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H.O.Jコミュの第十四話  握り締めた思い

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”ただいまより〜
  2007年度 ミス袴西コンテストを開催致します”


ホールにひびきわたるアナウンスに
会場が湧いた。
ステージから近い前の席は
男共で、びっしりうめつくされている。
非常に男くさい。

「うわーすげー」
「こんなにいたか?男子?」

遅れて会場に到着した
本間と修平は、もんもんとした空気に押され気味になった。
昨日もテツとレイと5ゲームをこなし
軽く寝不足な2人は、人ごみを避けテラスに向かった。

2階のフェンスから身を乗り出す2人。
会場を見渡すと、見覚えのあるもみあげの長い角刈り。
そう、テツだ。
ステージのほぼ中央。前列をキョロキョロしながら人にもまれ
必死にキープしている。彼はがんばっている。

「ほ〜んくぅぅん、しゅーへぇぇ〜ぃ!!」

こちらにきずいたようだ。手を振る姿も必死である。
本間と修平は、軽く手を振りかえした。

「さて、誰がいいかなぁ〜」

本間は、会場入りの際に配布されたミスコンの冊子を
真剣に見ている。
候補者の写真つきのプロフィールをチェックするその目は
いつも以上に、やらしい。

候補としてあがっているのは全員で12名。
その中に1年にも関わらず、
バスケ部マネージャーの鈴木サラ。
夏川純似の水木あや。
レイのご自慢の絵美もノミネートされていた。

「おい。ルナ先輩、写真でかいぞ」
「おぉ。」

修平は、冊子を筒状にして握りしめている。
本間の言葉を聞いても、見るつもりはないようだ。
ルナは昨年度ミス袴西。ノミネートされていることは想像がつく。

あれから1週間。
夜を越えるたび、ストライクをとるたび
修平は湧き上がるもやもやに頭を抱えていた。

会場の照明が落とされ、ステージにノミネートされた今年の候補12名が、横1列に並んだ。
ステージ後ろにある、スクリーンに一人一人の顔が映し出される中
司会者が候補者にマイクを向ける。

壇上で、はつらつと質問に答えるサラはさすがだった。
サバサバした滝川クリステルという印象だった。
食あたりのため、保健室入りしていたやまゆは
校内放送でこの様子を一人ぽつりと、見ていた。
どこかで気になる。どこか目で追っているのに。
なのに、自分は一体どうしたいのかが、わからない。
スクリーン越しにサラを見つめるやまゆ。
今なら、B'zでも山崎まさよしでもない俺が出せるのに。

「どんな痛さ?山本くん?・・山本くん?」
「あ!?今ですか? きゅん・・・・」

先生の問いかけに現実に戻るやまゆ。
大変、素直な表現であった。

「ちょっと足が震えて緊張してますけど、でも大切な人が
 見ていてくれるので、がんばります!!」

と、軽く会場に向かって手を振る絵美。誰が見ても可愛らしい。
手を振る先はもちろん、ちゃっかりテツの横で温かく見守るレイに向けてだ。
レイは微笑みながら、うなずいてみせる。
隣のテツはステージの絵美、隣のレイ。絵美、レイという具合に
ずっとキョトンと見比べていた。いつも以上に下がり眉だった。

水木あやの番で、待ってましたとギラつく本間。
天然トーク炸裂である。会場がほんわかとなる。
「やっぱ、あやちゃん来ると思ったわー
 でも、さっきのゆうなちゃんも捨てがたいなー
 ヒトミ先輩もいいなー」

選んだ娘はみんな童顔。
しかし、この男は、欲張りだ。
早くその気になればいいのに。


最後をしめる昨年度ミス袴西、高橋ルナ。
やばい、いつもに増して華がある。やはり他の娘とは別格だ。
湧き上がる男性陣に向け、目で笑いかける素振りも
スクリーン越しに映る少し、女らしいはにかんだ笑顔も。

修平は、なぜかルナから視線を離すことができなかった。
ずっと。ずっと。

結果、今年のミス袴西は昨年に引き続き
ぶっちぎりの投票数で、高橋ルナが華を飾った。
ステージ上で、たくさんの花束を受け取る。まさにアイドルだ。

「ありがとうございました」
一礼をし、顔を上げたルナを見て修平は固まった。
ルナは2階のテラス、そうこっちを見たのだ。
ステージを後にするまで、たくさんの歓声と拍手の中、
気のせいではなく確実にルナは、ずっとテラスにいる修平を見ていた。

修平は、ズボンのポケットにしのばせたあの指輪を
にぎりしめ、いてもたってもいられなくなった。

”これをもちまして
  2007年度 ミス袴西コンテストを終了いたします”

「本間!ちょっといってくるわ」
「は?どこに?」

かけだす修平。
「いや、ちょ。ちょちょぃ、待てよ」
追いかける本間。

会場からつながる噴水のあるロータリーに向かう修平。
ルナが控室に帰る時、必ず通るはずだ。

「ちょいおまえはやいっ・・」

”キャっ!!!!!”・・ドスン!!

修平を追いかけるのに必死で、横から同じく走り出てきた
女子と本間は、ぶつかってしまった。
かばんの口が開いていたのか、中身が全部出てしまった。

「・・ごめんね。だいじょうぶ?」
と、女子に手をさしのべるジェントルマン、本間。
この辺は、お得意だ。

「はい!すみません・・」
肩まで伸びたストレートな髪の毛。横顔。
一瞬本間は、みとれてしまった。
散らばるペンや、ポーチをひろいながらもう1度
「ごめんね。俺急いでてさ、ほんとごめんね」
「あ、すみませんあたしの方こそ。あ。。。」

スカートの下から伸びた足から、血が流れていた。
「あ、ごめん!ケガさせちゃってる。俺、保健室つれてくよ」
「いいんです、これくらい。気にしないでください。」
笑って返す女子。

「あたしいかなきゃ。ごめんなさい、ありがとう」
そういい残し、彼女は本間の前から走り去っていった。

まともにお互い顔を見合すこともなければ、
もちろん名前すらわからない。
約1年この学校にいるが、見たことない娘だった。

散らばった荷物を必死にひろう
彼女の横顔は、確かに本間の胸に焼きついていた。

とにかく俺はケガをさせてしまった。
さすがに、良心が痛い。

やるせない感情のまま、一呼吸する。
ふと足元に目をやると、
かわいいスティッチのキーホルダーがついた鍵が落ちていた。
自転車の鍵?
・・まちがいなく彼女のだ。

まわりを見渡しても、もう彼女の姿はない。
ほんの数秒の出来事に、キーホルダーを手にしたまま
本間はなかなか、その場を動けなかった。


会場から、出てくる群集の中、修平はルナを目で探し続けた。

「ルナおめでと〜」
「さすが、あたしたちのルナー!!」

黄色い声が近づく。いた。ルナだ。
たくさんの花束は友達が抱え、ルナは「ありがとー」と
女同士で、笑いあっていた。

こっちにきずくか。と、
熱い視線を送り続ける修平。
指輪を握り締めた手に、力が入る。

今だ!
修平がルナを引きとめようと
名前を呼ぼうと思った瞬間。

ルナがこっちにきずいた。
歩いていた足を止める。
流れていた2人の時が、止まった。

その瞬間、ルナの口が動く。



「修平!!!!」

一瞬、ぐらついた。
後ろから腕をつかまれたのだった。

「みつけたー!ずっとどこにいたの??」
恭子だ。つかんだ腕を自分の方に引き寄せ、甘えかける。
「あ、違う。俺は・・」

急いで視線を戻す。
少し目線を外したすきに、
ルナはもう修平のことなど見ていなかった。
視界になんて入っていませんというように。
なにもないように、修平と恭子の前を通り過ぎる。


もうルナの後姿を目で追うことしかできなかった。
修平は、その場に立ち尽くした。
俺が・・俺が。

通り過ぎた一瞬、ルナはこっちを見た。
本当に一瞬。
寂しい目をした。いや、厳しい目なのか。
そしてさっき、ルナは何を言おうとしたのか。

「ね〜ね〜、どうしたの?何が違うの?
  あ!そうそう、マックいかない?お腹減ったよー」
「・・・・あぁ。」


会場から出る人もまばらになり
ロータリーからだんだん人が消えていく。


その中、噴水の脇のベンチでは、
「今日はあだかいな〜ぁ」と
この真冬に外であっくんがお弁当。セレナより暖かいらしい。

レイは、おつかれ。と絵美に
オーダーメイドのストラップをプレゼントしていた。
お互いの誕生日を刻んだオリジナルだ。
「ありがと〜!!」と抱きつく絵美。
まったく、冬知らずだ。

良次は人ごみに負け、貧血となる。
胸を痛めるやまゆが待つ保健室に搬送された。

「あ、おくれちゃいましたーーーーぁ」
と、頭をかきながら、今更会場入りをするコージ。
もちろん、誰もいない。

「あ!50円みっけーーー!!!!しぇぇ〜ぃ!!」
と、一人会場で叫ぶテツを除いて。


今日は半日の為、この後のオファーが絶えない日置。
ゆーすけは家で昼寝。
西はサンフランシスコ。


思い思いの冬の昼下がり。
春は遠いようで近い。

コメント(8)

おもしろいねー!!
ちょっと書くのおもしろかったー!!

あんましハナシが進まず
ちょっと進行に欠けるトコもあるけど。
あぁ〜修平君じれったいじゃないっすかww
言っちゃいなよ!好きだと!!w
書き出すと止まらんら〜?☆


俺のヘタレっっ!!!!泣

いっちゅも恭子はタイミングが悪いだよー!!
かいちゃえかいちゃえー
眠れない夜に、どうぞどーぞ。

おもしれーーーーのコレ♪♪
トゥイマテーン!!
遅れちゃいまちた〜ってオーイ!!(;_;)笑
やっぱかわいい彼女欲しいなぁ〜!?笑

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