ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

時計の歴史コミュのロンジチュードについて

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
以下の書き込みは正月に見た「ロンジチュード」の感想文で最初は「雑談トピック」に書き込むつもりでしたが長くなったのでロンジチュードのトピックをつくることにしました。考えてみればロンジチュード問題も判ったような判らないようなところがありますので詳しい方、どんどん書き込みをお願いいたします。

コメント(37)

皆様、あけましておめでとうございます。

この正月には"LONGITUDE"というビデオを2回ほど見ました。12月のはじめにある方からお借りしていたものですが正月にやっと見ることが出来ました。

私はこのビデオに深い感動を覚えてしまいました。これは同名の"Longitude"(by Dava Sobel)という本に基づいて製作されたもので何年か前にイギリスのテレビ番組として放送されたらしいです。

私はこの本の原作を持っておりますが時々手にとってパラパラと興味を惹く場所の拾い読みをするくらいで実はまだ全体を読んでおりません。ただ拾い読みの印象ではビデオの方では人物描写の方に脚本が相当膨らませてあるように思いました。

このビデオにおける人物描写がどの程度事実に即しているかは全然わかりませんが個人的には非常に素晴らしいと思いました。「ジョン・ハリソンとはどういう人か?」と問われた場合の通常の回答は、

「ジョン・ハリソンってのは田舎の大工のせがれで自分も大工だけど時計の修繕から時計造りにめざめてしまってやがてロンジチュード委員会の懸賞に応募して苦労してクロノメーターを造って80歳くらいでやっと20,000ポンドの賞金を受け取ったおじさんだ」

というものではないでしょうか。
時計本を読んでいると「このハリソンって人は相当苦難の道を歩んだんだろうな」という雰囲気は感ぜられるのですがじゃあ実際には一体どんな人生だったんだ、という事になると今ひとつわからない感じだったのですが今回のビデオを見て「なるほどこういう厳しい人生を生きた人だったのか」と感じ入りました。

以下印象的だった場面をいくつかご紹介します。
●ハリソン最初の航海
ロンジチュード委員会の取り決めでは「ロンジチュード問題」を解決する方法を考えだした者は西インド諸島への航海を通じてその有効性を証明しなければならない、と定められていました。これに沿ってハリソンは「私を私の時計と一緒に西インド諸島への航海に連れて行って欲しい」と申し出ます。が、ハリソンに割り当てられたのはリスボンへの航海でした。

この間の紆余曲折の説明は省きますが、ロンジチュード委員会にはハレーやグラハムのようにハリソンに対して好意的な者もいましたが逆にハリソンを最初から胡散臭い人物と見て激しく彼を排斥しようとする一派も少なくありませんでした。具体的には天文学者の一群であります。また悪いことにこの天文学者たちが委員会で最も発言力が強かったようです。

天文学者たちは「ロンジチュード・プロブレムは天文学者の理論によって解決されるべき問題であって、それ以外の者にこの功績を渡すべきではない」と考えていました。彼らは月の動きがどうしたこうした何だかんだ、という理論によって大洋を航海する船が自分の位置を知ることが出来る、と主張していたのです(理論の詳細は映画を見る限りよく判りませんでした)。そのため、

「出港地の時間を正確にキープしつづける時計があれば航海時の太陽南中時間との差を計算することによって航海図上で自らの位置を特定することは可能だ」

と主張するハリソンが邪魔だったのです。彼らの本音は映画中にあらわれる、

「この委員会は真っ当な科学者がその理論の正しさを証明するためにある。あの田舎の時計職人ごときにこの賞を盗まれることなどあってはならないのだ」

というセリフにあらわれております(確か"never let the country workman steal the prize"とか何とかいう表現だったと思います。詳細は忘れましたがはっきりと『盗む』stealというセリフでした)。彼らは何としてもハリソンに成功して貰っては困るのです。

いずれにしてもハリソンはこの与えられた航海に自らの巨大なクロノメーター、いわゆる「H1」を持ち込んで出発することとなりました。この航海の描写において印象的なことは当時のイギリス海軍の軍制の難しさです。艦長や提督の権限が異常に強いようでこれもハリソンにとっての障害となります。リスボンへの往路の艦長はハリソンに対して宥和的な人物で助けとなってくれたのですが(往路においてH1が何らかの障害で4分遅れたときにこれを秘匿してくれた)この人が何故かリスボンで突如として客死してしまいます。悪いものでも食べたのでしょうか?その代わりとして乗り込んできた新しい艦長は権威主義的な人物でハリソンに対して「奴を船室に閉じこめておけ」とか何とか言い出したりします。
さて、それでリスボンからの復路の事。ナントカ号の主任航海士のナントカ氏が遠くに現れた陸地を見て「あれがスタート半島(?そんな名前でした)だ。我々はあそこを目指す」と宣言します。これに異を唱えたのがハリソンです。

「私の計算ではあれはスタート半島ではない。あれはリザード岩礁だ!あなたの計算は20マイル(200マイルだったかも)間違っている!私は何日も綿密に計算してきた。重ねて言う。あれは岩礁だ。私の人生を賭けてもいい!」

と叫びます。

「もしあれがリザード岩礁なら我々は海の藻屑だ」(ナントカ中尉・談)なのだそうであります。その岩礁に突っ込んだら艦隊が全滅するらしいです。

ここで艦長は苦々しく、

「あのバカは何を言ってるんだ?奴を船室に閉じこめておけ」

と言うのですがその時に別の船員がそれがリザード岩礁である事を示す別の情報を持ってきました(それが何であるかは映画からはよく判りません。英語は難しい)。

船というものは瞬時に進行方向を変えることの出来ない乗り物のようで件の岩礁はまだ遠くにあるように見えるのですが航海士たちは「これは一刻も早く転舵しないと間に合わない」と焦ります。ですがここで難しいのがイギリス海軍の軍制で旗艦に乗る提督の指示無しで進路を変更することは絶対許されないのだそうです(軍隊として考えた場合それもそうだろうという気はしますが)。だが旗艦は自分たちの遙か前、岩礁に近いところにいます。

で、彼らはどうしたかと言うとまず信号旗をマストにかかげます。かかげられたのは何枚かの訳の判らない旗ですが、船乗りには「岩礁あり、面舵いっぱい」というような情報が読みとれるんでしょうか?次に彼らは大砲をぶっ放します。15発ドカン、ドカンと発砲して旗艦の注意を惹いて「えっ、そうなの?」と気づかせて全艦隊にあらためて「面舵いっぱい」の指令を出して貰うという按配だったようです。
非常に緊張した時間ではありましたが艦隊は無事岩礁を避けることに成功しました。艦隊全滅の危機が去ったと判った時、荒くれ者の船員達は感謝の言葉を述べながら握手を求めにハリソンのもとに集まりちょっとしたパニック状態になりました。

「こらこら全員配置につけ!まだ事態が収束したわけじゃないぞ!」

と船員達を追い散らしたのはナントカ中尉であります。まわりに誰もいなくなったところで中尉はクルリと振り返って言います。

「ミスター・ハリソン、どうやら我々はあなたに礼を言わなければならない。あなたが我々の艦隊を救ってくれたのだからね。コングラチュレーション」

セリフは意訳ですが大体そんな意味の憎いセリフを言ってました。ハリソンはイギリス海軍の艦隊を救ったのであります。

ところが当時、この事実は伏せられました。海軍の公式記録は「ナントカ提督が前方に岩礁を発見して号砲15発で危急を知らせ、全艦隊に面舵指令を出したため艦隊は全滅を避けることを得た」という風に書き換えられたそうです。これはどうも一民間人の進言によって大英帝国海軍が救われた、という事実が公式に残ってはならない、あるいはナントカ提督の経歴に傷をつけることは出来ない、という判断のようです。このあたりの映画における描写も面白かったです。艦長がハリソンに航海日誌を見せるのです。

「ミスター・ハリソン、ここに『提督の旗艦が15発の号砲を発した』とあるのが読めるかな」

「はい。ですがこれは真実ではありません」

「そう、事実ではない。だが…(以下色々と事情説明)
 という事なんだ。判ってくれるかな、ミスター・ハリソン?」

「…はい、判りました。つまり昨日は何も起こらなかったという事ですね」

「そういう事だ」
ジョン・ハリソンは海軍のメンツ?のために自らの業績について苦しい立場に立たされました。自らのクロノメーターH1の詳細な記録を提出すると海軍のミスが公になってしまうからです。帰国後のロンジチュード委員会における報告に際してもハリソンは「充分な精度を発揮した」と口頭で述べるしかありませんでした。勿論ロンジチュード委員会の天文学者たちは、

「君は充分な精度を発揮したという。だが記録は一切ないと言う。これでどうして信じる事が出来る?」

とハリソンを罵ります。この時はリザード岩礁を見誤った航海士が個人として「ハリソンのクロノメーターには助けられた。充分な精度を発揮していた」というメモを提出したためハリソンは少なくとも「嘘つき」の烙印は押されずにすんだようです。

ちなみにハリソンは親子二代にわたってこんな目にあっています。ロンジチュード委員会の天文学者たちは常にハリソンに難題を出し続け、ついには74歳のハリソンに「お前、その時計を持ってジャマイカまで行って来い」というところまで来ました。

「私は足腰も弱った老人でありとてもその任には耐えることが出来ません。ついては息子のウィリアムをもってその任に当たらせたい」

という訳で息子、ウィリアム・ハリソンがこの航海にハリソンH4を持ち込みました。この時、監視役?としてネビル・何とかという天文学者が同行します。こいつは生涯ハリソンの邪魔をし続けた阿呆であります。この航海の詳細は省きますがその帰り道のこと。艦隊は激しい嵐に見舞われます。船はいまにも転覆せんばかりに傾き、水しぶきは容赦なく船室に襲いかかります。床は既に水浸しであります。そんな中、息子ウィリアム・ハリソンは父の造ったH4を胸に抱いて柱にしがみついて必死にこの時計を守ります。と、その時更に大きな揺れが来てウィリアム君は床に投げ出されます。

しばらくして艦長がやってきて叫びます。

「ミスター・ハリスン!君の時計は大丈夫だったか?」
「はい、多分」

このようにしてロンドンだったかポーツマスだったかに帰ってきたハリソンH4は殆ど正確な時間を刻んでいたそうであります。これはまるで原始人が人類最初の火を必死に守っているかのような話で私は正月早々感動してしまったのでありました。ちなみにH4はジョン・ハリソンとしては初めての懐中時計型のクロノメーターでありました。
随分長くなってしまいましたがH4がらみで最後に一つこの映画から挿話を紹介します。
父ハリソンはあるときH1〜H3に至るクロノメーターの欠陥に気づいたようです。それは「遠心力」による誤差だそうです。ハリソンのH1〜H3のような「変形振り子(バランス)」を持った大がかりな時計の場合、船が横旋回などをする時に発生する遠心力の影響が実は甚大でここで誤差が出たそうです。そしてジョン・ハリソンは「この欠点は如何に努力しても克服できない」という結論に達しました。

その後、ジョン・ハリソンは「H4」において懐中時計型のクロノメーターの製作へと一大転回を図るわけですがその伏線としてこの映画では次のような描写が用意されているのです。


ある時、ハリソンはH1〜H3の功績においてロイヤル・アカデミー(?だったか)から金メダルを授与されます。「自分のクロノメーターには欠陥があるのに」と思いつつもジョージ・グラハムに「いいからお前は黙ってろ」と言われてそんなものか、と内心忸怩たるままハリソンはメダルを拝戴したもののようです。

ある夜、ハリソンが自宅でぼんやりとそのメダルを見て物思いに耽っていると誰かが戸をノックします。こんな夜遅くに誰が、と思って玄関に出てみるとそこには思いもかけずキャンベル(?多分そういう名前)が立っていました。彼はハリソンの最初のリスボンへの航海の時に何くれとなく世話を焼いてくれた若い船員でした。ハリソンは彼を歓迎します。

「今の私は中尉です。これでも金持ちなんですよ。私は生きて帰ったらあなたを探し出して逢いたいと思っていた」

とキャンベルは語ります。

「ミスター・ハリソン、リスボンに行ったときの○○、○○を覚えていますか?あと○○中尉。彼らは皆死にました。○○は14歳にも満たなかったのに(註・○○は人の名前。覚えてません)。私は900人を擁した艦隊で出撃して帰ってきたのは200人少々。そのうちスペインとの戦闘で死んだのは50名。あとは何だと思います?病気です。壊血病とかね」

「ミスター・ハリソン、我々は航路を見失って漂流しました。壊血病の死屍累々の中で私は『何でこうなってしまったんだろう』って考えました。こんなことはあってはならないってね。そんな時、いつも考えていたのは我々の命を救ってくれる真鍮で出来た振り子のついた機械のことでした」

キャンベルの言う「真鍮製の振り子のついた機械」というのはハリソンのクロノメーター、H1の事です。キャンベルは「あれが自分たちの命を救ってくれた」と真鍮製の時計を「暖かい命のあるもの」というような捉え方をしていたようです(映画の中での話ですが)。
キャンベルは「このような悲劇を繰り返さないためにあなたにもっとクロノメーターを造って欲しい」という事を伝えたかったらしいのです。ところがこの時ハリソンは「自分のクロノメーターには修復不可能な欠陥がある」という深い悩みの中におりました。誠実な人であるハリソンはキャンベルに問いかけます。

「キャンベル、そうして海で死んでいった人は一体誰を呪うんだろうか?」

「うーん、神を呪うか、あるいは身近な提督を呪うというところでしょうか」

「ではもしクロノメーターがあったとしてそれがきちんと動かないとしたら彼らはその時計を造った人間を呪うだろうか?」

「?」

「若い頃の人間は『何でも出来る、自分に不可能な事はない』と考えるものだ。だが老成するにつれてそうではないことが段々判ってくる。つまり…」

恐らくハリソンは「自分のクロノメーターはそんなに多くの命を救うに充分な性能を発揮できない。出来ることと出来ないことがあるんだ。判ってくれ」という言葉を呑み込んだものと思われます(映画の中の話ですが)。その沈黙に対してのキャンベルの答が、

「それならば私は老成などしたくありません」

というものなのです。

つくづく良くできた映画だと思いました。クロノメーターに課せられた全人類的要求?というものに応えるためにハリソンが自分のH1〜H3という過去の資産を捨てて、より完全なものを求めるためにH4という新技術に一大転回を図った経緯がこのシーンを見ることによって実感できるのです。個人的にはこの映画にアカデミー賞を差し上げたいです。

今から出かける用事があるので後半は走り書きもいいところですがまた時間のある時にもう少しロンジチュード問題について考えてみたいと思います。

尚セリフの詳細などは英語及び英語字幕の映画なので全て私が適当に日本語にしてます。もしこの映画をご覧になった方でひどい間違いに気づいた方はご指摘下さい。
G_Georgeさま、いつもながら読み応えある文章で一気に読んで
しまいました。私もこの映画は見てみたい!・・と、思いなが
ら、まだ見ておりません。近々みたいですね・・

それから、デテントのクロノメーターもいつか欲しいです。
様々な歴史を見てきた偉大な機械だと思うし、もっと年を
とると、懐かしいな・・と、きっと思うだろうから。

それから、GPSって凄いと思います。ハリソン時代に持っているコトができたら世界制覇(・・は、大げさか?:笑)
明けましておめでとうございます。年末年始スゴイ話題が続きますね。
H-1〜H4は出来るだけ早く本物をイギリスに見に行きたいものです。

クロノメーターの本質的機構(デテント脱進機、補正テンプ)を
考えるとH-4はある意味、後々クロノメーターの出発点となる
ものではなかったのかもしれませんが、当時普通の(?)時計機構を
使ってここまで昇華させてつくったのかと非常に興味をひかれます。
自動で温度補正をするための髭ゼンマイハサミもおもしろいです。
ちょっと雰囲気つくり?に・・

いつのモノかわかりませんが、
銀座TAMAYAが扱っていたイギリス製の六分儀です・・

教官の1人が退官するときに部屋から出て来たモノを
頂きました。異常に扱い悪かったようで、キチンと
使えるようにするのは大変です。
トキオさん、調べればわかるかもしれませんが、
今のところ調べてないのでわかりませんです〜

でも、20年〜40年近く前には現役で使われてい
た筈です。

海で使われたモノを手入れ無しで放っておくと、
予想以上に劣化すると思うので、見た目より新し
いかもしれませんね・・

大昔の海水被りまくりの船内で、精密デリケート
な時計を航海終了まで保持するコトって大変だと
思いますよ・・特に1800年の始め頃までのクロノ
メータって、綺麗なモノを見るだけで、とっても
大事にされたんだな〜・・と、思います。

しかし、ちゃんとした時計積んでいたのは少なか
っただろうなぁ・・沿岸を行き来する船にはあま
り必要なさそうだし・・
トキオさん、多分その辺の感じだと・・
ガラスの器みたいな感じで、結構単純な
機構で早い時代で完成されてるから年代
がよくわからない・・というのが実情で
すが、60年代ぐらいに作られたモノでは
なさそうな感じ??ですね〜
あしながさん
映画"LONGITUDE"にも六分儀が時々出てきました。ハリソンが船の上から太陽の高さ?の測定をしていました。この六分儀というインスツルメントの使用には或る程度の熟練が必要なのでしょうか?映画の中の話ですが、西インド諸島に到着したウィリアム・ハリソン(息子ハリソン)らが易々と六分儀を使って測量しているのに対して、ロンジチュード委員会から派遣されてきた天文学者ネヴィル・マスカリンが六分儀をうまく使えずまごまごして笑われているシーンがありました。

トキオさん
色々と興味深いサイトのご紹介有難うございます。先ほどもいくつかを読ませていただいておりました。ご紹介のリンクを辿るうちに「キャプテン・ジョン・キャンベルの使用した六分儀」という写真がありました。このキャンベルというのは多分昨日の書き込みで書いた夜更けにジョン・ハリソンを尋ねてきた「キャンベル中尉」その人の事ではないかと思います(映画の中でのファーストネームがジョンだから)。船長にまで出世しても船長自ら一生懸命六分儀使って自艦の位置特定に熱心だったんでしょうか。その時はどんな時計を使ってたんだろうか、とか考えるとなかなか興味が尽きないですね。
G_Georgeさま、映画にもやはり出てきましたか・・私、中学生
の頃、映画U-BOOTで、出港してすぐのシーンに天測している姿
を見つけ、ああいうことやってみたい!と、思って、そっち方
面に一時期身をおいていました(笑)。正確な時計、天測歴、天
測計算表(通常は米村表)か関数電卓があれば、1日に3回は正
確な位置が入ります(晴れていれば)。太陽の高度を測っていた
のは、メリパスの測定なのですが、緯度に関してはかなり正確
に位置が入る瞬間です。ここから導かれる正午位置は、航海日
誌の基礎となる位置なので、船長が最終的に決めます(測定
は大抵三航士の仕事)。大航海時代の船長は、メリパスなどは
特に自分で測ったことでしょう。六分儀はデリケートで、計測
も技術を磨かないといけませんし、何よりも早く正確に計算を
こなさなければ意味がありません(5分以内に入れるようシゴ
キあります:蹴り入れられますよ〜)。あと、これは近代の練
習生への遊び?シゴキ?ですがGPS位置に対して1マイル以内
でないと、罰直(当直延長)とか。

ロンジチュード委員会から派遣されてきた天文学者ネヴィル・
マスカリンが六分儀をうまく使えずまごまごして笑われている
シーン・・習うより数こなして体で覚えろ!の典型でしょう。
天測神(→船長とチーフオフィサー)となると、天測計算表を
ある程度暗記していて、天測時点でほぼ計算終了しているらし
いです・・紙には検算程度しか書かない美学・・

以前に探したHPで、詳しくは
六分儀について
://sextant.to-thesea.com/
天測計算について
://www5e.biglobe.ne.jp/~yotteman/tensoku.htm

見ていただくと、映画の内容が深まるかと・・HPの著者は、
それぞれ、先輩後輩の間柄だそうですが、とても親切かつ
わかりやすいページだと思います。特に、いろいろな意味
も込めて、次の記述は意味あるなぁ・・と、実感しました。

引用
「ヨットハーバーで、天測について講釈をたれるヨットマンに
でくわしたこともありますが、付け焼刃や過信は非常に危険で
すし、天測をできることがプロっぽいからといって無理・無駄
なことをする必要はありません。」
追記:
恒星で天測をおこなう場合に計測の対象となる
星がとても綺麗にHPで紹介されていましたので
これも御覧になると良いです・・前述ですが、
とてもよいHPですね・・

://www5e.biglobe.ne.jp/~yotteman/seiza.htm#
あしながさん

何と、あしながさんは本職でいらしたのですか!どうりでお話しが具体的な訳ですね。また興味深いサイトのご紹介有難うございました。

米村表?メリパス?私にとっては初めて耳にする用語だらけです(メリパスというのはmeridian passing、子午線通過の略でしょうか?)。六分儀についても実はその原理を理解しておりません。映画「ロンジチュード」でハリソンが海図に位置の記入?などをしているところ等は漫然と眺めておりましたがあのお父っつあんは実は複雑なことをやっていたのですね。またあしながさんのお話からジョン・キャンベル船長自らが六分儀を使っていたのも非常に常識的な事だという事が判りました。

ご紹介のページの「太陽の隔時観測」というところを読んだのですが正直なところ理解出来ておりません。一日に三回計測したりするんですね。私は何となく正午だけを見ているのかなと漠然と考えておりました。もっとも一体どうやって太陽の南中を特定する事が出来るんだろうかという事も判っていないのですが。

面白いと思ったのが観測者はストップウォッチを持っているんですね。で、六分儀で観測し終えた瞬間にストップウォッチをスタートさせてスタスタとクロノメーターのところまで歩いていってクロノメーターの時間を読みとった瞬間にストップウォッチを止める、ストップウォッチの表示する経過時間をクロノメーターの読みとり時間から差し引いたものが観測した時間である、という事なんでしょうか。また眼高という概念まで必要になるんですね。

このあたり、ハリソンの時代にはどうしていたのでしょうか?手許に懐中時計でも持っていて観測後秒針をチラリと見て秒針の位置を覚えて、ダーッとクロノメーターの置いてある船室まで走って行って記録したんでしょうか?映画の中ではハリソンが六分儀で観測を終えた直後ナントカ中尉に捕まって、

「艦長が君の事を目障りだと言っている」
「そうらしいね、聞こえてたよ」

なんて話すシーンがありましたがあれなどは観測がオジャンになったのではないでしょうか。

今回、こうした天測技術の複雑怪奇さを知って驚くと同時にハリソンの時代がこうした技術の黎明期だったのだなと感動?を更に深めた次第です。最近、本の"Longitude"をチラチラ読んで私はすっかり感心してしまい、ジョン・ハリソンの絵をスキャンして神棚に飾っておこうかと考えたほどです。毎朝「ハリソン大明神様、今日も私の時計が止まりませんように」とお参りすると御利益があるかも知れないと思ったのですが…。
G_Georgeさま、お返事遅くなりました・・ハリソンはとても
計算が正確で速い方だったのかも・・という気がします。
天測計算自体は、私が思うに、理論派よりはクモン式の暗算
得意派の方がうまくいく感じです。クモン式得意の人が数学
者になるとは限らないし、数学者で暗算苦手の人もいるし・・
とにかく、計算自体は間違う要素が多く、体で覚える必要が
ありました(計算結果が違う・・と、瞬時検算できる感覚)。

ストップウォッチの件ですが、クロノメータエラー(昔はどう
調べたんだ?)を求めた後のクロノメータを見ながら、観測直
前の正時にストップウォッチをスタートさせ観測毎にスプリッ
トタイムを取って観測終了していました。昔は多分デッキウォ
ッチをクロノメータと整合させて、助手の甲板員が士官の号令
「スタンバイ・・テッ!・・○○度○○.○分」で、時間を0.5
秒単位、高度を士官の言った通り書き込んだことと思います。

あと、太陽の観測で1回の観測で3回は測るのですが、高度が
最良の状態で測れた時に任意に号令を出す場合と、あらかじめ
六分儀を一定量づつ繰り出しながら、天体が設定高度に達した
時に号令を出す場合があります。時化具合でやり方を変えます
が、うまい人ほど、後者の方法でスマートに天測する感じで
す・・後者の方は、うまく測れていれば、時間間隔がほぼ等し
くなるので、観測の良否がわかりやすいからです。

眼高の話ですが、大きなウネリが来ると当然変わるので、測っ
た瞬間のウネリの状況もちゃんと覚えていて改正するなどの
ワザも重要ですよね・・なんか、思い出すといろいろありまし
た・・多分、今やったら、50回ぐらいやらないと、元に戻らな
いでしょう(笑)。

ハリソン神棚・・良いですね〜・・私もやろうかしらん・・
毎日「私はクロノメータを買ってよい人間になったでしょうか?」
・・と、拝みます(笑)。
ちょっと上の文章読み直していてハリソンの記述が
イマイチわけワカラン感じですね〜・・

多分、ハリソンは、少なからず物凄く正確に早く計算
できる人で、クロノメータを設計するなど、アイデア
にも優れた感じなのかな?と言うことでしょうか・・
この辺は、G_Georgeさんの方が適切な表現できると
思いますので、参考程度に・・

天文学者ネヴィル・マスカリンも、多分当時の立派な
学者だったでしょうから、現場慣れがなくてうまくいか
なかったのかも・・などと擁護してみる?意味で記述
しようとしたら、トンチンカンな表現になってしまい
ました(笑)。

要するに天測計算はクモン式できれば、大丈夫です・・
トキオさん、六分儀購入されますか??そういえば、
六分儀を使った、印象的な人に植村直巳さんがいます。
偉大な冒険家のアイテムとしても重要な道具ですよね〜・・
ロマン(漢の!)あるですよ〜
トキオさん

色々リンクご紹介有難うございます。マスケリンのページは後でじっくり読ませていただきます。

ところでルパート・グールド(Rupert Gould)というのはそういう人だったんですね。映画「ロンジチュード」に出てくるグールドは海軍軍人だったのがグリニッジの地下でハリソンH1を発見してこれの修復に取り憑かれて以来、嫁は逃げていくわ職は失うわ精神を病んで病院に入ってしまうわで「こりゃあ大変なこっちゃなあ」と思って見てました。後半、看護婦さんに導かれて社会復帰して多少の幸福な晩年を送ったらしいのは映画を見ていてちょっとホッとしました。

NAWCCのレビューによればこのグールド氏は色々な顔を持った人だったようですね。興味深い人物だと思ってアマゾンのページを読んでいるうちに気が付いたらこの伝記を買ってしまいました!もう一人の自分が勝手にショッピングカートに入れて勝手にチェックアウトしたみたいで暫くしたら「注文の確認」メールが届いていて驚いたの何のって。届いたらまたレポートします。あとこのグールドのクロノメーター本も買わないといけません。少なくとも誰よりもハリソンのクロノメーターの構造を知悉していた人である事は確かだと思うのでジョージ・ダニエルズ先生がブレゲを解説するような感じで色々書いてあるんでしょうか?楽しみです(ってまだクロノメーター本は注文してませんが)。
昨晩、トキオさんとのメールのやりとりで、こちらに
書き込んだら良いかな・・と、なりましたので掲載
します・・
均時差のついでのお話しで、六分儀の使用法へと繋が
ること・・と、軽く聞き流していただければ良いです〜

以下メール原文ママ
****************************
 折角均時差が出てきたので、太陽視半径についても
触れたら如何かと・・思いました。均時差は、黄道が
天の赤道に対して約23.4度の角度を持つ(=地軸の傾き)
こと、楕円軌道を持つことで起こります。このうち、
特に楕円軌道である事に注目すると、太陽と地球との
距離は常に変化していることになりますよね・・

つまり、太陽は距離によって大きく見えたり小さく見え
たりしてます。天測歴には、その日ごとの太陽視半径が
示されており、これを使って、天測をする前に、六分儀
の測定誤差(=器差)を測定するのです。より正確な天測
の為に必要な測定ですので、太陽視半径の表示は航海士
にとっては便利かもしれませんよ〜・・カムの形は楕円
で良いのかな??        あしなが

PS:実は、六分儀の測定角度の誤差(=器差)を測るのに
あたって、自然界では太陽の半径(直径)以外になかなか
良いモノが無いのですよね。

**************************
原文終わり・・

六分儀が狂っていては天測は台無しですので、普段から
自分の六分儀は大切に扱い、ダイアルの回転の具合とか
微妙なクセを綿密にチェックします・・あと、見え味も
重要な感じで、キッチリ水平線が見えるためのグラスの
調整も神経質にやってましたね・・(笑)
おっと、少し話が伝わってない感じかも・・要約の方は
完璧ですよ〜・・(難解文掲載スミマセン)

時計に表示する際のカム?の件ということで、均時差の
場合は、繭玉みたいな形でしたが、視半径の場合は楕円?
というか、地球の公転軌道そのままの形で良いのでしょ
うか?ということでした(多分大丈夫だと思うのですが)。

単純に“太陽がどの大きさで見えるか?”というだけ
ですので・・

写真は、太陽高度計測中のおいらです(スマセン)
まてよ・・例のケプラーの法則だと、まずい。
近日点で速度最大、遠日点で速度最小で、その
間の速度は一定でないので楕円カムではきっと
いけないですね・・う〜む、難し。
天測歴をいちいち開かないで、懐の中からおもむろに
“視半径+均時差指示機能”のある多機能時計を取り
出し・・

何食わぬ顔で六分儀の器差を測定して、スマートに
天測に望む・・詳細を想像することは、まぁ忘れて、
流れとしてはちょっと良いと思いませんか?

ログインすると、残り14件のコメントが見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

時計の歴史 更新情報

時計の歴史のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング