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精神保健福祉士を問うコミュの「日本精神保健福祉士協会への公開質問状」 その6

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   4.倫理綱領は誰のものか

 二つの倫理綱領の前文をご覧いただきましょう。

? 「われわれ社会福祉士は、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。われわれは平和を擁護し、人権と社会正義の原則に則り、サービス利用者本位の質の高い福祉サービスの開発と提供に努めることによって、社会福祉の推進とサービス利用者の自己実現を目指す専門職であることを言明する。
 われわれは、社会の進展に伴う社会変動が、ともすれば環境破壊及び人間疎外をもたらすことに着目する時、この専門職がこれからの福祉社会にとって不可欠の制度であることを自覚するとともに、専門職社会福祉士の職責についての一般社会及び市民の理解を深め、その啓発に努める。(以下略)」

? 「われわれ精神保健福祉士は、個人としての尊厳を尊び、人と環境の関係を捉える視点を持ち、共生社会の実現をめざし、社会福祉学を基盤とする精神保健福祉士の価値・理論・実践をもって精神保健福祉の向上に努めるとともに、クライエントの社会的復権・権利擁護と福祉のための専門的・社会的活動を行う専門職としての資質の向上に努め、誠実に倫理綱領に基づく責務を担う。」

 これらの倫理綱領の前文は、国試で穴埋め式の問題として出題されるところで、受験生は丸暗記が求められます。これは?が社会福祉士の倫理綱領で、?が協会が採択した精神保健福祉士の倫理綱領ですが、社会福祉士・精神保健福祉士を外して読めば、あまり違いはなく、それぞれを交換してもそれほど違和感はないのではないでしょうか。専門家が読めば、サービス利用者、クライエントなどの用語で区別がつくかもしれませんが一般市民が容易に理解できるところではありません。
 倫理綱領はPSWだけの単なる内部文書ではなく、一般市民に向けての「私たちはこのような姿勢・方法で精神保健福祉に取り組みます」というマニフェストでもあるはずです。ところが、?では「精神科」・「精神障害」・「精神医療(学)」などの用語は全く、出てこないため、精神保健福祉という用語がなければ一般の人々には、これが精神科のソーシャルワーカーのマニフェストとは思えないでしょう。
 つまり、問題なのは?、?の綱領前文の比較において、?ではPSWとしての独自性・専門性がほとんど表現されていないことです。特にこの前文では、「社会福祉学を基盤とする…」となっているために、社会福祉士との差異が表明されていません。
 実はこの部分で、私と協会とで議論になったのですが、未だ私の理解しうる回答は得られておりません。
 議論の中身は、協会主催の2007年度(第8回)「精神保健福祉士全国統一模擬試験」の問題についてのものでした。
 精神保健福祉援助技術の問題51で、PSWの視点として適切かどうかを問う設問がありました。
 その中の選択肢Dの「精神医学に加え、社会福祉学を学問的基盤に置き、『人と状況の全体性』を中心に据える」が、適切か不適切かで、私はこれを適切としたのですが、正解は不適切だったのです。協会の解説では、「精神保健福祉士は、社会福祉学を学問的基盤にした専門職である。精神医学を学問的基盤にしている専門職は精神科医であり、この二つの学問領域は異なるものの、両者は協働しなければならない」との理由で、選択肢Dを不適切としているのです。
 まさに、前文の文章を教条的に当てはめた見解であり、PSWと社会福祉士との違い、そしてPSWがどのような業務を担っているのかを分かりにくくしている元凶はここにあると思われます。精神医学も学問的基盤に置いてはいけないのなら、私たちが精神医学を学習(学問する)する意味はどこにあるのでしょう?解説及び私の質問に対する回答は、PSW−社会福祉学−福祉援助、医師−精神医学−治療、とあまりに固定的・図式的捉えすぎています。サッカーの試合でもチームの勝利のためには、FWが守備的動きをしたり、DFがシュートをうってゴールを決めたりということがあるわけです。もちろん本来の役割を果たした上でのことです。PSWの業務(学問的基盤においても)にとって、精神医学(社会福祉学の下に多くの各論があるように、この精神医学は、精神保健学や精神科リハビリテーションなどの各論をふぅんだ広い意味のもので、狭義の精神医学と区別する意味で精神科・学とでも呼んだ方がよいかもしれない)と社会福祉学は車の両輪であり、この部分で社会福祉士との差異は明確となるのではないでしょうか。

   ひよこ この辺りのやり取りは、中央法規を通して協会とは書面で行いました。回答は理
   解、納得できるものではなくあわせて回答者の氏名不記入なので匿名の回答は責任
   あるものとはいえないとして、再質問したところその後はなしの礫となりました。
   最近は個人情報保護をはきちがえて、公私の区別がつかない人が目立つように思わ
   れます。あの悪名高き社保庁ですらこの頃は、○○が伺います、○○が承りました、
   と2回も名乗ります。

 法律における定義を見ても、実際の業務においても、PSWは「社会福祉学」の枠内のみに収まるものではありません。精神保健福祉士法第2条の定義では、業務としては社会福祉士と同様な「相談援助」ですが、その内容は社会福祉士にはない「日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助」とあるように、訓練というリハビリテーションもしくは治療的な行為が含まれています。実際の業務でも、SSTなどはPSWが中心に行うことが多いものですが、これは認知行動療法に基づいた精神療法的手法と言えます。また、心の病に取り込まれた人たちとの接触では、PSWの一挙手一投足、ちょっとした何気ない一言やまなざしが、時に治療的であったり半治療的になることがあることに留意し(このような広い意味での精神療法的交感は医師だけのものではありません。ただこれを意識化しツールとして活用するためには精神医学という学問的基盤が必要)、社会福祉学だけの単なる事務的福祉屋にならないように意を尽くすべきでしょう。
 以上の観点から、PSWの視点として、精神医学を学問的基盤から排除されなければならないという協会の見解には全く同意できません。
 繰り返しますが、PSWの業務が、医療と福祉にまたがるものなら、その学問的基盤もまた両者に置かなければなりません。ここのところが社会福祉士との差異なのです。もっとも、精神保健治療士ではなく、精神保健福祉士なのですから、その基本的視座は、「生活者の視点」にあることは言うまでもありません。しかし、これは生活者の視点を一歩も踏み越えてはいけない、治療者的視点に至ることは逸脱行為だ、ということにはなりません。治療者もQOLに配慮するというように福祉的な視点が求められるのと同様に、PSWも時に治療者的視点も必要となります。そうでなければ、強制入院や身体拘束などには常に反対しなければならないでしょう。

 後2,3気付いたことをピックアップしておきますと、前文の中では「人と環境の関係を捉える視点を持ち」とありますが、精神保健福祉においては、クライエントの生活史的理解つまり通時的視点が必要ですが、共時的視点のみにとどまっています。
 本文中では、自己決定の尊重については、「自傷他害等公共の福祉に反するものは認められない」と明記するべきですし、プライバシーと秘密保持では、個人情報保護法ができた現在、この法律以上にこの問題を強調するならば、かつての隠蔽主義、隔離主義を彷彿とさせるもので、ノーマライゼーションに逆行する懸念も持ちます。

 以上、協会の公式見解をお待ちします。


  ひよこやっと終わりました。もし、ここまでお付き合いしていただいた方がいらっしゃれば、ご苦労様です。そしてありがとうございます。細切れで読みにくかったのは、私がPC初心者で途中まで書いて、あとは翌日、などという方法が分からなかったからです。まあ、論点がはっきりしたと言えなくもありませんが・・・
 最終回になって、ヨッピィーさんから、保存、コピー、貼り付けなどのPCテクニックを教わり、数日に分けて打ち込みました。ヨッピィーさんありがとうございます。レイアウトがひどくてごめんなさい。

 茨木のり子が『六月』という詩の中で、「一日の労働の終わりには、一杯の黒ビール・・・」と書いていましたが、私も一日の仕事の後には、ビールとっくり(おちょこ付き)ワイングラスなどが私を手招きするわけでして、それらとの格闘の結果として時間がかかってしまったのでした。

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