車椅子コミュのだれにも優しい新型点字ブロックを目指して--開発された製品のご紹介

　はじめまして！ピノキコこと、青山しのぶと申します。
　私は全盲の視覚障害者です。車椅子使用の友人が身近な所に４人います。そんな関係でこちらを知りました。どうぞよろしく！

　ご挨拶ついでにというには話題が大きいかもしれませんが、今日は、私が協力している表記のことについてご紹介させてください。
　皆さんの中に「点字ブロック」をご存知ない方はおられないと思います。最近は、駅とその周辺の繁華街などのどこにでもある、主に黄色いタイルです。視覚障害者の誘導支援ツールとして既にJIS化されています。あれが、視覚障害者以外の人にとってどれほど危険なものか、バリアフルなものか、今さら私が言うことではありませんね。視覚障害者の私でさえ、あの5mmの突起高さにはまいっているほどですから…。
　さて、バリアフリー新法では、JIS型点字ブロックは建物内にも敷設するように定められていて、入り口から総合受付まで必ず敷かれるようになっています。その先は職員等による誘導ができるという建前になっていますが、人的対応は決して容易なことではありません。施設側ばかり責められないとわかってはいても、経路が付いていれば、見えなくてもその上をたどって行けるのになあと願う気持ちは持ちます。
　しかし、勿論、JISのブロックは簡単に導入できません。屋外も支障が多いのに、屋内は尚更、狭い通路を色々な人が通ります。逃げ場はほとんどありません。役所や銀行を考えれば、お年寄りも下肢障害の人も歩くし、ベビーカーや車いすも通るでしょう。病院では、ワゴンや車輪付きベッドなども増えて、あの上を通過する振動の大きさは計り知れません。それでも、視覚障害者の立場では、点字ブロックがあれば真っすぐ歩けるとか、トイレでもエレベーターでも見つけられるとか、事実そうなので主張し続けているのです。
　前置きが長くなってしまいました。ここから本題なんです、ごめんなさい！
　この課題を解決する１つの選択肢として、視覚障害者が使用できて、しかも足の不自由な人や車輪の付いた機器類の負担を極力減らした、いわば「薄型点字ブロック」が開発されました。これを作ったのは私の友人で、インテリアデザイナーの桑波田謙さんという人です。神奈川総合リハビリテーションセンターの研究者とともに4年以上に渡って実験を重ね、突起の小さいブロックを作りました。JIS型の点字ブロックは足裏で漢字易いように5mmの高さになっているのですが、桑波田氏の製品は白杖をスライドさせて感触を手に伝えるため、突起高さは1.8mmに抑えられています。ちなみに、高齢者の躓きについての先行研究によれば、2.5mm以上の段差で躓きは増すことが実証されているそうです。
　屋内専用点字ブロックは現在までに2種類発売されていて、１つはカーペットの床に埋め込むタイプの「UDフロアーシステム」、もう１つはその他の床に貼り付けるタイプの「エスコット」というものです。東京都大田区本庁舎の他、横浜市の障害者スポーツ文化センター：横浜ラポールにも設置されています。周囲の色に合わせてカラーも選ぶことができます。ただ、弱視の人たちのことを考えて明度差をどう付けるかは建物ごとに工夫する必要があるでしょう。
今後、例えば、皆様のうちのどなたかが施設の建て替えに際してバリアフリーに関する意見等を述べられることがありましたら、是非このことを思い出してご紹介いただけないでしょうか？というのも、私たち視覚障害者の中にも、自分たちだけでなく、できれば誰にとっても歩行しやすい環境作りを望んでいる人たちがいて、屋内は駅のホームのような転落の危険は無いのですから、JISのブロックでなくても問題はないと考えているのです。むしろ、新型ブロックならば、声を大にして「導入してください！」と言えるのです。
　最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。ご興味をお持ちくださいましたら、開発社であるクワハタデザインオフィスのHPと、屋内専用点字ブロックの開発ブログもご覧になってみてください。
　よろしくお願いします。

　クワハタデザインオフィス　http://www.kuwahata-design.co.jp

　屋内専用点字ブロック開発日記
　　　　　　　　http://kuwahata.blog.fc2.com/

　以上、ピノキコでした。なお、私は、入力した文字を音声化してくれるソフトを使って読み書きしていますので、誤字がありましたらご容赦ください。