうさんがほっとしたのも束の間

こんどはまた

うぃーん・・・

と音がしてエレベーターのドアに向かって右側の横の壁が内部にせり出してきました

なっ!なんなんだ、このエレベーターは!

殺人エレベーターか!?・・・

とうさんは自分が押しつぶされるのは時間の問題だと、必死に迫り出してくるその壁を押し返そうとしましたが、機械の強大な油圧の力に壁はびくともしません

うぃーん・・・

天井が頭に触れている状態、もう少しで横の壁にも押しつぶされそうになってエレベーターが泊まり、入り口のドアが開きました


そこは1階でした


とうさんは、はあはあしてうろたえ、ビルの管理人などを探しましたが周囲には1階の高級なお店の店内で毛足の長い黒いじゅうたんのフロアで何人かの客と店員がいるだけで、今、そのビルのエレベーターの中で起こった出来事などお構いなしに談笑していました

とうさんは階段を2階に駆け上がって行き、先ほどの受付にいた白人の女性に、今起きた出来事を英語で説明しました

白人女性は狼狽したとうさんの説明をひとしきり聞くと
にっこりと笑って英語で
「それは大変な目にあいましたね・・・もう大丈夫ですよ・・・

それではこのビルの最高責任者のいるところに、今ご案内します、ほんとに大変な目に遭われて・・・」
とにこやかに答え

横に座ったウインストン・チャーチルに似たジョンブルに
なにやら英語で二言、三言話しました

するとジョンブルおじさんは頷きながら自分の机の引き出しから使い捨ての安全剃刀がパッケージに入って3つ繋がっているものをごそごそと取り出して

「これを、ほら、こういうふうにすればいいでしょ?」と英語で言ってホッチキスでパチンパチンと何箇所かを留めました

とうさんはこのジョンブルおじさんのやったことが何なのか判りませんでしたが
なにかこのビル特有の意味がある行為なのだと思って、うんうん、と頷きますと

ジョンブルおじさんは、そうそう、というふうに、にっこりしました

そこにホテルのボーイのような肩に金モールの付いた真紅色の制服を着た黒人の男が参りました

この男がジョージです

「ジョージ、このジェントルマンをご案内して」とイギリス人のおばさんが命じると黒人のメッセンジャーボーイは

「イエス、マム」と言ってとうさんに視線を送って頷きました

とうさんはジョージに案内されて再度、例のエレベーターに乗りました

「大丈夫かよ、このエレベーター・・・また、ういーんとかいって壁が迫って来るんじゃないだろうな・・」と思いましたが、今度はこのビルのひとが一緒だから大丈夫だろうと思うことにしました

エレベーターの内部のボタンをジョージが手馴れた様子で操作するとまた、壁が少々、ういーんと動いたのでとうさんはびくっとしましたが

ジョージがまあまあ、大丈夫だから、というふうに手を振ってとうさんをたしなめ、実際に壁は少々動きましたがそれ以上迫ってくることはありませんでした

少し長めにエレベーターが上昇してドアが開いた場所はそのビルの最上階、ペントハウスのようでした

そこでは50人ほどの男たちが集まって畳の大広間で宴会の最中でした

全員かなり階級の高そうな日本人、白人が入り混じって、ところどころに桜の花や緋毛氈、蛇の目傘をあしらった一角などがあり

純和風の園遊会といった感じでした

数人の和服の女性が琴を演奏していました


ジョージに案内されて行った大広間の中央には

一段と風格というか凄みのある男たちが集まって日本酒を飲み交わしていました

ジョージがその場所にいる黒服の男になにか囁くと

黒服の男は、そこの一角の中心にいる日本人風の男に
寄って行ってさらに耳打ちしました

すると耳打ちされた紋付はかまを着たアフロヘアーの小柄な東洋人は軽く頷き

とうさんは黒服の男に促されて紋付はかまの男の座る
畳が一段高くなった場所に正座で対座しました

とおさんが畳に手をついて頭を深く下げ日本人独特の挨拶をしました

「このたび、このビルの4階に引っ越して来ることになりました犬森屋にございます、以後、お見知りおきをお願いいたします」

・・誰に教えられたわけでもないのにこんな挨拶がすっと出てきてしまうところなんか、とうさんはやっぱり日本人です
日ごろから寅さん映画をたくさん見ている甲斐があったというものです

紋付はかまの男を近くでよく見ると

男は、なーんだ

具志堅用高ではありませんか

かつての世界チャンピオンはいまや、やくざの大親分なのか、詳しいことはわかりませんが

いつもの具志堅スマイルでにこにこととうさんに

「やー、まあ、こちらこそよろしくおねがいしまっしゅよー・・・」と言って
部下に大きな漆の杯を持ってこさせました
とうさんは、こんな力のありそうな親分と同じマンションに住めることがうれしくなってしまい

更にはここで具志堅大親分に気に入られれば、もしかしたら可愛いまるおとすみれちゃんを取り返してくれるかもしれないと瞬時に判断して

なみなみと杯に満たされた清酒を

一滴もこぼさずに
んぐ、んぐ、んぐ・・・と一気に飲み干しました

とうさんはこういうことは得意なのです

具志堅大親分は

「いや〜犬森屋さん、いい飲みぷりっしゅよね〜」と言って喜びました

とうさんは、「しめしめ、これでこの人の良さそうな親分の良好なファースト・インプレッション獲得には成功したわい・・・」と思うと、今一気に飲み干した一升の清酒の酔いが腹の底からまわってきました



ゆうべ、こんな夢を見た


どなたご自由につづけてください
しおんです


大きな杯で一升酒を一気に飲み干したとうさんは具志堅親分に気に入られました

「犬森屋さんもいろいろあってたいへんっしゅねー」と

具志堅親分は忘年会を開いてくれることになりました

とうさんが出かけて行った会場は
池袋の元は韓国食品屋、今は店内で韓国家庭料理を食べさせています

食品屋だったころからとうさんはキムチをよく買っていましたが、なかなか美味しいキムチです

うちのとうさんはばりばりの大和民族なのですが、どういうわけかアジアの食べ物、タイ、ベトナム、中国四川、そして韓国などのスパイシーな食べ物が大好きです

日本人ですからもちろん日本食も大好きです

このあたりはいろいろな民族が多い地域で韓国、中国、台湾、タイ、ベトナム、ナイジェリア、ロシア、ルーマニア・・・
黄色いのも黒いのも白いのもいろんなのがいます

そこで1次会が開かれ、メインは豚のバラ肉、野菜、ニンニク、キムチ、などを傾斜した鉄板の上で焼くのでした
そうすることによって余計な油が流れ落ちるのです

そして、その焼いたお肉をキムチといっしょにエゴマの葉やサンチェで包んで食べるのです

その溜まった油、コップに半分くらいを最後に一気に飲み干すのが韓国のしきたりです(うそです)

マッコリ(韓国のどぶろく)、この日は「黒豆マッコリ」を試してみましたところ、香ばしく、ココナッツのような香りで美味しかったそうです

各種キムチ、セロリサラダ、韓国海苔、切干大根・・・さまざまな「おかず」「つまみ」と一緒に食べます

「傾斜鉄板焼き」の次にはトック(餅)や韓国インスタントラーメン入りチゲ鍋、それにご飯を入れた雑炊と続き

サービスで冷麺まで出てきて、みんな
「もーたべられない・・・」


そして2次会は会場が変わりました

ここは具志堅親分の傘下の例の怪しいお店です

立って寝ているあるひとがバーテンさんに悪戯されています


つづく
しおんです

つづきました

その酒場はさすがに国際都市東京らしく

白ロシアからの亡命貴族のお嬢さんや

蒙古の馬賊のせがれ

共産圏に電子計算機を売りつける死の商人などが


コサックダンスを踊っているのでした


・・・

つづいていいのよ
 ものすごく気合の入った、自由速記方法小説じゃあ〜。

 わしは宇宙から見守るろう。
幕間;
まだ、読み始めたばかりですが
原稿料は、寸暇編集長が10億光年後に
たっぷりスターダストの利子を付けて
おふたりに支払うことになりました

寸暇君や・・・口約束は、タダだから、しときなさいってば!
>春夏秋冬太平天国出前一丁問答無用臨機応変奇奇怪怪さま
>まっはさん

うちではこのてのおはなしは突然始まります

どなたがなにを書いても

けっしておこられません

いつやめても自由です

気が向いたらご自分のお好きなように

いかようにもどうぞ

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