趣味野朗２軍パワープラントコミュの魔神軍団鎮魂歌

昔はプロレスマニアだった、そう胡散臭いムードぷんぷんのあの頃のプロレスが好きだったのだ、８０年代中後期の全日本プロレス対新日本プロレスの外国人引き抜きに端を発し、その後、一大ムーヴメントを引き起こす事となるＵＷＦの旗揚げ、長州率いるジャパンプロレス軍団の全日への移籍等、選手の大量離脱に見舞われ不動のエース・アントニ猪木以外に目玉を失った新日は存続の為に少ない知恵を絞り、まさに「無茶をするなよぉ～」との劇画プロレス作戦に打って出た、ストロングマシン軍団、マッドマックス１号２号、海賊男にザ・ジャッカル、キングコングバンディ、闘魂３銃士等ネーミングだけでもその劇画ぶりが伺える。
その後の私の人生に大いなる影響を与えたマシン軍団について少し触れておこう、マスクは至ってシンプルハロウイン南瓜をベースとした目じり、嘴切れ上がりの悪魔の笑顔系のラメマスクであり、コンセプトには殴られても、蹴られてもその顔は不気味で無表情の笑顔であるとの事、当時の週刊ゴングなんかの記事にも
「マシン１号はインタビューに対してもギガガガッとダースベイダーのような機械呼吸音を発するのみであった！」とリポートされる始末で、裏情報をスクープする事で最もマニア度の高い新大阪新聞社・Ｉ編集長率いる週刊ファイトのリポートによると当初マシン軍団のギミックはタイガーマスクブーム再びを狙った新日首脳陣が当時カルガリーに武者修行に行っていた平田淳司に「キン肉マン」の大役を担わそうとしたが、該当の平田のプライドを著しく傷つけた為、平田が怒りのマシンへの改造を希望し、復讐鬼となっている、みたいな本当どこまでがギミックでどこまでが本当なのか？おバカの迷宮化状態であった。
その後マシン軍団は２号、３号、４号、スーパー、ジャイアント等と増殖を続け悪の限りを尽くし新日マットを血の色で染め上げてゆくのだが、良心回路が作動し始めたマシン１号に自我が芽生え、同胞である２号、３号と戦う等リング上で同じ覆面同士が同じような技で戦うという珍戦を経て、最後はプロレス界１８番、うやむやのままマシン軍団の巻きはお役御免となったのである。（大物外国人の引き抜きに成功した新日には再建の目処が立ったのと同時である。）
ちなみに１号以外の面子は２号力抜山、３号ヤス・フジイ４号ブラックキャト、韓国人、メキシコ人、ロートルを含む、素顔のレスラーとしてはＢ級Ｃ級の人材構成であったが、新日は会社のピンチを人材の適材適所への配置、有効活用で乗り切ったのである。その後４号以外は新日からお払い箱となった、彼らが別のステージで成功を収めたのか？それとも山谷や釜ヶ崎でその身を終えたのか？誰にも解らないが、なぜか今、俺は本当にいい仕事をしたマシン達について考えるのである。ちなみにマシン軍団の司令塔若松一政は１０年後宇宙パワー軍団を結成し、同じように増殖活動を行っていたが、今は釧路かどっかで市会議員となっている。チームは組織はその性質上、個人の犠牲の上に成り立っており矛盾の宝庫ではある、しかし彼らは間違いなく一矢報いた男前な奴らだったのである。
ちなみに４号の残留の理由は流血試合の際に鉄柱攻撃での結果と見せかけてレスラー達額をカミソリでカットするのが抜群に旨いという理由からである、いつの時代も手に職をつけている職人は仕事にあぶれないものなのである。