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クローズアップ現代コミュの2008年4月3日(木)富士山をどう動かしますか? 〜 “地頭力”(じあたまりょく) の時代〜

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2008年4月3日(木)富士山をどう動かしますか? 〜 “地頭力”(じあたまりょく) の時代〜


国谷「こんばんわ、クローズアップ現代です。ゼロから1を生み出せる人材。今夜は企業の採用現場で始まっている新たな動きです。」

ナレーション「突然ですがここで問題です。富士山を動かすにはどうしますか。えっ、日本の最高峰富士山を動かす?一見荒唐無稽なこの問題、あのマイクロソフトが出題したれっきとした入社試験の問題なのです。とかく変化が激しい今の時代、一風変わった入社試験を使って、これまでにない人材を発掘しようという企業が増えています。」

企業研究家バウンドストーン氏「学校の成績は関係ありません。企業は地頭力を求めているのです。」

ナレーション「地頭力。今日本でもこの言葉がビジネスの現場や採用試験であふれています。膨大な費用と時間をかけ地頭力を持った学生を探し出そうとする企業も表れました。地頭力とは何か。なぜ企業は地頭力を求めるのか。変わる頭の良さの価値観に迫ります。」

国谷「質問を出され、どうやって回答を出せばよいのか、どのように考えを進めればいいのか答えに窮する。先ほどありました富士山を動かすにはどうしますか。この質問を投げかけられて私はとっさに何も答えることができませんでした。今企業の採用現場ではゼロから考えて答えを出せる人。地頭力のある人を発掘しようとしています。就職希望者に対してこれまで考えたことのないような質問を突然出して短時間の間に多くの人を納得させることができる説得力のある回答を出せるのか。地頭力を見極めようというのです。地頭力があるか、ないか見極めるための出題他にはこんなものがありました。6大陸のうち一つなくすとしたらどれをなくしますか?
ドラえもんのポケットがあったらどんな道具を使いますか?
日本では1年間に鍋は何個売れますか?つかみどころの地頭力
。地頭力とは頭の良さから知識を取り除いたもの。英語ではクリエイティブシンキング(creative thinking)、創造的思考あるいは、ロウインテリジェンス(raw intelligence)、生の知性などと言われています。何が起こるのか予測ができない時代の中で、企業は閉塞感を突破してくれる人材、何もないゼロから新しい1を生み出してくれる人材を必要としているのです。」


ナレーション「問題です。地球上の6大陸のうち1つをなくすとしたらどれをなくしますか?この問題を採用試験で用いたのはオートバイメーカーの老舗ヤマハ発動機です。業界で世界第2位のシェアを閉めるヤマハ。しかし売上の9割を占める海外で安売り競争が激化しています。これまでの発想にとらわれず、全く新しい分野を開拓できる人材の確保が急務となりました。知識や学力だけを試す従来の入社試験を改め、爆発的な突破力をもった人材がほしいと、人事担当者が考え出したのが答えのないこの問題でした。大陸をなくすとはどういう意味なのかそこに住んでいる人たちはどうするのか。問題にはそういったヒントや注釈は一切ついていません。

ヤマハ発動機人事部長橋本義明さん「与えられた問題の答えですね。特にないというのがミソでございまして、そこで物事をいかに深く論理的に考えられるのか、というところが個々人の問題解決能力を測れるんだというところを我々がみたいと・・」

会社側の目を引いたのは多少乱暴であっても大胆な論理で突破する解答でした。
(画面)解答「オーストラリア大陸をなくす」
オーストラリア大陸は人口が少なく、移住がしやすい。しかも英語圏なので移住後の人々の苦労が少ない。」
(画面)解答「北米大陸をなくす」
「北米大陸はエネルギー消費量が最も高く、環境への不可が大きい。地球の将来のために北米をなくすべきだ」 

ヤマハ発動機人事部長橋本義明さん「従来のヤマハが求めてきた人材ではなくてですね。プラスアルファの人材がほしいんだと。主軸となります商品だけでなくてですね、新しい商品を想像していくにはどうしてもそういう風なのが必要だと思っております。」

ナレーション「また問題です。ドラえもんのポケットがあったらどんな道具を使いますか。これは大手ブライダル企業(タカミブライダル)の採用試験で出された問題です。ブライダル業界の悩みは人生の門出を感動的に演出したいという様々な注文です。例えば永遠の愛を能の舞台で誓い合いたい。入院中の父親のそばで結婚式を挙げたい。全ての夢をかなえるドラえもんのような、万能な解決能力を見極めるのが地頭力を試す入社試験の狙いです。」

タカミブライダル採用課五木田紀子課長「パッと察知してお客様の求めていることをぴったりのことを返すことができる力っていうのはすごく特に求められると思います。」

ナレーション「またまた問題です。日本では1年間に調理用の鍋が何個売れますか?この入社試験を出したのは大手コンサルティング会社(ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン)です。この会社は先の読めない時代の中で、常に答えのない問題に直面している様々な企業をサポートしています。そのため、コンサルタントには何のデータもないところから仮説を立て、論理的な思考を展開して短時間で結果を出す能力が求められます。さきほどの鍋の問題、あるメーカーによるとその数はおよそ5000万個。適切な仮説と論理でこの数に迫る地頭力が試されています。実際の試験で合格した学生の考え方です。学生はまず男女に分けて考えました。次に、女性が購入する鍋の数は男性よりも一桁上およそ10倍だという仮説を立てました。その上で男性が一生のうちに購入する鍋の数はおよそ5個だと見積もりました。そうなると女性は一生で50個。この仮説に人口1億3000万。平均年齢(寿命の間違いか?)80歳という数値をあわせ、はじき出したのは4500万個という数でした。(画面の式)(5+50)÷2×1億3000万÷80=4500万個。学生はわずか40秒でこの数字にたどり着きました。」 

ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン細田和典副社長「企業の中でこういう手を打てばこういう効果がでるというのが時代とともに分かりにくくなってきてますね。なので我々が、一種ゼロから、常識とか会社の知識がない者がゼロから自分たちの頭の中で組み立てていくというのが必要なんですね。」

ナレーション「さて番組の冒頭で出題した問題、富士山を動かすにはどうしますか。皆さんも考えてみてください。」

国谷「はい、今夜はスタジオに就職や働き方についての本も出版されています糸井重里さんにお越しいただいています。ま、ちょっと聞かれるとたじろいでしまうような質問に 大胆に乱暴にすぐ答えるというのはなかなかできないですよね」
糸井「やっぱり今の世の中、ポリティカルコレクトですか、正しいことを言うことが義務づけられているような時代ですから、あんなふうにオーストラリアはなくてもいいなんて、お前そんなこというもんんじゃないよって言われそうなところを、あえてその問題を考えるときには、事情や都合を考えずに言うみたいな、そっから始めましょっていうそれこそ生の思考にいっているんでしょうね」 
国谷「これは言ったらどう思われるだろうかとか、ちょっと変とか乗り越えてしまう、そのなんていうんですか、大胆さですか」
糸井「そうですね、少なくとも就職試験の時には学生は特にビビッてしまっていますから 大胆さを失っているところでああいった問題をたて続けるのは、見えるものが多いんでしょうね」
国谷「その、地頭力っていうのがなんなのか、つかみどころがないんですが、もし糸井さんが面接官で、この人が地頭力があるのかないのか調べようとしたときに、どんな質問をされますか」
糸井「僕は、その、友達同士として生き生きとしたやり取りができるかどうか知りたい、そこが地頭力だと僕は思いますので、この人がいい答えを出せるような質問を考えたいですね。自由課題で。例えば、一番好きな食べ物を僕に奨めてくれとか 僕がもっともてるようになるにはどうしたらいいかとか、そういう友達に聞くようなことを聞くと思うな、自分だったら」
国谷「そのことによってその人が持っているよさをみたいということですか」
糸井「はい、さばの塩焼きですとか言ったら、それはどうしてっと言って、やりとりができますから、僕ならそうしますね」
国谷「さあマイクロソフトが出した富士山を動かすのはどうすればいいのか。この質問に対するひとつの答え、ごらんいただきたいとおもいます」

(画面)前提 パワーショベルとトラックを使う
ナレーション「富士山をパワーショベルで削りその土砂をトラックで別の場所に移動するという前提で考えてみましょう。富士山の形はだいたい高さ4000メートルの円錐形といえます。円錐の底面の半径はその形から高さの4倍程度の1万6000mと見積もることができます。富士山の体積を実際に計算すると(円錐の体積=16000×16000×3.14×4000×三分の1)結果はおよそ1兆立方m、一方一台のトラックで運べる土砂はトラックの大きさから推定して36立方メートル(6×3×2=36㎥)。よって富士山全体を移動するのに必要なトラックの移動回数はおよそ300億回(1兆÷36=300億回)。富士山を動かすにはどうしますか、そのひとつの答えはパワーショベルとトラックで300億回土砂をはこぶ、です。」

国谷「今のあの大きな富士山をパワーシャベルとトラックで運ぶという大胆さがあるわけですけれども、糸井さんだったら・・」
糸井「この会社はあの子が採用されるんでしょうけれど、僕がその会社の社長だったら、そんなことをして喜ぶ人をまず探しますね。つまり、富士山を動かすなんてことをするのが嫌な人にさせてもしょうがないんで、誰が富士山をほしいですかっていうところを聞くところから始めると思いますね。それからその仕事をしたい人がさあどうしたらいいでしょうね。パワーシャベルが最終的な答えかもしれないけど、やっぱり人を調べたいですね。やりたい人にやってもらう。」
国谷「でもこれ、こういう質問を出している企業側の心模様をどう想像されますか」
糸井「たぶん、答えている学生以上にもっと必死だと思いますね。悲鳴を上げてるっていうところがあると思いますね。似たようなことに意味がなくなっていますから。やっぱり、買ってもらえる、うけて発展する。その源は魅力だとか、これでなくければっていうオリジナリティですから。社内にないから新しい人にやってもらいたいわけですから。その意味では、学生以上にこの問題出している人がこの問題うけるかなって必死でやるんじゃないですかね」
国谷「質問をした後の10秒間はじっと顔を見ていると」
糸井「ギャグを振ってるようなもんですね。うけてないとダメなんじゃない。たぶん」
国谷「という企業の事情もあるわけですけれども、今長い時間をかけてそして膨大な費用をかけて地頭力のある人材を発掘しようという企業も出てきています。」

ナレーション「東京港区にある企業向けソフトの開発メーカー(ワークスアプリケーションズ)です。この会社では能力の高い人材を発掘するため、学生を対象に、1ヶ月もの時間をかける研修会を開いています。集ったのは筆記試験と面接で10倍以上の競争率を勝ち抜いた学生400人です。会社は学生に日当として1万円を支払います。人材発掘にかける費用は総額で20億円に上ります。」
研修会担当者「次に課題の発表に移りたいと思います。今回のインターンシップ2008年春の課題は人材派遣業務管理ソフトウェアです。」
ナレーション「突然出された課題は人材派遣の業務管理システムを作れ。人材派遣とはどんな仕事なのか。業務管理とは一体なんなのか。学生たちにとって検討もつかない課題でした。会社側が見極めたいのは知識や経験ではなく、それとは無縁の未知の問題を解く能力、ゼロから1を生み出す地頭力です。」

ワークスアプリケーションズ代表牧野正幸さん「やはりゼロから1と1から100の大きな違いは全く前例のないことをやりとげられるかどうかってことなんですね。今まではそうあればいいには決まっているけれど誰もやらなかった、やるのが難しくてやれなかったことをやり遂げる、そういった人材が多く出てくることがゼロから1という意味だと私は思っています」 

ナレーション「会社側の思惑とは裏腹に 課題に取り組む前についつい市販のマニュアル本に手を出してしまう学生も少なくありません。大学で哲学を専攻する村井貴博さんです。人材派遣業の本を買い込み、膨大な知識を頭に詰め込みました。」
ノートを開く村井
女子学生「すごいノート・・」
ナレーション「さっそく学生たちがどこまで課題を深く考えているか、システムの企画書がチェックされました。」
面接官「説明お願いします」
ナレーション「村井さんはマニュアル本を参考にホームページを利用するという斬新な企画が立てられたと感じていました。
村井「お客様がどういう風に情報に触れられるかというとその中ではやはりホームページではないかと・・」
ナレーション「ホームページを使う利点を強調する村井さん。しかし、会社側には従来のノウハウの組み合わせにしか聞こえなません 
面接官「あらためてターゲットを教えてください」
村井「はい、ターゲットは、中堅の、実績のある中堅企業・・」
ナレーション「詰め込んだ知識では太刀打ちできない質問をされそれまでの歯切れのよさが鈍ります」
面接官「このシステムを買ってくれるのは誰でしょうか」
・・・・(沈黙) 
女性の声「終了です。終了してください」
ナレーション「ゼロから1を生み出す。知識や経験が通用しない世界に多くの学生が戸惑いました。この研修で面接官たちの目に止まった学生がいました。大学で心理学を専攻する南坊実さんです。友達に誘われ参加しましたが夢は就職ではなくすてきなお母さんになることです。」
南坊「海外経験や豊富な語学力を持ち、またそれを・・
ナレーション「南坊さんの企画は語学を得意とする人たちに絞ったシステムでした」 
面接官「一番のメリットは、誰に対して最もありますか」
南坊「誰に対して・・」
面接官「メリットが一番ありますか」
南坊「ああー、えっと、やっぱり海外経験をフルに生かしたいっていう求職者に対してのメリットが大きいんではないかと予想してます」
ナレーション「学生のほとんどがより多くの人をターゲットにしたシステムを目指す中で南坊さんはあえて対象者を限定した企画を考えました。会社側がゼロから1を生み出すのに必要だと感じるシンプルなアプローチです。しかしこの企画は仕事を求める人にはメリットがあっても人材派遣会社のメリットにはつながらないと指摘されました。
面接官「海外経験等もある求職者に対してメリットがある というこのシステムががなぜ海外経験のある人を派遣する派遣会社にとって買おうというところにつながっていきますか」
ナレーション「会社側は南坊さんの発想を評価したもののまだ十分なものが生み出されていないと突き放しました。ゼロから1を生み出すとはどういうことなのか。南坊さんは悩み続けました。
ナレーション「3週間後南坊さんは前回派遣会社の利益を無視しているという指摘された点を改善して再び発表に望みました
南坊「それではどのようなメリットが達成されているかどうかという点を分かりやすく修正いたしましたので、新規顧客の拡大が望めるのではないかと予想しております。」
ナレーション「南坊さんは仕事を求める人が得意とする言語と企業が必要とする言語を瞬時に結びつけるシステムを構築しました。これが人材派遣会社の信頼を向上させるだろうと高い評価を受けました。気軽な気持ちで参加した南坊さん。自分がゼロから新しいものを生み出したと評価されるとは思ってもみませんでした。」
南坊「やっぱり自分なりに模索して、正しいかどうかも分からないながらも一生懸命模索して何かを生み出す、クリエイトするというのがゼロを1にするっていうことなのかと・・」

スタジオ
国谷「糸井さん、今の企業の場合ですけど、応募した総数が5000。研修を受けることができた人はすでに先ほどの地頭力を見極める問題に答えて、地頭力があると判断された人たちで、最終的に高い評価を受けることができた人は2%弱だったと、糸井さん、どのように今のプロセスをみてどう感じられました」 
糸井「やっぱり僕は問題を出してる側の悲鳴を感じますね。その必死で新しい何かを買い付けにいってるわけですよね、すごいコストをだして、それだけコストをかけるってことは、そこが一番欠けている部分で買いに行きたい部分だと思うんで学生さんたちはその自分たち以上に企業が本当に求めているぞっていうことを知った方がよいという気がするな」
国谷「まあ前例がないことができる人、ゼロを1にする人っていうことですけど、会社がゼロから1の人をたくさん採用した場合どうなると思いますか」
糸井「そんな人はまずほとんどいないと思いますが、やっぱりものっていうのは完成させるうちに足されていくアイデアだとか、さまざまな実行する間の難しいことって大変なこともありますから、そっちの人との共同作業だと思いますよね 全部実はクリエイティブがいるんで 1から2になるとき2から5になるとき、全部何かの発想がいると思いますね」
国谷「そして発掘した人材を、むしろ企業が本当に生かしていけるのかがむしろ問われることになると思いませんか」
糸井「そうですね、つまり、その市場があるかないかが問題なわけですから、本当に魅力のあるものを見極められるものがいない市場に、これは素敵ですよってだしてもしょうがないわけですから、それは社会の成熟と一緒に歩んでいくものですからそんなに急にゼロから1の人が山ほどでてくるわけでもないし、それが受け入れられるってこともないと思いますけどね」 
国谷「そうはいっても4年生の学生たちは就職戦線真っ只中で自分たちの地頭力が試されるかもしれないというその目に遭遇する、地頭力ってどうやって鍛えられるんですか」 
糸井「いや、鍛えられる方法はきっとあるんでしょうけど、すごく時間がかかることだと思いますよね。だから付け焼刃でやっても人間同士ですからばれてしまいますから、ばれないところで今ある自分を全部見せたいっていう、そこに楽しんで望むみたいな、すっごく基本的なことが大事だと僕は思いますけどね」 
国谷「地頭力っていうのはそうすると、何、経験なんですか」
糸井「やっぱり何をやってきたか、の方法の記憶だと思いますのでそれを編集するかどうかですから、いろんなことをやってきた子は強いと思いますね」
国谷「いろんなことをやってきた、そこから地頭力が育っていくと」
糸井「そう思いますよ
国谷「糸井さんは考える」
糸井「僕は考えます」
国谷「どうもありがとうございました。糸井重里さんとともにお伝えしてまいりました」 

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