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地球温暖化について知りたい!コミュの北極振動とテレコネクションについて

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大気循環・気圧・気温・降水量などが、離れた場所で互いに相関をもって変動することを、テレコネクションと言うそうです。北極振動もそのひとつです。

1998年にデヴィット・トンプソン(David W.J.Thompson)とジョン・ウオーレス(John M.Wallence)によって提唱された北極振動は、北半球の気候に大きく影響すると考えられ、多くの科学者により研究されています。

北極振動(AO)は、北極域の海面気圧と北半球中緯度地域の海面気圧が互いにシーソー的に変動する現象で、北極を中心にほぼ環状対称の構造をしているので、北半球環状モード(HAM)とも言われます。

北極域の海面気圧が低いときには中緯度の海面気圧が高くなるのですが、この偏差を表す値を北極振動指数と言い、この指数が正(北極域のほうが気圧が低い)のときには、寒帯ジェット気流(極渦)が強くなって極からの寒気の南下が抑えられるため、ユーラシア大陸北部、アメリカ大陸北部を中心に気温が高くなると言われています。

このトピックでは、近年盛んに研究され始めた北極振動(北半球環状モード)をはじめテレコネクションに関連する話題を集めたいと思います。

参照しやすいよう、主な用語を下記に書いておきます。

・海面気圧 SLP(SEA Level Pressure)
・海面水温 SST(Sea Surface Temperature)
・地表面気温 SAT(Surface Air Temperature)

・北極振動 AO(Arctic Oscillation)
・北半球環状モード HAM(Northern hemisphere Annular Mode)
・北大西洋振動 NAO(North Atlantic Oscillation)
  北大西洋のアイスランド低気圧とアゾレス高気圧がともに変動する現象
・エルニーニョ南方振動 ENSO(El Nino Southern Oscillation)
  インドネシア付近の海面気圧と南太平洋東部の海面気圧とのシーソー的変動

詳しくは、下記を参考

北極振動(AO)と北大西洋振動(NAO)(気象庁 異常気象レポート2005)
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/climate_change/2005/1.7.2.html

北極振動と気候変動(神戸大学理学部地球惑星科学科 佐治憲介卒業論文)
http://www.gfd-dennou.org/arch/prepri/2008/kobe-u/kenken/paper/pub/sotsuron.pdf

コメント(146)

> 106

記事の後半ではジャーナルトピで紹介したトレンバースの論文(30番の投稿)と、たぶん5番で紹介したスーザンソロモンらの成層圏の水蒸気の話についてもちょこっと触れていますね。この辺は別に“再検証”でもなんでもないんですけど。

まあ“予想”と言っている時点で記者さんの理解の程度は分かるような気はしますが。
(ごめんなさい、東とか西とか逆になってたんで、訂正して再投稿します)
(何度も直したので番号が飛びます。すみません)

2009年春から続いているエルニーニョは、予報では、今年夏に終息して、秋からラニーニャに転じると言われています。

東部熱帯太平洋のエルニーニョ監視海域(5N-5S、150W-90W)の海水温の平年差は、今年1月+1.1度、2月+0.8度、3月+0.7度、4月+0.6度と、少しずつ下がっているものの、あいかわらず高い傾向にあります。つまり、4月時点でエルニーニョが続いています。
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/db/elnino/index/nino3idx.html

また、インド洋の海域(20N-20S、40E-100E)も、昨年春から高い傾向が続いています。(1月+0.25度、2月+0.47度、3月+0.56度、4月+0.54度)
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/db/elnino/index/iobwidx.html
インド洋の海面水温の変動についてはダイポール現象というのが知られています。

太平洋がエルニーニョの状態のときには、熱帯太平洋全般とくに東部太平洋の水温が高いために、全球で平均した気温は高めになります。このエルニーニョの時期は、貿易風と呼ばれる熱帯域を吹く東寄りのジェット気流が弱い時期でもあります。

エルニーニョと関連する南方振動指数(貿易風の強弱を表す)は、1月-0.9、2月-1.1、3月-0.7でしたが、4月に+1.5と上昇しています。
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/db/elnino/index/soi.html
(リンク先ページにある「NINO.3, NINO.WEST, IOBW 各海域における海面水温(旬平均)」というのは記載ミスですね。この表は南方振動指数です)

インド洋の温度分布はよく分からないですが、ダイポール現象が起こると、インド洋東部の水温が下がりますが、日本では猛暑になると言われています。このダイポール現象も貿易風と関連しているらしい。

太平洋全般の温度分布(PDO)は負の状態にありますが、PDOが負の分布では、日本近海はむしろ水温は高めになりますよね。

PDOが負の状態なので、エルニーニョが終息すると、全球で平均した気温は低めになるでしょうが、はたして、今年の日本の夏はどうなるか?
気象庁の予報もテレコネクションの予測によるものですけどね。

5月25日に発表された気象庁の3ヶ月予報をみると、太平洋のかなり広範囲で海水温が負偏差になると予想しているようで、日本近海も負になってますね。インド洋は変化しないと予想してるみたいです。

http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/longfcst/zenpan/zkaise3.PDF

太平洋高気圧が弱く前線が南寄りになると予想しているようですから、梅雨が長引くのかな? 
106で紹介した新聞記事の内容は、筑波大の田中博氏の研究結果が、IPCC報告書の気候予測に対して否定的なように読める。

記事にあるような「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめた地球温暖化による気温上昇の将来予測は過大である可能性が高い、という研究結果」というのが、ほんとうにあるのかどうかが気になった。

田中氏の論文リストをみる限りでは、そのような記述をしているものは見当たらなかった。

直近の論文「北極振動の特異固有解理論の検証と考察 ー固有値ゼロのノーマルモードにエネルギーが溜まるわけ ー」(理論応用力学会 2010) http://air.geo.tsukuba.ac.jp/~tanaka/papers/paper238.pdf では、こう述べている。

以下、抜粋引用
-----------------------------------------------------------------------
重要な観測事実として、1970-1990年の急激な地球温暖化はAOプラスの温度偏差分布で生じており、1990-2010年にはその傾向が反転しAOマイナスのパターンで進行すると同時に温暖化が止まったように見られる。一方でIPCC-AR4のモデル群による地球温暖化は、アイス・アルベドフィードバックによって特徴づけられる北極圏を中心とする空間分布で進行しており、観測と一致しない。それにも関らず、IPCC-AR4のモデル群による1970-1990年の全球平均気温の温暖化トレンドは、観測される同時期の急激な温暖化トレンドとよく一致している。観測されたAOパターンが本来予測し得ない大気の内部変動によるもので、アイス・アルベドフィードバックによる温暖化が人為的な温室効果ガスの増加によるものだとすると、モデルと観測の空間パターンの不一致は、地球温暖化の将来予測に関して、極めて重要な結論を意味することになる(大橋・田中2009; Ohashi and Tanaka 2010)。
-----------------------------------------------------------------------
以上、引用終わり
「現代人のための科学--気候変動と地球環境問題」 (筑波大学内部検討資料、講義資料集 田中博 他5名 2010) http://air.geo.tsukuba.ac.jp/~tanaka/papers/tanaka2009-gendai.pdf には、下記のように書かれており、氏の立場が分かる。

以下、抜粋引用
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 人類が生み出した地球温暖化問題は、人類の英知で解決しなければならない重要な過大である。問題を棚上げにし、そのつけを子や孫の世代に残すべきではない。温暖化支持者は、「サイエンスの議論は終わった。もはや議論から行動へ。今行動しないと取り返しのつかないことになる。」と性急な決断と行動を求めている。一方、温暖化問題に懐疑的な温暖化否定論者は、「将来の温暖化予測には不明な点が多く、不確かな将来に数兆円もの血税は使うべきではない。」と反論する。
 地球温暖化研究に携わる科学者としては、温暖化将来予測は真実が分からないので不確かではあるが、我々の最高の科学技術を駆使して予測した結果であることに間違いはない。温暖化の原因の一部が自然変動の可能性もあるが、最悪のシナリオにしたがって対策を講じる防衛原則を重視することも尤もである。ただし、温暖化支持者も否定論者も、少数の事例を材料に極論を展開している感がある。議論の振り子が片方に大きく振れ過ぎるときには、費用対効果を公正に分析し、バランスの取れた責任ある主張を行うことが求められている。
 オゾンホールの問題は、1987年のモントリオール議定書の採択により解決に向かっている。これは、問題の原因が明確であり、一部のフロン業者の首を絞める協定書を世界が採択すれば済んだからである。ところが地球温暖化問題に対しては、1997年に京都議定書を採択したものの、いまだに問題解決には至らない。これは、将来の温暖化予測は実際に将来にならないと分らない、という不確かさに加えて、削減しなさい、と首を締め付ける相手が実は自分自身であることによる。人類がもたらした地球環境問題を、人類は自らの英知で解決することができるのだろうか。子供たちに美しい地球環境を残してあげるためにも、皆で自然を正しく学び、問題点を議論して、振り子が一方に振れ過ぎることなく正しい判断を下すことが必要である。
--------------------------------------------------------------------------
以上、引用終わり
今年の日本の猛暑は、ラニーニャ現象と偏西風の蛇行が原因だと言われています。

偏西風と貿易風

最初に分かりやすいほうから。偏西風の蛇行ですが、左の画像を見て下さい。これは、8月29日の偏西風の蛇行の様子を示したもの。偏西風が日本列島の北側に寄って蛇行してますね。それだけ南側の暖かい大気の影響を受けている、ということです。

中央の図は大気循環を示したものです。地球の大気は熱帯〜中緯度域では、亜熱帯高圧帯を境にして、南側のハドレー循環と北側のフレネル循環(ロスビー循環)に分かれます。熱帯域で上昇気流が起こるため亜熱帯域の下部対流圏の空気は赤道に向かおうとします。これは地球の自転の影響(コリオリの力)で西向きの東風になります。これが貿易風です。いっぽう中緯度域ではこれとは反対に東向きの西風になります。これが偏西風です。

貿易風と偏西風では、上部対流圏での様子が異なります。右に示した図が分かりやすいと思います。中緯度域の偏西風は、上部対流圏でも東向きの西風になっています。この高いところの風が偏西風のジェット気流と言われる部分です。

偏西風の蛇行は、変化するので、異常高温や異常低温が発生する場所も変わります。ブロッキングという現象が起こると特定の地域で何ヶ月にも渡って極端な気象現象が起こります。
海流のメカニズム

なぜ海に流れが起こるかというと、海面が平でなく、海水が高所から低所へ流れようとするからです。太平洋の海面には1メートルほどの高低差があります。

前述したように、中緯度域では東向きの偏西風が、熱帯域では西向きの貿易風が吹いてるわけですが、これらの風により海面を押しのけようとする力が生じます。これも地球の自転の影響によって、北半球では、偏西風によって南に、貿易風によって北に押しのけようとする力となります(エクマン輸送)。その結果、亜熱帯域の海面は盛り上がるのです。

海水は高い所から低い所へ流れようとしますが、これも地球の自転の影響で北半球では右向きとなり、海水は海面の高いほう右手にしてグルグルと回る流れとなるわけです。左に海流の図を添付しましたが、北半球では時計回りの、南半球では反時計回りの流れとなります。こうして熱帯〜亜熱帯域の海流は西向きの流れとなるので、熱帯〜亜熱帯太平洋の暖かい海水は西側に運ばれ、西側の海水温度が高くなります。

ここで注意していただきたいのが、赤道付近にこれと逆の東向きの流れがあることです。これは、下から湧昇する海水(赤道湧昇)の流れです。このメカニズムもエクマン輸送で説明づけられます。つまり、北半球では貿易風により海水を北に押しのけようとする力が働きますが、南半球では海水を南に押しやろうとする力が生じます。海水が南北に分かれようとするため。中央に湧昇が生じるわけです。そのために赤道域の海水は、熱帯域の中で温度が低くなります。

右の図は、1985年〜1997年平均の海面水温の分布です。熱帯太平洋では西側のほうが温かいこと。赤道湧昇の海域の水温が亜熱帯域よりも低いことが分かります。
エルニーニョとラニーニャ

前述したように、熱帯〜亜熱帯太平洋では、西側のほうが水温が高くなるわけですが、その傾向が強まったのがラニーニャだと考えればよいと思います。ラニーニャでは太平洋の東側の水温が下がります。エルニーニョではこれと反対に東側の熱帯〜亜熱帯太平洋の水温が高くなり、赤道湧昇は止まってしまいます。

このエルニーニョとラニーニャの違いは、偏差でみると分かりやすいです。左が昨年の9月にエルニーニョに向かっていたときの1ヶ月間の偏差、右が今年8月の1ヶ月間の偏差です。太平洋の色が大きく異なり、現在の太平洋がラニーニャに向かっていることが分かります。

エルニーニョのときには貿易風は弱く、ラニーニャのときには貿易風は強くハドレー循環が強まります。ハドレー循環は亜熱帯域では下降気流となり、ここに高気圧帯が形成され陸域では雨の少ない砂漠気候となります。

日本に暑い夏をもたらす太平洋高気圧も、この亜熱帯高気圧帯の一部なので、ハドレー循環が強まると発達し、猛暑をもたらすわけです。
7月、8月は、日本では猛暑でしたが、南米ではご存知のように大変な寒波でした。この寒波の原因は、123の右の海面水温の偏差を見れば分かると思います。(ちなみに、南半球には大陸が少ないため、北半球のような偏西風の大きな蛇行は起こりません)

このまま冬までラニーニャが続いた場合には、北米はたぶん寒波になると予想できると思います。
全体の温度が上がることで、海水温分布の変化のスピード(安定状態が変わるときの海水の移動速度、でしょうか)が早くなる、なんていうことがあったりしませんかね、暖かいお湯の方が対流は早い、というとても単純なことからの妄想ですが。或いは、グリーンランドとか南極とかの氷が融けるスピードが速くなっている結果海洋深層流のスピードも変わりつつあり、ところてん式に南米あたりの湧昇流に影響を与えている、なんてことも妄想ならできますね。ある意味壮大なテレコネクションだったりしますが、はたしてそんなことはありうるのか。

いずれにせよ今年の現象は、エルニーニョの収束からラニーニャ状態への移行が非常に早かった、というのがキーのように思われます。また、エルニーニョが長く続いたのと同様いったん安定状態が切り替わるとそれが長く続く傾向、というのも、何か温暖化傾向と関係がありそうな、なさそうな。衛星観測で得られているエネルギー収支の入超分がどこに行っているのか分からないというのもありますが、たぶん観測に掛からない深海に蓄えられているというのがありそうなんですが、それが何かからんでいたりしないか、というのも妄想ならできますね。

古気候の研究で、とても暖かかった時期にはエルニーニョの状態が発生しやすく、かつ長く続いていたらしい、というのも見たことあります。今はラ・ニーニャ状態ですが、ここらへんのことには温暖化は何らかの影響はあるもののようで、かつそれがぼちぼち出始めている、と見るのが自然な気はします。

まあ、気長に解析を待ちましょう。

それにしても、いつまでも暑いですね。東京は雨が全然降らないのも困ったものです。プランターの花もさすがにバテでます。

# 水遣りをさぼったせいだとは言いたくなかったりして(苦笑)
日本に寒い冬と暑い夏をもたらしたラニーニャ現象は、今年の春に終息したと言われましたが、エルニーニョに転じることなく、この秋から再びラニーニャが発生したようです。

ラニーニャ、1年で2度目の発生 寒さ厳しくなる恐れ(2011/11/10朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/1110/TKY201111100436.html

以下、引用
-----------------------------------------------------------------------------
気象庁は10日、異常気象を引き起こすとされる「ラニーニャ現象」の発生を確認したと発表した。今後の動向次第で、日本付近では年明けごろに平年より寒くなる可能性があるという。節電対策に影響を及ぼすおそれもある。
 昨年夏ごろからのラニーニャは、今春に終息したとされていた。気象庁によると、1年に2度の発生が確認されるのは統計を取り始めてから初めて。
------------------------------------------------------------------------------
以上、引用

そもそもラニーニャは終息しておらず、継続しているという学者もいるようです。125のJAMSTECの予報は、当たりかもしれない。

太平洋10年規模振動(PDO)は、1977年から正フェイズでしたが、2006年に負フェイズに転じたと言われています。今後も数年は、ラニーニャの傾向が強くなるのではないかと予想しています(TSUNEの予想)
128に、PDOのグラフを添付したかったのですが、mixiの仕様が変わったらしく、できませんでした。詳しくは、下記を参照してください。

太平洋十年規模振動(PDO)指数の変動(気象庁)
http://www.data.kishou.go.jp/shindan/b_1/pdo/pdo.html
北半球、数年後に寒冷化? 海洋機構が海水温から解析(朝日新聞 2013年6月29日付)
http://www.asahi.com/tech_science/update/0629/TKY201306280627.html

詳しくは、海洋研究開発機構(JAMSTEC)発表のプレスリリースが分かりやすい
北半球の気候変動表員の解明
--グリーンランド海の急激な変化がもたらした北半球の気候変化--
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20130629/

以下に、プレスリリースから一部を抜粋して引用します

グリーンランド海付近の大きな傾圧性変動は、グリーンランド海の水面温度の偏差によって引き起こされて大気に強い影響を与えており、グリーンランド海の水面温度が高い状態では北半球に強い影響を持つ「北大西洋振動」と呼ばれる変動パターンの正の状態に、逆に水面温度が低い場合は北大西洋振動の負の状態になることが分かりました。

グリーンランド海、特に温水と冷水の境界付近の平均海水温の基本値が1979年の2月から3月にかけて急激に2℃近く上昇し、大規模大気場に力学的強制を与えることで北半球中高緯度域の気候変化をもたらしたことが見出されました。

このグリーンランド海の変化による大気力学要因の変化は、北半球の1940年代から1970年代にかけての寒冷化、そして1980年代から2000年代前半にかけての温暖化の気温変化の傾向とも一致しており、1980年代以降の北半球冬季温暖化は、この力学要因の変化が大きな要因となっている可能性が考えられます。

本研究で見出されたグリーンランド海と大西洋数十年規模振動の関係に基づいて推測すると、2015年前後にグリーンランド海において1979年に起こったのとは逆の現象が起こると考えられます。最近10年ほどの地球温暖化停滞の傾向は、大西洋数十年規模振動の周期から推測される傾向と一致しており、北大西洋振動が強い負の状態になる頻度が高くなると、上記のフィードバックが働いて数年間で北半球寒冷化へ移行する可能性もあり、今後は北大西洋近辺の変動を注意深く観察する必要があります。
気象庁のページから、北大西洋の海面水温平年差の推移を示します。

出典
http://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/db/climate/glb_warm/natl_trend.html

大西洋数十年規模振動(AMO)の様子がよく分かりますね。長期トレンドは、100年あたり0.61℃の上昇ですね。AMOは、約70年の周期です。これを見ると、5年移動平均は、とうめん、あと30年ぐらい上がりそうもない雰囲気ですね。
2014年半ばから始まったエルニーニョ現象は、2015年夏に1998年以来の強力なものになりました。

気象庁は、10月9日付の「エルニーニョ監視速報」で、このエルニーニョ現象は、来年春まで続く可能性が高いと発表しました。
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/kanshi_joho1.html

添付した最初の画像の下の図(2015年9月の海面水温の平年偏差)を見ると、太平洋の赤道域は、東側が平年より水温が高いことが分かります。添付した2番目の画像の一番上のグラフ(エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差)を見ると、太平洋赤道域の東西の水温差は、2009〜2010年のときよりも大きいことが分かります。上から2番目のグラフ(南方振動指数)を見ると、赤道域を吹く貿易風が2009〜2010年のときよりも弱いことが分かります。

昨年から始まったエルニーニョ現象が、今年の「世界の平均気温」を押し上げていました。気象庁の予測では、エルニーニョの傾向は、来年5月ぐらいまで続きますが、そのピークは今年11月ぐらいになりそうです。
2016年4月11日に、気象庁から発表された「エルニーニョ監視速報」によれば、
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/kanshi_joho1.html

・2014年夏に発生したエルニーニョ現象は弱まりつつある。
・エルニーニョ現象は夏のはじめには終息している可能性が高い。
・その後、平常の状態が続く可能性もあるが、
 夏の間にラニーニャ現象が発生する可能性の方がより高い。

とのことです。
今回のエルニーニョは、じつに2014年半ばから1年半余りも続き、水温もとても高くなりました。2014年と2015年には「観測史上最も暑い・・」というニュースが続きました。

2015年10月と2016年3月の海面水温の平年差の分布図を添付します。太平洋の水温が5ヶ月間にずいぶん変化した様子が分かります。グラフは、気象庁によるエルニーニョ監視海域の海面水温の今後の予想です。今年の秋にかけてラニーニャに転じて、さらに2〜3℃低くなることが予想されています。

ラニーニャになると、日本では夏は暑く、冬は寒くなる傾向があります。
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の東側水域が高温になる現象ですが、2014年夏に発生して現在まで続くエルニーニョは、1998〜1999年のエルニーニョに匹敵するほどの強力なものでした。2年間近く続いた今回のエルニーニョもこの夏までに収束し、その後はラニーニャに転じると予想されているのですが、もっと長期の視点で捉えると、北太平洋全般に及ぶ太平洋10年規模振動(PDO)や第2モード変動(NPGO)があります。これらの指数は、2014年以降、いずれも強い正偏移を示しており、今回の強力なエルニーニョの背景には、これらの変動があったわけです。今後も、これら10年規模の変動が影響すると考えられ、PDOやNPGOがどう推移するのか注目したいところです。
気象庁から、今回のエルニーニョについての解説が発表されました。

2014-2016年のエルニーニョ現象について(平成28年6月10日)
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/houdou/pdf/sankou201606.pdf

一部を引用します。

 今回のエルニーニョ現象は、2010年春以来4年ぶりに 2014年夏に発生し、2016年春に終息したとみられます。

今回のエルニーニョ現象は 2014年夏に発生しましたが、5か月移動平均値は 2014/15年冬まではエルニーニョ現象発生の基準である+0.5°C以上だったものの、大きくは上回らない値が続きました。その後、2015年春以降発達し、月平均値は2015年12月に期間中最大の+3.0°Cに達しました。この値は、1949年以降に発生した15回のエルニーニョ現象発生期間中の最大値としては、1997/98年、1982/83年のエルニーニョ現象に次ぐ3番目の記録となりました。また、発生期間は 8季節となる見込みで、1949年以降に発生したエルニーニョ現象の中で最も長くなりました。

世界の年平均気温
 2014年及び 2015年の世界の年平均気温の平年差はそれぞれ+0.27°C、+0.42°Cで、統計を開始した 1891年以降の最高記録を2年連続で更新しました。世界の平均気温は、数年から数十年の時間規模の海洋・大気の変動や地球温暖化等の影響が重なり合って変化しており、エルニーニョ現象に数ヶ月遅れて上昇することが知られています。2014年及び 2015年の年平均気温が高かった要因の一つとして、2014年夏に発生したエルニーニョ現象が 2015年春以降に発達したことが考えられます。
8月に発表された気象庁によるエルニーニョ監視速報では「エルニーニョ現象もラニーニャ現象の発生していない平常の状態」でしたが、9月9日の発表では「ラニーニャ現象が発生しているとみられる」とのことです。

エルニーニョ監視速報
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/kanshi_joho1.html

(以下に引用)
----------------------------------------------
8月の実況:ラニーニャ現象が発生しているとみられる。
8月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-0.6℃で基準値より低い値だった。太平洋赤道域の海面水温は、中部から東部にかけて平年より低く、西部で平年より高かった。海洋表層の水温は、西部から東部にかけてのほぼ全域で平年より低かった。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、大気下層の東風(貿易風)は中部で平年より強かった。このような海洋と大気の状態は7月から持続しており、ラニーニャ現象時の特徴を示している。また、今後もこうした特徴が持続すると見込まれる。以上のことから、ラニーニャ現象が発生しているとみられる。

今後の見通し:今後冬にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高い。
海洋表層の冷水は7月以降中部に見られ、明瞭な東進は見られない。この冷水は今後しばらくの間、中部の海面水温を平年より低い状態で維持するように働くと考えられる。エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、予測期間中、基準値に近い値か基準値より低い値で推移し、基準値との差の5か月移動平均値は今後冬にかけて-0.5℃以下の値で推移すると予測している。以上のことから、今後冬にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高い。
太平洋10年規模振動(PDO)についても見ておきます。

太平洋十年規模振動(PDO)指数月平均値
http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/db/climate/pdo/pdo_month.html

2014年頃に負から正に転じたPDOは、いまだ正の状態のようです。
南方振動(ENSO)は、この夏にエルニーニョからラニーニャに転じたようですが、PDOが正の状況下でのラニーニャなので、さほど大きな寒冷化にはならないと思います。
2017年1月11日、気象庁発表のエルニーニョ監視速報より
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/kanshi_joho1.html#kaisetsu

ラニーニャ現象は終息に近づいているようです。
今後、ラニーニャ現象は終息し、春にかけて平常の状態が続く可能性が高いとのことです。

エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は、0.5℃ほどで、昨年の春に予想していたよりも、かなり弱いもので終わりそうです(左の図参照)。
というか、0.5℃ならラニーニャというより平常状態と言ったほうが良さそうな程度です(右の図参照)。
10月11日、気象庁発表のエルニーニョ監視速報
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/kanshi_joho1.html

エルニーニョ監視海域の海面水温が基準値より低くなるなど、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつある。

秋または冬にラニーニャ現象が発生する可能性は、平常の状態が続く可能性と同程度である(50%)。

だそうです。今年の冬は、寒くなるかな?
>>[139]

ようやくラ・ニーニャが来ますね。
すんごいエル・ニーニョの後はラ・ニーニャで気温が下がるというのが相場なのに、なかなかそうならないので、これはもしかしたら本格的におかしくなっちゃったかと心配していたところです。よかった、よかった。
それはともかく、最近顕著な中緯度地方のおかしな気象(台風/ハリケーンの巨大化とか偏西風の蛇行とか、それによる熱波や寒波とか)は、北極の氷が溶けて海水面が広がったことの影響による、つまり一種のテレコネクションだという話がありますね。
>>[140]

> ようやくラ・ニーニャが来ますね。

そうなんですよ。2014年半ばから2016年半ばにかけて2年間にも及ぶ強力なエルニーニョが終息した後は、ラニーニャになると言われながら、それほどではなかったんです。

今度は、どうなるんでしょうね。可能性は50%だそうですよ。
>>[141]

偏西風の蛇行や、熱波や寒波は、昔からあるような気がしますが・・。
台風が巨大化しているということもないような気がします。
何か、統計的なデータは、ありますか?
1951年以降の中心気圧が低い台風の統計がありました。(気象庁)
http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/ranking/air_pressure.html

上位10位のうち、1950年台が4つ、1960年台が3つです。
1945年の枕崎台風、1934年の室戸台風というのは、とんでもない台風だったんですね。

近年よりも、1950年台〜1960年台の方が、強力な台風が多かったようです。
ここ数年のことに関しては統計解析や研究論文が出てくるのはもちっと先でしょうね。でも、こんな記事は割と見ます。

https://www.theguardian.com/environment/2016/dec/19/arctic-ice-melt-already-affecting-weather-patterns-where-you-live-right-now

タイトルは、「北極の氷の融解は既にあなたが住んでいる地域の気象に影響を与えている」とでも訳しましょうか。よくまとまってると思うのでご興味有れば一読をお勧めします。

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