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療術の世界コミュのAi(エーアイ=画像解剖)

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Ai(エーアイ=画像解剖)の提唱者で、「死因不明社会」の著書もある、医師で作家の海堂尊さんに聞きました。

◇
 ――日本が死因不明社会だと、指摘する理由は何ですか。

 「日本では年間100万人以上が亡くなります。これに対し、解剖の件数は年間3万件余りで、97%の人では本当の死因は不明なままです。当初解剖されずに病死と診断された時津風部屋の傷害致死事件に象徴されるように、犯罪の見逃しにつながりかねない、重大な問題を抱えています」

 ――解剖率が低いのはどうしてでしょうか。

 「不審死の解剖を担う監察医という制度は東京区部など一部の大都市にあるだけで、ほとんどの地域では警察が必要ありと判断した司法解剖以外は、遺族の承諾が必要です。しかし、遺体を傷つける解剖への同意は得られにくいのが実情です。ただし、解剖率の低下は世界的な傾向です。90年代以降、CT(コンピューター断層撮影法)やMRI(磁気共鳴画像)が普及し、生前の診断力が向上したことも背景にあります」

 ――遺体の画像診断には、どんな意味があるのでしょうか。

 「死因究明につながる情報が得られ、解剖の必要な症例の選別に役立ちます。末期がんなど死亡時の画像を、生前の画像と比較するなどして、病気の進行や治療効果の検証を通じ医学の進歩につながります」

 ――患者側にとっての利点は何ですか。

 「解剖と異なり遺体を傷つけることがなく、結果も即時に分かります。撮影された画像をもとに、医師から説明を受けることができるのが最大の長所です。『医療ミスではないか』といった医療不信の軽減も期待され、患者と医師の信頼構築に寄与できます」

 ――Aiが普及すれば、解剖は不要になりますか。

 「そんなことはありません。画像で得られる情報と、解剖で得られる情報は全く別物です。CTだけでわかるのは死因の3割程度とも言われます。まず撮ったCT画像を遺族にお示ししたうえで、解剖の必要を伝えることで、承諾を得やすくなるといったことも考えられます」

 ――今後の課題はどう考えますか。

 「病理解剖にかかる費用は一体二十数万円と言われますが、これはすべて病院側の持ち出しです。画像診断の費用も含め、死因の究明という社会の根幹にかかわる部分には、公的な費用負担を考えるべきではないでしょうか」(田村良彦)

海堂 尊(かいどう たける)
 1961年生まれ。作家、病理医。著書に「チーム・バチスタの栄光」など。




(2008年4月25日 読売新聞)

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