映画が好きコミュの「アントキノイノチ」

ちょっと不評で好き嫌いが別れる作品やけど　おっさん的には好きな映画で･･･

あんまり好きでないさだまさし原作で　ちょっと好きな瀬々敬久監督の作品で･･･

アントキノイノチはなくなった命で　それは未来へと繋ぐ生きる力となって

アントキノイノチはよみがえる命で　それは大声出して生き抜く力となって

彼は幼い頃に母に捨てられ　ちょっと吃音気味のために高校時代にイジメにあって　長続きしない職場で今回就職したのは遺品整理に関わる仕事で　対人関係が苦手な彼にとってこの仕事は喋らずに遺品相手に仕事して･･･

ここで出会ったちょっとだけ先輩の女性にも同じ匂いを嗅ぎ取って　必要最低限の言葉で教えられながらも　ふたりの過酷な過去が表われて　それはそれぞれが死に対する悩みを持って生きてるという事で･･･

彼は吃音で素早く喋れない為に級友に誤解されその為に自死して　更に山岳部の岩山踏破の時にいじめる同級生を突き落そうとして手を出したときに相手は滑って思わず手をとって　二度に渡って殺しに関わった事がトラウマとなって今に至り･･･

彼女は高校時代に同級生に犯され妊娠して流産をして　相手は誘惑されたと言い逃れるが彼女は我が子を死なせた事でそれがトラウマとなって今に至り･･･

彼と彼女はちょっとづつ心を許して話し合うがある時突然に会社に来なくなって　捜し見つけたのは老人ホームで甲斐甲斐しく働く彼女の姿で　久々の再会を喜びあうが後日仕事で行った先は彼女の住むアパートの一室で　彼女の遺品に接して果たして何を思うか･･･

彼女はホームの遠足の時に幼女を助けようとして自分が車に轢かれて死んで　それは彼女が胎児をあの時に救えなかった事で決着をつけるように　見知らぬ幼女を助ける為に自らの命を投げ打って落し前をつけての･･･

あの時の命を見つめるふたりの若い男女を並べて死生観を語って
　　　　傷付いたふたりはまさに死と対座した事でその重みに耐えられず
　　　　心の均等を崩して他者との介在を極力避けたいと思いつつ生きて
　　　　その根本に有る人間不信によって自らの心は厚い殻で覆い隠して
　　　　同士と思われる人間と出会った事でその殻は徐々に溶け出しての。
　　　　傷付いた彼らが死者の遺品を整理する事で死者の魂に接しながら
　　　　思いを遂げられずに亡くなった人らはその遺品を通じて語りかけ
　　　　それは生前にあった不幸や不仲や悪行での対立やと様々な行状で
　　　　個人の遺品はそれらを乗り越えて尚和解を呼ぶ微能力を発揮して。

彼が彼女の遺品を整理するというショッキングで皮肉なラストは悲しくて　彼女がいつか云ったアントキノイノチを何回も云う事でアントニオイノキになるという会話を思い出して　彼女が身を挺して助けた少女がお礼に来たときに思わず叫ぶのは“元気にやってるかー！”で