ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

四季を詠む日記コミュの毎日新聞七月四日朝刊より

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
特集 俳句の毎日 

心躍る 五七五の宇宙

俳句は人間や風景への愛  俳人・岡本眸さんに聞く
 
 たった17文字の小さな世界。だが、その小さな形を超え、とても大きな宇宙を表現する。世界で最短の詩型といわれる俳句がいま、多くの人たちに愛されている。情報があふれ、悲惨な事件が相つぐ現代に、まるでひそかに息をする草花のように言葉の数々が潤いを与える。この俳句の魅力にとりつかれ、生涯をささげるように真向かってきたのが岡本眸さんだ。
 「きっかけは本当に偶然だったんです」  
 東京で会社の役員秘書として働いていた20代。そこに「職場句会」が出き、昭和の大俳人の富安風生さんが指導に来た。岡本さんは「仕事」として句会の準備などをした。明るく活発な「社員」はよい先生や仲間に恵まれ、以後約50年、俳句を手放すことはなかった。
 「一生懸命働いている人の姿が好き。生活の中にこそ生きている姿がある。それを表現するには俳句がぴったりです。自然の風景を詠むのもいいのですが、あちこち出かけているヒマもありませんでした。毎日、日記のように俳句を作りました」。
俳句は日記、というのが信念だが、それは周囲の人たちを温かく見つめようということでもある。やがて、30代後半で病を得て俳句で命を見つめることにもなった。
 「俳句の基本は愛。いま風生先生がおっしゃった言葉につくづく同感します。人への愛、自然や風景への愛。それが俳句の魅力、面白さです。憎しみはいけません。あらし(台風)が来て、あらしを憎む気持ちがあっても、風雨にいじめられている草木の姿をあわれと思いその気持ちを詠む。それが俳句の愛。一日の仕事を終えて帰る人の背中に夕日が当たっている。うしろ姿からいろんなことを想像する。人でも風景でも街角のビルの一角でも優しさを持って見つめるのが俳句です」
 生活の中で長く培われた考えだ。もちろん俳句にはいろいろなパターンがある。想像でイメージをふくらませる。美的観念を追求する。季語も使わない。誰もが知っている山頭火のような自由律・・・・。だが、「俳句は愛であり、優しさだ」という考えはすべてに共通すると岡本さんは思う。「自然が破壊され一本だけ残った樹木といつまでも寄り添っていたい」とも言う。では、そうした思いを俳句にするにはどうすればいいか。
 「感動の焦点をしぼることです。大きく感動して、冷淡に客観的に詠む。感動するのは熱い方がいい。けれど言葉に表現するときは、大げさに言うと科学者の目になることです。それが俳句の『写生』だと思います。たくさんのことを感じてたった一つのことに焦点をしぼって、具体的に表現する。俳句は何といっても短いですから、感動の原型だけを読む人に伝えることが大切です」
 つまり多くを語らないこと。語らずして多くを語ると言ってもいい。俳句で、何歳になっても人一倍感動するしなやかな心と冷静な言葉を持ち続けることができたら、こんなに素晴らしいことはない。「何歳から始めても構いません。始めようと思ったことがもう俳句の魅力に気づいていることなんです。ただ、始めるときはよい先生についてもらいたいと思います」                                          【聞き手・酒井佐忠】


おかもと・ひとみ  1928年東京生まれ。富安風生、岸風三楼に師事。俳誌「朝」主宰。俳人協会副会長。10冊目の句集「午後の椅子」で今年の第41回蛇笏賞を受賞した女性俳人の第一人者。



コメント(2)

新人にもベテランにもためにあるお話です・・かたくりちゃん
長い文章を書いて下さって有難う御座いました。イヤになるほど叩き込まれたのですが、実作に勝るものは無く、でも、時折指針として、俳論や色々な作家の作品を読んで読みつくす。
 頑張りましょう!

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

四季を詠む日記 更新情報

四季を詠む日記のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング