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現代物理学史 コミュの絶対空間の任意の場所にある箱の中の物理量の収支

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4.質点の力学と流体粒子の熱力学は両立しない
大気や海洋の流体を連続体とみなした運動方程式は時間軸と空間軸の偏微分方程式である。これを用いて将来の大気や海洋の状態を予測するには、観測された大気や海洋の初期の値をコンピューターが計算できるような差分方程式に変換する。微分方程式を差分方程式に変換する際の数値計算上のいろいろな問題はここでは議論しない。ここでは気候予測モデルで用いられる質点の運動方程式と質点の密度を決める拡散方程式を統一的に理解するために、まず絶対空間にうめこまれた任意の領域の収支を司る法則として導く。つぎに前者(質点の運動法則)と後者(構成物質の拡散)がお互いに異質な数学原理の上に組み立てられていること、したがってこれらが両立することの保証はどこにもないことを証明する。

4.1 絶対空間で物理量の収支を表す方程式
絶対座標とは:
あなたがいる場所を測る基準を一義的にきめる空間の基準が絶対座標である。絶対という意味はどんな観測者から観察しても空間の幾何学がただひとつ確定するということである。このような絶対基準に正座する観測者が絶対観測者である(図1)。

絶対観測者から見て3次元空間の任意の場所Xに流体粒子が1個入る大きさの箱を設定したとしよう(図2)。ここで座標Xは絶対空間に埋めこまれた箱を絶対座標の原点からの位置によって区別する標識と考えればよい。

流体粒子とは:
密度や速度や力などの物理量が空間的に一様である最小の空間領域(つまり局所的な広がり)の時間的な変化(つまり運動)も連続であると要求したものが連続体である。つまり連続体では物理量を空間座標と時間座標の連続関数として表現できるから、連続体ではニュートンの運動の第2法則に必要なすべての物理量が確定する。このような連続体と見なせる流体の最小単位を流粒子とよぼう。海水の場合はこのような流体粒子の大きさは1ミクロンとしてよい(註1)。

預金通帳の収支方程式:
さて3次元空間の任意の場所Xに埋め込まれた1辺が1ミクロンの大きさの箱の中に閉じ込められた物理量の分布関数をΓ(X)とし、この箱の表面の単位面積あたりで単位時間出入りする物理量を Σ(X)とし、この箱の中に発生する物理量をq(X)と書く。この箱の表面から単位時間出入りする物理量とこの箱の中で発生する物理量を監視しておけばこの箱のなかで物理量が増えていくのか減っていくのかがわかる。このことを数学の言葉で表現したものをここでは収支方程式
     ∂t Γ(X) +∇・Σ(X)= q(X)
と名付ける。ここで∂tは銀行預金Γの増加率、∇・Σは箱の境界を通過する預金の出入り、q(X)は預金利子の発生量と思えば、これは銀行預金の出入りと預金利子の発生を監視していれば預金が増えるのか減るのかがわかるのと同じである。

4.2絶対空間の箱にたまる物質密度
貯金利子の発生量はq(X):
絶対空間に任意の場所Xにある箱の中の物質の量の収支がどうかなるかは、上のΓが物質密度、Σはこの箱の左端と右端を通過する物質量である。この箱のなかに発生する物質量はqであるが、ここでは箱の中では物質は発生しないとしてq=0としよう。上の収支方程式は一般すぎてこれでは何にも当てはまると同時に、これ以上は何も言っていない。

現在の貯蓄高Γと毎月の貯蓄の流れΣとの関係:
しかし箱の中の物理量Γと箱を通過して箱に出入りする物理量との間には特殊な関係が有る場合がおおい。このような特殊な関係を連続体力学の専門用語では構成方程式とよぶことがあるが、これは物理量に依存する密度Γと流れΣの間に成り立つ特殊な法則と思えばよい。

現象論的観察によるΣとΓとの関係:
ここで歴史を勉強する必要がある。実験生理学者だったフィックFickは今日では拡散に応用した線形反応理論と呼ばれる理論研究を行なったのだ。それは水面に落としたインクは周囲に向かって流れていってインクの色が薄まっていくことを数学の言葉で表現したもので、
      Σ(X)= −κ ∇・Γ(X, t)
という形をしている。ここで物質の流れは Σ(X)であらわし、物質濃度の空間的勾配が∇・Γ(X)である。κは比例定数である。上のようなΓとΣの関係は対象とする物理量に依存した特殊な関係式で、連続対力学の分野ではこの関係式を構成方程式と呼んでいる。

ここで∇は箱の左端と右端のように任意の場所を選べるから、絶対座標の中心からいくら離れていようが全然かまわないのである。これが後に述べる質点の運動の第2法則で要求される絶対座標の存在を条件とする質点の力学と異なることで、コリオリ力も波動もすべて絶対座標の存在からの帰結である(註2)。

確率論的な見方:
Fickの論文“拡散についてOn Diffusion”が発表されて50年後にFickの現象論的な構成方程式を確率過程によって書き換えたのがアインシュタインである。アインシュタインは箱の中にある拡散粒子濃度は拡散粒子が絶対基準を出発して上に定義された箱にたどりつく確率
     G( X.,t)
に比例するという。この確率分布関数はガウス分布と呼ばれている。これから先は高校や高専の確率で習うとおりで、拡散粒子の位置の2乗は分散とよばれ
    σ2=<X2 >=∫ X2 G(X,t) dX=2κt
と書かれる。これは汚染物質の広がり(を表す分散幅σ2)は汚染物質が放出されてから経過した時間tの1乗に比例すると言っている(ここでtは拡散粒子が動き回った時間、κは上でのべたFickの比例係数で拡散係数とよばれる。)
これがアインシュタインの拡散過程に従う汚染物質濃度分布がガウス分布G( X.,t)になる根拠である。

気候予測や気象予報で用いられる拡散方程式も、環境汚染のアセスメントに用いられる拡散方程式もすべてガウス分布にもとづき、汚染物質は時間の1乗で分散していくとして演繹的に結論される。しかし本当に地球環境の物質拡散はガウス分布で表現できるのであろうか?もし物質の拡散過程が流体粒子の力学過程の公理系と同じであったらこんなことは問題にしなくてもよいだろう。公理系を同じくする法則はお互いに誘導可能だからである。

4.3 絶対空間に埋め込まれた箱のなかの運動量の収支方程式

流体中における音波の伝播:
絶対空間の任意の場所Xに埋め込まれた箱の中に存在する流体粒子の運動量密度
     ρv
の収支方程式を考えよう(図3)。ここでρは流体粒子の密度、vは流体粒子の速度である。運動量密度の収支方程式は
  ∂t(ρv)+∇・(Σ)=q(X)
である。ここで運動量密度に対する構成方程式は
 ∂t(Σ)= ∇・(ρv)
であることがマクロな観察データから検証されているから収支方程式の左辺は
{∂t∂t + ∇・∇}(ρv)
となる。これは運動量密度が音波として流体中を伝播することを表している。

流体粒子の内部に発生する運動量密度:
運動量密度の収支方程式の右辺qは流体粒子の内部に発生する運動量密度である。これは流体粒子からはるか遠く隔てて流体粒子に運動量を発生させる遠隔力、流体粒子の隣に存在する流体粒子から受ける近距離力、隣の流体粒子を飛び越えた流体粒子から受ける中距離力に分類される。重力などは遠隔力である。流体粒子が接している隣の流体粒子から受けるずれ応力などは近距離力である。海洋における異なる水塊や生物活動が原因となる海洋光学的な海水密度の擾乱による運動量密度の発生である。

このような運動量密度の発生はニュートンの運動の第2法則に基づくから、流体粒子の内部に働く力である。ニュートンの運動の第2法則の力を定義するためには絶対座標の基準から計った時間空間の幾何学が必要である(伏見、1973)。つまり、絶対空間の任意の位置における流体粒子に働く力は絶対空間における流体粒子自身の位置が重要な情報を与えるのである。(汚染物質の軌跡を決定するのは絶対空間における汚染物質の位置が必要ではなかったことと比較せよ)。

コメント(1)

2月21日改訂版
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー4.質点の力学と流体粒子の熱力学は両立する保証はどこにもない
大気や海洋の流体を連続体とみなした運動方程式は時間軸と空間軸の偏微分方程式である。これを用いて将来の大気や海洋の状態を予測するには、観測された大気や海洋の初期の値をコンピューターが計算できるような差分方程式に変換する。微分方程式を差分方程式に変換する際の数値計算上のいろいろな問題はここでは議論しない。ここでは気候予測モデルで用いられる質点の運動方程式と質点の密度を決める拡散方程式を統一的に理解するために、まず絶対空間にうめこまれた任意の領域の収支を司る法則を導く。つぎに前者(質点の運動法則)と後者(構成物質の拡散)がお互いに異質な数学原理の上に組み立てられていること、したがってこれらが両立することの保証はどこにもないことを示す。

4.1 絶対空間で物理量の収支を表す方程式
絶対座標とは:
あなたがいる場所を測る基準を一義的にきめる空間の基準が絶対座標である(図1)。絶対という意味はどんな観測者から観察しても空間の幾何学がただひとつ確定するということである。このような絶対基準に正座する観測者が絶対観測者である(註1)。

絶対観測者から見て3次元空間の任意の場所Xに流体粒子が1個入る大きさの箱を設定したとしよう(図2)。ここで座標Xは絶対空間に埋めこまれた箱を絶対座標の原点からの位置によって区別する標識と考えればよい。

流体粒子とは:
密度や速度や力などの物理量が空間的に一様である最小の空間領域(つまり局所的な広がり)の時間的な変化(つまり運動)も連続であると要求したものが連続体である(角谷、1973)。したがって連続体では物理量を空間座標と時間座標の連続関数として表現でき、ニュートンの運動の第2法則を微分方程式で表現するために必要なすべての物理量が確定するのである。このような連続体と見なせる流体の最小単位をここでは流体粒子とよぼう。海水の場合はこのような流体粒子の大きさは1ミクロンとしてよい(註2)。

預金通帳の収支方程式:
さて3次元空間の任意の場所Xに埋め込まれた1辺が1ミクロンの大きさの箱の中に閉じ込められた物理量の分布関数をΓ(X)とし、この箱の表面の単位面積あたりで単位時間出入りする物理量を Σ(X)とし、この箱の中に発生する物理量をq(X)と書く。この箱の表面から単位時間出入りする物理量とこの箱の中で発生する物理量を監視しておけばこの箱のなかで物理量が増えていくのか減っていくのかがわかる(図3)。このことを数学の言葉で表現したものをここでは収支方程式
     ∂t Γ(X) +∇・Σ(X)= q(X)
と名付ける。ここで∂tは銀行預金Γの増加率、∇・Σは箱の境界を通過する預金の出入り、q(X)は預金利子の発生量と思えば、これは銀行預金の出入りと預金利子の発生を監視していれば預金が増えるのか減るのかがわかるのと同じである。

預金利子の発生量はq(X):
絶対空間に任意の場所Xにある箱の中の預金Γ(X)の増加率∂tΓを知りたいとおもったら、この箱の表面を出入りする預金の流れ(預金の引き出しと預け入れの様子)Σを知ることと、この箱の中で預金が生み出す利子についても知る必要がある。この箱のなかに発生する預金利子がqである。ここでは箱の中では物質は発生しないとしてq=0としよう。上の収支方程式は一般すぎてこれでは何にも当てはまると同時に、これ以上は何も言っていない。

4.2絶対空間の箱にたまる物質密度
現実には箱の中に存在する物理量Γと箱の表面を出入りする物理量の流れΣとの間には特殊な関係が有る場合がある。このような特殊な関係を連続体力学の専門用語では構成方程式とよぶことがある。これは我々が考察の対象としている物理量に依存する。たとえば貯蓄高Γの空間的な配置∇・Γが大きければ大きいほど箱の表面を出入りする貯金の流れも大きい(金持ちほど毎月の銀行預金の出し入れ金額は大きい)という現象が観察されるなら人間活動としての貯金に関する特殊な関係式は
Σ=∇・Γ
で表現できるだろう。

現象論的観察によるΣとΓとの関係:
ここで歴史を勉強する必要がある。今日では現象論的線形応答理論と呼ばれる拡散の理論研究を行なったのは実験生理学者だったフィックFickである。それは水面に落としたインクは周囲に向かって流れていってインクの色が薄まっていくことを数学の言葉で表現したもので、
      Σ(X)= −κ ∇・Γ(X, t)
という形をしている。ここで箱の表面を出入りする物質の流れを Σ(X)であらわし、隣の箱との間の物質濃度の差が∇・Γ(X)である。κは比例定数で拡散係数と呼ばれる。

絶対空間に埋め込まれた任意の箱では物質は生成も消滅もしない場合はこの箱の中で成り立つ収支方程式
     ∂t Γ= −∇・Σ
の右辺にフィックの現象論的関係式を入れると拡散方程式
   ∂t∂t Γ = κ ∇∇ Γ
を得る。

ここで∇は空間的な微分をあらわのだから、観察している箱が絶対座標の中心からいくら離れていようが全然かまわない。フィックの現象論的観測データは絶対座標の存在を必要とせず、任意の場所Xにおける箱とその隣の箱のあいだの相対的な物理量について問うているのである(註3)。


確率論的な見方:
Fickの論文“拡散についてOn Diffusion”が発表されて50年後にFickの現象論的な構成方程式を確率過程によって書き換えたのがアインシュタインである。アインシュタインは箱の中にある拡散粒子濃度は拡散粒子が絶対基準を出発して上に定義された箱にたどりつく確率
     G( X.,t)
に比例するという。この確率分布関数はガウス分布と呼ばれている。これから先は高校や高専の確率で習うとおりで、汚染物質の広がり(を表す分散幅σ2)は汚染物質が放出されてから経過した時間tの1乗に比例する(註5)。汚染物質の粒子の位置の2乗は分散とよばれ数学では
    σ2=<X2 >=∫ X2 G(X,t) dX=2κt
と書かれる。(ここでtは拡散粒子が放出されて動き回った時間、κは上でのべたFickの拡散係数である。)

気候予測や気象予報で用いられる拡散方程式も、環境汚染のアセスメントに用いられる拡散方程式もすべてこのようにFickの現象論的な拡散の法則にしたがうと考えて、汚染物質の広がりはそれが放出されてからの時間の1乗で分散していくと結論されるのが現在の環境汚染アセスメントの基準になっている。しかし本当に汚染物質の拡散過程や地球環境の物質拡散過程がFickの法則に基づくガウス分布で表現できるのであろうか?もしこのような環境汚染物質の拡散過程が流体粒子の力学過程の公理系と同じであったらこんなことは問題にしなくてもよいだろう。公理系を同じくする法則はお互いに誘導可能だからである。
しかしFickの法則は力学過程とは全く無関係な確率過程に基づく現象論的ないわば線形応答理論だったことを思いださなければいけない(Sokolov, Klafter, and Blumen, 2002)。

4.3 力学原理としての絶対空間に埋め込まれた箱のなかの運動量

流体中における音波の伝播:
絶対空間の任意の場所Xに埋め込まれた箱の中に存在する流体粒子の運動量密度ρvの収支方程式を考えよう(図3)。ここでρは流体粒子の密度、vは流体粒子の速度である。運動量密度の収支方程式は
    ∂t(ρv)+∇・(Σ)=q
である。ここで運動量密度に対する構成方程式は
    ∂t(Σ)= ∇・(ρv)
であることがマクロな観察データから検証されている。この構成方程式をつかうと運動量密度に対する収支方程式の左辺は
{∂t∂t + ∇・∇}(ρv)
となる。これは運動量密度が音波として流体中を伝播することを表している(註6)。

流体粒子の内部に発生する運動量密度:
運動量密度の収支方程式の右辺qは流体粒子の内部に発生する運動量密度である。これは流体粒子からはるか遠く隔てて流体粒子に運動量を発生させる遠隔力、流体粒子の隣に存在する流体粒子から受ける近距離力、隣の流体粒子を飛び越えた流体粒子から受ける中距離力に分類される。

流体粒子の内部に生じる重力は体積力とよばれこれは遠隔力である。重力はニュートンの運動の第2法則にしたがうから絶対空間の基準としての絶対座標の存在が保証されなければこの遠隔力は意味を成さない。すなわち運動量密度に対する収支方程式の右辺は絶対座標の存在が必要なのである。

ニュートンの運動の第2法則の力を定義するためには絶対座標の基準から計った時間空間の幾何学が必要である(伏見、1973)。つまり、絶対空間の任意の位置における流体粒子に働く力は絶対座標の中心から測った流体粒子の位置が重要なのである(註7)。(汚染物質の軌跡を決定するのは絶対空間における汚染物質の位置が必要ではなかったことと比較せよ)。

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