目次読書会コミュの竹本忠雄『マルローとの対話――日本美の発見』（人文書院・1996年）

マルローの生涯と本書の由来　　自序

第一の対話（1969年11月24日）
　　レンブラントと影
　　《サクレ》――世界と日本
　　ゴヤ芸術――影をとおしての光
　　《サクレ》を継ぐ《非現実世界》
　　白隠の『阿宇』と禅芸術の幽玄
　　『反回想録』の奇妙な登場人物「クラピック男爵」
　　最後の東洋航路――夜と他者に向かって
　　永遠の日本……そして中国
　　シャトーブリヤンと女たち
　　"五月革命"で崩壊した"文化の家"

　書信（1972年１月）

第二の対話（1972年５月３日）
　　ニクソンの訪中と日本の役割
　　日本は選択することができる
　　中国＝台湾の密約？
　　三島由紀夫と日本的自死
　　仏教の形而上学と《悪》
　　《天啓の文明》と《開悟の文明》の対立点
　　宇宙的神性との結合としての日本芸術
　　私はガス自殺よりも切腹死……

　書信（1972年５月―1974年３月）

第三の対話（1974年３月22日）
　　アジアと日本
　　『重盛像』と日本的超越性
　　昭和天皇の反問
　　英雄的日本の――ドラマチックな――再現？
　　神道――たえざる甦りのフォルム
　　プラトンの「イデア」と美女フリメー伝説

アマテラスの道（1974年５月13日―６月１日）
　　皇太子・美智子妃両殿下へのご進講
　　至高の記号、『那智滝図』の衝撃
　　梁楷『出山釈迦図』と《内的実在＝気》
　　出光佐三翁と出逢い、仙厓を見る
　　日本的サクレは白昼の陽炎
　　地唄舞の秘密を見抜く
　　重盛＋頼朝像――まるでシャルトル大聖堂の円柱像
　　43年間待ちつづけた"お狐さん"
　　鑑真像と対面し、輪廻を尋ねあるく
　　クローデルはここまで来たか？
　　那智滝の啓示
　　伊勢とアインシュタインは収斂する

第四の対話（1974年６月１日）
　　那智の滝――絵画と実景
　　雪舟より純粋な『那智滝図』
　　現代絵画と精神性――ピカソ、ブラック、ヴァン・ゴッホ
　　『重盛像』対『頼朝像』
　　日本の垂直軸――反クローデルの視点
　　日本的フォルムの秘密――開かれた空想の壁

第五の対話（1974年９月14日）
　　ネール平和賞とインディラ・ガンジー夫人
　　「倫理革命家ガンジー」対「政治革命家マルクス」
　　国際方法学研究所の設立を
　　もはや「最大多数」なき現代の民主主義
　　平和とは？
　　　――つねに戦いをこころみることによって勝ちとるものなり
　　ニーチェになぞらえて予言可能？

第六の対話（1975年４月13日）
　　西洋の日本美術発見
　　中国、朝鮮、日本をむすぶ表意文字文明圏
　　遊びとしてのシノワズリー
　　日本的自由の本質と重要性
　　メッセージを秘めた雅楽の所作
　　聖アウグスティヌスとヘーゲル
　　原始魚からナポレオンへの進化？
　　新しい科学的発見と未知宗教
　　二十一世紀と"死ぬ権利"
　　現代科学の能動形と受動形
　　ユネスコ――民主的方法ゆえの限界と名誉
　　国連――幻想のインターナショナリズム
　　極大と極小の未知数――核連鎖反応と癌

第七の対話（1975年11月24日）
　　もしアメリカ人が仏教思想をもって来日していたら……
　　必然だった三島の死――そして百年後に日本は完全に化身する
　　ジャンヌ・ダルクと「内なる声」
　　Ψ（プシ）の時代――21世紀に精神革命が起こるだろう
　　ピカソの問い――「キクラデスの好々爺」
　　《輪廻転生》と《変貌》
　　《人間の条件》を断ち切った釈尊

　書信（1976年３月―４月）

第八の対話（1976年５月２日）
　　仙厓和尚の「開かれた芸術」
　　「猫カ、虎カ、当テテミナヨ……」
　　植物文様に秘められた太古の宇宙的力
　　西洋のシンメトリーと日本の非シンメトリー
　　"十字軍"なしに宣教師が乗りこんだ例外国――日本と中国
　　歴史の暗合――長崎原爆とホピ族の聖地破壊
　　アイヌ民族―インド―中国―日本の伝統舞踊
　　日本的精神性に特別の意義ありや？――もちろんだとも！
　　「八分の一拍子の中国」対「四分の一拍子の日本」
　　トインビーは《サトリ》を得なかった……

　マルロー最後の思想と言葉――後記にかえて
　　（一）「阿弥陀思想」と「聖フランチェスコ思想」
　　（二）二十一世紀文明と彼岸

　付録
　　那智滝とマルローの悟り（クロード・タンヌリー）
　　マルロー思想の基本語彙
　　関係年表　マルローと日本
　マルローの著作と邦訳書一覧
　索引（主要人名・主要事項）