劇団アドック ◇三浦綾子記念 ◇コミュの芥川龍之介作「雛」公演

横浜開港１５０年目祭に参加します！

幕藩体制から維新政府が出来、海外からの種々様々な情報が一気に入り、グローバル化のこんにち以上の混乱に、国内を席巻された時代・・・

知識人の多くには、古くから伝えられてきた伝統も旧弊として排斥する傾向も見られたようだ。

紀伊国屋というお金貸しを生業にしていた一家も、諸大名に貸していた金が、
徳川家の瓦解によって返済されず、日々の糧にも困窮するようになった。
ついには娘に受け継いだ雛人形を売り払うことになる。
娘も家計の窮状を知っていたので、他人の手に渡るのは仕方ないこととあきらめた。
しかし、売られていく日が近付くにつれ、ひと目でいいから雛人形を見たいという思いが募るのだった。
父の紀伊国屋は頑固だった。
売る約束をして、手付けまでもらったからには人様のもの。
人様のものにはいじるものではない・・・ときつく言われ、
悶々とした日々を送り、人手に渡る前日を迎えた。
「何とか見たい」という気持を抑えたまま寝床に入ったが、
そこは子ども、いつの間にか寝入ってしまった。
が、夜中に、ふと何かの物音に目を醒ますと、
枕元にジッと座る父が目に付いた。
その父は、一点をみつめたまま身じろぎもしない。
その父の目の先には、見事に飾られた七段飾りの雛があったのである。
・・・娘は息を詰めて父を見た。
そして、その姿を見たことで、少女の心から雛への思いは、
断ち切ることができたのであった。

芥川龍之介の短編である。
これを、開港１５０年祭で上演する。

６月１６日　１８：００（時間再調整あり）
場所：赤レンガ倉庫１号館ホール（馬車道１０分、みなとみらい駅１５分）
　　　　　　　　　　　　　　　　みなとみらい駅からバスあり