映画が好きコミュの「川の底からこんにちは」

久しぶりに涙が出るほどオモロい映画を堪能･･･

彼女は高校卒業と同時に先輩と駆け落ち同様の家出をして　東京で５年間暮らすがその間に恋人を５人変えて職場も５回転職して　全く長続きしない生活をだらしなく送って　今もバツイチ子持ちの上司と付き合って･･･

そんな時に郷里の叔父から父が入院したから帰るようにと電話があり　無視しようとしたが彼が帰るように促して　それは彼も一緒に行って父のシジミ工場を継ぎたいが為で　仕方なく小さな女の子も連れて帰る事に･･･

つぶれかけのシジミ工場にはクセの有り気なオバハン連中が働いて　恐れをなした彼は従業員で一番若い彼女と同級生だったという女を連れて逃げ出して　残された彼女は女の子の面倒見ながら仕方なく工場を継いで･･･

彼女は会社の業績も上がらず　死にかけの父親抱えて　恋人にも逃げられ　幼子を押し付けられ　見下す従業員に囲まれ　こんなドン詰まりの状況の中で一瞬何かが弾けて開き直って　朝礼の時に自らの恥ずべき過去をヤケクソで絶叫して･･･

彼女が自らの全てを曝け出した事でオバハン共も心を開いて接してくれて　一挙にマイナス指向からプラス指向に転じて走り出し　社歌も新たに作って皆で大声で歌いながらシジミのパック模様も変えて　その積極的な販売法があたって大いに売れまくり･･･

業績も徐々に上がり出して同時にそんな前向きな雰囲気に女の子も感化されて彼女に懐き　そんな時に父親が死んで遺言どおりにシジミの川に散骨して　そこへ女に捨てられ帰って来た彼に向ってお骨を投げまくり　何もかも飲み込んだオバハンとそして女の子はそんな修羅場を眺めながら･･･

何ともダサくてギャグにもならない妙な可笑しさを終始垂れ流しながらの映像は　彼女にちっとも懐かない女の子に今更ながらの赤ちゃん言葉で話しかけ　女の子はテレビ報道の幼女殺害を見て本気で彼女を恐がって･･･

彼女の家出原因は父親のだらしない従業員との女関係でもあり　一方女の子同様に本気でその女にお母ちゃんと呼びたい気もあったり･･･

彼女は父親がかなり重度の肝硬変である事を聞かされ　父親はシジミさえ食っとけば肝臓が丈夫になると酒飲む彼女に勧めたりして･･･

彼女はバケツに我が家の人糞入れてスイカ畑にばら撒いて　デッカク稔ったスイカを葬儀で割って食うサマはまさに人肉嗜好の様相で･･･

彼女はいつも淡麗生を美味しそうにグビグビグビとやりながら　これぞまさに中流の下と言いたげなそのサマが酔うほどに伝わって･･･

彼女は死にかけの父親がいつもカツラを付けてるサマを眺め　９人の従業員で父と関係ないのは二人だけと知らされ妙な満足感を･･･

そんなこんなニンマリする不条理な現実感をあちこちにちりばめて　ちっともスマートでない映像は現代の両面の鏡として鋭く映し出して･･･

何ともダサくて貧乏臭いこの映画から見えてくる人間活力は　追い詰められた彼女が開き直って変貌するサマと　妥協人生から反転して逆転人生に賭けるその凄いパワーを　オバハン共も感化させて一挙に驀進するその姿と共に　彼女が新たに作った社歌を皆で叫ぶように歌うそれによって一致団結の強みを発揮して　同時にシジミパックのデザイン変更や販促用品の完備とかで売り上げ増進につなげていって　開き直り人生の醍醐味を実にカッコ悪く見せながらの･･･