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あっちゃんの小説コミュのピンクの象

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少年とピンク色の象はいつも二人で旅している。
今はインドの森の奥の中で、もうすぐ夕暮れがやって来る。
旅の最終目的なんて何もないんだ。
少年はまだずっと小さい時に亡くなってしまった両親に会いたいだけ。
ピンクの象はサニーっていう名前で少年が名付けた。
象の墓場で傷付いて今にも死にそうなサニーを孤独な少年は一生懸命助けた。
奇跡的に助かったサニーは少年にずっとついて行こうと決心したんだ。
サニーはピンク色の体だからおもしろがってサーカス団に入れられていた。
けどサニーはあんまり人に笑われるのが好きではなくて、そして団長の事も気に入って
なかったのでサーカス団を逃げ出した。
そして麻酔銃で撃たれたり、暴れたりするもんだから棒切れでさんざん殴られたり。
サニーは自由に湖の近くで静かに暮らしたかっただけなのに。
傷付いて辿り着いた場所は崖と崖の間にある象の墓場だった。
もうサニーはそこでもいいかなって思っていたんだ。
けどそんなところに涙で顔をぐしゅぐしゅにした子供がきた。
その子供は何も言わずに水を運んできてくれたり、傷の手当てをしてくれたりした。
同じ心だったから。二人は話せないけど共鳴し合ったんだ。
サニーはゆっくりと元気を取り戻していった。
その子供も少し笑顔を見せるようになっていった。
大きな村火事のことはサニーのいたサーカス団の耳にも入っていた。
その村は一つの火で壊滅的な被害にあった。
乾燥していた時期だったから。
そして一家の火のついた家の中で一人の泣いている子供を助けるために両親は
走って入っていった。
両親はちょうど山仕事で出掛けていたから。
そして自分の息子の命はどうにか助けてあげれたけど、その二人はもう二度と戻ってこなかった。
その子供は身寄りがなくてどこにも行くあてがなかった。
そして自然に辿り着いた場所がサニーと同じところだったんだ。
子供は少し成長し、少年となってサニーと旅に出た。
だから二人、どこにも行くあてはない。
けど少年はサニーがいるから、サニーには少年がいるから生きていける。
「サニー、あそこに小さな家があるよ。」
そう少年は指差した。
いつもこうして見知らぬ人のやさしさに触れている。
「さぁ、行こう。」
サニーと少年は夕暮れの中歩き出した。



けどサニーは知っている。少年が神様を探しているのを。
だって小さな子供が親に会えないのは辛すぎることだから。
小さな少年の瞳からはその悲しみがひしひしと伝わってくる。
だけどサニーはどうする事もできなかったんだ。
ただのピンクの象だから。ずっと一緒にいてあげる事しかできない。
少年とサニーはその小さな家の前に着いた。
ノックすると、少年の母親と同じくらいの年のおばさんが出てきた。
「まぁ、あなたみたいな小さな子供がこんな森の奥で…。」
そう言って家の中に入れてくれた。サニーにはミルクをあげてくれた。
家の中には小さな5人の子供がはしゃいでいた。
少年は夕食を食べさせてもらった。
そんなやさしさに触れる度に少年の心は少し悲しくなる。
けど僕にはサニーがいる。
そう自分に言い聞かせて悲しさを吹き飛ばすんだ。
夜になると小さな5人の子供はすやすやと眠り出した。
そしていつものように少年はサニーのそばに行った。
サニーは少年を包み込んでくれる。
月明かりの下、大きな男の人が森の向こうから歩いてくる。
きっと、この家のお父さんだ。
少年はあいさつをする。
「こんばんは。」
大きな男は少し驚いた顔をしている。
「やぁ、君は?」
「今日、一日だけこの家に泊めてもらうんです。迷惑を掛けてすいません。」
男は笑って言った。
「旅をしているんだね、そんなに小さいのに。
 もう夕食は食べたのかい?」
「はい、いただきました。」
少年はそう丁寧に答えた。
「ここは神様の住む山だ。ゆっくりしていってくれ。」
そう言って男は家の中に入って行った。
神様の住む山。
驚いて少年はサニーの方を見つめた。サニーも驚いている。
そういえば神秘的な空気が流れている気がする。
少年の願いは一つ。彼のパパとママに会う事だ。
少年は気になってまた家の中へ入って行った。



大きな男は食事をしている。
「あなたも外で寝ないで家の中で寝ればいいのに。」
そう、おばさんが言った。
「大丈夫です。サニーは温かいから。」
そして椅子に掛けた。
「この山には神様がいるんですか?」
大きな男は笑いながら言った。
「昔からの言い伝えだよ。私もおじいさんから聞いたんだ。
 けど誰も神様に会った人はいないけどな。」
そして豆を口に運ぶ。
「そう思えば、ここは素敵な山と感じられるだろう。だから私はこの山が好きだ。」
おばさんは微笑みながらお茶を出してくれる。
「この山のどこに神様はいるんですか?」
少年は抑えきれない気持ちで言った。
「この山の頂上だと言っていたよ。けどそこには大きな木が一本あるだけだ。」
男はモグモグしながら言った。
「ただの言い伝えよ。」
おばさんがそうやさしく少年に囁いた。
少年は少しうつむいた。
「君は神様に会ってどうしたいつもりなんだい?」
男はそう尋ねた。
「両親にさよならと一言だけでも言いたいんです。」
そうかい、と言って二人は少し黙り込んだ。
5人の子供たちは幸せそうに眠り続けている。
「山の頂上はすぐ近くだ。君なら神様に会えるかもしれないな。」
そう男は励ましてくれた。
「さぁ、もう寝ましょうか。」
僕は外でサニーと眠ります、と言うとおばさんは毛布を渡してくれた。
とてもふかふかのオレンジ色の毛布。
「世界は君の敵ではないよ。」
そう男はやさしく言ってくれた。
少年はドアを開け、ありがとうと言って出て行った。
サニーは起きてずっと少年を待っていた。
少年は毛布をかけてサニーの横に寝ころがった。
見上げると綺麗な星空。
けどサニーは寝ようとしない。



大きな鼻でツンツンと少年をつついて山の頂上へ行こうと言うんだ。
「ははは、サニー、神様はいないって。」
サニーは諦めない。
サニーは少年をどうしても助けてあげたかったんだ。
パオーっと小さくやさしい声をかけた。
「わかったよ、サニー。行くだけ行ってみようか。」
そして二人は月が照らす山道をゆっくり登って行った。
サニーは少年の方をちらちら気にしている。
少年はそんなサニーを見て微笑んで歩いている。
神様の住む山かぁ、木の陰から精霊がでてきてもおかしくない雰囲気かもな。
そう少年は感じた。
そして山の頂に辿り着いた。
大きな男が言っていた通り大きな木が一本立っている。
その先はもう崖で何もない。
少年は大きな木の下に腰を下ろした。
「ほら、神様なんていないって。」
サニーはしょんぼりして崖の近くに座った。
やさしい風が吹き抜けていく。
「この神聖な雰囲気だけでも僕は満足だよ。」
少年は落ち込むサニーにそう声を掛けた。
サニーは崖の下を覗きこんでいる。くらくらするような断崖絶壁だ。
僕は君が近くにいるだけで十分だよ。
少年はサニーを見つめ、そう心の中で思った。
月は綺麗な顔をして横切る雲たちの中佇んでいる。
少年はゆっくりと目を閉じた。
大きな木の下の少年と崖の近くのピンクの象。周りは宇宙。
サニーは何もできない自分が悲しくなっていった。
サニー。
振り返ると少年は目を閉じてじっとしている。
サニー、次はあなたの番でしょ。
それはきっとサニーのママの声かな。
サニーは立ち上がった。
そして崖の外へ一歩足を踏み出したんだ。
「危ない、サニー!」
少年はびっくりして飛び起きた。
その瞬間無数の電子が弾け飛んだ。



サニーの足元から音もなく光の階段が現れ伸びていった。
天へと。
サニーは驚いてゆっくり階段を上っていく。
少年も走ってそれについて行く。
どんどん地上から離れていく。大きな木はもう小さな影としてしか見えない。
そして光の階段はその明るさを徐々に失わせていった。
気付いたら二人は星々の浮かぶ宇宙の中に漂っていた。
「サニー、宇宙の中だよ。この宇宙が神様なんだ。」
少年は興奮してサニーにそう言った。
サニーも何がなんだかわからなくなって興奮してる。
大きな大きな星の世界が二人を包み込んでいる。
そして、少年の手にぬくもりが触れた。
覚えているよ。
覚えている。
「パパ…。ママ…。」
少年の目から涙がこぼれ落ちる。
「ごめんね、パパ、ママ。僕のために…。」
ずっと会いたかったわ、私のかわいい息子。
そう言って二つのぬくもりは少年を抱きしめる。
よく会いに来てくれたね。さすが私の立派な息子だよ。
少年はサニーの方を向いて言った。
「サニー、僕のパパとママだよ。」
サニーは最高の笑顔をしてる。
「ずっと会いたかった。ずっと会いたかった。」
少年は涙が止まらない。
ごめんなさいね。一人ぼっちにさせてしまって。
「大丈夫だよ。僕には、僕にはサニーがいるんだ。」
そう笑顔になって言った。
いい友達ができたのね。
お前にずっと渡したかったものがあるんだ。
星のペンダント。
それは私達二人よ。あなたのずっとそばにいてあげるから。
「うん。僕、パパとママみたいに立派な大人になるから。」
ありがとう。さぁ、今日は私達の中でゆっくりおやすみ。
サニーもこっちに来ていいのよ。
サニーは恥ずかしそうに少年のそばに行ってぬくもりに包まれた。



朝、目を覚ますと、大きな木の下でサニーと二人眠っていた。
サニーは、泣き過ぎてはれぼったくなってる少年の目を見て笑った。
「ふははは。」
少年もつられて笑ってしまう。
その胸には綺麗に輝く星のペンダント。
少年とサニーはその足で昨日の家に行った。
大きな男はもう働きに出ていなかったけど、おばさんや子供たちに話した。
そしてお礼を言った。
素敵な朝は小鳥たちの合唱が大きく聞こえる。
そして神様の住む山にさよならを言った。
「さぁ、サニー、どこへ旅しに行こうか。」
山を降りて小さな湖を見つける。
二人とも喉が渇いてたから水をいっぱい飲んだ。
特に少年は昨日泣きまくったから。
そして寝ころがって青空を見上げ、星のペンダントにキスをする。
サニーもそれを横目で見てたよ。
「いい天気だね、サニー。」
そしたら森の中から一人の少女も水を飲みにやってきた。
「おはよう。」
「おはよう。」
少女は少年にこう言った。
「旅をしているの?」
「そうだよ。」
「素敵な象さんね。」
サニーはそんな事言われたのは初めてだった。
「もし、行くあてがなかったら私の村に来てみたら?
私、おばあさんと二人で暮らしてて一匹の雌の象も飼っているのよ。」
「そうかい。サニーも象の友達ができるかも知れないね。」
そう言って少年は立ち上がった。
「行ってみようか、サニー。」
サニーも喜んで立ち上がった。
三人は一緒に村へ向かう事にした。
途中で少女はこう言った。
「素敵ね、そのペンダント。」
少年は笑顔で顔を赤らめた。
その先はもうみんなの想像する通りでいいよ。








コメント(9)

とっても素敵なお話・・・思わず涙がポロリでした(p_q)

サニーと少年、そして少女とおばあさん、4人で仲良く暮らしてほしいな。
いえ、きっとそうなると思うなぁ(u_u*)
みぎさん>だって二人はがんばったもん。
きっと幸せになる。
神様はやさしいもん。
本当に素敵なお話です。
私すごい涙もろくって名もだがホロホロと・・・(´_`。)グスン
なんか読み終わった後心がホワッと温まりました♡

きっとその後は皆仲良く暮らしたんだろうなぁって思います。
うしこさん>サニーってかわいい。
僕は動物の中で象が大好きです。
そしてピンク色が大好きです。
仲良く暮らしてるハズだよ。
だってサニーと少年は心からつながってるんだもん。
少年がパパとママに会えてよかった+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚
とっても素敵な話ですね。。感動しました。。

続きは、仲良く暮らしました。で、終わってほしいな。。
たきとぅーさん>うんうん。
よかったぁ。。
続きはわざと書いてないんです。
僕っていじわる(笑)
想像してくださいね。。
とってもステキなお話し♡→ܫ←♡

心が暖まりますね♥♦ξ*→ܫ←)人(→ܫ←*ξ♦♥

続きは、読んだみなさんの愛で出来上がるんですね☆ステキです♪
菜緒さん>ありがとー。
そうですよう。
だから結末はみんなで違うんです。

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