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スガク師団物語コミュの二章

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「しかし、気にならないか。参謀長」
「どうなされました?」
「センケー国のことだ。この前の戦いは意味が無さ過ぎる。あの程度の兵力では、我らの防衛線を突破できないのは百も承知だろう。一体どういうつもりだったのか」
「何か別の目的があるとでも?」
「うむ。少なくとも前線の兵達は戦いに専心していたようだが」
「上の方で何かしらの思惑があったのかもしれませんな。警戒するに越したことはないかと」
「そうだな、国境警備にあたってる部隊に連絡を取ってくれ」
リガク国の軍事全般を司るスガク師団、その拠点の一室で意見を交わす二人の人物。師団総司令タッツ中将と参謀長ゼット准将である。二十歳を若干過ぎただけの二人は、小姓が入れてくれた少々苦いコーヒーを、少しづつ口に付けながら、逐次送られる今回の戦いにおける各分野の報告書に目を通している。
「結果的にはカワシマ中佐の突撃が、膠着しかけていた戦況を打破し敵軍は潰走、か」
「まさしく中佐の力が必要となる状況でしたな。局所的な突破力としては第六連隊に勝るものはないかと」
タッツ中将が相槌を打とうとした瞬間だった。青ざめた、ぐらいの表現では生ぬるい程の表情をした兵士が、息も絶え絶えに部屋に飛び込んできた。
「申し上げます!」
「どうした」
「ツーロン国の軍勢が突如国境を破り、我が領土に侵入!その数、およそ三万!」
「な、ツーロンとは前年に軍事不干渉条約を結んだばかりでないか」
「理由は分かりませんが、敵軍はすでにシタミ砦を突破。このまま行くと三日後には城下町に辿り着きます」
「そうか、わかった。ご苦労だったな。ゼット、すぐに連隊長達を集めてくれ」

スガク師団には総司令が指揮する師団本隊と参謀長直属部隊の他に、連隊長と呼ばれる者たちが率いる六つの精鋭部隊が存在する。普段は国の要所の警備を担当しているのだが、緊急時には真っ先に軍議の場に駆り出され、最前線へと飛び込む。三万の軍勢が迫る今も、もちろん例外ではない。
「すぐに出陣します。戦場はジゲ河付近になるでしょう。基本的な戦略は今し方説明した通りです。なにか質問は」
返事はない。いつもより多少速くなっている参謀長の口調が、事態の緊急性を皆に伝えたのだろうか。細かい戦術は進軍しながら詰めていけばいい、という心情で一致したようだ。
「出るぞ!先陣はユーマとカーミに任せる。迅速に進軍せよ!」
総司令の一喝をもって軍議は終了し、率いる者達は各々の馬を走らす。それは桜散り終えた皐月初旬のことだった。

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