映画が好きコミュの「Ｊ・エドガー」

２０代でＦＢＩを作って死ぬまで長官として居座った　巨大権力者のちょっと奇妙でリアルな自叙伝的映画で　その功績もさることながら内面の危険極まる人物像にも迫って　観応えのある重たい作品にと･･･

米国の犯罪史をたどりながらそれと並行してＦＢＩが徐々に力を付けて行くサマを　赤狩りから始まってギャング撲滅やリンドバーグ事件を見せて　それによって科学捜査を取り入れ　州警察を踏み越えて国家的な組織に成長するまでを･･･

何と彼の任期中に８人の大統領が頭上を通過して　彼らの極秘情報を持つ事でそれぞれの後ろめたい大統領から恐れられて　その極秘情報は彼の死によって素早くあの秘書がシュレッダーにかけて　淡々と作業をこなす彼女の胸に去来するものはいったい何なのか･･･

何といっても腹が立つのは競馬場に乗り込んで馬券を買って　勝てば配当貰って負ければ払わないというこの狡さ･･･羨ましくもあり　博打の醍醐味がないようにも思ったり･･･

ＦＢＩを作って牛耳って全米の極秘情報のすべてを把握した男の
　　　　犯罪に対する孤高の天才が時の権力者の危うい情報の全てを握り
　　　　８人の大統領は決して彼を敵にまわす事無く無難に任期を終えて
　　　　全米で最も恐れられた男としての存在感はもはや語り草となって

　　　　彼の強引さは犯人を捕えるだけにとどまらず犯人をも作り上げて
　　　　かのリンドバーグ事件では物的証拠の積上げで死刑に至らしめて
　　　　少々の犠牲が伴おうともそれが国家の為に成るなら正義をも曲げ
　　　　それによる犠牲者は正義の為ゆえに仕方ないと割り切る独断性を

　　　　マザコンから抜け出せない彼は女性とのダンスは勿論結婚もせず
　　　　結局は同性に走って生涯の伴侶とするも内部はかなり壊れかけで
　　　　彼が女と寝た事を知った同志は嫉妬に怒り狂って半狂乱で騒いで
　　　　その関係は男女のソレよりも深く厳しい絆で有る事を見せつけて
　　　　更に横には常に秘書として初恋の女性が彼の内と外を共に支えて
　　　　彼女は生涯結婚しない事を条件に若い時から老いるまで彼に仕え
　　　　この妙なる三角関係は生涯変わることなく貫かれた事に驚異すら