TokuzoコミュのTokuzo6月ライブレビュー

6/1（金）吉田美奈子&河合代介 DUO meets 沼澤尚
　初めての吉田美奈子さんのライブ。ヴォーカル、ハモンドオルガン、ドラムという渋い編成で、ステージには真ん中がオルガン、上手にドラム、下手にヴォーカルで半円型のセッティング。私が座ったのは一番前の美奈子さんの真ん前で、生声が聞こえるかなとワクワクしつつもなぜか私が緊張している。メンバー登場でワクワクがピークに。美奈子さんが初めに「今日は１sｔ２nｄと分けずに１ステージのみですが、言葉を大切に歌います」とお話をされ演奏がスタート。まずはドラムの沼澤尚さん。大好きなドラマーです。タイトでビッグに歌うドラムで外見もイケていて素敵でした。いつみてもかっこいい！そしてハモンドオルガンの河合代介さん。一番前の席だったため河合さんの足元がよく見える。なんと！レインボーカラーの５本指ソックス！かわいらしい人だなーと思っていたら演奏は大迫力！そしてそして吉田美奈子さん。歌う言葉の一つ一つが力強くて優しくて包容力がある。分厚くて繊細で倍音鳴りまくりの歌声。すごいです。心を全部もっていかれました！３人の音に包まれたらなぜか自然に涙が出てきて止まらず最後は号泣。日常生活でチマチマとした悩みや怒りが流された感じです。富士山を見た時と感覚が似ている（笑）とても自然で心地良くて、私の邪悪な心がきれいになった夜でした。（白木佐也加）

6/6（水）遠藤ミチロウ／いとうたかお
意外なことに初共演ライヴ。お互い同じ学年と解り、さらに、愛称ペケの理由を遠藤ミチロウは初めて知り、会場に来た人だけに教えてくれた。
始めは、映画「MY　HOSE」堤幸彦（監督）坂口恭平（原作）で鈴本さんを好演した、いとうたかお。音が伸びて繊細でやわらかい演奏。ハッとさせられるコードを織り交ぜてくるので、音色が跳ねて楽しく踊っていた。同時に芯の強さも叙情性を放ち圧倒的なパフォーマンスにド肝を抜かれた。映画とは、また違う面を新たに感じ発見した。
次は、遠藤ミチロウ。選曲はTOUCH　ME、M.J.Qの近年とは違い、奇妙な静けさと特別な何かを放っていた気がする。途中でピックが砕け、よく観ると三分の一が欠けている。福島だけではなく、どの地域でも同じように感じて欲しいと語っていた。５月に会場でも上映された「プロジェクトFUKUSHIMA!」も是非、多くの人に見て貰いたい作品。
アンコールでは「天国の扉／ボブ・ディラン」を共演。いつもの倍、８小節を交互に日本語歌詞で畳み掛けていき、現場での興奮感覚は簡単に言葉で表現できない。自分のスタイルであれば、それが精神性だと痛感した。ふたりでしか表現することの出来ない空間を作り上げていた。あの瞬間は一度しかない。家に帰ってからも興奮したが、不思議とぐっすり眠れた。（かただみつのり）

6/10（日）ROVO
のっけから私事で恐縮だが、1歳と４歳の息子がいる。毎日、騒音に揉まれながら、怒濤の一日が過ぎていく。そんななか「たまには夜遊びしようよ」と誘われたROVO。いい機会だと、久々の独り身夜歩きに出かけることにした。会場は、テーブルなしのオールスタンディング。最前列にまぎれこむ。音がなり、空気がゆれだす。あぁ、久々の感覚！始まるまで知らなかったが、今回はＶＪがいない。演出の主役は、天井からぶらさがる無数の裸電球。照明も色が付くことなく、極めてシンプルだ。あの、混沌とした世界を作り上げるのにＶＪは必須だろうが、今回のシンプルな視覚により、ひとりひとりのプレーヤーの技がくっきりと浮き立つように感じた。今さらだけど……超絶もん！その音にも、奏でる体にも惚れ惚れする。次々と生まれるリズムとメロディが絡みあい、振動に包まれ、まるでジェットバスに入っているような心地。ごーくーらーくーやー。もみくちゃ祭り～アドレナリン大放出！になるやと思いきや、意外にも癒されたのだった。これも普段の爆音（息子）で鍛えられているせいか!?野外で聞くROVOが大好きだったが、屋内もまたよし。得三の、ちょうどいい大きさと裸電球のおかげだろう。（石崎幸子）

6/18（月）板橋文夫＆李政美ジョイントライブ
わたしは李政美のファンである。温かく包み込むような彼女の歌を“癒し”と言う人もいるが、わたしは癒されたり元気をもらったこともない。ただ、聴いていると期せずして涙が溢れてくることがある。李政美という人間の、ありのままが歌となり、心の深いところまでまっすぐに届くのだろう。
しかし実は、聴く音楽の殆どはJAZZである。とりわけThelonious Monk、McCoy Tyner、William Evans等、ピアニストがリーダーやソロが多い。JAZZに嵌り込んだ70年代終わり頃、板橋文夫も初めて聴いている。ソロでも、どの編成でも、板橋は板橋。ローリングし爆発しながらも、触れれば壊れるかと思うほど繊細だった。そして歌手の眠れる側面を引き出す”歌伴上手”の側面を持っている。
李政美with板橋文夫。これが長年暖めてきた、そして今回実現した“野望”である。
オープニングの「ああ！飯館村！」では、板さんの怒りと悲しみが激しく渦巻いて迫ったくる。既にノックアウト。李政美も、いつも寄り添うようなサポートとは違う、挑発する板さんに応えて、オリジナルも朝鮮民謡も力強く、JAZZYでさえあった。客席に下りるなんていうのも李政美のライヴでは初めてでは。名曲「渡良瀬」では李政美のボーカルが繊細に、力強く絡んで、白眉ともいえるインプロビゼーションだった。
“野望”は果たされた。しかし、このduoがこの先どんな化学変化を起こしていくのか、知りたい、聴きたいという新たな欲が湧いてきて抑えきれない。（及川　葉）

6/19（火）六栁庵やそ・三味線VS仙波清彦・鳴物
　六柳庵やそさんから６月１９日のライブにお招きをうけました。行かなければ！当日は台風４号が名古屋に接近中でしたが、一歩Tokuzoの中へ入るとやそさんのファンの方で熱気いっぱい。配布の資料に６月９日付け中日新聞のコピーがあり「異端の奏者６７歳今が旬」、大病経て鬼気迫る演奏、ガンとの闘病中のことなどが記されていた。そんなことちっとも知らずに来たのは僕だけではないかと思った。一部の長唄はしっとりと時間が流れた。休憩を挟んでの二部は仙波清彦氏との競演＆三味線の杵屋喜鶴さんの三人息もぴったりで、仙波さんのドラム、ゴムのチキン人形、酒瓶を使った演奏に僕はビックリ勿論会場も大盛り上がりでした。アンコールでやそさんのソロ、闘病中とは思えない力強い演奏に観客は拍手喝采でした。ライブが終わっても観客はそれぞれのテーブルで余韻を楽しむようにゆっくりしいていた。企画したTOKUZOの森田さんの顔が嬉しそうに見えた。心が温まるものをいっぱいいただいた夜でした。やそさん素敵な夜をありがとうございました。(イラストレーター茶畑和也)