ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

山梨大学映画研究会コミュのシネオン アーカイブ.1

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

座談・マレーシア留学生の皆さんと

===============
映画という芸術は、世界の様々な民族文化を、私達に見せてくれます。欧米に限らず、アジアにも、未知の、魅惑的な世界があるはず。特に、ここ山梨大学に多く来られているマレーシアの留学生の方々に、マレーシアの映画について、いろいろうかがってみました。
===============

出席された留学生
  アズハル・アブバカール  (1年)
  A・マスラ・アワンガ  (4年)
  A・ハキム・サイード  (3年)
  M・ザリム・アブドゥラ (3年)
  ラムリ・ダヤン     (1年) (敬称略)

聞き手 映画研究会 富士某


―この度は、シネオン誌上座談会の企画にご協力いただき、有難うございます。今回、この企画を考えたのは、まず、私のまわりにマレーシアの留学生の方々がいて、全学においても、留学生の多くの割合をしめているのに、その皆さんの国についてはほとんど知らない、情報が入ってこないということ、そして映画についても、他の東南アジアの映画と同様、全く紹介されていないという状況を考えたからです。そこで、私を含めて梨大生あるいは日本人がほとんど知らないマレーシア映画について、いろいろうかがいたいと思います。
 で、実は、手元にマレーシア映画の資料があるのですが、ここにある映画について、一つずつ聞いていきたいと思います。まず、この『ハン・トゥア』から・・・

マスラ  ハン・トゥアは、実在の人物でした。彼はスルタン(マラッカ王国の王)の、有名な忠臣でした。

―ここにも書いてありますね。『十五世紀、マラッカ王国のスルタンに仕えた忠臣』で、『マレーシア国民なら誰でも知っているポピュラーな武勲伝である』と。ということは、文官ではなく、何か強かったという意味で?

マスラ  彼はウォリアー(戦士)で、とても強かったんです。

アズハル  彼は『シラット』(マレーシアの武術)の達人で、とても強かったのです。

―『シラット』というと?

アズハル  日本の空手のようなものです。それで、トゥアは兄弟のように仲良く育った親友がいましたが、トゥアはその5人の中で一番強かった。

マスラ  強い順に並べると、ハン・トゥア、それから、ハン・ジュバッド、ハン・カストリィ、ハン・レキル、ハン・レッキュウ。

アズハル  子供の頃、トゥアたちはある島に遊びに行きました。その島では、悪い海賊達がいて、島中でのさばっていたのですが、トゥア達は、その海賊をやっつけてしまったのです。

―えっ、子供が海賊を?それはいくつぐらいのときですか。

アズハル  九、十歳くらいだったかな。

―そんな子供が、おとなの海賊を?

マスラ  いや、それくらいになると充分大きくなるから。

アズハル  それから、トゥア達は、レダン山に登って、二十年ほど修行しました。そして、大人になって山を降りて、マラッカに戻ったのです。そのころ、街にはとても強い悪党がいて、人々を襲い、殺していました。

ザリム  そこで、スルタンが街を歩いていたところを、その悪党に襲われる。スルタンには強いガードマンがついていたんだけど、その悪党一人に、みんな倒されてしまう。そこを、マラッカに戻っていたハン・トゥアがたまたま通り掛って、悪党を倒し、スルタンを助けました。ここで、トゥアは一躍有名になって、スルタンの忠臣になるのです。
 でも、ここで悪いことが起きます。スルタンはトゥアを重用したために、トゥアを良く思わない臣官がでてきたのです。

(ここで、ザリムさんが、図解してくれました。)

         〔マラッカ王国の位階〕
          【スルタン(国王)】
              ↓
          【ベンダハラ(宰相)】
              ↓
         【テメングン(警察長官)】
              ↓
         【ラクサマナ(海軍司令官)】
              ↓
        【シャンバンダー(陸軍司令官)】

スルタンに気に入られ、急にラクサマナ(海軍司令官)まで昇進してしまうと、テメングン(警察長官)が、トゥアの存在に危機感を抱き、今のうちにトゥアを消してしまおう、と考えます。しかし、トゥアはあまりにも強いので、まともにぶつかってやってしまうわけにはいかない。そこで、スルタンの側室一人と密会している、という噂を流します。スルタンの怒りをトゥアに向けさせるためです。このデマを信じたスルタンは、トゥアが裏切ったものと思い、トゥアを殺すように、ベンダハラ(宰相)に命じます。

―忠臣が嫉まれるのは、どこの国でもあるんだなぁ。

ザリム  ところが、このベンダハラは、本当のことを知っていて、トゥアを殺したくない。でも、スルタンの命令は絶対で、従わねばならない。彼はトゥアをある島に逃がし、スルタンには『トゥアは死んだ』と言ってごまかしたのです。

ハキム  トゥアがいなくなると、次に強いハン・ジュバッドがラクサマナになります。しかし、彼は、トゥアが無実の罪に処せられたことに怒り、スルタンに反対します。ジュバッドは復讐として、デマだったトゥアの悪事を、『実行』するのです。
 スルタンは、今度はジュバッドに対して怒りますが、これまたトゥアの次に強いのだから、トゥア以外に抑えられない。スルタンは『ああ、トゥアがいてくれたらなぁ』と嘆くようになります。ベンダハラがそれを聞きつけて、事実を打ち明け、トゥアは再びマラッカに呼び戻されて忠臣となるのです。しかし、ここで悲劇が起こるわけで、トゥアはスルタンに、ジュバッドを殺すように命じられるのです。

―兄弟のように親しいジュバッドを?

ハキム  結局、二人は戦い、長い戦いの後、トゥアが勝ちます。が、ジュバッドは刺されてもなかなか死なず、狂気に至り、まわりの住民を殺しまくるのです。

―最後の最期で、“悪人”になってしまう?

ハキム  最後は、住民が皆で、ジュバッドにとどめを差したのです。

―トゥアのために復讐したのに、そのトゥアに殺されてしまう。ひどい皮肉だなぁ。

ザリム  トゥアも本当は殺したくなかったけど、彼はスルタンの命令には絶対に従った。それで、マレーシアの国民は、皆トゥアが好きだし、逆にジュバッドはあまり好かれない。

マスラ  でも私は、現代の人間として、ジュバッドは正しいと思います。

―私もそう思います。日本でも昔は“忠臣”というのが立派だとされていましたしね。では、次の映画にいきたいと思いますが、『アリババ』について、これはなにか、この物語が、特に親しまれているということなんですか?

マスラ  いや、そうではなく、P・ラムリーが個人的に作りたかったということでしょう。

―あれ?ラムリさん、何て言ってるんですか?

マスラ  いや、ほら、あの洞窟の前で、岩を開けるときの・・・

―ああ、あの『開け、ゴマ!』というやつ。あれ、マレー語で何て言ってるんですか?

ラムリ  いや、実はマレー語ではなく、ジャワ語なんです。この呪文だけ。で、訳すと、『“小”がしたいんだけど、“大”も出ちゃった』という・・・(笑)

―なんですか、それ(笑)。そういえば、P・ラムリーについて書いてありますが、『監督・俳優・作曲・歌手と なんでもこなす』という、すごいエンターティナーぶりみたいですけど。

ザリム  そう、P・ラムリーが一番面白い。

アズハル  今でも毎年、『P・ラムリー賞』というのがあるくらいです。

ラムリ  でも、P・ラムリー程、面白いのは、ほとんどない。

―ところで、このP・ラムリーの頃が、マレーシア映画の黄金期のようですけど、映画が始まったのはいつ?

アズハル  マレーシア最初の映画は、1930年頃で、シンガポールの『ショー兄弟会社』で作られた、インド的な、物語の合間に歌と踊りの入るものです。60年頃まで良く作られました。

マスラ  でも、さすがに今は、こういうのは誰も見ません。

―次に、これは私も観ましたが、『いばらのあぜ道』について。これは原作の小説を元に作られた、ということですが、小説はいつ頃の作品なんですか?

ザリム  良くわからないけど、マレーシア独立前からあったものです。

マスラ  原題は『道に沿った刺』という意味で、刺があっても、なお歩いていく、という含みがあります。そして、この作品は、『どんなに苦しくても、自分の土地を守り通し、安易に売ったりしてはいけない』と呼びかける意図で作られたのです。というのは、当時の社会では、生活が苦しくなると、すぐに土地を売り払ってしまい、農地が荒れていく状況があった。

―なるほど、それはちょっと、そこまではわかりませんでした。
最近の映画では、この『ロック・ミュージシャン』について。

ハキム  この映画は、マレーシアの音楽業界において、ミュージシャンが作ったテープを、会社が安い値段で売り出してしまうので、それに抗議し、この安売りテープを買わないようにしよう、と呼びかけるために作られたのです。

マスラ  あと、良く知られている映画で、『トゥヨル』という“お化け”の話があります。『トゥヨル』というのは、マレーシアの有名な“お化け”で、5、6歳の子供くらいの大きさで、髪の毛がありません。金を盗もうとする悪人が、トゥヨルを利用するのです。そのために、悪人はトゥヨルを育てるのです。

―えっ、お化けを“育てる”?

マスラ  そうです。自分の足の指を噛ませて、血を吸わせるのです。でも、吸わせ過ぎると、死んでしまいます。この映画では、その前に、トゥヨルを殺そうとした悪人が、逆に殺されてしまいます。

―さて、いろいろマレーシアの映画について伺ってきましたが、やはり、一番人気はP・ラムリー?

ザリム  そうです。彼はいろんなジャンルの映画を作ってきました。
コメディーではあと、アルバドゥルやアジサタ―、社会的なものでは、ラヒム・ラザリやジャミル・スロン、アクション物では、ジム・サム・スリンなどの監督がいます。
 あと、隣りのインドネシアでは、シラットのアクション映画がたくさん作られていて、マレーシアでもよく観ています。逆に、向こうは、社会的な映画が少ない。

―やはり、社会体制の違いかな。

マスラ  テレビでは、日本のアニメが良く流れます。ロボットアニメとかウルトラマンとか。

ラムリ  そうそう、ウルトラマン。(変身ポーズをとって)じゅわっ!(笑)

―あはは。日本が舞台だけど、話はわかりますか。

ラムリ  大丈夫、ちゃんとわかります。

―それじゃ、最後に、一番好きな映画を。

ザリム  P・ラムリーの映画が一番良い。

ラムリ  『ターミネ―ター2』が良かった。

アズハル  『(キャプテン・)フック』が面白かった。

―長いあいだ、ご協力有難うございました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

山梨大学映画研究会 更新情報

山梨大学映画研究会のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング