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下田関連文献アーカイブコミュのハリス愛蔵の茶道具、米の博物館で発見

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2006年7月30日付の朝日新聞東京本社版夕刊(4版)に「幕末の日米交渉の『証人』タウンゼント・ハリスに送った茶道具を発見」と言う記事が出た。写真二点(ハリスの顔写真と茶道具の写真)を伴う四段の記事だ。

記事を要約すると「幕末に日米修好条約を結ぶために来日した米国初代駐日総領事タウンゼント・ハリスに贈られたとみられる茶道具の所在が米国で確認された。交渉約の下田奉行井上清直が愛用した品」で「1857年2月24日に下田奉行の私邸で日本料理が振る舞われ、茶会へと続いた。ハリスは『これまで私の見た一番美しい茶道具』と評価。ハリスの通訳ヒュースケンの日記には『お茶をいれるのに使った箱と道具を、全部引き出物として領事に贈った』とある。」茶道具が発見された米マサチューセッツ州のピーボディー・エセックス博物館で、「茶道具の桐箱には英語で『ジェームズ・アームストロング提督へ』などとある。」となっている。

ハリス自身が記した「日本滞在記」があるのになぜヒュースケンの日記から当日の模様を引用したのか理解に苦しむが、ハリスもこのことを記録している。朝日新聞の記事は間違っているとまでは言えないがやや不正確な部分があることが「日本滞在記」を読むと分る。

まず、「日本滞在記」のハリスの記述によれば、当時下田奉行は二人いて交互に半年ずつ江戸と下田を行き来していた。第一の奉行は井上信濃守で朝日新聞の記事にある井上清直で、第二の奉行は岡田備後守だった。朝日新聞の記事には「ハリスを江戸幕府が接待した」とあるが、「日本滞在記」を読む限りこの日の招待は私的なものだったようだ。また、「奉行の私邸」で行われたことは誤りではないが、この「私邸」は井上のものではなく岡田備後守の屋敷だった。

招待に先立つ2月21日の「日本滞在記」には「下田奉行の一人である備後守が、江戸から戻ったといって、訪ねてくる。(中略)奉行は私に、自分と信濃守とを私邸に訪ねてくれるようにいった。私はそれを承知した。」とある。これには伏線がある。幕府側は初代総領事として下田に着任したハリスが幕府の役人以外と接触することを恐れて、触れを出して町民にハリスらと接触することを禁じ、一方でハリスらに役人を貼り付けて彼らから町民に接することも阻止していた。

1857年1月7日にハリスはこう書いている。「私はこの国にきてから四ヶ月半になるが、未だに日本人の家に招かれていったことがない。そして、つまらぬ口実の下に、我が国の正月元旦(ニューイヤーズデー)に私と晩餐を共にすることさえ拒絶した。我が国では元旦は、日本におけると同様に、親しい訪問などをすることになっている。しかし、その日は一人の日本人も私のところに寄りつかなかった。といった。そして、アメリカでは、このような行為は無愛想と呼ばれるのが常であるといって、言葉を切った。」この前にもハリスは同様の抗議を繰り返し奉行らに行っている。

さて、当日の記述をみよう。「食事の主な部分がすんだとき、信濃守が、これまで私の見た一番美しい愛用の茶道具を自分のところへ運ばせた。それは清らかな白木の箱に納めてあった。それを開くと、湯沸し用の小さな窯、茶瓶、二つの茶碗、茶壷、それに茶瓶と茶碗の敷物、茶を汲む長柄杓、茶を湯の中に入れる前に火にかけて茶を熱する珍しい道具があらわれた。」

朝日新聞の記事の写真を見ると私たちが一般に「茶の湯」で想像する抹茶道具ではなく、煎茶道具のようで、木製の棚付の箱に「秋月」と書かれた窯、茶瓶、茶壷、藁を編んだように見える土瓶敷1、茶碗5が見える。箱には引き出しが三つ備わっていてその中は見えない。「アームストロング提督へ」と言う箱書きと写真を見る限りまさしく信濃守が贈ったものに間違いないだろう。

ちなみに「ジェームズ・アームストロング提督」とはハリスを日本に送るために米国から派遣されたフリゲート艦「サン・ゼシント」の艦長(提督)でニューヨークから下田までの航海でハリスは大変な恩義を感じていた。「これまで私の見た一番美しい」茶道具を贈る理由は十分にある。余談だがハリスは頑固一徹で非常に義理堅い性格で、生涯を独身で通した。敬虔なクリスチャンでもあった。

コメント(1)

上記記事のURLは以下のとおり

http://www.asahi.com/national/update/0912/TKY200609120292.html

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